オリンパスペンD2のカメラ修理

今日から通常営業再開です。
実はこの休みは実の親父(戸籍上はもはや親ではないのですが)の
初盆だったため墓参りに
地元に帰省していたのですが
まぁ見事に豪雨に翻弄されました。
一応墓参りだけは雨の合間を縫って行ってきたから良いのですが
昔ながらの墓所なのでちょっとした登山なのです。
登山靴履いて行っていて本当に良かった(苦笑)
今日は「高校野球記念日」だったりしますが
高校野球もこの異常な天候に翻弄されまくっていますねぇ
ただ、広島新庄が早々にこれがまたインパクトの強い
負け方をしたので高校野球も今年はあまり見ていないのですよねぇ
昔からそうですが広島県代表が姿を消した時点で
甲子園は終わりという感じです。。。(苦笑)
そんな中、今日は「ハイエイトチョコの日」なのだそうです。
ハイエイトチョコってなんぞや?と思って画像を見たら
あああ!メガネチョコだ!!!懐かしいなぁ
カラフルなマーブルチョコが
8の字型の容器にパックされたもので
メガネの形にも見えるから「メガネチョコ」とも呼ばれてました
今でもまだあるんですねぇ
1967年発売で私より二つ年上なんですねぇ
「おかしのまちおか」とかにもおいてあるかな?
今度探してみます!

さてさて

本日は「オリンパスペンD2」のカメラ修理を行っています。
ペンDシリーズはここでも何度か書いていますが
いわゆるペンの最高級版(デラックス版)です。
ノーマルペンに対して高級版なのが「ペンS」で
さらに最高級版が「ペンD」という位置づけですね
「D2」はその2代目モデルにあたります。
初代のペンDがセレン光電池を使用した露出計を搭載していたのに対して
「D2」はそれをCdS式に変更していたものです。
CdS式になったので当然、電池を使用するようになりました。
電池室は苦肉の策でフィルム室内底部に配置されています。
まぁ元々予定にないものの増設で仕方がなかったのでしょうが
ここに配置されるとフィルム装填中は電池交換ができないのですよねぇ(汗)
完全にフィルムを外さないと電池室蓋すら開けられない
ローライ35よりはマシですが…
その露出計は受光素子が変わったほかは変更ありません
相変わらずの非連動でのLV表示です。
これは下手に連動式にされるよりは簡潔でよいですね
シャッターやレンズも初代ペンDと変わらず
コパル製シャッター最高速1/500で32mmF1.9の大口径レンズです。

お預かりしている「ペンD2」は
まずそのウリの一つである露出計が電池を入れても全く動きません。
電池室からの配線が腐食しているものと思われます。
さらにお決まりのシャッター羽根粘りがあり
どうも粘った状態で動作させていたせいか
一部の羽根に変形というか歪みが見られるようです。
動作に問題のない状態に修復して対応します。
そしてシャッターの粘りも関連しているのですが
シャッターを切っても巻き止めがなかなか解除されず
次の巻上ができないという症状も出ています。
いろいろと機械的に動きの悪い箇所がたくさん出てきている状態です。

一通り整備を行い露出計を含め
各部の動きが非常にスムーズになりました
全く問題なく快適に使える状態です。
外観もレンズもファインダーもできる限りキレイに
清掃も行いました。
シンプルなペンS系やお手軽なペンEE系もいいですが
ぺんD系はやはりこうしてみると
佇まいに高級感があり存在感が全く違いますね。
もう少し時間をおいてから最終チェックを行い
問題がなければ完成となります。

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リコーオートハーフSのカメラ修理

8月11日…例年なら「山の日」なのですよね。
でも今年はオリンピック関係で
移動してしまったので今日は祝日ではありません。
ただ「山の日」関連で
「きのこの山の日」だったりします!
「きのこの山」と「たけのこの里」いわゆる姉妹商品ですが
どっちも美味しいですよねぇ…食べ始めると止まりません
どっちかというと私は「きのこの山」派かな(笑
ちなみに「たけのこの里の日」は3月10日です。

