ニコンFE2のカメラ修理

今日は「果ての二十日」ですね。
身を慎み災いを避ける忌み日です。
一年の終わりの月である12月を
「果ての月」といい
「果ての二十日」は12月20日(本来は旧暦)を意味します。
年末の挨拶や大掃除、正月の準備など忙しさの極まる時期だが
この日は一切の仕事をやめて外出を避け
静かに過ごす日と伝えられています。
由来については諸説あって
近畿地方では罪人の処刑をこの日に行っていたからとも言われています。
また、山の神に深く関わる忌み日とされていて
この日に山に入ることを避ける地方が多いのだそうです。
和歌山県と奈良県の県境沿いには「果無山脈」(はてなしさんみゃく)という
山脈があり「果ての二十日」である12月20日のみ
または12月20日過ぎにのみ現れる
「一本だたら」という妖怪が棲んでいたと伝えられています。
いろいろ忙しく余裕がなくなりがちなこの時期だからこそ
「果ての二十日」くらいはいったん落ち着いて
静かに過ごす…というのは良いかもしれませんね。
天気もあまりよくないですし
温かい飲み物でも準備して少しゆっくりしましょう

さてさて

…といいつつも…お仕事は年末スパート中なので
次々といかなくては…(苦笑)
本日は「ニコンFE2」のカメラ修理を行っています。
1983年発売のカメラです。
前身の「FE」から基本構造を引き継ぎながらも
シンクロ1/250を実現したカメラです。
その副産物として当時世界最速となる
シャッタースピード1/4000を搭載します。
1/4000が注目されましたが
やはり当時の実用を考えると
フォーカルプレーンシャッター機の弱点でもある
シンクロスピードが1/250になったことが大きいかと思います。
使いやすい露出計+ファインダー情報はFEから引き継がれ
非常に使いやすいカメラとして当時も現在も人気のカメラです。
ただAi連動爪が固定式となり
非Aiレンズは装着不可となりました。

お預かりしている「FE2」は
シャッターを切るとシャッターが開いたままで
固着してしまいます。
電子制御シャッターが…という問題ではなく
M250でも同様の症状が発生します。
「FE2」も「FE」と同様に電子回路のトラブルは
非常に少ないカメラでたいていのトラブルは
機械的動作不良が原因です。
今回の場合も機械的にシャッター後幕が
汚れ等を原因とする動作不良かと思われます。
「FE2」や「FM2」の初期モデルに見られる
ハニカムエッチングが施された
独特のチタン製金属羽根は非常に魅力的ですが
製造から時間の経った現在では
トラブルが非常に心配される部分です。
もちろん羽根の変形等があった場合は修理不可能です。
金属羽根は通常のものでもデリケートな部分ですが
「FE2」や「FM2」のシャッターはそれにまして
繊細な部分なので取り扱いには注意が必要です。
不用意に触らないのはもちろんですが
フィルムの先端等で突かないようにも気を付ける必要があります。

今回はシャッター自体に重篤な問題があるわけではなく
通常の羽根清掃や調整で動きは改善できそうです。
他にも巻上等に動きの悪い部分があるので
そういった部分の機械的整備を行ったうえで
電気的調整を行っていきます。
整備性は良好ですがデリケートな部分が多いので
分解整備には気を抜けないカメラです。
慎重に取り掛かっていきます。

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