カテゴリー別アーカイブ: カメラ修理

コニカC35E&Lのカメラ修理

今日は3月10日…
イメージしやすい語呂合わせの記念日がたくさん制定されています。
「砂糖の日」「佐渡の日」「水戸の日」
「サボテンの日」「ミントの日」
「見合いの日」「ミートソースの日」…等々…
それとは関係なく今日は「東海道・山陽新幹線全線開通の日」なんですね。
山陽新幹線・岡山駅~博多駅間が延伸開業して
1975(昭和50)年のこの日山陽新幹線が全線開業した日…
ということで、私の生まれ故郷広島に
新幹線が通るようになった日でもあるのですねぇ
でもこのニュースはかすかに覚えていて
じいさんに「広島駅に新幹線見に行こうよー」と
ねだった記憶がありますねぇ
この年の秋には我が広島東洋カープがリーグ初優勝して
そっちの記憶のほうがお祭り騒ぎで鮮明に覚えていたりしますが…(笑
何にせよもう半世紀近く昔の話なのですよね
なんだか時の流れを痛切に感じます…

さてさて

本日は「コニカC35E&L」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
「じゃーに~コニカ」の派生モデルです。
この2年前に発売された初代C35から
距離計とセルフタイマーを省略したカメラです。
ピントは目測式となり
ファインダー右下隅にピントリングの目測マークが
直読できるようになっています。
コンパクトで手軽に使えるカメラなので
このカメラには目測式も合っているような気がします。
距離計搭載でもアバウトに合わせて素早く撮れば同じことなのですが
ファインダー内に二重像が見えていると
やはりきっちり距離計を合わせたくなってしまうので
それであれば潔く目測でアバウトにしか合わせられないほうが
使いやすいのではないかとも思います。
露出計や露出制御は通常のC35と一緒で
CdS露出計の指針抑え式のプログラムオートです。
露出計を振り切ってしまうあるいは露出計が全く動かないような
極端な光の過不足があっても
いわゆるシャッターロックの類は搭載されていないので
とりあえずシャッターは切ることができます。
気を付けないと露出過不足の写真を量産する可能性もありますが
現在の性能の良いフィルムであれば
そうとわかっていても
とりあえずシャッターを切りたい場面は多いと思いますので
個人的には余計なシャッターロックがないほうが好みです。
でもレンズキャップをしていても切れるということなので
(一眼レフ機ではないので当然ファインダーも見えています)
キャップはあえて付けないほうが良いような気もします。
(保護フィルターはあったほうがいいでしょうね)

前置きが長くなりました。
お預かりしている「E&L」はまずはC35の定番で
シャッター羽根がゆっくりとしか動きません。
他のレンズシャッター機だとシャッター羽根の汚れや油滲みが
原因で同じ症状になることが多いのですが
C35の場合は構造上、羽根には油滲みは回りにくく
羽根の汚れではなく羽根を駆動している
バネで動く駆動部の円盤の動きが粘ることが原因のことが多いのです。
今回のやはりそこが原因のようです。
レンズ・ファインダーの状態は比較的良く
電池室周りの腐食も少なく調整は必要なものの
露出計・オートも動作しています。
ただしフィルム室にふんだんに使用されているモルトは全滅です。
この価格帯のコンパクトカメラはコストも関係もあり
裏蓋周りの遮光を大量のモルトに頼るパターンが多く
劣化した際の周りに及ぶ腐食ダメージは
一眼レフ等よりも甚大です。
粘着質と化したモルトは入念に取り除き周りも清掃を行い
新しいモルトに交換していきます。

シャッター駆動部の円盤がボディ下から少し見えていますね。
ここからさらに分解を進めて駆動部の清掃整備を行っていきます。
もちろんシャッター羽根自体の清掃も並行して行います。
小さなカメラですが余計な機能がないシンプルな構造ということもあり
非常に整備性は良いカメラです。
ビハインドシャッターなのでレンズ清掃やヘリコイド周りの
整備清掃も行いやすいカメラです。
ただ、今回は大丈夫でしたが電池室周りの腐食が広がって
CdSや露出計本体に影響が出ている場合も多く
そうなってくると非常に手間がかかることも多くあるカメラです。
きちんと整備されたC35は気軽に持ち歩ける非常に使いやすいカメラです。
ご依頼者様にもぜひ本来の状態で
存分に持ち歩いていただきたいと思います。

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コニカFSのカメラ修理

今日は3月8日…語呂合わせの記念日が多い日ですねぇ
「みつばちの日」、「みやげの日」
「サバの日」、「ビールサーバーの日」
「サンワの日・、「ザンパの日」、「散髪の日」…等々
そんな中に語呂合わせとは全く関係なく
「エスカレーターの日」なのですね。
1914(大正3)年のこの日に
東京・上野の大正博覧会の会場に
日本初のエスカレーターが設置され
この日運転試験が行われたことが由来となっています。
エスカレータ…駅でもデパートでも近所のスーパーでも
毎日のように乗る機会があるような気がします。
ちなみに日本で最も長いエスカレーターは
香川県丸亀市にあるニューレオマワールドのエスカレーター
「マジックストロー」が高低差42m・全長96mで日本一となっており
乗車時間は3分14秒なのだそうです。長いですね!
最も短いエスカレーターは
川崎駅前の地下街アゼリアと川崎岡田屋モアーズ地下2階を結ぶ
下りエスカレーターで、高低差83.4cm、段数はわずか5段、
乗車時間はたった5秒だそうです。
1991(平成3)年度版ギネスブックに掲載されているのだそうです。

