月別アーカイブ: 2019年6月

キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

今日は「元号の日」だそうですよ。
645年に日本初の元号「大化」が
制定された日だそうです。
先日、平成から令和へ改元されたばかりなので
元号にまつわるニュースも多かったですが
普段はあまり和暦を使うことは確かに少なくなってきました。
それでも生年月日とかは和暦のほうが何だかしっくりしますね。
ところで「天皇一代に元号一つ」となったのは
明治時代からでそれより前は
天皇が変わらなくても改元は行われていたのだそうです。
そうなるとかなりややこしそうですね。
ちなみにこれまで定められた元号の数は248だそうです。

さてさて

本日は「キヤノンAE-1プログラム」(AE-1P)のカメラ修理を行っています。
1981年に発売されたカメラです。
Aシリーズが始まって5年が経過した頃のモデルですね。
シャッタースピード優先AEを搭載したAE-1に
さらにプログラムAEが搭載されたカメラですが
変更点はそればかりではなく
ファインダー表示もLEDとなり
電子制御関連の部分はAE-1から格段に進歩しています。
基本的な構造や考え方はあくまでAE-1がベースなのですが
その基本的構造を制御する部分は全く別物です。
上カバーを開けてみただけでも
その変化は明らかで、いろいろと厄介者扱いになる
糸連動がついになくなりました。
それ以外にもリード線で結線される部分も随分と減り
この時代の電子技術の進歩を思い知らされます。

お預かりしているAE-1Pは
受付時にご依頼者様の前で一度シャッターが切れたきり
全く動かなくなってしまいました。
電源が全く入らないようなので根本的に
電池室からの通電がないのでは。。。と思っていると
案の定、電池端子マイナス側に緑青が発生しています。
電池室裏も同様です。
ここの処置を行い、「さてとりあえず動くかな」と思いきや
今度は露出計やバッテリーチェックは動作するものの
シャッターが全く切れません。
レリーズボタンを押しても何にも動きません。
レリーズ接点等々の清掃を行い
やっとシャッターが切れましたが
その作動音は定番のシャッター鳴きでかなり重症です。
(明らかにミラーの動きも緩慢です)
加えてオート時の絞り制御ステーの動きが悪く
オート露出が非常に不安定です。
接点や駆動部を中心に
一通りの清掃・整備・調整を行います。

中学生になった頃だったかな。。。
カメラ屋さんからAE-1Pのカタログ持って帰って
他のカメラのカタログといろいろと見比べていました。
まぁ、当時の私に一眼レフが買えるわけもなく
そのうちカメラはじいさんのニコンを借りればいいや。。。って感じになり
部活や他の事にも一生懸命になっていくのですが。。。
私にとってもいろいろと懐かしいことを思い出させるカメラです。

一通り整備が終わり動きそのものは良くなったようです。
しばらく時間をおいてから
最終チェックで問題がなければ完成です。

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キヤノンTLbのカメラ修理

今日は「おまわりさんの日」だそうですよ。
1874(明治7)年のこの日に巡査制度が始まったことに
由来しているそうです。
同じ年に「交番制度」も始まっているのですが
当時はまだ交番の建物もなく
雨風の強い日は大変だったそうです。
普段、あまりお世話になることはないですが
地域に根ざした交番とおまわりさんの存在は
本当に心強いですよね。
。。。全く話は変わりますが。。。
今日は広島カープのエース
大瀬良大地選手の誕生日でもあります!
おめでとうございます!
次の登板もがんばってください!応援しています!

さてさて

本日は「キヤノンTLb」のカメラ修理を行っています。
1976年発売のカメラです。
その前年にFTbの機能をもっとシンプルにしたモデル「TX」が
輸出用として登場しており
そのTXをさらにシンプルにしたものがTLbです。

お預かりしているTLbは
まず高速シャッター(1/500)が開きません。
シャッター幕走り始めから走り終わりまで
全く開かない状況です。
加えて露出計も全く動きません。

