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キヤノンFTbのカメラ修理

今日は「月光仮面登場の日」だそうですよ。
1958(昭和33)年のこの日に
ラジオ東京(現:TBS)で国産初の連続テレビ映画
『月光仮面』のテレビ放送が始まったそうです。
なんとなくは知ってはいますが
さすがに私の生まれる10年以上前の話なので
再放送を含めてもテレビ実写版の「月光仮面」を
ちゃんと見たことはないと思います…
1972(昭和47)年にはアニメ化されてもいるのですが
こちらはもしかしたら見てるかもしれませんが
さすがに全く覚えていませんね(苦笑)
しかしながら日本のヒーロー番組の元祖でもあり
この後に出てきて私が子供の頃にたくさん見た
いわゆる「ヒーローもの」に多大な影響を与えている作品です
あ、実際には見たことはなくても
あの「月光仮面の歌」は子供の頃からよく聞いた記憶があります
「どーこのだーれだーかしーらないけーれーどー♪」ってやつですね

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
このカメラとフラッグシップのF-1がこの年に発売されていて
同時に交換レンズ群もFDレンズにモデルチェンジされ
それまでの中級機「FT」をFDレンズ使用で
開放測光に対応させたのが今回の「FTb」です。
F-1と同時期に開発されたこともあって
シャッター機構や巻上機構にその影響も見られます。
ただ外観的にはあくまで「FT」の後継モデルだけあって
デザインはFTからの流れを汲んでいます。
キヤノンFシリーズらしいスッキリした見た目も魅力です。

お預かりしている「FTb」は
一応は動作するもののシャッターの動きが悪く
高速シャッターでは精度に大きく問題があり
低速時にはガバナの粘りがある上に
頻繁にミラーアップしたままになってしまいます。
露出計も生きてはいるものの
SW周りや電池室周辺の接触不良のため
指針の動きは非常に不安定です。
ファインダー内にもモルト屑のゴミが多く入り込んでいます。
やはり気持ちよく撮影に使うためには
一通りの整備が必要な状態です。

「Fシリーズ」のカメラも
プリズム抑えの裏側にモルトが使われていて
そこが加水分解する影響でプリズムを腐食させてしまうものが多く
「FTb」もプリズム腐食の個体が非常に多いカメラです。
今回は何とかプリズム自体は無事でしたが
やはりプリズム抑えのモルトはボロボロに分解されていて
プリズムカバーにも劣化したモルトが付着している状態です。
このプリズムプカバーの隙間からプリズムへと
腐食が広がっていき「Fシリーズ」でよく見られる
ファインダー内縦方向に何か流れた跡のような
プリズム腐食ができてしまうわけです。
もちろん今回の整備でプリズム腐食対策も行っていきます。
その前にここから分解を進めて
シャッター周りや巻上・ミラー駆動部の整備から
まずは取り掛かっていきます。

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ヤシカエレクトロ35MCのカメラ修理

今日は「富士山の日」だそうですよ。
「ふ(2)じ(2)さん(3)」(富士山)と読む語呂合わせと
この時期、富士山がよく望めることからだそうです。
富士山が見える場所にいるとやはり
「今日は見えるかな???」と気になりますし
(晴れてても富士山だけは雲に隠れていることは意外と多いです)
そういう場所にいるとやはり富士山を入れて写真を撮ってしまいますし
やはり特別な山であることは間違いないですね!
登ったのは14年前に一度だけですが
一度登ればもう充分かな…(笑
いや…平日でもオンシーズンはやはり人が多すぎるし
加えて登山道があまりにも単調過ぎて
登山の対象としてはあまりいいイメージがないのです…
南アルプスの山々や奥秩父の山のほうが
登山としては楽しいと思います
(好みの問題だとは思いますが)
いずれにしてももう足が少しばかり不自由になった私が
そのあたりの山に行くことは残念ながらないとは思いますが…
でも下から見上げている分には富士山は非常に見ごたえありますね
先日も松田町まで出かけたときに
秦野を過ぎて目の前に大きく富士山が見えたときには
やはり少し心揺さぶられました!

