カテゴリー別アーカイブ: カメラ修理

リコーフレックスニューダイヤのカメラ修理

今日は「タイヤゲージの日」なのだそうですよ。
明日が「タイヤの日」でその前日の今日が
「タイヤゲージの日」で
タイヤの空気圧に関心を持ってもらおうという日なのだそうです。
空気圧は大事ですよねぇ
安全性の面ではもちろんですし
そこまで圧力が劣悪ではなくても
乗り心地や燃費にも影響します。
季節や温度でも空気圧は変化しますし
他にも様々な要因で空気圧は低下する方向に作用します。
タイヤゲージはお安いものなら数百円でも手に入りますが
精度的には今一つですし
タイヤゲージって使っていくうちに誤差も出てくるものなのですよね。
あらゆる測定機器においてそうなのですが
(たとえば当店のカメラテスターとかも)
本当にその測定機器が正しい値を測れているのかっていう点も重要ですよね
もうこれは定期的にテスターのためのテスターで
測定したり確認しながらメンテナンスするしかないのですが…
タイヤゲージもそういう意味からは
個人で測るのはあくまで運航前点検の目安程度で
(今どきの車だと空気圧センサーが
装備されているものも多いそうです)
数ヶ月に1回くらいは工場やディーラーで
測ってもらったほうがいいような気がします。
カメラは壊れても命に関わることは少ないとは思いますが
クルマやバイクはまさに命を載せてますものね
空気圧…大事ですよ

さてさて

本日は「リコーフレックスニューダイヤ」のカメラ修理を行っています。
リコフレというとピントギアの特徴的な
プレスボディでシンプルかつ軽量コンパクトな
従来からあるモデルが有名ですしイメージもされやすいと思いますが
「ダイヤシリーズ」従来のリコフレとは全く異なる
少し高級な二眼レフのシリーズです。
ボディもダイキャストボディとなり
ピント調節もヘリコイド+ボディ両側に突き出たレバーで行います。
このレバー式のピント調節は非常に使いやすく
素早くにもじわっとゆっくり合わせることにも対応できます。
1955年に最初の「ダイヤ」が発売され
その翌年の1956年に「ニューダイヤ」が発売されます。
わかりやすい違いはフィルムター枠がねじ込み式なのが最初のダイヤで
バヨネット式なのが「ニューダイヤ」です。
搭載されるシャッターユニットやレンズは
この時代のカメラなのでバージョン違いがあるような気もしますが
今回お預かりしている「ニューダイヤ」は
シャッターはシチズンMXVでSSはB・1s~1/400
レンズはリケン・リコナーの80mmF3.5です。
ミノルタオートコード等と同様に
設定されたSSや絞りはビューレンズ上側の窓に集中表示されます。
これも便利なのですよね。
構えた体制そのままで設定が確認できます。
文字が少し小さくて加齢で目が悪くなってくると
少々見づらいのはご愛敬です(苦笑)

お預かりしている「ニューダイヤ」は
かなり長い間、仕舞い込まれたままで使われていなかった個体と思われます。
それでも保管状況はそれほど悪くなかったようで
シャッターは一応作動します。
しかしながらさすがにシャッター羽根の汚れ等による粘りが見られ
スローシャッターに関してはガバナにも粘りが見られ
SS1秒だと今にも止まってしまいそうです。
さらにレンズにはかなりのカビの発生が見られ
ファインダースクリーンも同様です。
二眼レフでは定番ですがファインダー内のミラーは劣化で相当曇っており
ここはいつものごとく交換で対処しなくてはなりません。
自慢の左右出しピントレバーは動作はしているものの
動きは相当重く素早いピント合わせには対応できない状態です。
やはり全体的に清掃整備が必要な状況です。

とはいえ致命的な破損等があるわけではなく
コンディションとしては良いほうだと思います。
ただこのままバリバリ使うのはちょっと無理ですし
動きの重い各部を酷使して使用するのは
さすがにカメラそのものがかわいそうです。
部品自体が古く無理がさせられないのは
整備後も同様ですが
最小限の力でできるだけ無理なく動く状態で
使い続けてあげることが
この類の機械に一番良いような気もします。
そうできるようにするためにも
今回もしっかり整備して仕上げていきたいと思います。

