月別アーカイブ: 2018年10月

ミノルタSR-1のカメラ修理

今日は「時刻表記念日」だそうですよ。
1894年のこの日に日本初の本格的時刻表が
出版されたそうです。
今は何でもネット。。。というかスマホで調べちゃうので
時刻表をじっくり見ることはなくなってしまいましたが
子供の頃は時刻表をよく見ていました。
旅行に行くわけではないのですが
呉を何時に出て広島で乗り換えて。。。大阪に何時に着いて。。。
とかシミュレーションしているのが好きだったのですね。
それから夜中や早朝に広島駅に通過する
ブルートレインの時刻表を一生懸命見ていた記憶があります。
結局、実際に見ることは叶わなかったなぁ。。。

さてさて

本日は「ミノルタSR-1」のカメラ修理を行っています。
1959年発売開始のカメラです。
前年の1958年秋にミノルタ初の一眼レフである
「SR-2」が発売され翌年夏に
1/1000のSSが省略された他はSR-2と共通である
SR-1が発売されました。
順番とモデル名が逆でわかりにくいですが
数の大きいほうが上位機種。。。ということだったのですね。
このSR-1、モデル名は同じSR-1でも
毎年のようにマイナーチェンジが行われ、
ボディ形状だけでも4種類の「SR-1」が存在します。
加えて「SR-1s」(ほぼ中身はSRT101)もありますから
なかなかこの辺の機種は区別がわかりくいですね。

最初のSR-1は露出計用のソケットもなく
フィルムカウンターが巻き戻しクランク側にあります。
おそらく今回、お預かりしているのは1963年のタイプで
比較的、モデル後半のものだと思われます。

それにしても随分、汚れてますね。
サビはなかなか落とせないですが
極力外装もキレイに清掃します。
随分、長い間、眠っていたと思われるカメラで
シャッターは切れたり切れなかったりで
切れたとしても後幕はキレイに走りきらず
ミラーアップしたままになってしまうことも多々あります。
プリズムは残念ながら腐食が始まっており
これは中古良品と交換することで対応します。
巻上も油切れで少々重い状況です。

SS最高速が1/500であること以外は上級モデルである
SR-2とほぼ同一です。当然非常に良い造りで
中身にも安っぽさは全く感じられません。
ただ、流通台数が多いせいか程度の悪いカメラが多いことも事実です。
またSR系は基本的に非常に丈夫だから
油切れであちこちの可動部に問題があるはずなのに
とりあえず動いてしまうものが多いのですよね。
何だか体中の関節が痛いのに
文句ひとつ言わずに健気に頑張っているような感じを受けてしまって
未整備でとりあえず動いているSRを見るとちょっと切なくなります。。。

もちろん今回は分解を進め
シャッター幕軸、ミラー駆動部、巻上部。。。等々
可動部分をくまなく清掃し注油を行っていきます。

ところで。。。。

写真ではちょっとわかりにくいのですが
(クリックすると大きくなります)
SR-1・2・3はフィルム室にモルトがありません。
蝶番部分に植毛紙が貼られているだけです。
よくみると裏蓋側の溝が二重構造になっていて
モルトや毛糸がなくても遮光されるようになっています。
コストはかかるのでしょうけどこうすればモルトは不要なのですね。
オリンパスペンFも同じような構造ですね。
(ペンFはファインダー内部にモルトがたっぷり貼られていますが。。。)

写真は一通り整備が完了した状態です。
シャッター音もSRらしいシャキッとした感じの音になりました。
巻上も預かり時よりは随分滑らかになりました。
もちろん、ファインダーは腐食もなく
非常にキレイになりました
もう少し時間をおいてから
シャッタースピードの最終チェック+最終調整を行い完成となります。

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コニカLのカメラ修理

今日は「徒歩の日」だそうですよ。
たまにはゆっくり歩いて近所を散歩するのもいいですねぇ。。。
駅からすぐ電車に乗って移動したり
駐車場からすぐクルマに乗って移動していたりすると
近所のちょっとした路地だとか
いつもは通らない場所にあるお店だとかに
気づかないことも多いのではないかと思います。
時間に余裕のあるときは
近所のそれも普段歩かないような道を歩いてみると
新しい発見があってきっと楽しいと思います。

さてさて

本日は「コニカL」のカメラ修理を行っています。
ここのブログでも初登場ですね!
ちょっと見かけることの少ないカメラだと思います。
まずはどんなカメラなのか、写真から。。。。

レトロかつキュートなデザインでなかなか魅力ですね!
コニカLの「L」はLadyの頭文字からだそうです。

セレン光電池を使用した露出計を備えており
シャッターは基本的にシャッタースピードと絞りの組み合わせが
決められたプログラムシャッターです。
プログラムシャッターのリングを回すと
連動して露出計が動き、指針が真ん中に指せば
そのリングの位置が適正露出という仕組みです。
プログラムシャッターではありますが
シャッター羽根は絞り兼用ではなく
独立した絞り羽根が存在し、バルブやフラッシュ時には
任意の絞りを設定することができます。
露出計の指針はカメラ上面でも確認できますが
ファインダー内でも確認することができます。
なかなか凝った仕組みですね。

搭載されるレンズはコニカ・ヘキサー40mmF2.8です。
ピント合わせは目測で行います。

実は上の写真は既に一通りの整備が完了した後の写真です。
預かり時にはシャッターが全く切れない状態でした。
レンズシャッター機では定番のシャッター羽根の粘りが原因でした。
その他にも動きが悪いところやレンズ・ファインダーの汚れ等も
かなり見受けられたので
全体の点検整備一式を行いました。
ファインダーやレンズはできる限りの清掃ですが
通常の撮影には問題ないレベルに仕上がったと思います。

これをぶら下げて撮影散歩なんて
なかなかオシャレですよね!
ちょっと個人的にも欲しくなるカメラです。

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キヤノンFTbのカメラ修理

今日は10月3日、「10・3」ということで
「登山の日」です!
山を歩くにはベストな季節ですね。
2000m以上のエリアだともう既に紅葉は終わりかけだと
思われますが、まだまだ楽しめるところはたくさんあります。
残念ながら今年は元旦の丹沢以来
全く山を歩けてはいないのですが
時間と気力と体力の都合がつけば(笑)
また南アルプスや八ヶ岳に出かけたいですね!