さてさて

本日は「コニカFS」のカメラ修理を行っています。
1960年代前半のコニカFシリーズの中級機を担うカメラです。
レンズマウントは後のARマウント(かにかまウントⅡ)とは
互換性のない最初の「コニカマウント」です。
FSの「S」はスタンダードの頭文字だそうです。
発売開始は超高級機の位置づけだった「コニカF」と
同時で1960年9月です。
フラッグシップの「F」は金属羽根縦走りのコニカオリジナルシャッターを
搭載していますが
同様の金属羽根縦走りでも「FS」はユニット化されて
ニコマート等でもおなじみの「コパルスクエア」を搭載します。
後にいろいろなカメラに搭載されることとなる「コパルスクエア」ですが
その先駆者となったのが今回の「コニカFS」です。
構造としては露出計を持たないシンプルなカメラです。
コパルスクエアは後の実績でもわかるとおりに
非常に堅牢で安定した動きをするシャッターユニットです。

お預かりしている「コニカFS」は
シャッター羽根の汚れ等で若干シャッター羽根の動きに
不安定さがあるものの何とかシャッターは動作しているような状態です。
ただ、それ以外の巻上やミラー駆動部、特にミラーチャージ機構に
動作不良が見られたまに巻き上げられなくなったり
シャッターが切れなくなったりと
動作がかなり不安定な状態です。
ただ何かが破損してるわけではなく
経年劣化や汚れ・油切れで動きの悪い部分の多くなってきている状態なので
各部品が通常のバネ力でスムーズに動作できるように
整備を行えば問題なく快適に使える状態になるかと思われます。

まだ取り掛かったばかりの状態での画像ですが
これからミラーボックス等も分離し本格的に整備を行っていきます。
底板の裏にも大きなモルトが貼ってあった跡があり
当然、劣化してボロボロな状況です。
シャッターユニット下側からの光漏れを防ぐためのものですが
ここ以外にもコニカFシリーズは
シャッターユニット周り、ファインダースクリーン周りに
内部モルトを多用しています。
もちろん今回全て劣化モルトは除去し
新しいものを貼っていきますが
このモルト屑が内部のあちこちに入り込んで動作不良の原因になります。
分解時に通常以上に隅々までチェックした上で
入念に清掃を行っていきます。
コニカFSはコパルスクエアらしくシャッターの作動音は
それなりに大きいのですがその音質がちょっとしっとり目で
なかなか魅力的なのですね。
そのあたりも快適に楽しめるようにしっかり仕上げていきたいと思います。

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ニコマートFTのカメラ修理

今日は3月4日…
今日も語呂合わせの記念日が多いですねぇ
「サッシの日」、「三線(さんしん)の日」、
「ミシンの日」、「三姉妹の日」、
「差し入れの日」、「酸蝕歯の日」…等々…
そんな中に「雑誌の日」もありますね。
クルマ・バイク雑誌、写真・カメラ雑誌、
登山・アウトドア雑誌、オーディオ・音楽雑誌…
その頃に興味があったものの雑誌を
なんだかんだで毎月大量に買っていましたが
ここ近年は全く手に取ることがなくなってしまいましたね…
単に歳とって志向が変わったのもありますが
大概の情報はネットで済んでしまう世の中になってしまいましたものね。
実際に刊行される雑誌の数も20年前あたりに比べたら
圧倒的に少なくなってきていると思います。
歴史ある雑誌の休刊・廃刊のニュースもたまに聞きますものね…
これも時代の流れなんでしょうね。
ちょっと寂しいような気もしますが
自分自身も全く雑誌を買わなくなったので致し方ないような気もします。
お店や自宅の古い資料を調べ物でひっくり返していると
昔のカメラ雑誌等が出てきて
それを読み始めると
止まらなくなってしまったりはしますが
それは懐かしさありきのものなので
また異なるものですね。

さてさて

本日は「ニコマートFT」のカメラ修理を行っています。
FT系のニコマートだと「FTn」の登場回数が
圧倒的に多いのですが
今回は最初のニコマートでもある「FT」です。
1965年発売のカメラです。
既にニコンはフラッグシップ機では「F」で大成功を収めていて
それに続く中級機をコストを抑えるために社外に
生産を託した「ニコレックスシリーズ」を展開しましたが
これが商業的には決して成功とはいえず
機能的にも信頼性的にもニコンクオリティとは言い難いレベルでした。
そのあたりを考慮して改めてスタートした中級機シリーズが
「ニコマート」ブランドなわけです。
汎用的なコパル製の金属製縦走りシャッターユニットを採用し
コストダウンをしつつも
ニコン基準の品質を維持するために開発製造はニコン社内で行われ
信頼性も格段に向上しました。
実際にニコマート特にFT系は非常に丈夫なカメラです。
この時代、コパルシャッターもいろいろなカメラで採用されていますが
どのカメラでも非常に安定した動作を見せてくれます。
製造から50年以上経過しているカメラなのに
致命的に動かない個体が非常に少ないのです。