ところで…
HP上では告知済みですが
明日12日(木)~17日(火)までは
夏季休業とさせていただきます。
ご迷惑おかけいたしますが
ご容赦くださいませ。

さてさて

本日は「リコーオートハーフS」のカメラ修理を行っています。
初代のオートハーフから大幅に設計を見直して
登場したカメラです。1965年発売です。
この3年前の1962年に初代のオートハーフが発売され
その翌年には異端児的な
「オートハーフゾーンフォーカス」が発売されています。
このモデルでオートハーフシリーズのデザイン上の特徴ともいえる
前面のアルマイト板による装飾が行われるようになりました
で、「S」はオートハーフとしては3機種目にあたるモデルですが
このモデルからシャッターボタンが
それまでのボディ前面から上面に移動となりました。
このモデル以降に最大ヒットとなった「E」や
「SE」、「E2」、「SE2」が登場しますが
小変更や機能追加だけで
大きな変更は行われていません。
最後のモデルとなる「EF/EF2」はフラッシュ装備となったので
外観は随分変わりましたがこれも基本構造は同一です。
要はこの「S」でオートハーフの
基本構造が最終的に固定されたわけですね
それにしてもいつも思うのですが
ボディにある「S」の筆記体の刻印は
やっぱり「S」に見えないですよねぇ
「S」の筆記体の形は私も昔学校で習いましたが
全然違う形だと思うのですが…
正直いうと私、一番最初にこれみたときに
「Y」だと思って
「へぇ、オートハーフYってあるのかぁ」なんて思いましたもの(笑

お預かりしている「S」は
レリーズが押せない状態でシャッターが切れず
巻上もできない状態になっています。
シャッターはチャージされた状態で
レリーズが不可なのかと最初は思ったのですが
いろいろ調べていくと
どうやらレリーズ後にレリーズロックが戻らなくなっていて
それでにっちもさっちもいかず固まっているようです。
バネの動作がかなり弱くなってしまっています。
シャッター自体の動作にもかなり粘りがあるようです。
それに加えてファインダー内のハーフミラーの蒸着が
かなり剥がれていてボロボロです。
ハーフミラーは交換で対処していきます。

一通りの整備が終わった状態です。
少し時間をおいて様子見をしている段階です。
オートハーフは自動巻上のゼンマイこそ
それなりに強力なバネですが
それ以外の巻上機構やシャッター駆動部分等は
どれも非常に小さなバネで小さな力で動いています
そのためちょっとした汚れや余計な油分で
すぐに固着してしまい動きが固まってしまいます。
基本的に中身は汚れがない状態で
注油もほんのわずかで必要最小限でないと
ズムーズに動く状態にはなりません
ただ構造自体はシンプルなので
セレン光電池こそ劣化して起電しなくなれば
どうにもなりませんが
機械的部分はきちんと整備さえ行えば
今でもほとんどの個体が正常に動くでないかと思います。
ただし、水没品や落下品・ショック品
無茶な分解品はさすがに修理不可能となりますが…
今回も非常にスムーズに動く状態となっています。
この後、最終チェックを行い
問題がなければ完成となります。

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ミノルタSR-1のカメラ修理

先日6日の広島に続いて
今日は「長崎原爆の日」ですね。
先程、11時2分に微力ではありますが
黙とうを捧げました。
終戦から76年が経とうとしています。
これからもずっと同じ過ちが
繰り返されないことを願います。

さてさて

今日は「ミノルタSR-1」のカメラ修理を行っています。
1959年発売のカメラです。
そのネーミングからミノルタ初の一眼レフカメラかと思ってしまいますが
ミノルタ初の一眼レフカメラは
前年の1958年に発売された「SR-2」で
「SR-1」は「SR-2」の普及型モデルという位置づけです。
なんで「2」が先に出て「1」が後から出てそれも下位機種?って
今の感覚だと思ってしまいますが
その頃は「数字が大きいほうが上位機種」という考え方もあったようです。
言われてみれば昔はそんな感覚もあったような気が…
でもこのモデル名の付け方はやはりちょっと無理があったようで
トップモデルの「SR-2」はその後、「SR-3」、「SR-7」と
モデルチェンジしていきますが
「SR-1」のほうはトップモデルがモデルチェンジするたびに
中身は変わっていくもののモデル名はずっと「SR-1」のままでした
そのため一言で「SR-1」と言っても
実際には何種類かのモデルが存在し
ボディ形状だけでも4タイプに分かれてしまいます。
なかなかこの辺はわかりにくくややこしいことになっていますね。

先に画像を出してしまいますが
今回は同じご依頼者の方から2台の「SR-1」をお預かりしています。
まずレンズの装着されている「SR-1」は
初期の「SR-1」でシャッタースピードダイヤルも
上に引いて回すタイプです。
いわゆる「SR-2」から1/1000を省略したモデルです。
レンズが外されているほうの「SR-1」は
おそらく1963年のモデルで

