日別アーカイブ: 2023年6月19日

キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「元号の日」だそうですよ。
645年(大化元年)のこの日に
蘇我氏を倒した中大兄皇子(後の天智天皇)が
日本初の元号「大化(たいか)」を制定したことが由来となっています。
現在の元号は「令和」ですが
これまでに248の元号が定められているのだそうです。
個人的な感覚ですが私が幼い頃は和暦(当時は昭和)のほうが
ピンときたものですが
今はもはや西暦のほうがわかりやすいですね。
平成の頃からまず西暦が頭に浮かんで和暦に変換する感じでしたが
令和になってさらにわかりにくくなってしまいました。
まぁこれは私が単に歳食って鈍くなったからでしょうね(苦笑)
私が過ごした期間としては「平成」が30年間で最も長く
昭和は20年弱なのですが
多感な時期を過ごした「昭和」のイメージが
より濃く残っているような気がします。
社会人になった次の年に「平成」になったのですよねぇ
もう「昭和」も二つ前の元号…ということは
私が幼い頃だと「昭和」の二つ前は「明治」…
そうイメージするとそりゃとんでもなく昭和って昔ですね!
なんだか実感できました…(笑
私の幼い頃に「明治生まれ」の方って曾祖父ですもの
(まだ令和は5年なので直接比べられないですが)
次の元号を見ることはまずないですから
令和をいつまで見ていられるのでしょうかねぇ…

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
最近、「F-1」の修理依頼多いですね。
「F-1」の登場は1971年、昭和46年ですね。
この「F-1」の登場によってキヤノンは一眼レフの分野でも
トップメーカーに躍り出て
ライバルであるニコンとのその後の熾烈な「2強時代」を
フィルムカメラ終焉の時代まで続けていくことになります。
「F-1」の直接のライバルは「ニコンF2」ですが
本質的な部分は「過酷な状況でも撮影を遂行できること」を
両者とも目指していて加えて
「どんな撮影にもフレキシブルに対応できる
交換レンズを含むシステム性」という部分でも共通しているのに
デザインを含むキャラクター性では
こんなに正反対なのがまたなんとも楽しいですし興味深いですね。
どちらも基本的構造はしっかりできているカメラで
堅牢性を売りにしているだけあって
ひとつひとつの部品のクオリティや精度も非常に高いです。
ただ、さすがに登場から50年経過する機械ですので
そのままでは各部の動きの悪いところや
経年劣化でそのままでは使えない部分もあり
一通りのメンテナンスはいずれの個体でも必要だと思います。

お預かりている「F-1」いわゆる前期モデルです。
露出計も含め一応、一通りは動作できてはいるのですが
やはり動きの悪い部分や電気的な接触不良も起きています。
このあたりは長い年月を経過しているので当然ではあります。
まずはスローガバナが完全に固着しています。
そのため1/15~1秒のスローシャッター時には
シャッターが開いたままで固まってしまいます。
SS設定を1/30以下に設定すると見た目には通常に動作します。
スローガバナは簡単に言うとゼンマイ仕掛けなので
どのカメラでも比較的固着の起こりやすい箇所です。
スローがこんな状態ということは
当然ながら幕軸の動きもあまりよろしくはなく
高速シャッターも一見問題なさそうですが
測定器で計測してみるとかなり先幕後幕のバランスが崩れています。
もう少しで1/2000、1/10000だと
スリットが完全に閉じてしまいそうな状態です。
巻上周りやミラー駆動部も含め機械的駆動部は
本来のスムーズな動きができるように整備が必要です。
露出計も動作してはいますが精度は出ておらず
加えて挙動も不安定です。SW周りで接触不良もあるようです。

F-1でもプリズム腐食は比較的多くみられます。
今回は視野のほんの端っこにわずかにみられますが
大きな腐食はないようです。
まずはボディ側から整備を行いますが
あとでファインダー側も分解し
おそらくはそのまま放置されてると思われる
プリズム上に鎮座する大きな座布団モルトを撤去しないと
そこから腐食が始まってしまいます。
まだ取りかかかったばかりですが
まずはボディ側の分解整備を進めて
シャッター、巻上、ミラー駆動部、露出計周りの
整備を行っていきます。

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