オリンパストリップ35のカメラ修理

今日は「百人一首の日」だそうですよ。
1235(文暦2)年のこの日に
公家・歌人の藤原定家によって
『小倉百人一首』が完成されたとされていて
それが日付の由来となっています。
百人一首…数年前に覚えようと思い立って
ノートに手書きで写したり
(暗記するにはまずは書き写す…という世代(苦笑))
意味を調べたりしていたのですが
ちょうどその頃に頭に大病を抱えたりしたので
中途半端なままになっているのですよねぇ…
あきらめたわけではないので
またチャレンジしなければ。。。
個人的に好きなのは
「このたびは ぬさもとりあへず 手向山
もみぢの錦 神のまにまに (菅家)」とか
「秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のささやき (左京大夫顕輔)」だったりします。
他にも情景や心情を美しく歌ったものばかりで
いろいろ調べながら読んでいるとなかなか楽しいのです。
実は百人一首に興味を持った元々のきっかけは
コミックの「ちはやふる」にハマったからなのです。
もうすぐ完結ですがこれがまた面白いし感動するし
何度読んでも飽きません。。。

さてさて

本日は「オリンパストリップ35」のカメラ修理を行っています。
1968年に発売されたカメラです。
構造的にはハーフカメラのペンEES-2を
35mmフルサイズ版にしたカメラです。
セレン光電池と連動した露出計の指針を挟み込みことで
オート露出制御を行い
その挟み込んだ指針の位置でシャッタスピードは1/30か1/250の
いずれかを選択しさらにそれに応じた絞り設定を行います。
ベースがEES系なのでトリップも目測ゾーンフォーカスです。
十分に光量があるシチュエーションであれば
人が二人並んでいる赤いマーク(3m)に合わせておけば
ほぼパンフォーカスでピント合わせを気にせず撮ることも可能です。
セレン光電池なので電池いらずですし
軽量コンパクトなボディでいつでもどこへでも気軽に持っていけるカメラです。
当時もかなりヒットしたカメラで現存台数も多く
このジャンルのカメラとしては
コニカC35(じゃーに~コニカ)と並んで今でも人気のカメラです。
ジャーニーとトリップ、ネーミングも同じような意味で面白いですね。

構造的にはシンプルなカメラですが
さすがに製造から50年前後経過しているカメラでもあり
トラブルを抱えた個体が多いのも事実です。
今回、お預かりしているトリップは
鏡胴のASA感度環やピントリングに大きなガタというか
緩みがあり今にも外れてしまうのではないか…という状態でした。
ペンEE系もそうなのですが
トリップやペンEEは長く使っていると
多くの部分のネジが緩んでくることが多いです。
酷いものになると完全にネジが抜けてしまい
そのネジがどこかに挟まって別のトラブルを引き起こします。
外れたネジが磁力で露出計メーターにくっついてしまい
露出計が動かなくなる…なんてこともあります。
今回は外れてはいないようですが
このままでは外れるのも時間の問題です。
緩んでいたのはピントリングを抑えているネジ3本で
3本ともあともう少しで外れてしまうような状態でした。
そのネジにアクセスするにはレンズ前玉を外す必要もあるので
ピントの再調整も必要となります。
いずれにせよ、シャッター羽根の若干の粘りや
オート不良も確認できているので
全バラシして一通りの整備を行います。
もちろん緩みやすいネジは全て確認し増し締めを行います。

2枚羽根の絞りユニットも写っていますが
ここも非常に固着や粘りを起こしやすいところなので
入念に清掃整備を行います。
指針抑え込み式自動露出の構造を知るには
最適なカメラでもありSS2速切替機構も
動作を確認するとわかりやすい構造だと思います。
修理を始めたばかりの頃はトリップには
いろいろなことを教えられました。
そういう意味でも個人的にも思い出深いカメラです。
心配されるセレンの劣化は今回は問題はなく
ここさえ大丈夫であればあとはしっかり整備を行えば
現在でも全く問題なく楽しく使えるカメラです。
評価の高いズイコーレンズの写りも非常に秀逸です。
まずはフィルムカメラを気軽に楽しんでみたい…という方にも
おススメできるカメラです。

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