中身も外装も「SR-7」がベースで1/1000が省略されたモデルです。
ボディ形状もダイキャストも異なり
共通部品もほとんどありません。
部品取り個体から部品を使って修理することも多い
私どもとしてはモデル名も変えてほしかったなぁ…と思います(苦笑)
初期の「SR-1」のほうはシャッターが全く切れません
幕の位置から判断してシャッターチャージはされているのですが
レリーズしてもシャッターが切れない状況です。
どこかレリーズ関連の部分で固着が起こっているようです。
装着されているレンズも初期のオートロッコールですが
こちらも絞りがかなりう粘っているので修理・整備を行います。
63年型の「SR-1」のほうはシャッターは何とか作動していますが
精度は全く出ておらず高速域は特にひどい状態です。
幕軸等の汚れや油切れで動きも非常に不安定です。
画像に写っている外されたレンズはおそらく同じくらいの時期の
オートロッコールですがマウント部が一部破損しているようで
かなりグラグラと外れかかっているような状態です。
こちらもボディ・レンズ共に修理整備を行います。
そして2台ともプリズムは腐食しています。
SR-1,2,3,7あたりのプリズム腐食は
他の機種でよくあるモルトにまつわる腐食ではなく
単に経年劣化で蒸着が剥がれてきてしまうパターンです。
特にSR-1,2は腐食している個体が多く
キレイな中古プリズムを探すのもなかなか大変なのですが
今回はなんとか交換で対処する予定です。

まだ現状の状態を細かくチェックしてる段階です。
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

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ミノルタSR-T101のカメラ修理

今日は8月8日
「パチ(8)パチ(8)」ということで
「そろばんの日」です。
私が子供の頃は小学生は
そろばん塾に通うっていうのが定番中の定番で
私も3年生から小学校卒業まで
家から歩いて3分のそろばん塾に
平日は毎日通っていました。
生徒は近所の見慣れたメンバーなのだけど
学校とはまた違った雰囲気もあり
結構楽しかった覚えしかないなぁ
先生も禿げたおもしろいおっさんだったし(笑
でもそろばん習ったのは今でも役に立っていると思います。
暗算はいまだにそろばんをイメージしますし
そもそもそろばんやってなかったら
暗算なんてめちゃくちゃ不得意だったと思います
結局小学校卒業までに2級まで取れました
1級の検定は一度だけしか受けられなかったな…
今はしらないけど当時は「伝票計算」ってのがあって
あれが苦手だったんですよねぇ、うまく伝票めくれなくて(苦笑)
だいたい、私は本来左利きなのに
そろばんのときは全て右利きと同じようにやって
答えを書く鉛筆も数字だけだからと思って
右でこなしてたんですよ
伝票めくるのは左手で楽なはずだったのに…
しかしながら、あの頃はたいした心配事もなくて
毎日楽しかったなぁ…もう40数年前か…(汗)

さてさて

本日は「ミノルタSRT-101」のカメラ修理を行っています。
1966年に発売されたミノルタ初のTTL開放測光機です。
開放測光を実現するために
交換レンズ群も
絞り値をボディ側に伝える機能が追加された
MCロッコールにモデルチェンジされました
(マウント自体に変更はないので
それまでのオートロッコールも装着は可能)
非常に使いやすく丈夫なカメラで
7年近く生産され続けロングセラーモデルとなりました。
さらにマイナーチェンジ版ともいえる
その後登場したSR-T101改やSR101も
それほど大きな変更もなく発展版ともいえるSR-Tスーパーも
含めると10数年作られたモデルともいえます。
ミノルタの機械制御シャッター機を代表するモデルだと思います。

特にシャッター、巻上周りはタフにできていて
少々のことでは致命的に壊れることはないと思います。
何十年も放置されている個体でも
精度はともかく、とりあえずは動作するものが多いのです。
しかしながら、ただ一途に健気なだけなので
少々動きにくい状態でも
文句ひとつ言わず(まぁ言うわけがないですが)
無理矢理動いているだけ…という状態のものも多いと思われます。
何だかあまりにかわいそうなので
本来の少しの力でスムースに動けるように
整備してあげたいと思わせるカメラです。

お預かりしてるSR-T101もシャッターは
一見元気に動いていますが
やはり油切れの兆候は見え隠れしていて
シャッタスピードの精度はやはり出ていません。
後幕と先幕のバランスもかなり崩れています。
加えて露出計はバッテリーチェックも含めて
全く動きません。
露出計の問題は電池室からの配線が
完全に腐食してしまってことが原因のようです。
電池室は一見キレイそうに見えたのですが
かなり長い間、水銀電池が入れっぱなしだった時期があるらしく
クリーニングペーパーに溶剤を付けて
電池室の内側を拭いてみると
ペーパーが鮮やかに青くなるほど緑青が出ていました。