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35MC」のカメラ修理を行っています。
1972年発売の非常にコンパクトなカメラです。
様々なモデルが存在するエレクトロ35シリーズの中でも
少し異端児的なカメラです
「エレクトロ35シリーズ」は
・F1.8クラスの大口径レンズ搭載、
・電子制御シャッターによる絞り優先オート露出
・レンジファインダー搭載
この3つが基本的に共通項であるといえるのですが
「MC」に関しては「シリーズ中唯一の目測ゾーンフォーカス」
搭載するレンズはコンパクトなヤシノンDX40mmF2.8です。
絞り優先オート専用機であることは
他のエレクトロ同様です。
大口径レンズとレンジファインダー搭載を見送った代わりに
35mmフルサイズカメラとしては驚異的な小ささを実現しています。
一見するとハーフカメラよりも小さいのではないかと思うほどです。
でもこの時代のカメラなのでしっかり金属製で
重量は比較的ズッシリとしていて質感は非常に高く
なかなか魅力的なカメラだと思います。
私も一時期、エレクトロ35MCをお散歩カメラとして
よく持ち歩いていました。
こうして整備依頼で預かるとまた自分用にも欲しくなってきますね。

お預かりしている「エレクトロ35MC」は
一通りは動作している状態なのですが
マグネットに汚れがあるのかシャッタ-制御が少々不安定です。
電源周りにも少々接触不良が見られます。
そして当然ながらモルトが全滅で
ファインダーにも曇りが見られます。
年代を考えるとコンディションは良いほうだと思いますが
やはりしっかり撮影に使うためには一通りの整備が必要です。

まだ取り掛かり始めの段階ですが
ここからシャッターユニットを分離して
マグネット周りや
シャッター羽根・絞り羽根の清掃整備を行います。
これだけ小さくまとめているので仕方ない部分もありますが
さすがに整備性はあまり良好ではなく
分解整備はそれなりに手間がかかるカメラです。
それでも他のエレクトロもそうですが
電子回路内のトラブルは比較的少ないカメラだと思います。
初代の頃のエレクトロとは風合いが少し変わりましたが
相変わらずのヤシカならではの
このギンギンぎらぎらなシルバーは
何とも個性的でいいですよねぇ
ピッカピカに磨き上げたくなる上下カバーです。
これを見るたびに太刀魚を連想してしまいます(笑

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ペンタックスMEのカメラ修理

今日はこれといった記念日がないですねぇ
過去の2/21の出来事を調べてみると…
1988年のこの日に国内初の8cmシングルCDが発売されていますねぇ
懐かしいですね~短冊CD…
私は世代的には8cmCDよりも
17cmドーナツ盤レコードですが…(笑
シングルレコードもそれなりに大量にまだ持っていますが
8cmCDも結構ありますねぇ
12cmマキシシングルが2000年頃から主流になり
さらに音楽配信サービスが広まってからは
8cmCDはまはや存在すら忘れられてしまいそうですね
でもほぼ再生産というか再プレス盤のみらしいですが
生産自体はまだ細々と続けられているようです。
あの細長い独特のジャケットに8cmの小さなCDも
なかなかいい感じですよね
持っている8cmCDたまにはちゃんと聴いてみます!

さてさて

本日は「ペンタックスME」のカメラ修理を行っています。
1976年発売のペンタックスMシリーズの基本となるカメラです。
発売は機械式布幕シャッターの「MX」がほんの少し先でしたが
「MX」は他の「Mシリーズ」と比べると異端児的存在でもありますので
この「ME」がこれ以降登場する「Mシリーズ」の基本形となるカメラです。
金属羽根縦走りのセイコーMFC-Eを搭載し
電子制御で動作させます。ただ「B」とシンクロ用「100X」は
機械式で駆動し電池がなくても動作します。
「B」で電池不要なのは長時間露光を行う機会の多い方には
非常に助かりますね。
私も昔は星景写真や夜景を撮ることが多かったので
「B」が機械式なのはカメラ選びのポイントだったりしました。
絞り優先オート専用機なのでポジションとしては
エントリークラスですが巻上の操作感や
キレの良いファインダー等、なかなか使い心地の良いカメラです。

お預かりしている「ME」は一通り動作してはおるのですが
露出計の値が少々アンダー気味で
オート制御はさらに露出計以上にアンダー傾向で
実際に絞り優先オートでシャッターをきると
2段以上アンダーに露光されてしまいます。
元々、ペンタックス機のオート露出はどの機種も
全体的にアンダー傾向なのですが
これは少々アンダー過ぎますね。
さすがに写真が暗くなってしまいます。
整備と調整で対処できる程度なので最終的には電気的に
調整して正しい精度を出していきます。
加えてシャッター羽根に汚れがそれなりにあり
シャッタ-スピードも少しばかり不安定です
連続して切っているといいのですが
少し時間を垢手一発目の動きが悪いようです。
実際の撮影では連写することはほとんどないでしょうから
毎回、動きが悪い状態で切ってしまうことになります。

