キヤノンFXのカメラ修理

今日は暦上の「入梅」ということで
「傘の日」なのですね。
一時期、ありきたりのビニール傘じゃなくて
ちょっとオシャレな傘でも差して歩きたいなぁ。。と思い
少し高価な傘に手を出したこともあるのですが。。。
見事に1週間でどこかに忘れてきました(笑)
それ以来、安いビニール傘しか使ったことありません。。。
うーん、出かけている途中で雨が止むと
かなり高い確率で忘れちゃうのですよねぇ。。。
私みたいなタイプは傘は消耗品だと
割り切らなきゃダメみたいです。

さてさて

本日は「キヤノンFX」のカメラ修理を行っています。
「キヤノンFシリーズ」の一番最初のモデルで
1964年発売開始です。
このカメラあたりから一眼レフでの
キヤノンの逆襲が始まったと言っていいモデルだと思います。

「Fシリーズ後期」だとレンズはFDマウントですが
「Fシリーズ前期」のモデルはFLマウントです。
FDマウントは開放測光に対応するためと
後に登場するAE機に対応するためAE切替ピンを装備しています。
「FX」は露出計が外光式のため
絞込み測光、開放測光云々は機能的には関係ありません。

FX、FP、FTあたりのカメラで一番心配なのは
プリズム腐食なのですが
今回、お預かりしているFXは
プリズムのコンディションは非常に良い状態です。
一連のFシリーズ前期モデルのプリズムは
何か液体が流れたかのように腐食により
蒸着が剥がれ落ちていくパターンが多いです。
現存している個体の大半がこの状態ではないかと思われます。

プリズムの状態は良いのですが
まずシャッターが切れません。
シャッターチャージはされているのですが
レリーズボタンを押し込むことができない状態です。
そこは底部レリーズ連動部の固着が原因で
とりあえず切れるようになったのですが
切れるようになったらなったで
今度はミラーアップしたまま復帰しない状況です。
さらに高速シャッター(1/1000,1/500)は全く開かず
低速シャッターはスローガバナーが固着しており
開きっぱなしになります。
シャッター周り、ミラー駆動部は徹底的な清掃と
注油が必要と思われます。

加えて露出計は完全に不動です。
電池室端子もサビで覆われていますが
裏側は緑青でびっしり覆われています。
端子及び配線、接点部分は交換が必要です。

FXの露出計はメーター本体はカメラ側とは全く連動せず
光に応じて指針を振るだけです。
シャッター速度と連動した絞り指示板が動くことにより
適正な絞り値を指示する仕組みです。
で、気をつけなければいけないのが
シャッタースピードダイヤルから伸びている
絞り指示板と繋がる銅の線(細い帯)です。
上の写真にも写っていますね。
普通に動作させている場合にはまず切れることはありませんが
分解中に何かで引っ掛けたり
無理に引っ張ったりすると簡単に切れます。
SRTとかの連動糸よりずっと脆いです。
おまけにシャッタースピードダイヤルを外すと
巻き取り部品は乗っかっているだけなので
その状態でカメラをひっくり返すとそのまま取れてしまいます。
こういうパターンは他のカメラでも多いので
上カバーを外したらすぐにSSダイヤル、巻き戻しノブ(あるいはその下の円盤)
巻上レバーは基本的には必ず付けておきます。
修理始めたばかりの頃はそのあたりが徹底できてなくて
何度も痛い目にあったような覚えがあります(笑)

これからミラーボックスの取り外しにかかり
まずはシャッター周りの整備から行います。

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