キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「成層圏発見の日」だそうですよ。
いわゆる私達が生活しているのが「対流圏」と呼ばれる領域で
ここに地球大気の質量の80%が存在しています。
「成層圏」はその上の領域です。
高さは緯度によって随分異なり
極地であれば約8km、赤道付近であれば17kmの高さが
境界面になるそうです。
成層圏の領域の厚さは40kmほどあるそうです。
成層圏では雲がなく常に快晴で
紫外線を吸収するオゾン層も成層圏の中に存在します。
対流圏だと地上から離れるほど温度は低くなりますが
成層圏の上部だと今度は逆に温度が上がるのだそうです。
成層圏上部(地上から約50km)の空気密度は地上の約0.08%
ほぼ空気がない状態なのですね。
この高さでは飛行機も飛べませんが
観測用の高高度気球は成層圏上部まで到達するそうです。
これまた想像を絶する世界なのでしょうねぇ。。。

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
発売は1976年、世界初のマイクロコンピュータを搭載したカメラです。
このカメラの登場以降、一眼レフは一気に電子化が進んでいきます。
AE-1の先代モデルは1973年発売のキヤノンEFが相当しますが
同様の露出制御(SS優先AE)を300点の部品削減の上
実現しており相当なコストダウンに繋がったそうです。
キヤノンが「新機種開発X計画」として2年3ヶ月かけて開発したカメラで
カメラ部門だけでなく電卓やコピー機で培った技術も
総動員して開発されたそうです。
もちろん、爆発的に売れたカメラでもあり
AE-1で始まった「キヤノンAシリーズ」のカメラは
全てこのAE-1がベースとなっています。
キャッチコピーは「連写一眼」
オプションのパワーワインダーA装着時に2コマ/秒の連写が可能です。

お預かりしているAE-1は
ご依頼者様が30年ほど前までは使っていたものだそうです。
それからは使われずしまったままになっていたそうです。
外観は多少の汚れはあるものの
比較的良いコンディションを保っています。
さすがに動作は各部に油切れや汚れによる動作不良が見られ
何度かシャッターを切っていると
たまにAシリーズ特有のシャッター鳴きも起こります。
シャッタースピードも幕軸の汚れのせいか
高速シャッターはバランスが崩れている上に少々不安定です。
露出計はかなりオーバー傾向ですが
SS優先AEは逆にアンダー傾向です。
加えてオート時に絞りを制御するレバーが
かなり動きが重くなっています。これだとオートの精度は安定しません。
このあたりも調整が必要です。

典型的な電子制御カメラですが
意外と整備性は悪くないカメラです。
電子基板内不良は比較的少ないほうですが
なかには修理不能となる場合もございます。
それにしても、いつものことですが
ミラーボックス周りの複雑な構造はかなり見応えがあります。

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