この頃のペンタックス機は内部モルトも非常に多い上に
シャッター羽根の駆動部やミラー駆動部に
ゴムブッシュが使われていてそれも経年劣化で
動作不良の原因になったりと
劣化しやすい部材が内部に多いので
分解の際にそれらを入念にチェックして
交換を行っていきます。
ゴムブッシュ等は劣化しにくい素材のものに交換していきます。
それらの動作を妨げる要因さえ除去すれば
機械的には非常に安定して動作しますし
電子回路上のトラブルも非常に少ないカメラです。
ウィークポイントが比較的わかりやすく対処が可能なので
しっかりメンテナンスを行えば安心して使えるカメラだと思います。

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ニコマートFTNのカメラ修理

今日は「冥王星の日」だそうですよ。
1930(昭和5)年のこの日に
アメリカの天文学者クライド・トンボーが
太陽系第9惑星「冥王星」を発見したことに由来しています。
発見された当時から長らく太陽系9番目の惑星といった位置づけでしたが
2006(平成18)年にそれまで明確でなかった
「惑星」の定義が定められ、冥王星は「惑星」ではなく
新たに設けられた「準惑星」に分類されることとなりました。
冥王星の発見から76年後のことでした。
冥王星は月の2/3程の大きさしかなく
その軌道も太陽系の惑星と比較すると異質です。
惑星は黄道面と呼ばれる仮想の平面にかなり近い面を公転していて
軌道の形は真円に近いのですが
冥王星の軌道は黄道面から約17°ほど傾いていて
軌道の形も楕円です。
近日点の近くでは、冥王星は海王星よりも太陽に近くなります。
直近でこの現象が起こったのは1979年2月7日から1999年2月11日までです。
「水金地火木どっ天海冥」が「水金地火木どっ天冥海」になったって
私が10歳の頃ですが当時もよく話題になったし
しむけんさんがドリフでもギャグにしててよく覚えています(笑
太陽からの距離がおおよそ40天文単位(1天文単位=太陽から地球の距離)
地球からの距離はおおよそ48億km…とてつもなく遠くの話ですねぇ

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコマートシリーズは当時のニコンの中級機クラスのカメラで
後のニコンFM/FE系に繋がるシリーズです。
ニコマートFT系の中でも「FTN」は最も販売台数も多く
現在でもよく見かけるカメラです。
それだけ売れているということは
やはり当時から非常に優れたカメラだったと言う事ですね。
1967年の発売です。前モデルの「FT」と比べると
開放F値補正操作が採用され
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了します。
加えて露出計の測光方式は中央重点測光が採用されました。
ファインダー内に設定SSが表示されるのもFTNからですね。
基本的な構造はFT系共通で
コパル製の縦走り金属羽根シャッターユニットを搭載し
レンズマウント部にSS設定リングがあることが大きな特徴です。
フラッグシップのF一桁機ほどではないですが
ニコマート特にFT系シリ―ズは非常に丈夫にできているところも
評価が高いポイントです。
登場から50年以上経過するカメラですが
余程劣悪な状況で保管されていない限り
致命的なトラブルは少ないかと思います。

お預かりしている「ニコマートFTN」も
一通りシャッターは動作していて
露出計も一応は動くのですが
細かく精度も含めてみていくといくつか問題も抱えています。
まずシャッタースピードの精度に難があり
単に精度が多少狂っている…程度の問題ではなく
1/1000では視野の2/3でシャッターが開かず
1/500でも1/3は開いていません。
つまりそのまま写真緒2/3、1/3が真っ黒になるということです。
1/250でようやく開ききりますが
それでも写真の端は少し暗くなるものと思われます。
シャッター先幕の動きが非常に悪いことが原因で
後幕が比較的正常な幕速で動作しているため
シャッターが走っている間に後幕が先幕に追いついて
閉じてしまうという状態です。
先幕を目視でチェックしてみてもかなり汚れが確認できますので
汚れ等が原因で先幕の動きが悪いためと思われます。
露出計の精度も多少オーバー気味なので
調整が必要な状態です。

他、巻上機構やミラー駆動部にも油切れの兆候が見られるので
これから本格的に分解整備に取り掛かります。
この時代のニコン機なので整備性は非常に良好です。
分解整備が行われることを前提にしっかり造られています。