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ニコマートFTNのカメラ修理

今日は4月6日ですね。
もう簡単に想像できますが
語呂合わせで「白の日」「城の日」だったりします。
そして少しひねって
「シールの日」というのも制定されています。
子供の頃、雑誌の付録とかでついてきたシールを
タンスや水屋箪笥に貼りまくって
よくばあさんに怒られたな(苦笑)
比較的大きくなっても今度は当時のアイドルや
好きなバンドのステッカーやシールを
本棚やカバンに貼ってましたね。。。
そういえば高校生の頃はギターハードケースや
エフェクターボードに大量に貼ってました…
いやいや近年もカープや選手のシールやステッカーを
無節操には貼りませんがちょくちょく貼っていますね…(笑
子供の頃の話だけかと思いきや
今でもシールやステッカーは割と身近に
いろいろ貼っていることが再確認できました…
カメラだって昔はアルミケースや
フィルターケースなんかに
好きなカメラメーカーや用品メーカーのステッカーなんかを
貼ってたりしましたねぇ
さすがにカメラボディ本体には貼りませんが…
シール・ステッカー類って思っていたより
使ってますし楽しいですね…
またこんなことに気づくと昔懐かしのシール類を
ネットで探し始めたりしそうだから気を付けないと…(苦笑)

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコマートFT系は機械制御シャッターを搭載する
中級マニュアル機のシリーズです。
シャッターは自社製ではなく金属羽根縦走りの汎用シャッターユニット
「コパルスクエア」を搭載します。
同系列のシャッターユニットが各メーカーで採用されているので
おなじみのユニットシャッターですね。
最初に発売されたのは1965年の「ニコマートFT」で
その後、露出計を省略した「ニコマートFS」が追加となります。
そして1967年に改良モデルである「FTN」が発売されます。
開放F値補正操作を取り入れ
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了します。
(いわゆるニコンのガチャガチャです)
露出計もそれまでの平均測光から
中央部重点測光に変更されています。
この「FTN」がニコマートFT系の中では最も台数の売れたカメラで
現存台数も非常に多いですし
フィルムカメラの扱いがあるところなら
大抵の中古屋さんに必ず1台はあるカメラです。
リサイクルショップのジャンクコーナーでもよく見かけますね。
以前の中級機であるニコレックス系での失敗を踏まえて
ユニットシャッター等を採用しつつも
開発製造はニコン社内で行われています。
コパルシャッターの高い耐久性もあり
ニコマートFT系は基本的には非常に丈夫なカメラです。
数十年放置されている個体でもとりあえずシャッターだけはちゃんと動き
精度や汚れはともかくとしても
何とか撮影にも使用できる…というものも数多く存在します。
とはいえ動きの悪くなっているものや内部に使われたものも含めた
モルト等は全滅だと思われるので
やはり大抵の個体で整備が必要な状態だとは思います。

お預かりしている「ニコマートFTN」も
まずはシャッターはちゃんと動作しています。
ただやはり羽根の汚れ等もあるせいで
高速シャッター時に少々精度が不安定です。
そして露出計も動作していますが
大幅にアンダー気味でさらにマイラー抵抗の汚れの影響もあるようで
動作が非常に不安定です。
そしてモルトは当然ながら全滅です。
プリズム、接眼レンズ、コンデンサレンズにも
大量にカビが発生しています。
やはり全体的に整備が必要な状態です。

画像は本格的に分解整備に取り掛かる前のモノですが
マイラー抵抗等の清掃を行って電気的な調整を行う段階で
気が付いたのですがCDSにかなり問題があるようです。
光に対して反応はするのですが全体的に抵抗値が低く
反映してかなりアンダー気味…まではわかっていたのでいいのですが
明るさに対する反応もかなり悪いようです。
全体的にアンダーなのは一旦おいておいても
例えばLV15からLV12に光源の明るさを変化すれば
当然、3段分抵抗値は上がってほしいわけなのですが
1段…いや2/3段分しか抵抗値は変化しません。
当然露出計指針も同様の動きをします。
CDS自体がかなり劣化して明るさに対して鈍くなっているようです。
さすがにこれは調整等ではどうにもならないので
ストックしている中古良品のCDSに交換で対応します。
CDSの劣化って巷で言うほどあまりない印象なのですが
今回は見事にダメなようですね。
変わったCDSを使われている場合はかなり困ることになりますが
ニコマートFT系であれば大丈夫です。
露出計も含めて実用上問題のない状態に仕上げていきます。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「オープンカーの日」だそうですよ。
日付は「4月」が桜の舞う中を走れる
オープンカーにとって最高のロケーションの時期であることと
オープンカーは「五感」に訴えかける車であることから
4月5日にとのことです。
花粉症でさえなければオープンカーには最高の季節ですね!
私も過去に2シーターオープンに乗っていたことがありましたが
雨の日以外はやたらめったら1年中幌開けてました(笑
で、一般的に辛そうだと思える「冬」は
近年のオープンカーは
ある程度対策して着込んでおけば意外と快適なのですよ
特にシートヒーティングのあるクルマで
窓さえ上げておけば風の巻き込みもほぼないですし
背中と足元は暖かくて顔にわずかにあたる風だけが冷たくて
かなり気持ち良いのです。
冬が辛いのはやはり圧倒的にバイクのほうで
もはや桁違いに寒いです。
それでもバイクはバイクでまた魅力的なのですが…
オープンカーがつらいのは一見快適そうに見える「夏」で
走っていてもめちゃくちゃ暑いですし
渋滞になんかに巻き込まれた日には地獄です…(苦笑)
でもヘルメットも必要なく風を直接感じられる
オープンカーはやはりいいものです。

