今日は「はんだ付けの日」らしいですよ。
「はんだ」が7種類の元素(Sn:錫、Pb:鉛、In:インジウム、
Ag:銀、Cd:カドミウム、Bi:ビスマス、Sb:アンチモン)から
できていることと
「はんだ付け」に最適な温度が250℃であることからだそうです。
なかなか強引ですね(苦笑)
由来はさておきハンダ付けは仕事柄ほぼ毎日のように行います。
電子制御シャッター機はもちろんのこと
機械制御機でも露出計内臓であれば必須ですし
露出計がなくてもシンクロ接点等もありますから
何らかの配線がハンダで留まっています。
そして配線自体もそうですがハンダも長い年月の間に劣化します。
一見、しっかり付いているようにみえて
実は導通していないなんてことも古いハンダ付けだと多々あります。
だからハンダ付けはやはり毎日のように行います。
修理始めたばかりのころは比較的、はんだ付けって苦手だったのですが
毎日のように手にしているとそれなりにコツがわかってきますね。
無駄にはみ出さないように(短絡の原因になる)
そしてしっかりとくっつけることが目的です。
そのためにはハンダゴテもしっかり手入れをしていないと
きちんとハンダ付けすることができません。
そういえばハンダゴテの手入れ少し間隔があいていました
あとで軽くコテ先を磨いておきましょう…
さてさて
本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
初代(1961年)からキヤノンのコンパクトカメラ部門を
支え続けてきたキヤノネットですが
この「G-Ⅲ」が最終モデルとなります。
最終モデルとはいえ前モデルの「ニューキヤノネット」と大差はなく
バッテリーチェックがランプ式に変更されたくらいです。
レンズやシャッター等の機能には全く変更はありません。
「ニューキヤノネット」で一気に小型化され一新しましたが
露出計と連動するシャッター速度優先オートを搭載し
マニュアル露出も可能なレンズシャッター機で
F1.7~F1.9の大口径レンズを搭載…という主な機能自体は
初代から変わっていません。
マニュアル露出時には露出計がオフ…という点も初代から共通です。
さらにいうとオート制御や巻上機構の主要な機械駆動に関しても
基本的な構造は初代からあまり変わっていません。
それだけ初代での基本設計が優れていたということだと思います。
「G-Ⅲ」はやはり小型化の恩恵で使いやすく
しっかり写る大口径レンズで光量の少ない場面でも
安定した露出を選択できるカメラです。
そのためやはり現在もなかなかの人気機種で
当店でも修理依頼の多いカメラです。
お預かりしている「G-Ⅲ」はシャッター羽根が固着してしまっていて
巻き上げてレリーズボタンを押してもうんともすんとも言いません。
露出計は精度はともかくとしてもしっかり動作しています。
羽根の付着した油脂類等の汚れが原因と思われます。
キヤノネットに限らずレンズシャッター機の定番トラブルです。
オート時の絞り制御のためシャッター羽根以上に
小さな力で駆動する絞り羽根も固着とはいかないまでも
やはり粘りが出てしまっています。
これでは露出計が正しくてもオート制御は正しく行い状態です。
整備性は悪くないカメラですが
さすがに小型されているため以前の大柄なキヤノネットに比べると
内部スペースに余裕がなく多少ややこしい部分もあります。
これからシャッターユニットを分離して
シャッターの整備を行っていきますが
シャッターユニットを下すのも以前のキャノネットに比べると
少々やりにくいですね。
それでも内部はよく考えられていて
いろいろな調整幅もしっかりと取られています。
比較的慣れた機種ではありますが油断せずに
慎重に作業を行っていきます。
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