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コニカⅡBのカメラ修理

今日は「天使の囁き記念日」だそうですよ。
ここでいう「天使の囁き」は
マイナス20℃以下になると空気中の水蒸気が
凍ってできる氷の結晶「ダイヤモンドダスト」のことだそうです。
1978(昭和53)年のこの日に
北海道幌加内町母子里(ほろかないちょうもしり)で
気象庁の公式記録の対象から外れていたため非公式ではありますが
国内最低気温のマイナス41.2℃を記録したことに由来しています。
ダイヤモンドダストは気象でいうと
細氷(さいひょう)となり、大気中の水蒸気が昇華してできた
ごく小さな氷晶(氷の結晶)が「降ること」だそうです。
よく似た現象に氷霧というのもあり
氷霧は小さな氷晶が大気中を浮遊する現象で
氷晶が降る細氷とは厳密には異なるのだそうです。
氷晶の大きさも、氷霧より細氷のほうが大きいのが特徴です。
天気の種類としても氷霧は霧に含まれるそうですが
細氷は降水現象なので雪に含まれます。
よって、空が晴れている場合でも
細氷すなわちダイヤモンドダストが観測されれば
そのときの天気は晴れではなく、雪として記録されるのだそうです。
なかなかややこしいですね…
細氷にしても氷霧にしても一度は見てみたいとも思いますが
寒いところには近づきたくないですねぇ
寒さで血管が縮んで詰まってしまいそうな気がするのです(苦笑)

さてさて

本日は「コニカⅡB」のカメラ修理を行っています。
「コニカⅡ」は1951年発売のカメラですが
「ⅡB」は「Ⅱ」からタイム露出を省略したモデルで
1955年発売です。タイム露出省略以外は
「Ⅱ」と同様でダブルヘリコイド式繰り出し機構を持ち
レンズはヘキサノン50mmF2.8です。
まだセルフコッキングは搭載されていませんが
レリーズボタンがボディ上部に装備され
フィルムを巻き上げていないと押すことができないようにロックされ
いわゆる意図しない多重露光を防ぐ構造になっています。
シャッターチャージはシャッターユニット側の
チャージレバーで行い
シャッターユニット側のレリーズレバーを直接操作すると
何度でも多重露光ができてしまいます。
レンジファインダー搭載でファインダー内二重像でピント合わせを行いますが
まだブライトフレームは装備されていません。
搭載されるシャッターユニットはコニラピッドSで
B・1s~1/500をカバーします。

お預かりしている「コニカⅡB」は外観は非常にキレイな状態で
保管状況も悪くなかったものと思われます。
レンズには若干のカビや細かい拭き傷こそあるものの
年代を考えると非常に良好な状態です。
乾燥した環境で保管されていたものと思われますが
やはり動かしていないこともあり油切れは進んでいて
スローシャッター時にはガバナが固着してしまい
シャッターが開いたままになってしまいます。
絞り羽根には若干の油滲みと粘りがあるようです。
ファインダーはクモリや汚れのため見えにくく
距離計二重像も大きな縦ズレが出てしまっています。
程度としては良いほうですが撮影に使うには
やはり一通りの整備が必要な状況です。

まだ取り掛かったばかりの段階ですが
これからシャッターユニットを分離して
シャッター周りから整備を行っていきます。
基本的にはシンプルな構造のカメラです。

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キヤノネットのカメラ修理

今日は2/15、なんだかキリが良くって
いろんな記念日がありそうな気がしたのですが
随分今日は少ないのですね…
バレンタインの次の日だからですかねぇ
そんな少ない2/15の記念日の中に
「次に行こうの日」なんてのがありますね。
4月の新学期を前に、「次に(2)行(1)こう(5)」と
読む語呂合わせからだそうです。
年度末も近くなって環境が変わる日が近い方も多いかもしれません。
そういうときには切り替えも大事ですね!
環境の変化だけではなくて
どうにもならないことやがんばってもどうにも難しいことは
さっさとあきらめて「次に行こう」と切り替えることも必要ですね。
反対にあまり見切りを早くつけ過ぎて
あきらめが早すぎるのもちょっとマズいとは思いますが…(苦笑)
何事も「継続は力なり」ってこともありますものね。
まぁケースバイケースで判断が難しいですね!
そこが人生の難しいとこでまた楽しいとこかもしれません。