今回のニコマートFTもまずはシャッターは動作しています。
たださすがに何十年も放置されていた個体とみられ
精度までは出ていません。
それでもとりあえず動くだけでもすごいのですが…
まずシャッター羽根の汚れ等で微妙に動きが悪いと思われ
高速シャッターの精度は全く出ていません。
単に精度が出てないだけではなく不安定なので
きちんとした露出を出そうとすると
とても使えないレベルです。
さらに低速シャッターでは
頻繁にシャッターが開いたまま固着していしまいます。
1秒、1/2秒ではほぼ100%開いたままで固着していしまいます。
シャッターユニット内組み込みのスローガバナの動作不良のようです。
加えて巻上にも油切れでスムーズさはなく
ファインダーや装着されているレンズにもカビが発生しています。
ただ電池はしっかり抜いてあったようで
電池室周りの腐食等はなく露出計も調整は必要ですが
動作している状態です。
全体的に致命的な破損等はないものの
やはり動きをよくするための清掃やメンテナンスが必要な状況です。

露出計回路もシンプルで整備性もよいカメラです。
ここから前板及びミラーボックスを分離して
シャッターユニット周りの整備から行っていきます。
FTnに比べるといわゆる「ガチャガチャ」に対応していないので
レンズ交換を頻繁に行う場合は少し手間なのと
ファインダー内にSS表示がないのが少し寂しいですが
操作的に異なるのはそのくらいで
基本的な構造は後のモデルと大きな違いはありません。
基本的には非常に丈夫なカメラなので
ここでしっかり手を入れておけば
また当分の間、快適に使っていけると思います。

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ニコンFフォトミックのカメラ修理

今日は普通にイメージすれば
もちろん「桃の節句」で「ひな祭り」なのですが
子供の頃から全く縁がなくてイメージわかないのですよねぇ(笑
3月3日で語呂もよいので他にもいろいろな記念日が
制定されていますが
そんな中に「三の日」なんてのがありますね。
日本三大協会というところが1993(平成5)年に制定した記念日です。
日本人は古くから数字の「3」を好み
「三種の神器」「日本三景」「三霊山」「三大祭」「三名園」「三大珍味」など
3つでくくることによって物事が安定すると考えられ
同協会では、その「3」についての収集、研究を行っているのだそうです。
「三大ほにゃらら」は確かに多いですよね!
(怒り新党を思い出しますね(笑))
そういえば「三種の神器」って
本来の秘宝の意味ではなく家電製品で例えて
1950年代は白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫
1960年代にはカラーテレビ・クーラー・自動車の3種類が
「新・三種の神器」とされていましたが
現在だと何になるでしょうね?
間違いなく「スマホ」は入りますよね?
…ん?…調べてみたら
やはりそういうのもいろいろ考えられているようで
「ロボット掃除機」「ドラム式洗濯機」「食器洗い乾燥機」とかが
あげられることが多いようです…
…いや…これ…何一つ持っていませんが?(笑)

さてさて

本日は「ニコンFフォトミック」のカメラ修理を行っています。
1959年にベーシックなアイレベルファインダーを搭載した
「ニコンF」が発売され
その3年後、1962年に発売された
最初のフォトミックファインダーを搭載したカメラです。
後に「フォトミックT」でTTL平均測光になり
「フォトミックTn」で中央部重点測光になり
フォトミックFTn」でいわゆる「ガチャガチャ」に対応するのですが
今回は一番最初の外光式露出計を搭載するフォトミックとなります。
本体側は通常の「F」と同様です。

お預かりしている「Fフォトミック」は
本体側も油切れ等の症状があちこちに見られ
シャッターは切れているものの
巻上はスムーズではなく
高速シャッターの精度は全く出ていない状態で
低速側は1/30以下もすべて1/60で切れる状態です。
スローガバナにリンクできていない状態です。
そのスローガバナも結構強烈に固着しています。
かなり長い間、使われずに仕舞い込まれたままだったと思われます。
それでもボディ側は分解整備清掃注油で
本来の動きを取り戻すことはそう困難ではないと思われますが
問題はフォトミックファインダー側です。
当時の水銀電池が入ったままで液漏れ腐食の原因となっていて
緑青・腐食がかなり広範囲に広がっています。
なんとプリズム内部まで緑青が見られる状態です。
プリズムの外側とか表面ではなくて
蒸着の内側です…もうこれはどうしようもありません。
ただ不幸中の幸いなのはプリズムを取り外して見ると
相当、緑青や腐食が目立つのですが
実際にファインダーに装着して接眼レンズから見ると
それほど目立たなく、緑青の酷い部分はほぼ視野外なのです。
外側部分のできる限りの清掃のみを行います。
そして露出計部分も残念ながら今回は修理不可能です。
電池室・SW部の腐食だけなら代用部品等を駆使して
何とかすることもできますが
内部の抵抗体がもう腐食と蒸着剥がれで残念ながら修理不能です。
ここは交換部品がないと残念ながらどうにもなりません。

通常はボディ側から整備を始めることがほとんどなのですが
今回はとにかくファインダー側に気がかりな部分が多かったので
フォトミックファインダー側から整備を始めています。
露出計に関しては残念ですが
通常の撮影ができるように他部分の清掃整備をしっかり行っていきます。