先幕と後幕の幕速のバランスが悪いため
シャッターが開かなかったり、
露光ムラが発生するのは
フォーカルプレーンシャッター機では定番のトラブルですが
その多くは幕軸の汚れや油切れ等が原因です。
ただし、キャノンFシリーズの場合は
そこだけではなく幕ブレーキ周りの油切れも多いと思われます。
シャッター幕のバウンドが起きたり
先幕の幕速が安定しない場合もここが原因のことが多いです。
未整備のキヤノンFシリーズ機で
シャッターを切ったときにシャッター音に「ギャッ」と言った感じの
高い音の「鳴き」(Aシリーズのシャッター鳴きとはまた別物)が
出る場合の原因もここである可能性が高いです。
今回のTLbもまずは幕軸の清掃で
シャッター動作はおおまかには安定したのですが
たまに先幕が極端に遅くなるような症状もあり
それの原因は幕ブレーキ部の油切れが原因でした。

基本的な構造はFTbと同様です。
写真にも少し写っていますが
受光体(CdS)はコンデンサレンズの後ろではなく
接眼レンズ上部に置かれています。
そのためFTbは中央部部分測光ですが
TLbは中央部重点測光に変更されています。
ちょっと変わっているのは
前面左側にあるレバーは一見セルフタイマーレバーですが
TLbの場合はプレビュー(絞り込み)レバーです。
セルフタイマーは省略されています。

付属のFD50mmF1.8s.cレンズは
絞りが固着してしまっているようで
絞り羽根が全く出てきません。
こちらもこの後、絞り羽根清掃を行います。

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ミノルタハイマチック7Sのカメラ修理

今日は「和菓子の日」だそうですよ。
和菓子といえば餡子を使ったものも多いですが
私、餡子大好きなので和菓子ももちろん大好きです。
(まぁ甘いもの全般的に好きなのですが。。。)
どちらかといえばつぶ餡よりこし餡派かな。。。
基本的に緑茶に合わせることを前提に作られているので
やはり熱い緑茶と一緒に食べたいですね。
調べていて気がついたのですが
カステラ等の「南蛮菓子」も和菓子の中に入るのだそうです。
カステラも美味しいですよねぇ。。。
でもカステラは緑茶ではなくて合わせるのは牛乳かな。。。
カステラもいいですが
何だか「もみじ饅頭」が食べたくなってきました。。。(笑)

さてさて

本日は「ミノルタハイマチック7S」のカメラ修理を行っています。
1966年発売のカメラです。
その数ヶ月前に発売されたハイマチック9から
フラッシュマチック機構を省略したカメラです。
どちらも基本的な部分はハイマチック7と同様ですが
細かい部分はいろいろとブラッシュアップされています。
CdSを使用した露出計はファインダー内にLV値を表示します。
シャッタースピードリングと絞りリング、両方を「A」のポジションにすると
プログラムAEとして露出を決定します。
マニュアル時にも露出計は動作し
絞りリング上でLV値も表示されるので
マニュアルでも使いやすいカメラです。
このタイプのAEカメラだとマニュアル設定はできても
その場合は露出計は動作しないものも多いので
そこは非常に便利です。
ちょっと変わっているのは
露出計のSWがASA感度設定部にあることです。
消費電力は小さいので
小まめにSWを切る必要はない。。。ともいえるので
これはこれで良いのかもしれません。

お預かりしている「ハイマチック7S」は
多少のスレこそありますが
全体的に非常にキレイな個体です。
この時代のカメラはメッキ部分も多いのですが
それらがピカピカに輝いています。
おそらく長らく使われてはなかったものだと思われますが
非常に良い環境で保存してあったものだと思われます。
とはいえ、経年劣化は確実にあるようで
まず露出計が作動しません。
電池室そのものは一見、キレイなのですが
後で分解してわかりましたが
電池室裏の端子は腐食しており
かろうじて配線のハンダは付いていましたが
ほんの少しピンセットでつついただけで
ボロッと取れてしまいました。
配線自体も腐食しているため交換が必要です。
シャッターはお約束の羽根粘りがあり
ファインダーは随分と曇ってしまっています。

シャッターユニット、レンズ周り、露出計関連、ファインダー、等々
一通りの点検整備一式を行います。
これで外観だけでなく内部もしっかりキレイになり
快調に動作するようになると思います。
レンズ一体型コンパクトカメラ。。。というには
この時代のハイマチックは少々大柄ですが
その分、内部には余裕があり、整備性は非常に良好です。