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
カメラの電子化を一気に進めることとなる
「Aシリーズ」の一号機として1976年に発売されたカメラです。
その3年前に発売された「EF」と同様に
シャッター優先オート露出を搭載しますが
こちらは全速のシャッターが電子制御で
オートの制御等もカメラには
世界初搭載のマイクロコンピュータ制御によって行います。
それでいて生産の効率化もさらに進められ
部品点数も300点以上削減されているそうです。
実際、50mmF1.4付きで81,000円と
機能を考えるとかなりのコストパフォーマンスです。
「AE-1」の登場により
さらに進んだカメラの高機能低価格化に
ついてこれなくなったいくつかの中堅メーカーが
一眼レフ市場から撤退したともいわれています。
それでもシャッターはEFとは異なり
従来ながらの布幕横走りなのです。
駆動部自体は思ったよりもこれまで培ってきた
機械的な技術で制御の電子化を進めたカメラと言えます。
それでもまだSSダイヤル連動に連動糸が使われていたりと
まだ過渡期であることも確認できます。

相当数の大ヒット商品なので現存数も非常に多いカメラです。
その分、トラブルを抱えている個体も多いのですが
電子部品関連のトラブルは比較的少なく
トラブルの多くは機械的駆動部に発生しているものがほとんどです。
今回お預かりしている「AE-1」は
定番のシャッター鳴きこそないものの
まず電池蓋のロック部が破損しており電池室が閉まらず
シャッター幕の走行不良でミラーアップしたまま固着しています。
さらに露出計の値がかなりおかしなことになっているので
嫌な予感を抱えつつ上カバーを開けてみると
連動糸にトラブルがあり正常に露出計連動できていない状態でした。

それまでのキヤノンのカメラとは明らかに異なる造りですが
意外と整備性は良いカメラです。
ただ正しい手順がわかっていないと
とんでもないトラブルを引き起こてしまうカメラでもあります。
電池室の蓋は一部破損部品を交換し
連動糸のトラブルも対処を行い
他はいわゆる機械的動きを良くする整備を一通り行い
電気的な調整を行っていきます。
もちろん定番のシャッター鳴きの予防も行っておきます。
この「AE-1」も長らく眠っていた個体かと思われますが
今回の整備修理で再び大活躍できるように復活です。

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ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は「趣味の日」だそうですよ。
「し(4)ゅみ(3)」(趣味)と読む
語呂合わせが由来となっています。
仕事と同様に趣味にも情熱を注ぐ大人を応援することが目的だそうです。
ここを見ている方は当然ながら
カメラや写真を趣味にしている方がほとんどだと思われますが
仕事以外に何か自分の本当に好きなことに
没頭できるのは良いことですよね。
趣味であれば好きな時に集中してコストも時間も
自分の好きなだけかけられますし
逆に気が向かなければ少し離れてもよいですし…
私の場合は日頃気分転換で撮っている写真はともかく
カメラ弄りというか修理整備は
仕事にしてしまったので
単純に楽しむだけでは済まなくなってしまいました(笑
趣味…というか好きなことを仕事にしてしまうのは
人によっていろいろな考えや思いがあると思うので
ここではあえて触れないでおきます(苦笑)
趣味と一括りで言っても
その人それぞれでアプローチがいろいろあって
単なる気分転換や暇つぶしレベルのものから
膨大なエネルギーや時間・コストを
無尽蔵に費やすものまで千差万別ですが
何にしても楽しむことが大切だと思います。

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
大ヒットモデル「SP」の後継機…というよりは
改良機といえるカメラだと思います。
1973年発売のカメラです。
先行発売されたSMCタクマーレンズとの組み合わせで
開放測光に対応したカメラです。
SMCタクマーレンズはねじ込み部こそM42マウントと同様ですが
ボディ側と連動する装着時定点と絞り連動爪を設けることによって
SPFやESシリーズとの組み合わせで開放測光を可能にしています。
先日のフジカSTシリーズのブログでもSTマウントの
話で同様のことを書きましたがこうなってくると
従来のM42マウントからは少し離れた規格となってしまいます。
SPFの場合、従来のM42マウント装着時には
絞り込み測光で従来のSPと同様に使うことができます。
少し話がそれますがM42マウントは確かにユニバーサルマウントで
世界中のメーカーから同マウントのレンズが製造されていますが
絞りピンの長さや自動絞りへの対応等で
各メーカー独自の解釈をしている部分も多いので
特に海外製品のレンズを装着する場合は
相性等の問題もあるようなので
注意が必要かと思います。
ペンタックスの場合、タクマーレンズを使っている分には
従来のM42だろうとSMCタクマーだろうと測光方法の違いはあれ
装着自体に心配はないのですが…