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ヤシカエレクトロCCNのカメラ修理

今日は3月2日…語呂合わせでわかりやすく
「ミニの日」ですね。
この記念日でいう「ミニ」は
いわゆるミニチュアのことを指しているそうです。
「ミニチュア(miniature)」は縮尺模型のことで
スケール(縮尺)に基づいて忠実に再現した模型のことを指し
「スケールモデル」とも呼ばれます。
ミニカーや鉄道模型もそうですねぇ
精密に再現されたミニチュアは見ているだけでも楽しいですし
持っているとなんだか所有欲も満たされるのですよねぇ
ハマるとちょっと怖い世界ですが…(苦笑)
プラモデルだってそうですねぇ
私はそこまでできませんが精密且つ美しく仕上げるモデラーさんの
作ったプラモデルは眺めていても息を飲む美しさですものね。
カメラだって大きな重いボディで堅牢に動くカメラもよいですが
小さくて精密に造られているカメラもまたいいものですよね。
この「小さくて精密」っていうキーワードに
弱い方は結構多いかと思います…私もですが…(笑

さてさて

今日のカメラもなかなか小さくて精密なカメラです。
(カメラは基本的にどれも精密ではありますが…)
「ヤシカエレクトロ35CCN」
コンパクトなボディに35mmF1.8の大口径広角レンズを搭載します。
この35mmというところが大きな特徴です。
エレクトロの他モデルは40mm~45mmのレンズを搭載しており
他メーカーのこのジャンルのカメラでも
40mm前後のレンズであることがほとんどです。
さらに目測ではなく距離計搭載となると
同じようなカメラはほとんどないと思われます。
ただし、このエレクトロCC(N)は
絞り羽根が2枚羽でかなり特殊な形状をしていますので
解放以外ではいわゆる「ボケ味」を楽しむカメラではありません。
でも絞り優先オート専用機なので
減光フィルター等を駆使して解放で使ってみるのは面白いかもしれませんね
このカメラだけではありませんがこの時代のカメラで
大口径レンズを搭載しているのは
光量の少ない場面で何とか速いSSを確保するためのものです。
この頃のフィルムはISO(ASA)100が標準でもありますし…
エレクトロは元来「ろうそく1本の光でも写るカメラを目指す」というのが
初代からのコンセプトなのでそこにブレはないですね!
ちなみにCCとCCNの違いは外装に「WIDE」のプレートが付いているくらいで
機能的にも変わりません。
シャッタスピードの最高速は1/250と少し遅めなので
感度400のフィルムを使う場合は少々注意が必要かもしれません。

お預かりしている「CCN」は一見電池室の腐食もなく
電池を入れるとバッテリーチェックランプも元気に点灯します。
シャッターも快調に切れているよう…です…が…いやおかしいですね(苦笑)
測定機にかけて簡単にチェックしてみると
明るさ・絞り設定に対して異様に速いシャッタスピードで切れています。
実際にフィルム面に届く光は当然ながらアンダーすぎて話になりません。
測定機でもエラーになる状態です。
無条件に最高速で切れてるいるのか???と思うとそうでもないらしく
非常に暗いところにレンズを向けると
少しだけ遅いシャッタースピードに制御されます。
ただそれも正常なら数秒シャッターが開くような状況での話です。
エレクトロシリーズなので光量不足気味でスローシャッターを
選択する場合は警告灯が光ります。
いろいろ試してみるとその警告灯が出るタイミングは正しいようです。
警告灯は出るのに実際は1/250で切れる…みたいな状態です。
うーん、マグネットの吸着の問題なのか
マグネット制御部の問題でしょうか…ちょっと珍しいパターンです。

うーん…いろいろ考えこんでしまいますが
いくつかこうなる原因に思いつくこともあるので
まずは簡単にて手を出せるマグネット周りから
いろいろ調べながら試していきます。
現時点では断言はできませんが
おそらく何とかなるのではないかとは思います。
こうなってくると電子制御カメラはやはり少々厄介ですね。
確率は低いですが
散々時間と手間をかけていろんなことを試しても
最終的には「修理不能」という可能性もあるわけなので…
まぁ今回は何とかなると思います。
考えられる問題個所を一つずつ検証しながら作業を進めていきます。

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キヤノネットQL19のカメラ修理

今日は「富士山の日」だそうですよ。
「ふ(2)じ(2)さん(3)」(富士山)と読む語呂合わせと
この時期、富士山がよく望めることからだそうです。
そうなのですよねぇ
天気が良くても意外と富士山は
雲に隠れて見えないことも多いですものねぇ
頭やらかして以来、すっかり縁がなくなりましたが
私も山歩きは好きで富士山も一度登っています。
いつだったっけ?と思って調べたら2010年の夏…
もう13年前になるのかーーーー
夏山に出かける分には登山道も整備されていて歩きやすく
途中に山小屋も多く人も多いため
心配事は少なくてすみますね。
でも3000m超の山ですからもちろんそれなりにハードでした。
9合目から上は明らかに空気も薄いです。
北岳(3193m・日本で2番目に高い山)は何度も登っていて
あまり空気の薄さを感じることはありませんでしたが
3500m超えるとやはり違いますねぇ
でも個人的には1回でもう充分…って感じでした…
道や景色が単調すぎるのと、やはり人が多すぎる…(苦笑)
富士山はともかく南アルプスの山々には
もっともっと行きたかったですねぇ…

