今日は「ニッパーの日」だそうです。
2月8日ということで語呂合わせですね。
…と、この字面だけ見て
私が仕事でも使い、たまにやっているプラモ製作でも
大活躍の工具の「ニッパー」だと思い込んでいたのですが…
ここでいう「ニッパー」はいわゆる「ビクターの犬」です。
私と同世代以上の方なら昔お馴染みだったと思うのですが
蓄音機に耳を傾けて聴いているあの白い身体に黒い耳の
ビクターのロゴにも使われているあの犬です。
へぇ~ちゃんと名前があってニッパーっていうのですね!
知りませんでした。。。
私の実家にはじいさんが私に同様のレコードを聴かせるために
奮発して買った(と思われる)70年代ならではの
家具調の立派な4ch対応のビクター製ステレオがあって
購入時についてきたと思われる20cmくらいの
「ビクターの犬」の置物がそのステレオの上に置いてあったのだけど
名前が「ニッパー」だったのですねぇ。。。
陶器でできていた立派な置物だったのですよねぇ
今でも持っていればかなり貴重なのでしょうが。。。(苦笑)
しかしながらそのビクターのステレオは今から考えると
当然たいしたスペックでもなかったのですが
やたら立派で場所を取るステレオだったなぁ。。。
おかげで私が高校卒業するくらいまでレコード再生や
ラジカセを繋いで録音に。。。
6時20分(当時の市民球場のナイターはこの時間に始まる)
になるとじいさんが大音量でラジオの野球中継を聴き。。。と
大活躍でした…懐かしいなぁ
さてさて
本日は「キヤノンフレックスR2000」のカメラ修理を行っています。
いわゆる「キヤノンRシリーズ」の際高級機です。
1959年5月にキヤノン初の一眼レフでもある
「キヤノンフレックス」がデビューし
翌月の6月にはあの伝説の「ニコンF」がデビューします。
ニコンFもデビュー当時からその時代としては最新技術の
「完全自動絞り」を実現していましたが
キヤノンRシリーズもまた異なるアプローチで
完全自動絞りを実現していました。
完全自動絞りというのはその後では当たり前となる
シャッターを切った瞬間だけ設定された絞りまで絞り込み
その瞬間以外の普段ファインダーを覗くときには
基本的に絞りは開放にしておくという機能です。
これのおかげで普段は開放の明るいファインダーでピント合わせや
構図の確認ができるわけです。
それまではシャッターを切るたびに手動で開放に戻したりとか
シャッターを切るたびに手動で絞り込んでいたりしたわけです。
この自動絞りの実現がその時代にまだ主流だった
レンジファインダー機から
その後の一眼レフの時代へ流れが変わるきっかけになったと思います。
で、キヤノンはその自動絞り機構を
「スーパーキヤノマチック」と名付けていました。
その後主流となる完全絞り機構とは少し異なり
レンズ側の絞りにもチャージを必要とするタイプです。
マウントもいわゆるスピゴットマウントとバヨネットを
融合させたキヤノン独自の構造で
絞りチャージはこのRマウントのみで終了しますが
マウント設計は後のFL,FDマウントに継承されていきます。
そんな鳴り物入りでデビューしたRシリーズですが
3年間の間に4機種を発売し
フレックスデビューの翌年に
当時の高性能の象徴ともいえる1/2000シャッターを搭載した
「R2000」が発売されます。
フレックス同様、底部トリガー式の巻上で
ファインダーは交換可能です。
スクリーンはフレックスのスプリットイメージから
フレネルマット式に変更されています。
正直言うと「Rシリーズ」は商業的には失敗と言えると思います。
高級機の分野ではニコンのシステム性に完敗し
比較的お求めやすい設定とされたモデル「RP」も
アサヒペンタックスSシリーズ、
ミノルタSR系の後塵を拝することになります。
スーパーキャノマチック独特の巻上の重さ(絞りチャージが必要なため)も
当時は不評だったそうですが
個人的にはキチンと整備されたRシリーズは
全く巻上は重くないと思っています。十分以上に気持ちよい巻上です。
その後のキヤノンとはまた異なる武骨なデザインは
何とも魅力的ですし
果敢に新しい技術を搭載する姿勢は非常に
キヤノンらしい部分が出ているカメラだと思います。
特にR2000は今となっては現存数も比較的少ないと思われます。
この時代のキヤノンならではの非常に個性的な1台です。
お預かりしている「R2000」は
ご依頼者様が10年ほど前に知人から譲り受けたものだそうです。
当時、既に分解品ということを聞いていて
そのためにシャッターが不調とのことです。
確認してみると1/2000にセットしてもどこにセットしても
スローシャッターで動作してしまいます。
うーん、分解されてこうなっているのであれば
嫌な予感しかしません(苦笑)
実は既に作業自体は完了していて
結果から言うとその分解時の組間違いに加えて
スローガバナに異様に爪が深くかかっていて
常にスローガバナが効いてしまう状態だったことが原因です。
それは比較的早い段階で何とかなったのですが
それ以上にシャッター幕軸や巻上部の油切れが酷く
清掃、注油してもなかなかシャッター幕の動きが安定せず
高速シャッターが不安定な状態から脱出するのに
かなり時間と手間がかかりました。
上の方で「R2000のスクリーンはフレネルマットに変更され。。。」と
書いていますがこの個体にはスプリットイメージが装着されています。
ファインダーもスクリーンも交換式なので
おそらく入れ替えたのでしょうね
ファインダーはともかくスクリーンは
やはり簡単に交換できるのが良いですね。
装着されているレンズは当店のテストレンズです。
随分、シャッターの動きも安定してきたので
もう大丈夫かと思われますがもう少し様子を見てから
最終チェックをお粉なって完成となります。
やはりFシリーズやAシリーズとは全く趣が異なりますね。
「ちょっと武骨なキヤノン」もカッコ良いと思います。
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