まだ分解途中ですがこれからさらに分解を進めて
一通りの整備を行っていきます。
画像では少し見えにくいのですが
SR-T系はプリズム前部の緩衝材に
加水分解しない材質のものが使われていて
そのおかげでプリズムの腐食が
めったに起こりません。
後のX系にもこの材質を使っていてくれれば…(苦笑)
その代わりというわけでもないのでしょうが
プリズムに影響はないものの
ファインダー枠周りにはぐるりとモルトが使われていて
これの除去と交換が意外と厄介です。
あとはいつものことですが連動糸の処理には神経を使います。
…とはいえ全体的にはかなり整備性は良いカメラです。
こうしてみると構造的にも
非常に良くできたカメラだというのがよくわかります。

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ニコンFEのカメラ修理

今日はいわずとしれた
「広島平和記念日」ですね。
私も首都圏に来て18年になりますが
こっちだと8月6日が意外と普通の日で
何だか悲しくなったことを思い出します。
広島はこの日は静かに祈りをささげる日です。
近年、この日に広島にいることがないので
今はわかりませんが私がいた頃には
8月6日8時15分にはサイレンが鳴り響き
誰もが黙とうを捧げます。
最近、私、朝が遅くって
普段だと8時半くらいに起きるのですが
さすがに今日は8時には起きて
8時15分には西の空に向かって黙とうしました
私は呉出身で祖父母と一緒に暮らしていたこともあり
戦時中の話はやはりこの時期になると
いろいろと聞かされました
子供相手だから随分ソフトに話してくれたと思われますが
それでも子供心にショックな話も多かったです。
今はコロナ禍でこれはこれで大変ですが
私が生まれてから今日まで日本では戦争もなく
普通の日常が送られていることに
心から感謝したいと思います。

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
ニコマートELからの流れを汲む
絞り優先AE搭載電子制御シャッター機です。
機械的な部分は兄弟機とも言える
機械制御シャッター機の「FM」と共通部分も多いですが
シャッター制御部のみならず
露出計周りも全く異なります。
FEは絞り優先AE時に自動制御するシャッタースピードを
わかりやすく知らせなくてはならないため
2針式の露出計を採用しています。
これがAE時にはもちろんですが
マニュアル時にも非常に使いやすく
露出設定がどのくらい露出計の指示とズレているかも
一目でわかる秀逸なファインダー内表示をしてくれます。
絞り値も直読式でファインダー内に表示されるので
露出設定はファインダーから目を離さず行うことができます
この時代のカメラとしては非常に優れていると思います。
本当はこれが暗いところでも見えれば無敵なのですが
さすがにそれを求めると
液晶表示になる時代まで待たなくてはいけません。

電子制御機とはいえ
電子部品のトラブルは比較的少ないカメラです。
ただ、多くの電子制御機がそうであるように
電子部品レベルでのトラブルが起こると
修理不能になる場合も確かにございます。
今回お預かりしているFEは
まず電源が全く入りません。
バッテリーチェックすら点灯しません。
電池室周りのトラブルかと思われますが
いろいろ試しているとたまに電源がはいるようです。
ただ、その場合でもシャッタースピードも
露出計も非常に不安定で
シャッタスピードはマニュアルで一定に設定していても
切るたびに実際のスピードが変わります。
露出計もファインダー内で針が激しく踊っているような状態です。
電源周りもそうですがあちこちで接触不良が起きていると思われます。
もしかしたらシャッターダイヤル下の管制部が
破損しかかっている可能性もあるかと思います。
それでもこの様子であれば電子基板内自体は
問題ないのではないかと予想されます。
つまり修理は可能ということですね。

これから本格的に分解整備に取り掛かります。
最悪の場合、露出計及び管制部は
要交換となるかもしれませんが
安定して快適に使えるように
仕上げていきたいと思います。

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ミノルタオートコードのカメラ修理

今日は8月5日ということで
語呂合わせで「ハコの日」、「ハンコの日」
「はしご車の日」とかが制定されています。
そんな中に「箱そばの日」というのを見つけました。
「箱そば」。。。
小田急線沿線を中心に展開しているそば店
「箱根そば」のことですね!
通称「箱そば」です。
私も小田急沿線にしばらく住んでいたので
頻繁に食べに行きました。
首都圏でいわゆる駅そばというと
某チェーン店が有名で定番ですが
あそこのそばはつゆがしょっぱくって
私には合わないのです。
箱そばはそれに比べると
とっても丸みのある優しい味で
いつも美味しくいただくことができます。
それでも冷たいおそばだけで
温かいそばやうどんはいまだにこちらの味付けに
馴染めないのですが…(苦笑)
箱そばもしばらくご無沙汰ですねぇ
新宿行ったときにでも今度寄ってみましょう!