さてさて

本日は「キヤノネットQL19」のカメラ修理を行っています。
社会現象になるほど大ヒットした初代キヤノネットの
構造を受け継ぎながらもより改良の進んだカメラです。
巻上レバーや巻き戻しクランクは初代の底部配置から
一般的なボディ上部に移設され
露出計受光部もセレンからCdSに変更されています。
モデル名にも「QL」とありますが
この時代のキヤノンのお得意ともいえる
「クイックローディング」が搭載され
フィルム装填もかなり簡単に行え、失敗も少ないと思われます。
基本的な機能や構造は初代から受け継がれていて
大口径レンズにレンジファインダー搭載
SS優先オートに加え
露出計はオフになるもののマニュアルも可能という部分は
最終モデルの「G-Ⅲ」まで受け継がれるキヤノネットの特徴です。
この4年後に出る「ニューキャノネット」になると
小型化が一気に進みますが
まだこの時代のキヤノネットは初代同様、少し大き目のボディです。
その分、撮影時のホールディングはしやすく
内部構造にも余裕があり整備性も良好です。
非常にバランスの取れた良いカメラだと思います。

お預かりしているキヤノネットは巻上はできるものの
レリーズしてもシャッターがうんともすんとも言いません。
でもレリーズボタンを押すと次の巻上が行えます。
典型的なシャッター羽根固着の状態です。
レンズシャッター機の宿命とも言える症状です。
シャッター羽根がこれだけ貼り付いているということは
オート制御の構造があるため
もっと小さなバネ力で駆動する絞り羽根も当然のように固着です。
シャッターユニット内からキレイに清掃して
無駄な油脂類や汚れを落とし、羽根自体の入念な清掃が必要です。
他にも距離計のズレだったり
レンズやファインダーに汚れ・カビが見受けられます。
電池室には当時の水銀電池がそのまま入っていましたが
意外なことに電池室や配線へのダメージはあまりないようです。

いずれにしても全体の一通りの整備が必要な状況です。
先述した通り整備性も非常に良好なカメラです。
初代はレンズユニットと露出計のSS情報伝達が
ちょっと独特な構造で行われており
デリケートな部分もあったのですが
そのあたりも「QL17/19」になると改善されています。
ファインダー絞り表示も固着しやすい初代の構造から
改良されています。
反対にオート制御は初代とほぼ同じ構造ですね。
ここは改良する必要がないほどよくできているということでしょうね。
これから本格的に各部の分解整備に取り掛かります。

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ニコンF2フォトミックのカメラ修理

今日は2月20日…キリの良い日付で
記念日制定もそれなりに多い日なのですが…
どうもこれと言ってピンとくるものがないですねぇ(苦笑)
じゃ2月20日の過去の出来事を…と思って調べてみると
ここのブログでもよく話題になる
マーキュリー・アトラス6号(コールサイン:フレンドシップ7)が
1962年2月20日に打ち上げられています。
このフレンドシップ7に
アンスコオートセット(初代ミノルタハイマチックのOEM品)の
改造品が搭載され「世界初の宇宙に行ったカメラ」となったわけですね。
ミノルタはこの1件以降、ハイマチック7やSR-7を
発売し、ミノルタにとって「7」が特別な数字になりました。
フレンドシップ7に載った宇宙飛行士ジョン・グレンが
1963年に来日した際にはミノルタから
製造番号77777777のハイマチックがプレゼントされたそうです。
フレンドシップ7はワシントンD.Cの国立航空博物館に
現在も展示されていてその写真も見たのですが
さすがに時代を感じますし
よくこんなもので宇宙まで行って帰ってこれたなぁ…と思ってしまいます(苦笑

さてさて

ここまでフレンドシップ7に関することを書いたので
今日の修理はハイマチック…いやせめてミノルタ機かと思うところですが
最初のタイトルにあるように
今日は「ニコンF2フォトミック」のカメラ修理を行っています。
そんなうまいタイミングで都合よくスケジュールはされておりません(笑
「ニコンF2フォトミック」の発売は1971年なので
初代ハイマチック発売の10年後、フレンドシップ7の発射から9年後になりますね。
伝説の一眼レフとなった「F」の後継機F2の
露出計内蔵フォトミックファインダー搭載モデルです。
「F」の時代にも「フォトミックファインダー」及び搭載モデルは存在しましたが
あくまでも派生モデル的位置づけでした。
デザイン的にも好みはあるとは思いますが
一体感といった意味ではやはり少しちぐはぐした印象でした。
これが「F2」の時代になると内蔵露出計もかなり一般的な存在となり
F2ではフォトミックファインダー装着モデルの方が
露出計レスの従来のアイレベルファインダー搭載機よりも
メインの存在になってきています。
フォトミックファインダーが装着されることが前提で
電池室から「F」時代のファインダー側からボディ底部に移設され
電源SWは巻き上げレバー連動となります。
電池室がなくなったこともありフォトミックファインダーも
随分コンパクトになりました。
それでも少し頭でっかち感はあるのですが
F2フォトミックのレベルであれば「ニコンらしい武骨さ」で
逆にカッコ良いと思えてしまいます。
少なくとも個人的には「F2フォトミック」のデザインは私は好みです。
露出計内蔵なのが最大の特徴ではありますが
フォトミックファインダーにはアイレベルとは異なり
ファインダー内にSSと絞り値が表示されるようになっています。
個人的にはこれが一番のフォトミックのメリットではないかと思っています。
絞り値表示に関しては直読式になってしまう「Ai方式」のフォトミックより
「非Ai」のフォトミックの方が視認性に優れています。

