日別アーカイブ: 2023年4月21日

キヤノン7のカメラ修理

今日はピンとくる記念日がないですねぇ…
それでは…と過去の4/21にあった出来事を調べていたら
1934年4月21日にイギリスの新聞がネス湖で撮影された
ネッシーの写真を掲載しています。
これがネッシーの写真として長らく代表的な写真とされてきた
「外科医の写真」といわれるもので
私と同じくらいの世代の方は
ネッシーの写真と言えばこの写真をイメージされる方も多いと思います。
首長竜が水面に首をもたげているように見える写真ですね。
しかしながらこの写真、後の1993年に撮影者本人から
「トリック写真だった」との証言が出ているのですねぇ
かなり以前からトリックではないか?とは言われていたのですが…
ネス湖は長さが約35キロメートル、幅約2キロメートルで
非常に細長い湖なのですね。
大きさ的には琵琶湖のほうが圧倒的に大きいのですが
水深は最も深いところで230mもあるそうです。
(ちなみに琵琶湖の最深部は約100m)
まぁ小さな生物ならまだしもそんなに大きな生物であれば
さすがに見つかっていますよねぇ…
でもこういう話は真偽はさておきロマンがありますね。
ネッシーに便乗して日本国内でも「クッシー(屈斜路湖)」とか
「イッシー(池田湖)」とかの存在がまことしやかに噂されていました
懐かしい話ですねぇ

さてさて

本日は「キヤノン7」のカメラ修理を行っています。
1961年発売のLマウントレンジファインダーカメラで
数多くあるキヤノンレンジファインダー機の
完成形あるいは最高峰ともいえるカメラです。
それまでのキヤンLマウント機はモデル名に
ローマ数字が使われていたのですが
この「7」ではアラビア数字になりました。
セレン光電池使用の露出計が内蔵され
35/50/85/100/135mmの5種類のブライトフレームを
切り替え表示できる採光式ブライトフレームファインダーを搭載しています。
シャッター幕はキヤノンお得意のステンレス製で
P型で一新されたシャッター機構をベースにさらに改良が進んでいて
非常に安定した精度で動作する完成度の高いカメラです。
生産効率を高めることによるコストダウンも一気に進み
機能を考慮すると大ヒット作となった普及機「P型」よりも
お求めやすい価格に設定されました。
この「7」の発売で国産のレンズ交換式のレンジファインダー機は
まさにキヤノンの独壇場となりました。
しかしながら時代はレンジファインダー機から
一眼レフに移り変わる移行期でもあり
この「7」が発売されたあたりから
主流は一気に一眼レフへと傾いていきます。
皮肉なことにこの「7」のヒットがキヤノンの一眼レフ参入への
足枷となってしまうような結果になりました。

お預かりしている「7」は
比較的状態もよく一通りの動作はできるのですが
全体的に少々油切れ気味で
巻上やシャッターの動きに渋いところがあるようです。
そのため高速シャッターの精度は出ておらず
1/1000に関しては今にもスリットが閉じてしまいそうな感じです。
露光量は1/2000以下となってしまっています。
スローガバナは当然のごとくスムーズには動かず
1秒で作動させるとところどころで止まりながら
何とか切れるような状態です。
そんな状態なのでこちらの露光量は1秒時に2~3秒開いてしまいます。
心配されるセレンの状態は良好で
微調整のみで普通に信頼できる精度を確保できそうです。
セレンに関しては劣化して起電が弱いあるいは
全く起電しないものに関しては残念ながら当店では修理不可能となります。

相変わらずの最中構造ですが
バルナックタイプと違って裏ブタ開閉式なのは本当に助かります。
裏ブタのないタイプはSS測定するだけでも一苦労なので…
でも整備性は非常に良好なカメラで
最中構造の外枠を外せばシャッターや巻上の動きの詳細が
簡単に確認することができます。
ここからさらに分解を進めて
機械的駆動部分の清掃整備を一通り行っていきます。
もちろん上カバーも外してファインダーや
距離計の清掃整備調整も行います。
ダイキャストボディになってからもⅥ型あたりまでは
バルナックタイプの面影を内部構造に割と色濃く残していたのですが
P型以降は内部も一新されかなり現代的に進化しています。
機能的にも内部構造的にも完成形と言えるカメラだと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。