さてさて

本日は「ミノルタオートコード」のカメラ修理を行っています。
オートコードもコンスタントに修理依頼のあるカメラです。
非常に使い勝手も良く写りも秀逸なカメラで
国産二眼レフとしては最高峰といわれるものよくわかります。
クランク式の巻上は非常に回しやすく
ちゃんとセルフコッキングもするので
わざわざ別途にシャッターチャージする必要もありません。
ハラキリ型といわれる独特のピントレバーは
固着しているものやその固着しているものを無理に動かして
破損させてしまっている場合も多いですが
本来は非常にスムーズに動かすことができ
二眼レフに多いノブ式に比べても
素早くピント合わせを行うことができます。
テイクレンズ周りにSSや絞りレバーがあるのは普通ですが
その値の表示窓がビューレンズ上部にあり
上から(つまり撮影態勢のまま)確認できるのは非常に便利です。
長く二眼レフを開発してきたミノルタならではと思われる
工夫があちらこちらに見られる1台です。

お預かりしているオートコードは
まずシャッターが切れません。
チャージしてレリーズすると
作動音はするのですがシャッター羽根は
ピクリとも動きません。
単純によくある羽根固着かとも思ったのですが
何度か作動状態を見ているとそうではないようです。
大元の羽根駆動部に何か問題があるようです。
ちょっとイヤな予感がするのですが…

先述したトラブルの多いピントレバーは
逆に非常に軽くスムーズに動作しています。
レンズも妙にキレイなのですが
ファインダーはかなり汚れています。
以前にレンズ清掃に加え何かしら
手が入っているのではないかと思われます。

まずはシャッターユニット内の様子を
いろいろと確認したいので
そちらから取り掛かります。
シャッターユニットを整備するには
前面の革は一度剥がさないといけません
以前にも書きましたが50年代のカメラの貼り革は
剥がそうとすると簡単に割れて
粉々になってしまうものがほとんどです。
個体によりますがオートコードは比較的剥がしやすく
うまく剥がせば普通にまた再利用できる場合が多いのです。
今回も破損することなく剥がせています。
心配なのはシャッター羽根駆動部です。
これから本格的に現状の確認と整備・修理に取り掛かります。

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コニカオートS1.6のカメラ修理

今日は8月4日ということで
当然のように「箸の日」や
「橋の日」だったりするのですが
「ビヤホールの日」だったりもするのですね。
1899(明治32)年のこの日に
東京・銀座の新橋際に
日本初のビアホール「恵比壽(ヱビス)ビヤホール」
(銀座ライオンの前身)一号店が開店したことに由来しています。
コロナ禍となってから
ビヤホールはもちろん居酒屋も含めて
長らく外では飲んでないですねぇ…
ちょうどコロナの流行が本格化する直前に
頭いかれて入院していたから
ここ1年半くらいは寝る前に自宅で少し晩酌する程度です。
そういえばビヤホールではないのですが
20代の頃にいた会社の忘年会だったかな…
立食パーティーで周りに煽られて
大ジョッキを一気するふりをして
頭から豪快にビールをかぶる先輩がいたけど元気かな(笑)
まぁそんなはちゃめちゃなのはともかく
普通に思い切りビヤホールやビヤガーデンで
美味いビールをがぶ飲みしたいですねぇ
そういうのがたまにはないと
夏らしくないような気がしますが
今はしかたないですよねぇ
来年の今ごろは思い切り外で飲めるかな???

さてさて

本日は「コニカオートS1.6」のカメラ修理を行っています。
コニカⅠ~Ⅲから「S」にモデルチェンジされ
その「Sシリーズ」にシャッタースピード優先AEが搭載されたのが
「オートSシリーズ」です。
もともと「Sシリーズ」はセレン光電池を使用した露出計を
搭載していましたが「オートS」は登場時から
受光素子はCdSに変更されています。
そのタイミングで「S」のほうも「オートS」と部品共通化を図った
「SⅢ」にモデルチェンジされています。
「オートSシリーズ」のほうは
最初にヘキサノン47mmF1.9を搭載する初代オートSが発売され
次にCdS受光素子が当初の上カバー前面から
レンズ上部に移動されフィルター使用時等に露出補正が不要となった
オートS2が登場します。レンズはヘキサノン45mmF1.8です。
そしてそのオートS2のレンズを
ヘキサノン45mmF1.6に変更したのが
今回のコニカオートS1.6です。
うーん、こうして流れを汲みとっていくと
S2とS1.6のネーミングに非常に違和感を感じますが
この時代ではこういう整合性のなさはよくありますよね
1967年発売のカメラです。
シャッターはオートSシリーズ共通となるコパルSVAです。
シャッタースピード優先AEがウリですが
マニュアル露出も可能です(露出計はオフとなります)
この時代ですから少し大柄ですが
使いやすい上に非常に写りの良いカメラです。