お預かりしている「F2フォトミック」は
ボディ側はスローシャッターでのガバナの粘り
高速シャッターの精度不良と
油切れが主な要因とみられるトラブルを抱えている状況です。
しかしながらこれらは通常の整備清掃の上での
調整で解消できるのがわかっているので
心配はしていないのですが
少し気がかりなのがフォトミックファインダーの露出計です。
バッテリーチェックはほぼ正常に動作しているのですが
通常の露出計だと明るさに関わらず常に
針が振り切ってしまう状況です。
F2フォトミックに限りませんが
この時代の露出計でこうい症状が出る場合は
多くの場合がブラシ等で接触する摺動抵抗の
汚れ・劣化が原因のことがほとんどです。
少し余談ですが「F」フォトミックでこの症状が出ていれば
かなりの確率で摺動抵抗上の抵抗体が剥がれ落ちてしまっていて
ほぼ抵抗のない状態になっていて修理不能となります。
F2フォトミックでは抵抗体もF時代に比べればかなり丈夫になっていて
抵抗体が剥がれ落ちている可能性は低く
おそらく汚れが原因だとは思われますが
抵抗自体がダメで修理不能の可能性もそれなりにあり
かなり心配な状態です。
…というわけで今回はボディは後回しにして
フォトミックファインダー側から整備していきます。

結論から言うと何とかなりそうです。
あまり強烈な溶剤等で清掃すると
この作業自体で抵抗体を剥がしてしまう恐れがあるので
かなり慎重に少しだけ抵抗体の清掃を行いますが
症状に明らかに改善の様子が見えたので
抵抗体自体は無事でブラシや抵抗体表面の汚れが
指針振り切りの原因のようです。
とりあえずは少し安心しました。
まだ抵抗体のほんの一部で試してみただけなので
これから本格的に清掃整備に取り掛かります。
その上でできる限りの精度が出せるように調整を行っていきます。
そして改めてボディ側の整備にも取り掛かります。
古いものですからしかたないのですが
やってみないことにはわからないことも毎日多く
なかなか神経をすり減らします(苦笑)

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ニコマートELのカメラ修理

今日は「プライヤの日」なのだそうですよ。
「プ(2)ライ(1)ヤ(8)」と読む語呂合わせからだそうです。
プライヤ…要はモノを挟む・掴むための工具ですね。
いわゆる「ペンチ」もプライヤの一種です。
(余談ですが日本では逆に「プライヤ」が
ペンチの一種を指すことも多いようです)
ペンチにしてもプライヤにしても身近な工具ですよね。
私の仕事の場合は相手にする部品が小さいので
一般的なプライヤの出番は少なく
部品を掴んだりするのはピンセットが主役となります。
ただ、プライヤの一種でもあるラジオペンチは
先端加工してカニ目を回す際に多用しますし
これもプライヤの一種でもある「ニッパー」も多用します。
あまり出番が多いのは良くないですが
「ネジザウルス」もプライヤの一種ですね。
この手の工具は毎日手にしますし
工具屋さんやホームセンターに行くと
何か役に立てそうな工具はないかプライヤ関連は
かなり頻繁にチェックします。
手先の器用さというか技術だとかいう前に
使いやすい工具を正しく使うのも非常に大事です。
「弘法筆を選ばず」なんてことも言いますが
道具次第で作業効率は全く変わりますよ。
まぁこれもこだわり過ぎも禁物で
無駄に高価な工具を使うのもどうかとは思いますが…
工具は何にしても基本的には消耗品ですし…
(長く使えるものももちろんありますが…)
今日もいろいろな工具を手にしながらカメラを整備していきます!

さてさて

本日は「ニコマートEL」のカメラ修理を行っています。
1972年発売の電子制御シャッター機です。
ニコマートシリーズは機械制御シャッター機の「FT系」が
60年代から先行発売されており
EL系は随分遅れての追加となった形です。
ニコン初の絞り優先オート搭載機であり
「非Aiレンズ」でオート撮影ができるのは
この「EL」とワインダー対応の「ELW」のみとなっています。
電子制御シャッター機なので電池がなければシャッター制御はできませんが
電池がない場合は1/90のみ使用可能の状態になります。
オート時には1/1000~4秒のSSを無段階で設定する仕組みになっています。
特徴的…というか独特なのは電池室の場所で
なんとミラーボックス内底部に電池室が配置されています。
ミラーアップまたは指でミラーを上げておいて
電池室の蓋を開くような手順となり
またこの電池室、電池(4SR(LR)44)が取り出しにくいのです…
設計時に相当場所に困ったのでしょうね…(苦笑)
決してコンパクトなボディではないので
何とかならならなかったのか…という気もしますが…
今でもよく覚えていますが
初めて「EL」を手にした時に説明書も何も手元になく
「あれ???電池ってどこからいれるの????」と
電池室を探しまくったあげく
自力では見つけられなかった…ということもありました(笑
電池室云々の話はともかく
基本的には非常に使いやすい露出計ファインダー表示を持つカメラで
オート時だけではなくマニュアル時にも使いやすいカメラです。
シャッターは既に実績充分のコパルスクエアです。
機械的安定度は抜群のユニットなので電子制御さえ安定してれば
非常に信頼性の高いシャッターです。