多少発売時期は前後しますが
この時代のミノルタのレンズ一体型のカメラは
ハイマチックシリーズを筆頭に
ミノルチナの流れを汲むALS、
Aシリーズの末裔AL2、ユニオマットシリーズ。。。等々
非常にバリエーションに富んでおり
見比べてみるのもなかなか楽しいですね。

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ニコンFEのカメラ修理

今日は「オウムとインコの日」だそうですよ。
子供の頃にセキセイインコを雛から育てたりしてましたねぇ。。。
手乗りインコで何ともはやかわいいのですよねぇ
犬や猫は「絶対飼ったらダメ」とよく言われていたのですが
小鳥は比較的お許しが出ていたのです。
他にもカナリヤや文鳥を飼ったりしていました。
今だったら大きなオウムを飼ってみたいな。。。とか
少し思いますがオウムは長生きですからね
今から飼いはじめるときっと私のほうが
先に命が尽きてしまいそうです(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
1978年発売開始のモデルです。
キャッチフレーズは「シンプル・ニコン」
適度にコンパクトで使いやすい中級機です。
電子制御シャッター機ですので
絞り優先AEで気軽に撮ることもでき
マニュアル時にもファインダー内で
絞り値、SS値、ともにファインダー内で確認できます。
指針式の露出計は露出計指針と設定しているSSの指針の
2針式でパッと見にどのくらい今の設定が露出計とズレているかも
把握でき非常に使いやすい仕様です。

お預かりしているFEは高速シャッター時に
ミラーアップだけしてシャッターが動作しないことがあるようです。
FE使いの方はこう言えばわかりやすいと思うのですが
電池を入れていないときに
M90・B以外で切ったときと同じ状況です。
(生産時期によっては電池が入っていなくても
一定速度でシャッターが切れる個体もあります)
。。。となると、最初に疑うのは
電源が不安定ではないかと予測するのですが
電池室周りに問題はないようで
基板までしっかり電圧は供給されています。
BCランプも安定して点灯します。
M90では全く症状が出ないので
機械的にシャッターが切れないようではなさそうです。
よくよく調べてみると症状が出るのは
ほぼ1/1000のみで他のシャッタースピードでは出ないようです。
加えて1/1000、1/500はシャッターが切れても
全くシャッターは開いていません。
1/250でも1/1000近い露光量になってしまっています。
さらに後幕の幕速が先幕に比べて非常に遅く
1/250でシャッター幕走り始めと走り終わりの露光量の差は
1段以上ある状況です。
後幕の幕速の遅さは物理的な理由だと思われますが
1/1000でシャッターが切れないのは
何かしら電気関連の理由だと思われます。

いろいろなパターンを試しながら現状チェックを行い
これから本格的に分解整備に取り掛かります。
ある程度、症状のパターンも読めてきたので
おそらく何とかなるとは思います。
その他にも巻上がたまにひっかかったりとか
SSの問題を考慮してもオート露出が大幅にアンダーとか
いろいろ問題を抱えているので
ひとつひとつクリアしながら整備を行います。

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リコーフレックスⅥのカメラ修理

今日は「手羽先記念日」だそうです。
手羽先のから揚げ。。。美味しいですよねぇ。。。
ただ、個人的好みの問題ですが
あまりスパイシーだったり甘辛のたれで味付けしてあるのは
ちょっと苦手で。。。素揚げに近いシンプルなものが好みです。
もう少し言うとから揚げより
しっかり焼いたものが好みかな。。。
味付けは塩のみで自分で調節できるほうが良いですねぇ。。。
よく考えたら。。。これ、実家で昔から食べてた食べ方ですね。
子供の頃に親しんだ味って
本当に身体に染み付いていますよねぇ。。。
あぁ。。。手羽先焼きとビール。。。いかん、仕事しなくては。。。(笑)

さてさて

本日は「リコーフレックスⅥ」のカメラ修理を行っています。
リコーフレックスは1950年代の
二眼レフブームの火付け役となったカメラです。
1950年発売のリコーフレックスⅢで
その後のリコーフレックスと共通となる形になり
(前玉回転式の歯車によるピント調整、プレスボディー等)
その後、改良を加えながら50年代を代表するカメラとなっています。
一時期は日本のカメラ生産の半分以上が
リコーフレックスという状態であったようです。