お預かりしている「オートS1.6」は
まずシャッターが全く切れません。
巻上もロックしたままです。
単なる羽根固着なら
巻上ロックにならない場合も多いのですが…と
考えながら現状をチェックしていると
セルフタイマーがかかったままになっています。
あ、まずはこれが固着しているせいだということで
とりあえずセルフタイマーを応急処置で
何とか動く状態にしてやると
今度はレリーズするとシャッター羽根が数秒かかって
ゆっくりと開きました。
羽根自体も粘りまくりですね。
電池室やその周辺の配線は意外に良い状態です。
精度はともかくとしても露出計も動作しています。
当時の水銀電池が入ったままだったので
端子や配線が腐食しまくっててもおかしくないのですが
この辺のコンディションの差は不思議ですねぇ
保管環境に影響されるのでしょうか…
まぁ状態の良い分には大歓迎です。
レンズもカビもなくかなりキレイなのですが
ファインダーはくもりまくりです。
どちらにしてもシャッター周りを中心に
一通りの整備が必要な状態です。

これからレンズボードも分離してシャッターユニットも降ろします。
この時代の少し大柄なレンズシャッター機は
レイアウトにも余裕があり整備性は良好です。
レンズや電池室のコンディションの良さに比べると
外装はかなりくたびれている部分もあるので
整備後には外装もできる限り磨き上げます。
今回も完成後には快適に長く使っていただけるように
できる限り整備調整を行っていきます。

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キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

今日は「おやつの日」だそうですよ
「お・や(8)つ(2)」と読む語呂合わせからだそうです。
よく考えたらなんで「おやつ」なんだろうと思い
少し調べてみたら
江戸時代に一日二食が一般的だったころ
「八つ時(やつどき)(午後2時から3時頃)」にとっていた
小腹を満たす間食のことなのだそうです。
なるほど~だから「3時のおやつ」なのですね!
さすがに私はあまり調子に乗って間食取ると
いろいろまずいのですが
午後3時前後に決まって缶コーヒーを飲んでいますねぇ
ブラックじゃなくてほんの少し甘いやつ
本当はこれもいけないのですが…(苦笑)
何も制限がなければ甘ーいケーキに
ブラックのコーヒーでブレイクしたいところですねぇ

さてさて

本日は「キヤノネットQL17 G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
1961年から始まり一世を風靡した「キヤノネットシリーズ」の
最終モデルに当たり1972年に発売されました。
G-Ⅲの「G」はグレードアップを意味し
「Ⅲ」は初代、ニューキャノネット、そして「G-Ⅲ」と
三代目にあたることを意味するそうです。
…「Ⅲ」はちょっと無理があるかな…
基本的に「G-Ⅲ」はニューキャノネットとほぼ同じ仕様です。
バッテリーチェックが接眼レンズ横のランプになったくらいです。
実際には「Ver2.1」って感じだと思います。
モデル名の名前はさておき現在でも人気のある「G-Ⅲ」ですが
発売当時もかなりヒットしたモデルです。
生産期間も長く1972年春の発売から1982年の夏までの
なんと11年間にわたって生産販売された超ロングランのベストセラーです。
QL1.7G-Ⅲ1機種で約120万台がユーザーの手に渡ったのだそうです。
初代キヤノネットから「G-Ⅲ」登場までが11年で
それからまた11年「G-Ⅲ」だけで売り続けたのですね。
これだけ生産され続けたカメラなので
現存台数もそれなりに多いのですが
「G-Ⅲ」は今でも大人気でそれなりの価格で流通しています。
ただ個体によってかなり程度の差はありますし
レンズ(特に前玉のコーティング劣化)の状態が
悪いものも多いので要注意です。

お預かりしている「G-Ⅲ」は
ちょっと少数派でこれまた人気がある
「ブラック」の「QL17 G-Ⅲ」です。
ご依頼者様が入手してから
モルトこそ張り替えたものの
比較的調子よく数年使えていたそうなのですが
スローガバナの固着が起こってしまっているようです。
「G-Ⅲ」のスローシャッターは1/4までなのですが
1/4に設定してシャッターを切ると
シャッターが開きっぱなしになってしまいます。
そしてそのまま放置しておくと
たまに「ジ…ジジ…」とガバナが何とか作動しようとする
音が聞こえ数分後にパシャッとシャッターが切れる感じです。
完全にガバナの油切れのようです。
シャッター各部の整備も合わせて
全体の一通りの整備を行います。