お預かりしている「SPF」は
まずシャッターを切るとかなり高い確率でミラーアップしたままとなり
プリズムはお約束の横一線の腐食
そして露出計は不動と
長い間島こまれたままのSP系によくあるトラブルが
一通り発生ているような状態の個体です。
電池室には昔の水銀電池MR9が入ったままになっており
一見液漏れもなくダメージは少なそうですが
やはり電池から出るガスの影響もあり
端子や配線はかなり腐食しています。
マイナス側端子は少しピンセットで引っ張っただけで
簡単に折れてしまいました。
そうはいってもどれもよくあるトラブルで
プリズムは交換で対処するしかありませんが
どこかに致命的な破損等があるわけではなく
一通りの整備を行い機械的動作部はとにかく動きを良くしていき
電気的な接点やハンダは導通を確保できるように
整備していくことで通常の動きを取り戻すことができます。

シャッターや巻上、ミラー機構部等はSPと何ら変わりません。
ただ露出計にかかわる部分は全てもはや別物です。
その上、SPFの露出計はよくある単なる電流計ではなく
両端から引っ張り合うような少し変わった構造のものです。
それなりに回路を把握していないと
何かトラブルがあった場合の修理には対応しにくいと思います。
さすがにSPFも何度も何度も整備を行っている機種なので
大体頭に入っていて回路図を引っ張り出すようなことは
今ではあまりありませんが…
とはいえ毎度のことですが油断は禁物です。
慎重に整備を行って仕上げていきたいと思います。

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マミヤシックスのカメラ修理

今日は「五百円札発行記念日」だそうですよ。
1951(昭和26)年のこの日に
政治家・岩倉具視の肖像の500円札(B号券)が
日本銀行より発行されたことが由来となっています。
懐かしいですねぇ~500円札
1969(昭和44)年11月1日に500円札(C号券)に
変更されていてB号券と同じで、表面は岩倉具視、裏面は富士山と
デザイン的には大きく変更されなかったのですが
全体的に青い印刷のお札で
個人的に馴染み深いのはこっちですね。
500円札握らされてよくタバコ屋とかにお使い行かされました(笑)
1982(昭和57)年に500円硬貨が発行された後も
1985(昭和60)年までこの500円札の製造は続けられ
1994(平成6)年4月1日に銀行での支払いが停止されました。
思ったより長く造られていたのですよね
確かに高校生の頃にまだ500円札って普通にありました…
キレイなの1枚ちゃんと取っておけばよかったなぁ
価値が云々とかじゃなくて思い出として…(笑

さてさて

本日は「マミヤシックス」のカメラ修理を行っています。
いわゆるホールディングカメラ、スプリングカメラですね。
この類のカメラは蛇腹の状態が不安なものが多く
当店でも蛇腹の修復・交換は行っていないので注意が必要です。
マミヤシックスも1940から50年代の後半にかけて
いろいろなモデルが発売されており
この時代のカメラではよくある話ですが
ボディにあるモデル名の刻印は「Mamiya-Six」あるいは
「Mamiya-6」としかないのでモデルの判別に苦労するカメラです。
修理する立場としてはどのモデルでもあまり大差はないのですが
中古屋さんとかは把握していないといけないから大変でしょうね…
今回お預かりしているマミヤシックスは
645,6×6の切替可能で、フィルム送りは赤窓式
距離計窓が角型…等々の特徴から「マミヤシックスK2型」だと思われます。
搭載レンズやシャッターユニットは何種類かあるようなのですが
今回はシャッターはコパルMXで1/300~1秒・B
レンズはセコールS 7.5cmF3.5です。

レンズシャッター機でよくあるシャッター羽根の粘りは少々ありますが
何とかシャッター自体は動作しています。
きちんと羽根清掃をしないと精度的には問題あるとは思います。
しかしながら今回はそれよりも大きな問題を抱えていて
シャッターチャージするとシャッター羽根が少しだけ
開いた状態でチャージロックされてしまうのです。
シャッターを切った後はきちんと閉じます。
これではすべてのコマが完全に感光してしまいます。
このままでは全く使えない状態です。
最初は羽根粘りのせいかな…とも思ったのですが
現在の粘りの状況から考えておそらく原因は全く別かと思われます。
まずはシャッター羽根駆動部が見える状態にして
動きを確認していきます。

