オリンパスXAのカメラ修理

本日は全国的に
「建国記念日」ということで祝日ですが
個人的には1年前のこの日の夜に
脳梗塞(正確には延髄外側梗塞)で救急搬送されたのです。
あれから1年、最悪の状態の時には
自力で立ち上がることもできず
目を開けるだけで強烈な回転性のめまいに襲われ
目の焦点も合わず
ほんのわずかな水も飲みこめないほどの嚥下障害等々
「もう普通の生活には到底戻れないんじゃないか」と
覚悟しましたが
おかげさまで何とか普通に仕事もでき
日常生活を送れるほどに回復しています。
まだ左顔面及び首下右半身の温痛覚障害や
左目視力が不安定だったり
ふらつきや微妙にまっすぐ歩けない等々、問題も多々ありますが
1年経過しましたし、さすがにこれ以上は回復しないのかもしれません
それでもほんの少しでもまだ回復する可能性がないともいえないので
さぼらずに毎日リハビリは行っていきます。
刺激を入れ続けないと悪化しそうな気もしますし(汗)
人生死ぬまで修行ですよねぇ。。。
なかなか楽はできません(笑)

さてさて

本日は「オリンパスXA」のカメラ修理を行っています。
昨日のブログで「OM-1」の修理依頼が
圧倒的に多いという話を書きましたが
メーカー別に考えてもオリンパスカメラの修理は多いのですよね
オリンパスのカメラは軽量コンパクトを突き詰めた機種が多く
そのため独創的な構造をしているものも多いのです。
言い換えると他メーカーが大きさに余裕をもって
堅牢性や整備性を確保している中、
ギリギリの設計をしている部分も正直見受けられます。
現行モデルでいるうちには全く問題なかったと思いますが
そのため経年劣化に多少弱いところもあり
トラブルも起こりやすいともいえると思います。
ただし、定期的に整備を行える機種(当店では行えないものも多いです)であれば
決して壊れやすいカメラではありません。
何よりも他メーカーの機種では代わりがないようなカメラが多いのが
オリンパス機の魅力かな。。。とは思います。
今回の「XA」も間違いなくそういうカメラです。
スライド式のレンズバリアでレンズキャップを不要とする画期的デザインで
この後のコンパクトカメラに同様のデザインのものが次々と出てきました。
画期的なデザインだけではなくハーフカメラ並みのコンパクトさで
35mmフルサイズ版、単焦点35mmF2.8レンズ
さらにレンジファインダー装備で
絞り優先AEで撮影ができるカメラなんて他にはなかなか存在しません。
XA2以降のXAシリーズはプログラムAEで目測ゾーンフォーカスとなったため
尚のこと初代XAが機能的にも際立つ存在になっています。

ただし、正直言ってトラブルは可能性は少々高めのカメラだと思います。
今回お預かりのXAもシャッターが全く切れません。
これもXAならではのフェザータッチのシャッターレリーズの
接触不良のトラブルも非常に多いのですが
今回はまずは根本的に電源が入りません。
まずは定番の電池室周りからチェックしていきますが
おそらくかなり長い間電池を入れっぱなしだったと思われ
液漏れ跡はないものの電池から出るガスの影響で
配線はものの見事に腐食しており完全に断線しています。
腐食は配線だけにとどまらず
基板の一部まで広がっている状態でした。
配線はもちろん交換で基板の一部や清掃や磨きで対処します。
XAの修理となると毎回必ず問題になるのが
ファインダー内に表示される露出計です。
XAは受光体(CdS)が2つ装備されており
片方はオート制御に使用され
片方はファインダー内に表示されるためにだけ使われます。
なので両方のCdSが劣化なく明るさによって抵抗値が変化していれば良いのですが
XAの場合、ファインダー表示用のCdSがほぼ間違いなく劣化して
正しい値を示すことができません。
ただオート制御側のCdSは問題ないものが多く
ファインダー表示にはおかしな値が出ていても
オートそのものは正常に動く場合が多いのです。
おまけにこの2つのCdSは特性が異なり入れ替えることはできません。
さらにオート制御用のCdS回路は細かく調整が可能な構造ですが
ファインダー内表示の回路は調整箇所が基本的にありません
とはいえファインダー内表示が実際の動きと異なるのは問題なので
今回もできる限り一部抵抗を変更したり
いろいろ調整を行ってまずまずの値が出るように調整しています。
なにせスペース的にもとにかくギリギリなので
何を行うにしても苦労の多いカメラであることは間違いないです。

修理不能で返却することも正直言うと多いカメラです。
今回は何とか安心して使えるレベルに修理・整備することができました。
画像に写っている専用フラッシュA11は
当店では修理・整備は行っていないので
今回は発送等の動作チェックのみ行いました。
今のところは問題ない状態だと思われます。
フラッシュ外すとほんとに小さいのですよね
XAも修理を行うたびに自分用に1台欲しいと思うカメラです。
なかなかうまく縁がなくて(せっかく入手した程度の良いものが
部品取りになったりして)自分用のXAが実現しませんねぇ
先程も書きましたが機能的にもスペック的にも
他で代替ができないカメラだと思いますし
歴史的にも価値があるカメラだと思います。
程度の良いものが存在しているうちに
何とか1台キープしておきたいものです。

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