まずは前からアクセスして
もう少しガバナの状態やシャッター各部の動きを確認しておきます。
それからシャッターユニットを分離して
シャッター周り、オート制御機構部、露出計周りの整備・調整を行います
それが終わってからファインダーや距離計の整備を行います。
大きさは非常にコンパクトに進化して
細かい仕様や使い勝手も格段に進歩しているのですが
基本的な考え方や設計思想は初代と変わらないのですよね
1961年発売の初代がそれほど先進的だったのが
最終モデルの「G-Ⅲ」を見ていてもよくわかります。

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キヤノンPのカメラ修理

今日から8月ですね!
8月1日は記念日もたくさん設定されています。
水の日、肺の日、島の日、花火の日…
宮島水族館の日だったりもします。
そんな中、「パインの日」ともなっていますね。
「パ(8)イ(1)ン」の語呂合わせです。
8月はパインの生産の最盛期。
さらに8月は「パイン消費拡大月間」に制定されているそうです。
「パイナップル」は、形が松かさ(pine)のようで
味がりんご(apple)のように甘くておいしいことから
それぞれの言葉を組み合わせて
「Pineapple」と呼ばれるようになったのだそうです。
この季節に軽く冷やしたパイナップルな
本当に美味しいですよねぇ
夏は美味しい果物の多い季節ですが
パイナップルも身近にお手軽に手に入りますものね。
丸っと1個だとなかなか大変ですが
スーパーでは簡単に食べられる「カットパイン」が
売っていて私もよく買って帰ります。
これも少し辛口の白ワインが合いますよねぇ…(笑
ちなみに8月17日は今度は「パイナップルの日」となっているそうです。
この日も同じようなこと書くかも…とカレンダーを見たら
その日は当店休みですね!
やっぱり今日、「パインの日」を取りあえげて正解のようです(笑

さてさて

今日は「キヤノンP」のカメラ修理を行っています。
1959年に発売されたレンズ交換式レンジファインダー機で
10万台製造されたヒット作です。
「P」はポピュレール(Populaire)の頭文字で
「人気のある」というような意味です。
まさにその名の通りに人気機種となりました。
フォーカルプレーンシャッターのレンジファインダー機というと
当時は高級機なのですが
「P」は高級機でありながら大衆路線カメラという
矛盾したような性格のカメラでした。
コストのかかるキヤノンお得意の
3段変倍式のファインダー機構は搭載せず
35mmレンズ用の全視野内に50mmレンズ用と100mmレンズ用の視野枠を
ルミフィールド式で示す等倍型の
パララックス自動補正式として簡略化しました。
そのため、このクラスのカメラとしては
比較的低価格で発売され
機能と価格のバランスが非常に優れていると評価され
ヒットに繋がりました。
普及機であるとはいえシャッターは金属幕で
ファインダーはプリズムで作られていて
非常にしっかり丈夫に作られたカメラです。
加えてファインダーの見えや巻上の感触も良く
使っていて非常に気持ちよいカメラでもあります。

お預かりしている「P」は
まずシャッターが切れません。
幕の位置から判断すると
チャージはされておらず
巻上げてチャージができないといけないのですが
巻上レバーはビクとも動かない状態です。
レリーズボタンも妙に押し込まれた位置で
ロックされている状態で
最後にシャッターは何とか切れたのだけど
何らかの理由でレリーズが戻らず
巻上ロックも解除できない状態になっているようです。
他にもファインダーのクモリ・汚れが酷く
二重像も大幅にズレてしまっているようです。
外観にもサビが少し確認できるので
かなり長い間、放置されていた期間があったようです。

巻上機構及びシャッター機構が
できるだけ目視できる状態で確認しているのですが
強制的に巻き上げるととりあえずシャッターは切れ
一時的に正常な状態に戻りますが
それから通常に巻き上げてシャッターを切ると
また同じ状態になり巻上ロックしていしまいます。
おそらくレリーズ部に動作不良があるようです。
ある程度の傾向が確認できたので
これからさらに分解して原因を探り
修理を行っていきます。
おそらくシャッタスピードの精度もでていないでしょうから
一通り整備を行った後で精度出しの調整も行います。
シャッター、巻上機構が問題なくなってから
ファインダー・距離計の清掃整備調整も行います。
本来の使って気持ちよい状態に何とか仕上げていきたいと思います。