お預かりしている「ニコマートEL」は非常にキレイな外観の個体です。
動作も一通りは行えているのですが
細かくチェックしていくといくつか問題を抱えています。
まず高速シャッターに問題があり
1/1000設定だとシャッターは全く開きません。
1/500設定だと開くのですがこのときも1/1500くらいの露光量しかありません
非常にスリットが狭い状態ということです。
こういう場合に多いのが先幕の動きが汚れ等で遅く
後なくに追いつかれてしまっているパターンですが…
今回の場合は少し状況が異なるようです。
1/500や1/250で計測してみると先幕の動き自体は悪くなく
後幕よりも少しばかり幕速は速いほどなのです
…となるとマグネットの吸着解除の
タイミングがよくないということだと思われます。
単純にマグネット吸着部の汚れ等が原因であればまだ良いのですが
制御部の問題だとちょっと大変かもしれません。
そのシャッタースピードの問題を抜きにしても
オート制御はかなりアンダー気味でSSの精度は充分出ている
1/125や1/60を使うような設定でもオートは2段近くアンダーになってしまいます。
露出計の指示する値自体は問題ないようです。
それからこれは原因は単純ですが
フィルム室の蓋(ボディ裏蓋)が非常に開きにくくなっています。
巻き戻しクランクを引き上げた時点でロックは外れているのですが
そこから指で強引に開かないと裏蓋が開きません。
確かにモルトは劣化していて多少粘着質ですが
通常はそのくらいではこんなに開きにくくありません。
で、開けた状態でよく見てみると…
モルトを随分前に一度替えているのだと思いますが
その際にボディ側の溝部分は中途半端なモルト除去にとどまっていて
新しいモルトを本来モルトの貼られていない
裏蓋側にそれも厚めに貼ってあります
そして今度はその貼ったモルトが劣化してしまっています。
で、裏蓋の空きにくい原因はこの裏蓋側に貼ったモルトです。
試しにざっくりモルトを除去してみると
見違えるように普通に開くようになりました。
もちろん後で正しい位置に適正な厚さのモルトを貼り直します。

まだ現状をチェックしただけの状態です。
これから本格的に分解整備取り掛かります。
整備性はそれほど悪くないカメラですが
上カバーを開ける際に予備知識がないと
わかりにくいところが一ヶ所あり
そこがまた場合によっては
回りにくくてなかなか開かないのですよねぇ…(苦笑)
まぁ、何にせよ。何とかがんばります!

ミノルタXDのカメラ修理

今日は「天使の囁き記念日」だそうですよ。
ここでいう「てんしのささやき」とは
マイナス10℃以下になると空気中の水蒸気が凍ってできる
氷の結晶「ダイヤモンドダスト」のことだそうです。
1978(昭和53)年のこの日に
北海道幌加内町母子里(ほろかないちょうもしり)で
気象庁の公式記録の対象から外れていたため
非公式だそうですが国内最低気温のマイナス41.2℃を記録したそうです。
これにちなみ、同町の「天使の囁き実行委員会」が
1994(平成6)年に制定した記念日です。
ダイヤモンドダスト(細氷)は気温もさることながら
いろいろな条件が揃わないと出現しないのですよねぇ
でも人工的に作りだすこともできるそうです。
一度は実際にダイヤモンドダストの舞うところを
体験してみたい気もしますが…
いや…もう常識外に寒いところや暑いところはイヤだな…
間違いなく身体にダメージありそうですもの…(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタXD」のカメラ修理を行っています。
1977年発売の世界初の両優先オート(絞り優先・SS優先)搭載カメラです。
もちろんマニュアル露出も可能です。
いわゆるマルチモード機の先駆者となったカメラです。
翌年にはさらにプログラムオートも搭載された
最大のライバルであるキヤノンA-1が発売され
本格的なマルチモード機の時代に移り変わっていきます。
発売当時は機能的な面が非常にクローズアップされていましたが
現在ではその端正で飽きの来ない優れたデザインと
ミノルタらしい何とも気持ちよい使い心地で
注目されるカメラとなっています。
凝縮感のあるコンパクトなボディが誰が見ても
好印象なイメージだと思います。
この時代のミノルタらしく使い心地の良い基本設計のカメラに
当時の最先端の最先端の電子技術を組み合わせ
高機能てんこ盛りにしたカメラなのですが
現行機種だった当時から
電気系のトラブルが多いカメラであったのは有名です。
現在それなりに動作している個体は当時に
正しい対策が施されたものも多く
それほど困った状態のものを見ることは少ないような気もしますが
当時から長らく眠っている個体は安心できないものが多いです。
当然ながら電子部品の交換等は不可能な部分が多いので
場合によっては修理不可能になることも多いカメラです。