やはり羽根自体の動きは問題ないようで
羽根清掃を行えば粘りも解消されそうです。
チャージ時に羽根が開く原因はチャージロック時に
羽根をロックする爪が少し変形してしまっているため
チャージロック位置がズレてしまっていることが原因のようです。
確かにそれほど強度のある爪ではないのですが
こんなとこがなぜ曲がって(変形して)いるのか…
強引に修正すると爪を破損する恐れがあるので
慎重にほんのわずかずつ正しい形状に修正をかけていきます。
言葉にすれば短いですがここまでかなり時間を要しました。
とりあえずは正しくチャージされて動作してする状況になったので
強度的に問題がないかどうか少し時間をかけて
いろいろテストを行っていく必要がありそうです。
他、距離計のズレやファインダー・レンズ清掃等々
全体の整備も行っていきます。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日から4月ですね!
年度最初の日でもあり
エイプリルフールでもありますが
私は残念ながらそのあたりのジョークのセンスはないので
毎年スルーさせていただいています(苦笑)
それ以外にもいろいろな記念日が制定されているのですが
「携帯ストラップの日」なんてものがありますね。
懐かしいですねぇ~
ガラケー全盛期にはどんなストラップつけるか
いろいろ悩んだものですが
ん?今やスマホになってそもそもストラップホールなんてないのでは?と思い
自分のスマホ見てみてもやはりストラップホールないのですね
でもネックストラップでスマホぶら下げている方を
たまに見かける気が…と思って調べたら
今はスマホケースと本体の間に挟み込むタイプなのですねぇ…
いずれにしても昔のようにストラップ付けることが
必須ではなくなってしまいましたものね…
そういえば初期のガラケーの頃には伸縮するアンテナも付いていて
これを「光るアンテナ」にドレスアップしたりとかもありました
いつのまにか忘れているものっていろいろありますねぇ

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
この分野のカメラで大きく後れを取っていたキヤノンが
一気にライバルであるニコンに追いつき追い越すために
満を持して発売したプロ向け最高級機です。
機能的なスペックもさることながら
このジャンルのカメラに求められることは
過酷な環境でも安定して動作する堅牢性です。
この点についてライバルであるニコンF2は
圧倒的優位を保っていますが
F-1もそれに負けじとマイナス30度から
プラス60度までの温度域に耐えうる環境性能を持ち
シャッターに関しては人力による10万回切りのテストを
行った有名な話とかも伝わっています。
さらにシステムカメラとしてもあらゆる撮影に対応するための
豊富なアクセサリー群を展開し
F-1登場とともに切り替わったFDマウントのレンズ群の
評価の高さもあり一気にこの分野でもトップクラスの
カメラとして評価されることとなりました。

高価な最高級器とはいえ当然大ヒットしたカメラなので
現存している数も多く最高級器ゆえに大事に保管されている
個体も多く全体的には程度の良いものが多い印象です。
…とはいっても…長い間仕舞い込まれていたままの個体も多く
今回、お預かりしているF-1もそんな1台です。
とりあえずは一応は動作しているのはさすがF-1といったところですが
細かく見ていくといろいろ問題を抱えています。
まずシャッターに関しては高速SSを中心に
全く精度が出ていません。
やはり先幕と後幕の幕即バランスが大きく崩れているような状況です。
F-1の場合は単なる幕軸の汚れ等による動作不良だけではないことが多く
今回もやはりそうだったのですが
そのあたりは対処方法がわかっているので
修理整備の上での調整で対処していきます。
F-1で多くみられるシャッターバウンドまでは今回はないようです。
加えて露出計やBCがかなり不安定です。
こちらはSW類を含む各接点の清掃整備で対処いたします。
もちろん露出計の調整も行い問題ない精度にまとめていきます。

画像は一通り整備が完了した状態でのものです。
今回は装着されている50mmレンズも含めて
望遠・広角の交換レンズの清掃も行っています。
当時の堅牢性はライバルと互角だったのだとは思いますが
製造されて50年以上経つ現在で比較すると
そのあたりの部品の堅牢性といった点では
ライバルに一歩譲るかもしれません。
でもFDレンズを含むシステムとしての魅力と
なんといってもスタイリッシュさでは
F-1でしか得られない魅力というものが間違いなくあると思います。
この低く構えたペンタ部のデザインといい
F-1ならではのスマートでエレガントな佇まいには
目を奪われますね。
これから最終的なテストを行って問題なければ完成となります。
おそらく数十年ぶりの稼働となると思われますが
ご依頼者様には存分に楽しんでいただきたいと思います。

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フジカST801のカメラ修理

年度末ですねぇ。。。
…とはいっても先月の確定申告が終わってしまえば
個人的にはあまり関係なく単なる月末ですね。
今日は「オーケストラの日」だそうですよ。
「み(3)み(3)に一番」
「み(3)み(3)にいい(1)ひ」(耳に良い日)と読む
語呂合わせが由来だそうです。
なかなかこれも強引ですね(笑
おそらく私は比較的音楽は広く浅く聴いているほうだと思うのですが
(ただ新しいものは全くダメで若いころ聴いたものを
ひたすら反芻しているのですが…)
クラシックも多少は聴いています。
基本的にはピアノ曲が好きなのですが
オーケストラもいいですよねぇ
少しだけ良いオーディオ環境でじっくり聴くと
その音や構成、旋律の奥深さに聴き入ってしまいます。
でも生演奏でオーケストラを聴いたことはいまだにないのですよねぇ
1回くらいは行ってみたいのですが
さすがになかなか敷居が高い気が…
まぁなんでもひとりで行ける人なので
そのうちちゃんと調べて一度くらいは行ってみようと思います!

