日別アーカイブ: 2023年8月24日

キヤノンPのカメラ修理

今日は「愛酒の日」だそうですよ。
酒をこよなく愛した歌人・若山牧水の誕生日に由来しているそうです。
牧水さんがどれほどお酒好きかというと
一日一升程度の酒を呑んでいたといわれていて
死の大きな要因となったのは肝硬変であったそうです。
1日1升?1.8Lですよ。
日本酒1升瓶を毎日ってことですよね?それはすごい…
そして夏の暑い盛りに死亡したのにもかかわらず
死後しばらく経っても死体から腐臭がしなかったため
「生きたままアルコール漬けになったのでは」と、
医師を驚嘆させた、との逸話があるそうです。
私もそれなりにお酒は好きですが
さすがにそんなには飲めません。
若い頃には結構無茶な飲み方をして
急アルで運ばれたりとか急性胃潰瘍になったりとかしましたが
もう近年は少し多めに飲むと飲んでる間はまだいいのですが
翌日に確実に超不快な二日酔いになるので
ちょっと良い酒を美味いあてで少しだけいただく…なんて感じです。
お酒がそれなりに飲めると
食べるものの楽しみ方も変わるので
いい趣味だとは思いますが
飲み過ぎにはくれぐれもご注意を…

さてさて

本日は「キヤノンP」のカメラ修理を行っています。
1959年発売のレンズ交換式レンジファインダー機です。
それまでのトップモデルだった「Ⅵ型」から
思い切って機能を減らし部品点数も減らすことで
低価格で販売されたカメラです。
モデル名の「P」はフランス語の「Populaire」からとったもので
「人気のある」という意味だそうです。
価格と機能のバランスが素晴らしく
大ヒットしたカメラで10万台作られたと言われています。
確かにファインダー周りはシンプルで
パララックスの自動補正はなくフレーム切り替えもありません。
ファインダーには常に35/50/100mmのふれーむが表示される
アルバダ式のファインダーです。
しかしながら巻上機構やシャッター周りは効率化も含めて
一新されており、分解してみるとわかりますが
「Ⅵ型」までのかつてのバルナックコピーの面影は全くなくなり
明らかに現代的な造りとなっています。
最終シリーズとなる次期7シリーズも
この「P」の構造がベースとなっています。

お預かりしている「P」は全体的に明らかに油切れで
巻上のフィーリングも本来の姿ではありません。
加えて高速シャッターは幕軸の油切れにより
先幕・後幕のバランスがかなり崩れていて精度も出ていません。
どこかが破損している…というわけではありませんが
このあままこの状態で使っていると
さらに新たなトラブルを呼び込みそうな気もしますし
いかんせん使っていても気持ちよくないと思います。
シャッター音も油切れのため濁ったような金属音が混じっています。

とにもかくにも動く部分は全て洗浄清掃し
古い油脂類を取り除いたうえで最小限の注油を行っていきます。
精度的な問題もこれだけでもかなり改善されると思われますが
最終的には微調整を行ってさらに追い込んでいきます。
モナカ構造であることもそうですが非常に整備性も良いカメラです。
ファインダー周りも切替等がないためシンプルな造りです。
必要最小限のバネ力でスムーズに各部が動作できるように
隅々まで丁寧に整備を行っていきます。

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