コニカⅢAのカメラ修理

今日は「花火の日」なのだそうですよ。
ちょっと季節的には早いのでは?と思ってしまいますが
1733(亨保18)年ののこの日に
隅田川の両国橋付近で水神祭りの川開きが行われ
慰霊を兼ねた花火が打ち上げられ
これが「両国川開きの花火」の始まりであり
この記念日の由来になっています。
「慰霊を兼ねた」とありますが
この年は全国的に凶作に見舞われ
大飢饉になったうえに
コロリ(コレラ)が大流行して多くの死者が出たのだそうです。
現代も新型コロナの影響で
昨年、一昨年と多くの花火大会が中止となってしまっており
近年は私も行けてなかったのですが
昔は毎年見に行っていたお気に入りの「宮島水中花火大会」は
一時的中止や延期ではなく「打ち切り」となってしまいました。
全国的にも今年もまだ諸手を挙げて
「通常通り開催」とはいかないでしょうが
少しずつでも以前と同様に戻ればいいですね
でもコロナとは関係なく
私ももう人でごった返す花火大会には
なかなか足が向かないような気がします。

さてさて

本日は「コニカⅢA」のカメラ修理を行っています。
1958年発売の「Ⅲ」の派生モデルで
「生きているファインダー」と言われた
「パララックス/画角自動修正機能付
採光式ブライトフレームファインダー」を搭載しています。
「生きている」は今となってはちょっと大げさな気はしますが
当時としてはパララックス自動補正は画期的でもありました。
個人的にはそれよりも贅沢に巨大なプリズムを使用した
非常に見えの良いファインダーそのものが魅力だと思います。
さらに等倍ファインダーなので右目でファインダーを覗き
左目で同時にファインダー視野外まで見ることができます。
慣れてくるとファインダーを覗いている感覚は薄れ
普通に見ている視野にブライトフレームが浮かんでいるように見え
視野外が確認できると便利なスナップや
動く被写体の場合は本当に重宝します。
ファインダー以外の部分は基本的に「Ⅲ L2」とほぼ同一で
セイコーシャMXLシャッターを搭載し1/500~1s・Bをカバーします。
レンズは通常のⅢと同じ48mmF2搭載機と
50mmF1.8搭載機が存在します。
基本的には「Ⅲ」なので前面レバーで
ダブルストロークする独特の巻上も共通です。
使い心地も含めて非常に良いカメラだと思います。

お預かりしている「ⅢA」は
まず巻上レバーが動作できたりできなかったりしています。
巻上できる時の巻上の重さも非常に重く
何かしら部品の変形が起きているような感触があります。
巻上が何とか完了してレリーズボタンを押しても
シャッターは全く動きません。
羽根固着あるいは羽根駆動部の固着が原因かと思われます。
レンズ・ファインダーにカビも発生しており
全体的にも整備が必要な状況です。

シャッターユニットは羽根の固着もありましたが
チャージ機構の固着がそれ以上に重症です。
チャージカムが変形気味で上手く動かないところへ
無理に何度も巻上を行っていたとみられ
ボディ側の巻上カムにも変形がみられ
これが巻上不良の一因となっています。
幸い普通に動作できる程度には修正できるほどの状態でしたが
あまり大きく変形していると
修理不可能の可能性もありました。
ファインダーに使われている巨大なプリズムは
内部には腐食等も見られず良好な状態です。
表面やミラー部に発生しているカビ等の清掃を行い
距離計の調整を行えば非常に快適な見え具合になると思います。

ある程度、現在の不具合の原因と対策が固まったところで
本格的に修理・整備に取り掛かります。

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