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年にキヤノン初のプロ向け高級一眼レフである
「F-1」が発売されましたが
同じ時期に発売された中級機が「FTb」です。
FDマウントレンズに対応し開放測光ができるようになりましたが
旧FLレンズでも絞込み測光で対応可能です。
機械制御シャッターで旧F-1からフィードバックされた
部分もたくさんある良くできたカメラで
現在でも根強い人気のあるカメラです。

発売から2年後の1973年にマイナーチェンジが行われ
「FTb-N」とも呼ばれるモデルに進化します。
今回、お預かりしているカメラはこの「FTb-N」です。
何が変更になったかというと
まずファインダー内にシャッタースピード表示が追加になりました。
これが最も大きな変更点だと思います。
他は巻上レバー、セルフタイマレバー、シャッターボタンの変更等々です。
より使いやすいモデルに進化したといえますね!

お預かりしている「FTb-N」は
ご依頼者様のおじいさまが使われていたものだそうです。
かなり長い間、使われずに保管されていたようで
あちこちの動きが悪くなっている状況です。
まずはシャッターがレリーズできたりできなかったりします。
シャッターが普通に動作しているときでも
シャッター速度の精度は全く出ておらず
露出計も動きません。
全体的に油切れだったり汚れやサビの付着で
かなり動きは重くかろうじて息も絶え絶えで動いている感じです。
。。。。ということは軽い力で気持ちよく動けるように
してやればまだまだ元気に動くということですね!

とにかく中身も外装も徹底的に清掃、サビ落としを行い
動作部分には注油を行った上で精度出しを行いました。
非常にスムーズに安定して動作するようになりました。
後は少し時間を置いてから最終チェックを行えば完了です。

ご依頼者様はフィルムカメラを使うのはこれが初めてということです。
もちろん、納品時にできる限り使い方も説明させていただきます。
いわゆるマニュアルカメラですから
少し慣れは必要だとは思いますが
これが普通に使えるようになれば
露出やピントの基礎も自然に理解できると思います。
自由自在に使いこなせるためのお手伝いができれば
私も嬉しいですね。

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ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は「日本酒の日」だそうですよ。
ビールもなんだかんだ飲みますが
お酒の中で何が一番好きかと言われると
やっぱり日本酒ですね!
食事を引き立たせる純米酒もいいし
洋梨やリンゴのようなフルーティーな香りの
吟醸酒もいいですよねぇ。。。
それに加えて今は全国各地のお酒が
簡単に手に入るので
お気に入りの日本酒を探す楽しみもあります。
少し前に日本酒離れが進んでいる。。。なんてお話もありましたが
今は少しは良い状況になったのかな。。。
そういえば先日、お客様にいただいた
和歌山の純米吟醸酒があるから
今日は日本酒の日ですし
お店終わったら少しいただきましょう

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
前身の「ペンタックスSP」の露出計を開放測光に対応させたものです。
絞込み測光と開放測光の機械的な部分での
大きな違いはレンズからの絞り情報が必要となるということですね
通常のM42マウントレンズでは
レンズの絞り情報の伝達ができないため
絞り伝達レバーが追加された「SMCタクマーレンズ」が登場しました。
つまりSPFであっても「SMCタクマーレンズ」を使わなければ
開放測光はできません。
SPFは露出計以外の部分は基本的にはSPと同様です。
しかしながら露出計周りはSPとは全くの別物です。
レンズの絞り情報も加えながら露出計を駆動することになるので
SPと比べると基板周りはずっと複雑になりました。

お預かりしているSPFは
まずプリズム腐食のトラブルを抱えています。
これはもう中古の腐食のないプリズムと交換するしかありません。
SP系のプリズム腐食はファインダー視野中央横方向に
一直線の黒い線が出るパターンです。
遮光のためにプリズム周りにぐるっと貼ってある
モルトの劣化が原因です。
加えて、SPF自慢の露出計が全く動きません。
おそらく接点やリード線の腐食が原因と考えられます。
シャッターも幕バランスが完全に崩れていて
精度は出ていません。幕軸が汚れていて動きが悪いようです。
細かいところを言えばセルフタイマーも固着したままになっています。
全体的に経年劣化で動きが悪い状態ですが
分解してキレイに清掃してスムーズに動作するようにすれば
十分復活できる状態と考えます。

で、今日は既に整備は一通り完了して組み上げた状態です。
シャッタースピードも問題なレベルになり
ファインダー内も視界良好、露出計ももちろん動作しています。
露出計に関しては接点清掃してリード線を交換しても
なかなか安定せず原因を探すのに苦労したのですが
不安定な原因はメーターのアース部分の接触不良のためでした。

機械的な動作部分を洗浄し、新しく注油を行っているので
少し時間をおいてから最終チェックを行います。
新しい油が馴染むまではなかなかシャッター幕軸の動きが
安定しないためです。

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