お預かりしているリコーフレックスⅥは
1953年発売のモデルです。
ひっかけるだけで閉じていた裏蓋にロックが追加されたモデルです。
その他は基本的に前モデルのⅣと同様です。
レンズは3群3枚のリコーアナスチグマット80mmF3.5で
シャッターはリケンシャッターで
スピードはB・25・50・100というシンプルなものです。
二眼レフはしっかり構えれば比較的手振れは起きにくいのですが
最高速が1/100なので注意が必要です。

お預かり時の状態は
定番のピントリング固着に加え
レンズにかなりのカビとクモリが見られました。
さらにシャッターは動作してはいますが
若干の粘りがあるようです。

写真は一通り整備が完了した後のものです。
ピントリングはもちろん気持ちよくスムーズに動作するようになりました。
レンズはできる限りの清掃ですが
撮影には問題のないレベルのキレイな状態になりました。
シャッターも快調に動作しています。
ファインダーミラーは腐食・クモリが酷かったため
ミラー交換を行い、ファインダー像もスッキリしたものになっています。
リコーフレックスは同じ時代の他のカメラの
半額以下で販売されたことも大ヒットの要因ですが
こうしてみると他カメラと比べても全く安っぽさは感じられません。
この時代のコストカットは材料や作りを安くするというよりは
生産効率の部分で大きくコストダウンしているので
(リコフレはベルトコンベヤ方式で
随分コストを下げることができたらしいです)
完成したカメラの質感は非常に高いままですね。
磨き上げたリコーフレックスはどこから見ても非常に美しいです。

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オリンパスペンEES-2のカメラ修理

今日は「FMの日」らしいですよ。
「F」がアルファベットの6番目、「M」が13番目であることが
由来のようなのですが
この「FMの日」、どこが制定したことかいつから言われているのか
詳しいことがイマイチわかりません。。。(汗)
FMといえばこのブログ的には
ニコンFMとかコニカFMのことを
取り上げたほうがいいのかもしれませんが
一般的にはFMラジオ放送でしょうね(笑)
最近、ラジオを聴くこともほとんどなくなってしまいましたが
小学生~中学生くらいの頃はAMもFMもかなり聴いてたし
大人になってもクルマではFM聴くことが多かったですね。
今はスマホでラジオが聴けるアプリもあるらしいです。
でもどうせ聴くなら昔ながらの
ラジオで聴きたいような気が。。。
あ、いかん、また余計な物欲が。。。(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンEES-2」のカメラ修理を行っています。
「ペンEESシリーズ」は「ペンEEシリーズ」のピント調節を
固定焦点からゾーンフォーカスに変更した派生モデルです。
ペンEEシリーズ同様にプラグラムAEでの露出設定で
気軽に撮影できるカメラです。
ペンEE-2とペンEES-2同じ年(1968年)に発売され
ゾーンフォーカス部分以外はほぼ同じカメラです。
もう少し掘り下げると先日ここで紹介した
「トリップ35」も「ペンEES-2」と基本的構造はほぼ同一で
EES-2の35mm判といえる内容です。

EE-2もEES-2もシリーズ2代目ということもあり
裏蓋は蝶番式に変更され
ASA感度は400まで対応可能となり
フィルムカウンターは自動復元式となりました。
随分、使いやすい仕様に変更されました。
セレン光電池を使用した露出計の指針を
挟み込んでその位置に伴って露出を決定する
「指針挟み込み」タイプのオート露出です。
指針の位置によって
シャッタースピードは1/250、1/30のいずれかに設定され
絞りも明るさによって決定されます。
オリンパスお得意の赤ベロも装備され
露出計指針がある程度振れていないと
ファインダー内に赤ベロが出現し
シャッターはロックされます。
これがあるおかげでこのタイプのカメラにありがちな
「キャップを付けたまま撮影してしまう」というミスも予防しています。

お預かりしているペンEES-2は
シャッターは一見快調に切れています。
赤ベロもきちんと作動しています。
しかしながら絞りが最小絞りになったままで
明るさを変えようがフラッシュモードでマニュアルに設定しようが
全く動いていくれません。
絞り羽根が完全に固着してしまっているようです。
赤ベロが明るさによって動作したりしなかったりはしているので
露出計は生きていると思われますが
念のため、明るさを変えながらシャッター音をしっかり聞いてみると
確かに1/250と1/30に切り替わるようです。
ということは精度はともかくセレンや露出計は大丈夫なようです。