さてさて

本日は「フジカST801」のカメラ修理を行っています。
「フジカ」というブランド名もいつのまにか
すっかり過去のものになってしまいましたね…
「”富士”フイルムの”カ”メラ」ということで
「フジカ」ですね。
STシリーズはもともとねじ込み式ユニバーサルマウント
「M42マウント」の一眼レフだったのですが
最初のST701とその後登場したST605以外のカメラは
開放測光に対応するためレンズ側に装着位置固定のためのピンと
(単なるねじ込みマウント(M42・L39等)は
構造上、装着位置(締め込み位置)かなりアバウト)
絞り情報をボディに伝達させるための爪と連動部が
追加されていてフジカSTマウントという独自のマウントとなっています。
開放測光に対応しようとするとこうなりますよねぇ
従来のM42マウントレンズをST801以降のボディに装着して
絞り込み測光で使う分には大きな問題はなさそうですが
(それでも他社製M42マウントレンズ仕様は自己責任でお願いします)
STマウントのレンズを他のM42マウントカメラに
装着しようとすると絞り連動爪等が干渉する可能性が高いので
STマウントはM42マウントとは別物と考えたほうがよさそうです。
ST801は1972年発売のカメラで
そのSTマウント対応の最初のカメラとなります。
当時としては先進的なLED式の露出計を搭載し
布幕横走りシャッター機としては非常に珍しい
1/2000シャッターを搭載します。
(他の横走り機で1/2000搭載のカメラは大抵が金属幕)

お預かりのST801は一応一通りは動作しているのですが
やはり汚れや古い油脂類の影響で幕軸の動きが悪く
高速シャッターの精度は全く出ていないような状態です。
先幕・後幕のバランスが完全に崩れていて
自慢の1/2000シャッターでは幕が開かず
写真は未露光となってしまう状態です。
それでいて1/1000は今度は開きすぎで
実質1/400くらいの露光量になってしまっています。
正直なところ
布幕横走りで1/2000は相当に無理があると個人的には思っていて
それでも新品の頃なら何とか出ていたのでしょうが
製造から50年経過する現代ではなかなか苦しいものがあります。
それでも開かないのは大問題ですし
できるかぎりの整備で精度を追い込んでいきたいと思います。

画像は一通りの整備が完了した状態でのものです。
幕軸や調速カム周りの動きをよくする整備を入念に行い
何とか1/2000も納得できる精度が出るようになりました。
もちろん中速域から低速シャッターまで全く問題ない状態です。
それ以外にもミラー駆動部、巻上機構周り
あちこちで動きが悪い部分もあり
全体的にかなりリフレッシュされた状態になりました。
非常に軽快に巻き上げて気持ち良くシャッターの切れる状態です。
もともとこの時代の一眼レフとしては
コンパクトにできていて意外と軽いのです。
フィールドでの取り回しの良いカメラだと思います。
ただしフジカブランドのカメラは全体的にそうですが
少しばかり華奢な部分もあるので
しっかりとした整備が必要なカメラだと言えます。
今回のST801はこれで当分安心して
しっかり快適に使えると思います。

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ニコンFMのカメラ修理

今日はまたなかなかピンとくる記念日がない日ですねぇ
過去の出来事もこれといったものが…(苦笑)
そういえば今年もいよいよプロ野球開幕ですね!
基本的には明日ですが新球場エスコンフィールドの
こけら落としとなる日ハムー楽天戦のみ
一足早く今日開幕です!
それはともかく今年のカープはどうでしょうねぇ
オープン戦最下位でシーズン予想も厳しい見方が多いようですが…
それに加えて今日はお休みですが
現在開催中の春の高校野球もいよいよベスト4が出そろい
ここにも我が広島代表広陵高校が勝ち進んでいます。
明日がいよいよ準決勝…山梨学院戦です。
山梨県勢はまだ春夏通じて決勝進出したことがないのですよね
山梨学院にもがんばってほしいですが
やはり2003年以来4回目の広陵の春優勝が見たいですねぇ…
ええ、もちろん仕事中なので
リアルタイムでは見られませんが…(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンFM」のカメラ修理を行っています。
ニコマートFT系を前身とする
機械制御縦走り金属羽根シャッター搭載の中級機です。
1977年発売開始のカメラです。
ニコマート時代とは打って変わって
コンパクトで端正なスタイリングにもなり
非常に70~80年代のニコンらしいカメラと言えると思います。
F一桁機ほどの強靭な堅牢性はさすがに持ち合わせてはいませんが
基本的には丈夫で安定sした動きの信頼性の高いカメラです。
兄弟機で電子制御機のFEが指針式のアナログな露出計を採用するのとは
対照的にFMではLED式の「+〇ー」表示の露出計を採用しています。
このあたりの違いも対照的でなかなか面白いですね。

