オリンパスペンSのカメラ修理

今日は6月1日…多くの記念日が制定されています。
衣替えに始まり、アユ釣り解禁で「鮎の日」だったり
気象記念日、電波の日、麦茶の日、氷の日、ねじの日…
他にも本当にたくさんあるのですが
その中でもやはり今日は「写真の日」ですね!
1841(天保12)年のこの日に日本初の写真が撮影された。
写真機はオランダから献上されたもので
写されたのは薩摩藩主の島津斉彬で
撮影したのは長崎の御用商人・上野俊之丞だった…とされているでのすが
後の調査で、それ以前にも写真撮影が
行われていたことが分かっているのだそうです。
それでも一度制定したこともありこの日が「写真の日」となっているそうです。
ちょっとしまらない話ですねぇ(苦笑)
でも本当にここ20年くらいで写真にまつわる環境は様変わりしましたよねぇ
いまや普通の人の写真と言えばスマホ写真ですものね…
まぁ気軽に何でも記録に残せるのは良いことだと思いますが…
なかなかそのあたりは微妙な思いです(笑
そんなことを思いながらも
今日も何十年も前のカメラを修理していきます…

さてさて

本日は「オリンパスペンS」のカメラ修理を行っています。
ここのところペンSの修理が立て続けに入っています。
おかしなものでそれほど普段依頼の多くないカメラが
立て続けに集中してやってくることはこの仕事では多いのです。
そして一段落するとまたしばらく来なくなる…
なんででしょうねぇ
ペンSは1960年の発売で前年に発売された初代ペンの
高級型とされるカメラです。
大きな変更点はやはりシャッターユニットで
初代ペンは2枚羽根のコパル#000でしたが
ペンSでは5枚羽根シャッターとなり
シャッタスピードも初代ペンの4速から
B、1/8-1/250秒の6速へと変更されています。
これで撮影の幅も随分と広がりますね。
露出計も装備されず、当然フルマニュアルで目測式ピントの
シンプルなカメラですが
写真撮影の基本的な知識があれば通常の撮影には
これで十分なのですよね…
こういうカメラで基本的に人の手でできることを
どれほど快適にどれほど自動化できるかが
この後のカメラの発展の基本的な部分ともいえると思います。
開発者の米谷さんのこだわりで
フィルム面積の小さなハーフカメラだからこそ
35mm判に画質で負けないように良いレンズを!ということで搭載された
ズイコーレンズ(ペンSは3cmF2.8)はなかなかの写りで
昔から高い評価が付けられています。

お預かりのペンSは
ペンに限らず全てのレンズシャッター機で定番ともいえる
シャッター粘りが発生しています。
粘って動きが悪いというレベルではなく
今回のペンSの場合はシャッターを切ると
設定したシャッタースピードに関わらず
完全に開いたままで固着してしまいます。
そして次に巻き上げると構造上、閉じるという状態です。
これでは夜間撮影でもない限り
全ての写真が真っ白になってしまうのは間違いないですね。
原因はシャッター羽根、あるいはシャッター駆動部の
汚れや古い油が原因です。
パターン的に多いのは羽根に油が滲みだしてしまい
それが動きを妨げる…という感じです。
何度も書きますがレンズシャッターは
小さなバネ力で薄く軽いシャッター羽根を素早く動作します。
ほんのわずかな汚れや油の付着で簡単に動作不良が起こります。
その上、構造上シャッターユニット内には
機械駆動のための最小限の油は不可欠です。
ただ長い年月の間にそれが羽根に滲みだしてしまうことが多いのです。
シャッターユニット内、及びシャッター羽根を洗浄・清掃し
シャッターユニット内の機械部分には「必要最小限」の注油が必要です。
もちろん、その際にレンズも取り外しますので
レンズ清掃、ピント調整も行います。

そうして一通りの整備をされたペンSは
非常に歯切れよくシャッターも動作するようになりました。
シャッタースピードの精度も全く問題ありません。
レンズもファインダーもクリアになり
安心快適に使っていただける状態になっています。
金属疲労の問題やレンズコーティングの問題もあり
細かいことをあげれば60年前の新品同様とはなりませんが
通常使っていただく分には全く問題ない状態だと思います。
こういうシンプルなカメラこそ
当時の状態に近づけやすいとは思います。
ご依頼者様には快調となったペンSで
存分に撮影を楽しんでいただければと思います。

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