絞りユニット(写真真ん中手前)の2枚の絞り羽根は
ピタッと見事にくっついてしまっていました。
絞りユニット周辺にもうっすらと油シミがあったので
油の染み出しによる固着です。
シャッターユニット側にも油が染み出しているようなので
シャッター羽根の洗浄も行います。
シャッターユニット、絞りユニットが本来の動きを取り戻したところで
組みなおして精度の調整を行っていきます。
ペンEE系のピントは前玉回転式なので
レンズを外したら必ずピント調整を入念に行います。
もちろん外すときに位置は記録しているので微調整程度です。

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オリンパスペンSのカメラ修理

今日は「恋人の日」だそうですよ。
もはや全く縁のないワードになってしまいました(涙)
ブラジル・サンパウロ地方で
この日に恋人同士が写真立てに写真を入れ
交換し合う風習があり、それが由来となっているそうです。
恋人同士はもちろん、大切な人の
何気ない様子を写真に撮っておくことはステキですよね。
そのときは何でもない1枚の写真でも
時間が経ってから見るとかけがえのない1枚になることも
多くあるでしょうし。。。
もっと人と会うときは写真撮っておくようにしなければ。。。
まぁ、あまりそんな機会もないのですが。。。(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンS」のカメラ修理を行っています。
初代ペンが衝撃的な内容と価格で登場した翌年
初代ペンの高級型として登場したのがペンSです。
シャッターユニットの変化が最も大きい部分だと思われますが
同じコパル製でも
初代ペンの2枚羽根から5枚羽根に進化し
1/25~1/200の4速から
1/8~1/250の6速になりました。
レンズも3cmF2.8に変更されています。
(後に2.8cmF3.5のモデルも追加されています)
当時と比べると高感度フィルムも使うことが多い現代では
シャッタースピードはもう少し高速側があったほうが助かりますが
きちんと絞り込んで使えば最高速1/250でも十分かとも思います。
(余談ですが私は普段ほぼ感度100のフィルムしか使っていないのですが
1/500を使うのは晴天時の海とか限られたシチュエーションのみで
大抵の場合は1/125あたりを基準に露出を決めることが多いです。
絞りを開けて背景をボカしたい場合や
200mm以上の望遠レンズ手持ちのまた別ではありますが。。。)

この時代のカメラなのでコンパクトであっても
それなりに重さはずっしりありますが
気軽に持ち歩くカメラとしては最適な1台かとも思います。
露出計がないので電池の心配もありません。
ネガフィルムを使って
大雑把に露出を合わせて気軽に撮り歩くような用途に向いていると思います。

お預かりしているペンSは
ペンS定番の。。。というかレンズシャッター機にお決まりの
シャッター羽根粘りが発生しています。
今は粘った状態でゆっくりですがかろうじてシャッターは切れますが
時期に全く動かなくなることは明白です。
先日も同様のことを書きましたが
シャッター羽根が粘っているといることは
高い確率で絞り羽根も粘っていると思われます。
シャッター羽根は固着しても
ただ単に「シャッターが開かない」だけですむことがほとんどですが
固着した絞り羽根を絞りリングで無理に動かしていると
羽根の破損や羽根を留めているピン(ダボ)の破損等により
大幅に修理が困難になる可能性もあります。
羽根が粘っていたり羽根に油シミの見られるレンズシャッター機は
無理して使わずに早めに整備に出すことをお勧めします。

シャッター羽根・絞り羽根の清掃、シャッターユニットの整備
レンズ、ファインダーの清掃等
一通りの整備が完了した状態です。
預かり時に比べると非常に快適に動作するようになりました。
ペンSも頻繁に修理依頼のあるカメラなので
見慣れてしまっている感がありますが
改めてみると何とも時代を感じさせるデザインが
レトロで非常に良いですね。
ポケットからさっとこれが出てきたら
ちょっとオシャレな感じもします。
1台。。。自分用も持っておこうかな。。。(笑)