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
「キヤノネットシリーズ」は
1960年代~70年代にかけて作られたキヤノンの
コンパクトカメラのシリーズです。
時代の流れに合わせて様々なモデルが存在しますが
今回は記念すべき初代の「キヤノネット」です。
「キヤノネットシリーズ」の初代機という意味でも
メモリアルなモデルですが
コンパクトカメラという大きな枠でとらえても記念碑的なモデルで
キヤノンの最初のコンパクトカメラでもあり
当時の家庭用カメラとしてほぼ最高級の性能を持ちつつも
キヤノンの社員たちが自分たちの月給で買えるカメラを望んだことから
18,800円という性能に比して非常に安価なカメラで発売されました。
当然のごとく社会現象になるほどの爆発的ヒット商品となり
業界内では「ダンピングではないか?」と反発の声もあがったようです。
この初代キヤノネットの登場は
カメラの低額化・高機能化に付いていけなくなった多くのカメラメーカーを
倒産・撤退に追い込むきっかけともなり
まさに業界を揺るがすほどの存在となったカメラです。
そういう意味でも国産カメラの歴史上、メモリアルな存在のカメラです。

お預かりしている「キヤノネット」は初代キャノネットの中でも
初期のモデルでファインダー内の表示が絞り値表示ではなく
矢印(?)のような図形だけで露出指示を表示するタイプです。
このタイプの初期モデルも最近はあまり見なくなりましたね。
まずは巻き上げてレリーズボタンを押してみますが
レリーズボタンは押せるもののシャッターは全く動きません。
レリーズすると再び巻上は行えるのですが
シャッターはうんともすんとも動かない状態です。
レンズシャッター機よくありがちなシャッター羽根の固着かと思われます。
シャッター羽根がこれだけ固着しているということで
当然のように絞り羽根も固着しています。
特にシャッタースピード優先オート時にはシャッター羽根以上に
小さな力で絞り羽根を駆動するためシャッター羽根以上に
絞り羽根は固着・粘りが起こる可能性が高いと思います。
そしてこのタイプのカメラでやはりトラブルの多い
露出計が全く動きません。露出計本体には問題はなさそうなので
やはりセレン光電池の劣化か、
セレンから出ている配線の断線が原因かと思われます。
カメラの機種によってはセレンの状態は致命傷となることも多いですが
初代キャノネットはこれだけヒットしたカメラで
現存台数も多く、比較的程度の良いセレンが入手可能なので
最悪セレン自体がダメだった場合でも交換で対処できるかと思われます。


まだ現状を確認している段階です。
初代キヤノネットは巻上レバーも巻き戻しクランクも
底部側に配置されているので上カバー部は
非常にすっきりしたデザインです。
先日も書きましたがこのすっきりした上カバーに
筆記体の「Canonet」の文字が何ともカッコ良いですね。
上カバーがシンプルなのでネジ3本で簡単に外れます。
レンジファインダーやファインダー表示の構造
露出計本体やオート時の指針抑え機構の様子が確認できます。
ここだけはないですがキヤノネットは非常に効率的に
造ってあって価格破壊的な存在ではありましたが
内部構造にも安っぽさは微塵も感じられません。
今見ても非常に良くできたカメラかと思います。
それではこれから本格的に分解整備に取り掛かります。
整備性も非常に良好なカメラです。

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キヤノンFPのカメラ修理

今日は2月14日…
「ふんどしの日」で「煮干しの日」で
「自動車保険の日」らしいですよ!
いや…いくらもはや自分に関係ないといっても
避けてはいけないですね
なんといっても「バレンタインデー」ですねぇ(笑
私は甘いものとにかく好きなので
普段からチョコレートを食べることは多いですが
バレンタイン絡みでいろいろお菓子情報が
自然と入ってきてちょっと困ったものです。
糖尿病持ちでもあるので
調子に乗って甘いモノ食べ過ぎると酷いことになってしまいます(苦笑)
先日、以前にブロードウェイのお店を覗いてみたときには
店頭にはなかった懐かしの不二家の「ハートチョコレート」が
バレンタイン商戦で最近、入荷してお店にあったので
ついついまとめて大人買いしてしまいました(笑
昔ながらの「ピーナッツ」は期待通りの味で
当然の美味しさでしたが
今回、初めて食べてみた「あまおう苺」ハートチョコレートが
これまたまったりとした濃厚な甘さでクセになりそうです…
いけんいけん…本当に食べ過ぎないように気をつけなくては…(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンFP」のカメラ修理を行っています。
1964年発売のカメラです。
いわゆる「キヤノンFシリーズ」の初期のカメラです。
「Fシリーズ及びFLマウント機」は
同じく1964年発売の「FX」が一号機なのですが
その「FX」から露出計を省略したものが「FP」となります。
この時代にはまだまだ「内蔵露出計は不要」と考えるユーザーも多く
(トラブルの元になる・単体露出計のほうが信頼できる等の理由)
その要望に応えてラインナップされたのが「FP」です。
確かに「FX」の内蔵露出計はまだTTLではなく
外光式の露出計だったので場合によっては
単体露出計のほうが使いやすいかとは思います。
今となっては50~60年前の内臓露出計は
細かいことをいえば精度的にも
なかなか厳しい場合もあるので
(CdS受光体の場合はしっかり整備調整すれば
大抵の場合LV15-LV10くらいの範囲であればちゃんとした精度は出ますが…)
それならばいっそのこと露出計が最初から内蔵されていないほうが
使っている気分的にも良いかもしれません。
そのあたりは考え方次第ともはや好みの問題ですかね…

