ペンタックスSVのカメラ修理

今日は「食品サンプルの日」なのだそうですよ。
蝋(ろう)や合成樹脂なんかで造られる
昔ながらの喫茶店の店頭でよく見られるあれですね!
「サン(3)プ(2)ル(6)」と読む語呂合わせが由来となっています。
昔は喫茶店の店頭やデパートのレストランとかで
やたらと見る機会の多かった食品サンプルですが
さすがに最近は昔ほど飲食店で見ることは少なくなりましたね。
これ日本独自の文化なのですね。
そのため観光等で訪れた外国人にはかなり珍しがられるそうですよ。
近年では業務用のみならず
一般向けにも販売され始めており
模型やアクセサリー等として拡がり始めているのだそうです。
なるほど…確かに本物そっくりな食品サンプル…
ちょっと欲しくなりますものね…
食品サンプルと言えば
食品サンプル職人の竹内繁春さんが1972(昭和47)年に編み出した
宙に浮くスパゲティとフォークが有名ですよねぇ
あれちょっとインテリアとして欲しいかも…
いけんいけん、また変な物欲を刺激して
妙な買い物している場合ではありません…(苦笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSV」のカメラ修理を行っています。
1962年発売のカメラです。
ペンタックスのM42マウント機はSP以降とそれ以前の機種で
大きく分かれると思うのですが
SPより前のいわゆるアサヒペンタックス系の最終モデル的な
位置づけのカメラです。
前モデルのS3を改良したモデルで
巻戻しクランク部にセルフタイマーが装備されています。
これがモデル名の「V」の由来ですね。
(ドイツ語でセルフタイマーを意味する”Voraufwerk”の頭文字)
他にもフィルムカウンターが裏ブタと連動した
自動復元式に進化しています。
TTL露出計内臓は次のSPからですが
それ以外はその後の一眼レフの基本的な機能は有しており
非常に現代的に使えるカメラと言えると思います。
この時代のカメラなので総金属製でそれなりに重さはありますが
その分質感は高くサイズは比較的コンパクトです。
それでいてM42マウントでレンズの選択肢も多く
現在でも根強い人気のあるカメラです。
当時もかなり売れたカメラなので
現存する台数は多いですが
なかなか程度の良いものは少ない印象です。

お預かりしている「SV」はまずシャッターが切れません。
正確に言うとシャッターは切れようと動作しているのですが
幕の動きがどうにも悪くまともに走行できない状態です。
SPより前のアサヒペンタックスシリーズは
とにかくシャッター幕の状態の悪いものが多く
ガチガチに硬化していたり、ベタベタに粘着質になっていたり
酷いものなると破れていたり裂けていたりと
幕交換が修理の前提になるものが非常に多いのです。
今回のSVもシャッターがまともに動かないということで
幕の状態をまずは疑ってみたのですが
今回は意外と幕の状態は悪くないのです。
さすがに多少の劣化は見られますが
それほど硬化してるわけでもありません。
動きの悪い原因はとにかく幕軸が粘りまくっていることが原因のようです。

シャッターのみならずミラーや巻上の駆動部も
油切れで動きにくいとこるもあれば
逆に古い油脂類が汚れと混じって粘着質となり
動きを妨げている部分もあります。
隅々まで徹底的に清掃して適度な注油を行うことで
小さな力でスムーズに動く状態に整備を行っていきます。
ファインダーや装着されていたレンズには
かなりのカビも見受けられるので
そちらもできる限りの清掃でクリアに仕上げていきます。

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