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オリンパストリップ35のカメラ修理

今日、6月10日は記念日が多いですね。
まずは「時の記念日」です。
時の記念日って何故か子供の頃から知っていて
祝日と同じくらいの感覚で頭に入っているのですがなんでだろう???
何か小学校とかで習ったのかな。。。
で、今日は「路面電車の日」でもあるのですね。
いわゆるチンチン電車です。
先日、広島に墓参りに行った際に広島市内線の
路面電車に乗ってウロウロしながら写真を撮りましたが
今のチンチン電車は車内でチンチンと鐘の音はしないのですよね
(まぁ、当然か。。。子供の頃には鳴っていた気がします)
バスと同様に気軽に乗れて
市内ならどこまで乗ってもわかりやすく同じ料金で
最新の車輌もあれば昔ながらの車輌もあって。。。
やはり広島市内の路面電車はいいですね!
あ、最後に今日は「ミルクキャラメルの日」でもあるのです。
発売開始から100年以上経っているのですね!
先日まで引き出しの中にあったのだけど
全部食べてしまったので
また「おかしのまちおか」で買ってこなくては。。。(笑)
(ハイソフトも美味しいのですよねぇ。。。これも買ってこよう)

さてさて

本日は「オリンパストリップ35」のカメラ修理を行っています。
セレン光電池を利用したプログラムオート露出の
コンパクトなカメラです。
同社のペンEESと基本的な構造はほぼ一緒で
EESを35mm判にしたようなカメラです。
さすがにペンよりは少しだけ大きいですが
それでも普段から持ち歩くには非常に便利なサイズです。
電池が不要という点も良いですよね。
レンズは写りに定評のあるD.ズイコー40mmF2.8を搭載します。
ピントはペンシリーズと同様で目測式です。
ペンEEシリーズも同様ですが
非常に効率的によく考え抜かれて作られているカメラで
整備性も非常に良好です。

基本的にはシンプルな構造のカメラですが
セレン光電池が起電する小さな電気で
露出計を作動し
小さなバネの力でシャッターを駆動するカメラです。
当然、長い年月の間の汚れ等で
簡単に動かなくなってしまうカメラでもあります。
お預かりしているトリップ35はシャッターは一見好調で
露出計もしっかり動作しており
オリンパスお得意の「赤ベロ」もしっかり出ます。
しかしながらオートの精度は出ておらず
ASA100・LV15(おおよそ屋外晴天時の明るさ)で
3段近くオーバーに露光してしまいます。
加えてオート露出精度も妙に不安定です。
他、レンズ、ファインダーにカビが散見されます。

絞りユニットは汚れ等で少々動きの悪い状態でした。
絞り羽根、シャッター羽根はもちろん
動作部分全て清掃を行い必要な部分には注油を行います。
その後、ある程度組み上げた状態で
露出計やオートの調整を行います。
ペンEE系と同様で色々な部分のネジが緩みやすいカメラでもあるので
そのあたりのチェックもしっかり行います。

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ペンタックスMEのカメラ修理

今日は6月9日ということで
「無垢(6・9)の日」だそうです。
ここでいう無垢は無垢材のことで
原木から必要な分だけ切り出した木材のことです。
ホームセンターとかの素材コーナーに行くと
やはり合板や集成材が多いのですが
無垢の木はやはり質感が断然良いですよね。
素材としての木材も良いのですが
自然の大木も良いですよね。
私がよく行く新宿御苑とかでも
大きな木の幹に触れているだけで
何だか妙に安心感があるのですよね。
とくにプラタナス(スズカケノキ系)の表面のツルっとした木は
ずっと触っていたくなりますね
(新宿御苑でカメラを抱えて
スズカケノキの幹を延々撫でている
おっさんがいたら多分、私です(笑))

さてさて

本日はペンタックスMEのカメラ修理を行っています。
1970年代中頃から80年代初めにかけて
展開・発売したペンタックスMシリーズの中核となるカメラです。
Mシリーズといえば第一弾として発売された
「MX」がMシリーズ中唯一の
機械制御シャッター機ということで人気ですが
Mシリーズの本流といえば
やはりME系のモデルということになると思います。
コンパクトなセイコー製縦走りシャッターユニットを搭載し
最新のLSIを装備しSSやオート露出を制御
巻上フィーリングやファインダーのピントの見えも
非常に上質なカメラです。
高度な電子制御を搭載しているカメラですが
電子基板関連のトラブルは意外と少ないカメラです。
その代わり機械的な部分のトラブルが比較的多いカメラで
代表的なのがミラー駆動部ゴムブッシュ劣化による
「ミラーアップしたまま固着」という症状です。