お預かりしている「XD」は人気のブラック塗装モデルです。
随分長い間使われずに仕舞い込まれていた個体だと思われます。
その際に電池が入れっぱなしになっていたものとみられ
電池室にはかなり激しい腐食が発生しています。
電池室から見える部分もそうですが
裏側の端子やハンダ、周辺の配線等にも腐食が広がっていると思われます。
当然ながら電源は全く入らない状態です。
電源が入るようになっても電子部品の問題でまともに動かない可能性も
それなりにあるので修理する立場としては
なかなかハイリスクな状態と言えると思います。
もちろん何とかする方向でできる限りの整備を行っていきます。
電源が入らないのでシャッターは「B」と「O」でしか切れません
そこでも他の問題が確認されています。
XDでたまにある症状なのですが
ボディ側のレンズ絞込レバーの動きが悪く
レンズを全く絞り込めない状態になっているようです。
ここは単なる機械的な動作不良なので何とか改善できるかと思われます。
加えて巻上部にはかなり粘りがあり
XEほどではないにしろ魅力の一つである
「巻上の滑らかさ」も大きく損なわれた状態です。
こちらも最終的には改善してきたいと思います。

まだ上カバーを外しただけの状態ですが
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
これだけのフレキを抱えた電子制御満載のカメラなので
当然ながら分解整備の難易度は高いカメラです。
細心の注意を払いながら作業を行っていきます。

…このあと…まずは電源の復旧を行い
まずは電気でシャッターの切れる状態にするのですが
なかなか動きが不安定でやはり各接点や摺動抵抗の
接触不良があちこちにあるようです。
ただ致命的に制御不能な症状はなさそうで基板内漏電も行っておらず
何とか修理可能な状態であることが判明して少し安心しました。
これからさらに整備調整を行い普通に使える状態にしていきます。

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ペンタックスSPのカメラ修理

今日は記念日設定の少ない日なのですよね…
そんな中、「次に行こうの日」なんてのが制定されてますね。
日付は4月の新学期を前に
「次に(2)行(1)こう(5)」と読む語呂合わせからだそうです。
いろんなことで切り替えは大事ですよね!
ただ捉え方にもいろいろあって
ひとつのことをあきらめずにあきらめずに
失敗を重ねてもまた取り組みを変えてトライし続けることで
初めて身になるものも多いですものね
何も考えずに同じことを繰り返して
同じ失敗をしているようではまたダメなのでしょうが…(苦笑)
大枠で同じ目標に対して
いろいろな方法を試すという意味で「次に行こう!」ってのは
いいかもしれませんね!
まぁいろいろな場面によって考え方も変わりますので
一概には言えませんか…
「あきらめが肝心」ってこともありますし
切り替えるのではあればスパッと次に行かなくちゃダメでしょうねぇ
何事も毎日がいろんな判断の繰り返しで大変ですよね
何だか話がとっちらかってきたので今日はこの辺で…(笑

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
これも修理依頼の多いカメラですね。
何と言っても大ヒットモデルで現存数が非常に多いということもありますが
その上にM42マウント機でレンズの選択肢も多く
現在でも非常に人気のあるカメラということで
当然ながら修理依頼も多くなってくるわけです。
新品が大ヒットした当時はM42マウント云々というよりも
TTL測光で露出計が使いやすく
超高級機に遜色ないスペックの割には比較的お求めやすい価格で
まさに時代にうまくマッチしたのがヒットの要因かな…とも思います。
レンズマウントがユニバーサルマウントで
絞り情報伝達機能の全くないM42マウントの為
測光は絞込測光となってしまい
TTL開放測光に慣れてしまっていると少し不便さを感じますが
それも慣れてしまえばそれほど問題なく使いこなせると思います。
その他の部分はシンプルな一眼レフですが
シンプルな故に使い勝手は悪くないと思います。

お預かりしている「SP」はまず低速SS時に
かなり高い頻度でミラーアップしたままになってしまいます。
SPの修理の際によくあるパターンですが
今回もミラー駆動部の動作不良と言うより
シャッター後幕の動作不良により
先幕が完全に走り切った後で後幕がスタートする
低速SS時において幕走行が正常に完了せず
後幕リンク部がミラーダウンレバーを蹴れないことが原因かと思われます。
そんな状態なので高速SSでもシャッターは切れていても
やはり精度は正しく出ていません。
先日のKXの修理でも書いた通り
SP以降のペンタックス横走り機は
調速カム周りの動作不良が経年劣化のため
酷いものが比較的にあり
そうなってくるとそう簡単に高速SSの精度が確保できなくなってくるので
整備の際にも注意が必要です。
今回は幕軸清掃や注油で結果的には問題はクリアできています。
そしてSPの整備でこれも問題の多い露出計ですが
古い水銀電池が中に入ったまま腐食してしまっているようで
電池室の蓋がビクとも開きません…
これはなかなか苦労しそうです。
力任せに開けようとしても壊してしまうのがオチなので
溶剤や潤滑油を使って時間をかけて緩ませていきます。
次巻は非常にかかりましたがこれも何とかなりそうです。
電池室裏の接点もかなり腐食が進んでおり
徹底的に磨いた上に処置を行って導通を確保していきます。

今回はプリズムは腐食もなく非常に良い状態です。
コンデンサレンズや接眼れずも含めて
若干のカビや汚れがあったので
そこはできる限りの清掃でさらにキレイにしていきます。
CdSや基板内抵抗等は問題なさそうです。
電池室周りさえ修理できれば後は調整で
露出計精度も確保できそうです。
巻上機構周りは油切れも進んでいますので
本来の軽快な巻上になるようにこちらも整備を進めていきます。

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