というわけでシンプルな構成の「FP」なのですが
お預かりしてる個体はまず巻上が全くできません。
幕位置から判断するとリリース状態で
巻上ができなくてはいけないのですが
がっちり巻上ロックが掛かった状態で固着しています。
レリーズボタンも押し込まれた位置で固着しています。
先にレリーズボタンを元の位置にとりあえず強制的に
戻してみたのですが巻上がロックされたままなのは変わりません。
ミラーも上がったままでファインダー内の確認もできない状況です。
初期の「Fシリーズ」というと
プリズムの腐食している可能性がかなり高いのですが
今回のFPはわずかながら腐食が見られるものの
さほど視野の邪魔になるような大きなものは見られません。
かなり長い間放置されていると思われるのですが
ここは不幸中の幸いです。

まずは上下カバーを外してプリズムを確認して降ろしたのですが…
内部機構…とくにボディ底部の錆が酷い状況です。
これはあちこちが固着していても全くおかしくない状況です。
巻上ロックは巻上上部も関係していると思いますが
まずはここからできる限り分解して
とにかく錆を落として部品を磨いて
キチンと調整・再組立てしていかないと
細かい精度どころか普通に動作させることも難しそうです。
それでも普通に写真が撮れる状態には
精度も含めて復帰できるとは思います。
あわてずひとつひとつしっかりと清掃整備を行っていきます。

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ミノルタAL-Eのカメラ修理

今日は「建国記念の日」で祝日ですね。
「建国記念日」ではなく「建国記念の日」なのは
建国された日とは関係なく
単に建国されたということを
記念する日であるという考えによるものであるそうです。
私にとっては2月11日は4年前から
「脳梗塞の日」ですねぇ(苦笑)
(正確には脳幹梗塞)
2020年のこの日の夜に最初は歩いてて
まっすぐ普通に歩いているつもりなのに
無意識に左にそれて壁や電信柱に軽くぶつかるようになり
それから帰宅したものの数時間後には立っていられなくなり
たまらず救急搬送してもらいました。
入院直後には常に目が回っている状態で起きることもできず
何とか目を開いても焦点は全然合わず
ほんのわずかな水さえも呑み込めないような状態でした。
今でもそれなりに後遺症は残っていますが
何とか日常生活には困らない程度に回復したのは幸運でした。
脳梗塞や脳出血、心筋梗塞の要因はいろいろありますが
肥満や血糖値、血圧、脱水症状や急激な冷えによる血管収縮には
本当に今後も気をつけたいと思います。
他の病気やケガも含めて
年齢を重ねてくるといくら予防しても
避けきれないものもあるとは思いますが
なるべく健康体でいたいものですね。

さてさて

本日は「ミノルタAL-E」のカメラ修理を行っています。
1968年発売のカメラです。
ミノルチナS/ALSの流れを汲むカメラで
巻上機構やシャッターユニット連動部に面影が色濃く残っています。
ALSをベースとしてシャッターユニットをシチズンVEシャッターとし
シャッタースピード優先AEを搭載したカメラです。
スタイリングもALSの後継機だけあってなかなか洗練されていて
個人的にも好きなカメラです。
ただ同じ年にコニカC35が発売され
今度は超小型でオート露出搭載のカメラが流行る流れに
完全に市場が傾いてしまいこの「AL-E」も
ミノルチナやALSと同じく販売的にはあまり成功とはいえず
ついにミノルチナの流れを引き継いだALシリーズも
このカメラで終わりとなってしまいました。
ミノルチナP・S、ALS、AL-F、そしてこのAL-Eと
ミノルチナ/ALシリ―ズは今見ると魅力的なカメラばかりなのですが
発売当時の市場の流行りにうまく乗せることができず
どれも営業的には成功とは言えなかったようです。