お預かりしているMEは
その定番のミラーアップトラブルはなく
快調にシャッターは切れています。
ただし、電源が全く入りません。
シャッターは切れますが電源が入らないため
オート時には常に最高速で切れているだけです。
電池室蓋側に少しばかり緑青があるのですが
それほど導通に影響しているようには見えません。
実際にテスターであたってみても
とりあえず問題はなさそうです。
電池室底側(+側)端子は見た目はキレイなのですが
分解してみると端子裏側のハンダ付け部は
緑青がしっかり発生しており
配線は腐食して切れてしまっていました。
電池端子部だけならまだ良いのですが
その隣にある基板差込部にも緑青が発生しています。
ワインダー用にそこから出ている青リード線は
ちょっと触っただけで簡単に切れてしまいました。
この辺の端子は磨いてハンダはやり直さないとダメなようです。

もちろん、ミラー駆動部やシャッターユニットの整備も
同時に行います。
MEでトラブルの起こる箇所というのは大体決まっているので
現在、症状が出ていなくても
そこは重点的にチェックし整備を行います。
このMEはご依頼者のお母様が使っていたカメラだそうです。
おそらくかなり長い間使われていなかったものと思われますが
整備すればまだまだ快適に使えます。
コンパクトで絞り優先AEのMEは
気軽に持ち歩く一眼レフとしてはかなり良いカメラだと思います。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「成層圏発見の日」だそうですよ。
いわゆる私達が生活しているのが「対流圏」と呼ばれる領域で
ここに地球大気の質量の80%が存在しています。
「成層圏」はその上の領域です。
高さは緯度によって随分異なり
極地であれば約8km、赤道付近であれば17kmの高さが
境界面になるそうです。
成層圏の領域の厚さは40kmほどあるそうです。
成層圏では雲がなく常に快晴で
紫外線を吸収するオゾン層も成層圏の中に存在します。
対流圏だと地上から離れるほど温度は低くなりますが
成層圏の上部だと今度は逆に温度が上がるのだそうです。
成層圏上部(地上から約50km)の空気密度は地上の約0.08%
ほぼ空気がない状態なのですね。
この高さでは飛行機も飛べませんが
観測用の高高度気球は成層圏上部まで到達するそうです。
これまた想像を絶する世界なのでしょうねぇ。。。

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
発売は1976年、世界初のマイクロコンピュータを搭載したカメラです。
このカメラの登場以降、一眼レフは一気に電子化が進んでいきます。
AE-1の先代モデルは1973年発売のキヤノンEFが相当しますが
同様の露出制御(SS優先AE)を300点の部品削減の上
実現しており相当なコストダウンに繋がったそうです。
キヤノンが「新機種開発X計画」として2年3ヶ月かけて開発したカメラで
カメラ部門だけでなく電卓やコピー機で培った技術も
総動員して開発されたそうです。
もちろん、爆発的に売れたカメラでもあり
AE-1で始まった「キヤノンAシリーズ」のカメラは
全てこのAE-1がベースとなっています。
キャッチコピーは「連写一眼」
オプションのパワーワインダーA装着時に2コマ/秒の連写が可能です。

お預かりしているAE-1は
ご依頼者様が30年ほど前までは使っていたものだそうです。
それからは使われずしまったままになっていたそうです。
外観は多少の汚れはあるものの
比較的良いコンディションを保っています。
さすがに動作は各部に油切れや汚れによる動作不良が見られ
何度かシャッターを切っていると
たまにAシリーズ特有のシャッター鳴きも起こります。
シャッタースピードも幕軸の汚れのせいか
高速シャッターはバランスが崩れている上に少々不安定です。
露出計はかなりオーバー傾向ですが
SS優先AEは逆にアンダー傾向です。
加えてオート時に絞りを制御するレバーが
かなり動きが重くなっています。これだとオートの精度は安定しません。
このあたりも調整が必要です。

典型的な電子制御カメラですが
意外と整備性は悪くないカメラです。
電子基板内不良は比較的少ないほうですが
なかには修理不能となる場合もございます。
それにしても、いつものことですが
ミラーボックス周りの複雑な構造はかなり見応えがあります。

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