先述した通り基本的には丈夫なカメラなのですが
今回、お預かりしている「FM」は
シャッターが切れない状態でお預かりしました。
まずは現状の確認を行ってみると
どうやら後幕(羽根)の動きに粘りがあって
最後まできちんと走り切らないためにスタックしてしまう状態のようです。
シャッター羽根にも油滲みや汚れが付着しており
その状態でまだ動作していたうちも結構使っていたと思われ
羽根にはだいぶスレも付いていしまっています。
加えてFM/FE系でたまに同じようなものを見ることがありますが
プリズムに大きな腐食が出てしまっています。
ファインダー視野内中央に二重の縦線が出ている状態で
このパターンはFM2やFE2も含めてこの系列の機種で
比較的よくあるトラブルです。
他のカメラでよくある遮光や干渉材用のモルトが原因ではなく
頂点部の蒸着が個体差で少し弱いものがあるのではないかと思われます。
保管環境等にもよるのかもしれないので一概には言えないのですが…

巻上、ミラー駆動にも少し動きが悪いところが見られ
フィルム室のモルトも全滅で光漏れも起こしているようです。
全体的に整備が必要な状態ですが
個人的には最も心配となる露出計は大きな問題はなさそうです。
FMのLED式露出計はもし何らかのトラブルがあると
修理不可能なことが多いのです。
ここは皮肉なことに電子制御のFEの露出計のほうが
修理しやすかったりします。

画像はまだ取り掛かったばかりの状態で
まずは腐食したプリズムを降ろしたところです。
少し見辛いですが縦に二重線が入っている腐食も確認できます。
さすがにこれほど濃くど真ん中に腐食があると
撮影に支障がありますね。
今回は中古良品のプリズムと交換で対応いたします。
シャッター羽根の状態は思っていたよりも悪いのですが
羽根清掃を入念に行って
ユニット内のごみや汚れを除去することによって
問題ない精度が出る状態に整備していきます。
羽根自体にスレ跡はある程度残りますが
強度や動きには全く問題ないレベルかと思います。
他、各部の駆動部分を入念に整備して
安心して使える状態に仕上げていきます。

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キヤノンA-1のカメラ修理

今日は「作業服の日」だそうですよ。
「さ(3)ぎょうふ(2)く(9)」(作業服)と読む
語呂合わせからだそうです。
私の仕事も油断していると結構汚れますから
作業服までは着ませんがデニム地の前掛けだけ着用しています。
作業着だとしてもそうですが前掛けも含む
仕事中に着る服はやはり汚れやすいので
ガンガン何度洗っても大丈夫な丈夫なものがいいですねぇ
油脂類や溶剤を扱うのでシミになってしまうことも多いので
あまり上質なものはもったいなくて着れません(笑
でも私の仕事で何で一番汚れるかって
やはり劣化してボロボロになったモルトプレーンですねぇ
それも粉状になっているものはまだいいのですが
粘着質にベタベタになってしまっているものは本当にたちが悪いです…
気が付けば指先が真っ黒になっていることも多く
作業しているだけでなく来客もあるため
頻繁に汚れた指を溶剤で洗い流しています。
で、こういうときに指に傷があったりして
それを忘れて溶剤に指を浸けると浸けると激痛なのですね(汗)
もはや全然作業着の話ではなくなってしまいました。
刃物やガラスを扱うことも多く
古い油脂類で汚れたものの清掃等も多いので
今日も清潔安全に作業を進めていきたいと思います!

さてさて

本日は「キヤノンA-1」のカメラ修理を行っています。
1978年に登場したマルチモード機です。
前年に登場した「ミノルタXD」に
両優先オート(絞り優先・SS優先)搭載こそ先を越されたものの
両優先オート搭載に加えプログラムオートを搭載した
まさにこの時代の最新の電子制御を組み込んだカメラです。
こういう先進的なのはキヤノンの得意とするところですね。
ただし電池がなければシャッターも何も動作させることができない上に
結構な電池食いのカメラで当時から高価だった4SR44電池を
使い方にもよりますが数ヶ月で消費するという短所もあるカメラです。
それでも高級感に加え最新鋭でスタイリッシュなイメージは
戦略的にも大成功を収めF-1に続く高級機で高価なカメラですが
大ヒットとなりました。
私も当時のイメージは
「A-1=ぶちかっちょええカメラ」というイメージでした。

