リコー519デラックスのカメラ修理

今日は「カチューシャの唄の日」なのだそうです。
「カチューシャの唄」って何?と思って調べたら…
「1914(大正3)年のこの日に
島村抱月と松井須磨子が起こした劇団「芸術座」が
トルストイの『復活』の初演を行い
この中で歌われた『カチューシャの唄』が大流行した」
…とのことです。100年以上前の話なのですねぇ
いや、さすがに昭和歌謡好きな私も知りませんよ(笑
さらに…「また、1914年5月に『復活唱歌』の題名で
主演女優の松井須磨子の歌唱によるレコードが発売された。
歌詞の「カチューシャかわいや わかれのつらさ」は
爆発的な流行語となった。」
…ということで…
youtubeに音源がアップされていたので聴いてみました!
めちゃくちゃ時代を感じます。アカペラなんですねぇ
家で歌ったものをそのまま録音した感じにも聞こえてしまいます
でもこれ覚えやすいメロディで頭に残りますねぇ
「カチュ~シャ♪かわ~い~や♪」が思わず脳内でリフレインされてしまいます。
それにしても古いレコードを聴くという行為はいいですねぇ
私も家に帰ったら懐かしのレコードに針を落としてみましょう♪

さてさて

本日は「リコー519デラックス」のカメラ修理を行っています。
カメラだけではないですがネーミングに「デラックス」が付くと
やはり時代を感じますねぇ
1958年発売のカメラです。
リコー35シリーズから派生したのが
リコー500シリーズです。
「519」は「500シリーズ」最初のカメラとなります。
35シリーズよりも小型軽量なシリーズということですが
「519」は1950年代のカメラですから
それなりに立派に大きいですしずっしり重いです。
鏡胴にもメッキが多用されており
この時代のカメラならではの高級感のある」カメラです。
リケノン銘レンズですが実は評価の高い富岡光学製のものらしいです。
4群6枚の4.5cmF1.9という大口径レンズです。
シャッターはこれも当時の高級シャッターである
セイコーシャMXLを搭載します。最高速は1/500です。
ファインダーにも立派なプリズムが使われており
どこを見ても高級機と言える造りです。
500シリーズというと70年代の500Gとかを連想しがちですが
それとは全く異なるキャラクターのカメラです。

お預かりしている519デラックスは
底部に配置されている巻上レバーがスカスカに動き
シャッターチャージ及び巻上ができません。
この519デラックス、巻上レバーが底部なのは良いのですが
ニコンFとかと同じように
裏蓋と底板が一体で一緒に外れるタイプなのですね。
さすがにリンク部分が露出しているので
少し壊れやすいといえるかもしれません
でも逆に言えば巻上レバー周りのメンテナンスは行いやすいのですが…
今回はリンク部分自体は問題ないのですが
巻上レバー機構のギアのかみ合わせが緩くなってしまい
空回りしている状態でした。

さらにレバーの動き自体も古いグリスやら油やらが
抵抗となってしまっていて非常に悪い状態です。
でもそれだけでは簡単にギア留めや
レバーのリンクが緩むほどのトラブルになるかな…と思って
他もチェックしてみると
本体側のシャッターチャージが異様に重いのですね。
これが原因で巻上レバー側にかなりの負荷がかかっていたのが
根本的な原因かと思われます。
シャッターチャージ部やフィルム巻上機構の整備で
改善できると思われます。
シャッターユニットは完全に分離して整備を行い
レンズ清掃も並行して行います。
残念ながら前玉に結構な拭きキズがもともとあり
それ以外の中玉や後玉のカビは除去できたのですが
拭きキズは残念ながら処置できないのでそのままです。
逆光時には少しフレアが出やすいし
コントラストは弱めになると思われます。

ファインダープリズム内部にはダメージはほとんどなく
なかなか良い状態です。ただ表面には汚れや
カビが多く発生していましたのでもちろん清掃を行います。
見え心地はやはりプリズム使用のファインダーらしい
気持ちの良いクリアさです。

後はファインダー調整、ピント調整等々を行い
再組立てしていきます。
519ってあまり見ないカメラなのですが
やはりこれも50年代のカメラらしく
モノとしての高級感に溢れていて
非常に良いカメラだと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。