お預かりしている「AL-E」は非常に外観のキレイな個体です。
勝手なイメージなのですが「AL-E」って
妙にキレイな個体が多いような気がします。
加えてスマートで洗練されたスタイリングなので
見た目だけでも妙に惹かれてしまいます。
もちろん機能的にも使用感的にも非常に良いカメラです。
ただ今回の「AL-E」は巻上に重大な問題を抱えています。
シャッターは若干の粘りがあるものの
ほぼ問題なく動作しているのですが
巻き上げレバーとスプロケットの連携に問題があり
巻き上げているとたまに一瞬空回りするような手ごたえがあります。
実際にスプロケットの動きもまずかに空回りしてるようで
写真を撮るとコマ重なりを多発するようです。
フィルムの巻上とシャッターチャージは異なる部分で行うので
きっちり一コマ分進んでいなくても
シャッターチャージは正常に完了しシャッターは切れるわけですね。
フィルム室でスプロケットの動きを見ていると
フィルムも何も入れずに何の負荷もかかっていない状態だと
問題なくスプロケットは動作しているようです。
ただほんの少し軽く指でスプロケットを抑えて負荷をかけると
頻繁にパーフォレーションでいうと穴一つ~二つ分くらい
空回りしてしまう症状が頻繁に出るようです。

本格的な分解に入る前になるべく原因を絞り込んでおこうと
今度は巻上ギア周りの動きを確認してみると
巻上レバー直下のギアの2~3歯にわずかに欠けがあるらしく
そこをある程度の負荷がかかった状態で通過すると空回りしています。
過去に巻き上げできない状態で
無理にレバーを回そうとした可能性が高そうですね。
中古部品を使ってここのギアを交換することで対処していきます。
もちろん巻上機構部分解に並行してシャッターユニットや
オート時絞り制御機構、露出計周りの整備も一通り行っていきます。

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オリンパスM-1のカメラ修理

今日は「ふとんの日」だそうですよ。
「ふ(2)と(10)ん」と読む語呂合わせからですね。
少しずつ暖かくなってきたような気もしますが
まだまだ寒い日も多く布団から出たくない朝が多いですよね
いや、寒くなくってもいつも出たくないかな(笑
私も自宅ではベッドではなくて布団ですが
やはり収納できて部屋が広く使えるのがいいですね。
一人暮らしでたいして広くない部屋だとなおさらです。
この季節だと敷布団の上に毛布1枚
掛け布団の下にも毛布1枚で毛布に挟まれて寝ているのですが
これだとたとえエアコンとか付けてなくても
布団に入った瞬間に暖かさに包まれて
気持ちよーくあっという間に寝付くことができます。
暖かい布団に包まれて眠るのはやはり最高の幸せですよねぇ(笑
最近は休みの日にやたらと通院の予定が朝イチに入っていたりして
なかなか休日にも寝たいだけ寝るってことができないのですが
月に1回くらいは目覚ましも何もかけずに
寝たいだけ惰眠をむさぼりたいものです(苦笑)
そのお供に暖かくてフカフカの布団は必須アイテムですねぇ

さてさて

本日は「オリンパスM-1」のカメラ修理を行っています。
1972年7月に「M-1」の名で発売開始となりましたが
ライツからのクレームがあり1973年5月に「OM-1」に改名されました。
改名されたおかげで非常にわかりやすく区別がつくようになってしまいましたが
要は「OM-1」の最初期モデルです。
「OM-1」に改名されたときも上カバーのロゴが変更されただけだったので
「OM-1」の初期モデルも中身は「M-1」と変わりません。
ただ、「OM-1」はかなり細かく頻繁に中身を
マイナーチェンジしているので「M-1」と最初期「OM-1」は
後の前期OM-1比べてもいくつかの特徴があります。
もちろん機能的には全く違いはありません。
修理整備する立場で言えば「M-1」+最初鯉OM-1は
部品にデリケートな部分等があってそれ以外のOM-1に比べると
少しばかり神経を使うところが多い印象です。

「M-1」の生産台数は5000台とか数千台とか言われていますが
正式な台数は確か発表されていないのかと思います。
印象としてはもっとあるのではないかというイメージです。
都内の中古カメラ屋さんでも比較的頻繁に見かけますし
整備依頼も数千台にしては多いのですよね…