お預かりしている「A-1」はシャッターを切ると
ミラーアップしたまま降りてこなくなってしまいます。
「Aシリーズ」でよくある「シャッター鳴き」と同様に
ミラー駆動部の油切れに伴う動作不良が原因です。
これだけであれば「A-1」は上カバーを開ける際に外す部品が
こまごまとしていて少々面倒ですが
整備性自体は悪くないので一通りの整備を行えば解消されるはずでしたが
ミラー駆動を改善した上で電気的な確認をいろいろ行ってみると
やはりいろいろ細かな問題があり
結果的にはかなり苦労することとなりました。
詳細は今回は割愛しますがやはり「カメラロボット」は手ごわいカメラです。

最終的には露出計・オート・SSの精度も含めて
全く問題ない状態に仕上がりました。
これから最終テストを子なって問題なければ完成となります。
F-1とはまた違ったテイストでカッコよいカメラですよね
眺めているだけでもなんだか嬉しくなるカメラです。
A-1が活躍していた時代をまだ子供でしたが
実体験していて当時カタログも持っていたので
なんだかA-1を眺めていると感慨深い気持ちになりますね。
ブラック一色なのもキヤノンらしくていいですね。
正直言って整備する立場から言うとなかなか一筋縄で
いかないカメラでもありますし
修理不能と判断せざるを得ないことも多いカメラなのですが
魅力的なカメラであることは間違いないと思います。

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ペンタックスSVのカメラ修理

今日は「食品サンプルの日」なのだそうですよ。
蝋(ろう)や合成樹脂なんかで造られる
昔ながらの喫茶店の店頭でよく見られるあれですね!
「サン(3)プ(2)ル(6)」と読む語呂合わせが由来となっています。
昔は喫茶店の店頭やデパートのレストランとかで
やたらと見る機会の多かった食品サンプルですが
さすがに最近は昔ほど飲食店で見ることは少なくなりましたね。
これ日本独自の文化なのですね。
そのため観光等で訪れた外国人にはかなり珍しがられるそうですよ。
近年では業務用のみならず
一般向けにも販売され始めており
模型やアクセサリー等として拡がり始めているのだそうです。
なるほど…確かに本物そっくりな食品サンプル…
ちょっと欲しくなりますものね…
食品サンプルと言えば
食品サンプル職人の竹内繁春さんが1972(昭和47)年に編み出した
宙に浮くスパゲティとフォークが有名ですよねぇ
あれちょっとインテリアとして欲しいかも…
いけんいけん、また変な物欲を刺激して
妙な買い物している場合ではありません…(苦笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSV」のカメラ修理を行っています。
1962年発売のカメラです。
ペンタックスのM42マウント機はSP以降とそれ以前の機種で
大きく分かれると思うのですが
SPより前のいわゆるアサヒペンタックス系の最終モデル的な
位置づけのカメラです。
前モデルのS3を改良したモデルで
巻戻しクランク部にセルフタイマーが装備されています。
これがモデル名の「V」の由来ですね。
(ドイツ語でセルフタイマーを意味する”Voraufwerk”の頭文字)
他にもフィルムカウンターが裏ブタと連動した
自動復元式に進化しています。
TTL露出計内臓は次のSPからですが
それ以外はその後の一眼レフの基本的な機能は有しており
非常に現代的に使えるカメラと言えると思います。
この時代のカメラなので総金属製でそれなりに重さはありますが
その分質感は高くサイズは比較的コンパクトです。
それでいてM42マウントでレンズの選択肢も多く
現在でも根強い人気のあるカメラです。
当時もかなり売れたカメラなので
現存する台数は多いですが
なかなか程度の良いものは少ない印象です。

お預かりしている「SV」はまずシャッターが切れません。
正確に言うとシャッターは切れようと動作しているのですが
幕の動きがどうにも悪くまともに走行できない状態です。
SPより前のアサヒペンタックスシリーズは
とにかくシャッター幕の状態の悪いものが多く
ガチガチに硬化していたり、ベタベタに粘着質になっていたり
酷いものなると破れていたり裂けていたりと
幕交換が修理の前提になるものが非常に多いのです。
今回のSVもシャッターがまともに動かないということで
幕の状態をまずは疑ってみたのですが
今回は意外と幕の状態は悪くないのです。
さすがに多少の劣化は見られますが
それほど硬化してるわけでもありません。
動きの悪い原因はとにかく幕軸が粘りまくっていることが原因のようです。

シャッターのみならずミラーや巻上の駆動部も
油切れで動きにくいとこるもあれば
逆に古い油脂類が汚れと混じって粘着質となり
動きを妨げている部分もあります。
隅々まで徹底的に清掃して適度な注油を行うことで
小さな力でスムーズに動く状態に整備を行っていきます。
ファインダーや装着されていたレンズには
かなりのカビも見受けられるので
そちらもできる限りの清掃でクリアに仕上げていきます。

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