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ミノルタXEのカメラ修理

今日は「蓄音機の日」だそうですよ
1877(明治10)年のこの日に
エジソンが蓄音機の特許をとったことが由来となっています。
蓄音機と言えばレコードですよね。
うちの実家は借家で狭いのに
じいさんが私に童謡とかのレコードを聴かせるために
奮発して買ったビクターの大きな家具調のステレオがあって
私が子供の頃から高校卒業あたりまで
正に大活躍していました。
レコード聴くばかりではなく
6時20分になると(当時の市民球場での試合開始はこの時刻)
じいさんがそのステレオで結構な大音量で
カープのナイター中継を聴くのですよね。
家の裏で行水しながら(笑
真夏で暑いから窓はほぼ全開
まだわずかに外は薄明るいけど
虫が入るから家の電気は消したまま
蚊取り線香の匂いにナイター中継のラジオ
割とついこの間の日常っぽく感じるのですが
すでに40年以上前の話になってしまいました(苦笑)
でも今でも昔集めたレコード(大人になってから集めたものも多いですが)は
持っていて家で普通に聴ける環境もあるのです
さすがに実家にあった昔ながらのステレオは処分して
中古で安いものを集めたおんぼろオーディオですが…
レコードに針を落とす行為だけでも
何だか楽しくなりますよね
フィルムカメラにも通じるものがありますが
レコードが小さなマーケットとはいえ
何とか生き残っているのだから
フィルムカメラも生き残られるかな…

さてさて

本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
巻上の滑らかさや使い心地の良さで
根強い人気のあるカメラです。

ただこのXEというカメラ
当時のまま保管されていたり仕舞い込まれている個体は
かなり高い確率でプリズム腐食が発生しています。
ファインダー視野真ん中より少し下に
太い黒い横線(線というより帯)が入るような感じです。
プリズムの前面にファインダ枠との干渉と
光漏れを防ぐ為にモルトを貼っていて
そのモルトが加水分解を起こしプリズムの蒸着を剥がしてしまうためです。
SR-T系にも同じ位置に遮光材(緩衝材)は使ってあったのですが
加水分解しない素材を使っていたのでSR-T系では問題にはなりません
X系になってからコストの関係かモルトプレーンが
そこに使われるようになり
50年弱経った現在、ほとんどのものが腐食してしまっている状況です。
一見、ファインダー内はキレイでも油断はできず
整備のためにプリズムを降ろそうとしたときに
かろうじてくっついていた蒸着が劣化したモルトと一緒に
剥がれ落ちることもあり
もはや交換用にファインダー内がキレイなプリズムを探してきても
実際には交換用には使えないことも多いのです。
。。。そんな現状で現在ではXEのプリズム交換は行っておりません。

今回お預かりしているXEもご依頼者者様曰く
「ファインダー内はキレイで腐食もないようです」と
お聞きしていたのですが
実際にこちらに送られてきたものを確認してみると
真っ黒ではなく少し薄めではありますが
はっきりと横方向の太い帯が確認できます。
うーん、困りましたね…

話が少し逸れますが意外と見慣れていないと
プリズム腐食は見逃されてしまうことも多いようです。
OM-1や今回より腐食の進んだXE、X-7あたりで
はっきりと…というか明らかにファインダー内が黒かったり
モヤモヤしたのがたくさんあると一目瞭然なのですが
まだそこまでは進んでいなくて薄く腐食が見えているようなものだと
意外と気が付かれないこともあるようです。
さすがに私は見慣れているのでそんなことはないですが…
その見逃してしまう要因の一つが
接眼部にしっかり目を近づけてファインダーを見ると
意外と腐食部分がぼやけて見えにくかったりするのです。
ファインダー内のシミや腐食は接眼部から少し離して
ファインダー内を確認するとはっきりしっかり見えるようになります。
逆に言うとファインダー内から少し離れたほうがはっきり見えるのが
プリズム内のトラブルで、
しっかり接眼部に近づいたほうがよく見えるのが
スクリーン上のゴミやキズやシミと言えると思います。

プリズムの件以外にもこのXEにはいくつか問題があって
まず電源が上手く入りません。
バッテリーチェックも点灯しません。
電池室からの電圧供給が接触不良でできないようで
とりあえずの応急処置で電源を強制的に入れてみたところ
シャッターの動作はまずまず良いのですが
露出計が一番上にほぼ振り切ったままの状態です。
これは定番の感度ダイヤル下の
摺動抵抗の汚れ・劣化によるものかと思われます。
さらにこのカメラの最大の美点でもある巻上にも問題があって
しっかり巻き上げても巻上レバーがいったきりで
戻ってこなくなりシャッターも切れないという状態になってしまいます。
何度か巻き上げる動作を繰り返すと
何かのはずみで戻ってきてシャッターは切れるのですが
巻上機構部の油切れが原因かと思われます。
そんな状態なのでXEならではの巻上の滑らかさも
いまひとつの状態です。
まずは普通に使える状態にならなければ話にならないので
これから一通りの整備に取り掛かっていきます。

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