お預かりしてる「M-1」はまずは定番のプリズム腐食です。
それほどは酷くない腐食なのですが
大きな点腐食が3カ所ありちょっと目立ちますし
やはり視野内で邪魔になります。
上カバーを外して腐食の原因となる接眼部のモルトを見ると
腐食対策で交換はされています。
おそらく腐食が酷くない段階で対策したのだと思われます。
プリズムのモルトが触れる部分には
明らかに加水分解による腐食が塗装面にも起きています。
露出計や電池室のコンディションはまずまず良い状態ですが
SW部で多少接触不良が起きていて少しばかり挙動が不安定です。
シャッターも一通りは動作していますが
やはり幕軸や底部三連ギアには若干の粘りがあるようで
こちらも精度が少しばかり不安定です。
大きな致命的トラブルはないものの
やはり全体的にリフレッシュが必要な状態かと思います。

まだ取り掛かったばかりで本格的な分解作業はこれからです。
M-1+最初期OM-1の特徴でもある
外観はそれ以降ものと同じでも基部が別体となっている
巻上レバーはやはり今回も指あて部が破損しています。
今回はご依頼者様にも許可をいただいて
通常のOM-1の中古品と交換で対処いたします。
他、4本のフィルム室スタッドや4本バネのプリズム抑え
深さの浅い接眼レンズ部等々
この画像でもM-1の特徴がいくつか確認できますね。

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ペンタックスMEのカメラ修理

今日は2月9日…
語呂合わせで「ふくの日」「服の日」「肉の日」とかが制定されています。
他にもいろいろな記念日があるのですが
「2・9(ふく)」繋がりで
「大福の日」なんてのもありますね。
大福。美味しいですよねぇ
スーパーやコンビニ、ドラッグストア
いろんなところで売っているからついつい買ってしまいます。
餡子好きなので餡子が使われているものは
何でも好きなのですが手軽に手に入って
すぐに食べられることから大福比率は高いような気がします。
ふと気になってカロリー記録簿見ても
いやいや、大福、割とよく食べてますねぇ(苦笑)
バター等を使う洋菓子系よりはマシですが
数値は最近悪くないのですが糖尿病持ちなので
適度な量に抑えとかないと…
でも、ストレス解消にも気分転換にも
甘いものはいいですし、餡子には本当に癒されます…
午後の休憩にはどら焼きか大福でお茶します(笑

さてさて

本日は「ペンタックスME」のカメラ修理を行っています。
1976年発売の絞り優先オート専用機です。
ポジションとしてはエントリークラスにあたりますが
後の「Mシリーズ」やさらに後継の「Aシリーズ」の
基礎ともなるカメラで当時のペンタックスにおいて
重要な位置づけになるカメラだと思います。
同時期に開発された「MX」が
60年代からの路線を継承した布幕横橋り機械制御シャッターだったのに対して
「ME」は電子制御の金属羽根縦走りシャッターを搭載し
「Mシリーズの」」の基本コンセプトである
「小型軽量化」、「電子化によるAE化」を推し進めたカメラだと思います。
後にこの「ME」をベースに中級機へと機能を押し上げた
「MEスーパー」も登場し
さらによりシンプルなエントリー機に進化した「MV1」も登場します。
1970年代~80年代にかけての
多くのペンタックス機の土台となるカメラかと思います。

電子制御機としてはかなり整備性も良く
電気系のトラブルは比較的少ないしっかりできたカメラですが
ミラー駆動部にトラブルが多いのはここでも何度も書いた通りです。
今回の「ME」はそのミラー駆動部まわりには
大きな問題はなかったのですが
ちょっと力任せで無理な操作をしてしまったらしく
巻上軸が噛みこんで固着した状態で当店にやってきました。
「ME」に限らない話ですが
動かないとき、あるいは動きが重いときに
力任せに無理な操作をするのは避けましょう…
大抵の場合、それを行うと状況は悪化します。

巻上トラブルは無理な力をかけたために
巻上軸と巻上ロック機構がおかしな噛みこみ方をしてしまい
そのため巻上軸が戻らなくなってしまうような状態でした。
幸いなことに大きな変形等はなく
ある程度の段階まで分解して組みなおしてやることで解消できそうです。
ただ、それ以外にもやはり巻上周りやミラー駆動部に
動きの悪い部分はそれなりにみられるので
分解、再組立ての過程で一通りの清掃整備を行っていきます。
少々、トラブルの起こりやすい部分もあるカメラですが
古くなってもある程度手を入れてやれば
しっかりそれに応えてくれるカメラでもあります。
加えていつも書きますが「Mシリーズ」は内部モルトの多いカメラで
今回も内部のモルトはどこもかしこもベタベタに劣化しているので
しっかり交換を行っていきます。

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