オリンパスペンDのカメラ修理

今日は「ホームビデオ記念日」だそうですよ
1969(昭和44)年のこの日に
ソニー・松下電器・日本ビクターが
世界初の家庭用VTRの規格「U規格」を発表したことに由来しています。
いわゆる磁気テープのVTRですね。
この時代の映像記録となるとまだ8mmフィルムも健在だったので
磁気テープとフィルムをごちゃ混ぜにしちゃうと
非常に分かりにくい話になりますね。
VTRはvideotape recorderの略なのであくまでテープの話です。
この「U規格」実際には一般的に普及するまでには至りませんでした
テープの幅が3/4インチで
カセットテープの外形寸法は186mm×123mm×32mm
非常に巨大であったことから「ドカベンカセット」とも呼ばれていたようです。
でもこれ以前はいわゆるオープンリールだったので
それでも随分使い勝手はよくなったはずです。
その後、VHSやベータが出現し
家庭用VTRは一気に普及します。
VHSやベータはテープ幅は1/2インチで確かに小さいのですが
最終的に生き残ったVHSのカセットは
188×104×25mmなので「U規格」とさほど変わらないサイズだったというのも
何だか今考えると面白いですね。
ちなみにベータのカセットは156×96×25mmです。
まぁどちらにしろビデオテープ自体が絶滅危惧種ですし
いまやDVDやブルーレイなんかのメディア自体が瀕死の状態で
動画だってストリーミングの時代ですものねぇ
ちなみに私の10代~20代はVHS全盛期なので
当時のミュージックビデオとかライブビデオ
MTVジャパンを録画したものとかが結構あって
大部分が既にDVDにデジタル化完了しています…
そのために中古のビデオデッキ買ったのですよ(笑

さてさて

本日は「オリンパスペンD」のカメラ修理を行っています。
「D」はデラックスの頭文字で
まさに最高級のペンという意味です。
最初にノーマルのペンが出て
その上級モデルとして「ペンS」が発売され
その後、ペンDが1962年に追加発売されました。
最初の「ペン」が出てから約3年後です。
F.ズイコー3.2cmF1.9の高性能大口径レンズを搭載し
コパル製のシャッターは最高速1/500秒
セレン光電池式Lの露出計まで装備しています。
まさにこの1台で大抵の撮影に対応できるといった仕様です。
それでいてハーフカメラなので
初代ペンに比べれば多少大きくなったとはいえ
十分すぎるほどコンパクトなのです。
まぁ売れそうな要素満載ですよね
実際にかなりヒットしたカメラだと思います。
現存している個体数もかなり多いのですが
懸念事項はやはりセレン光電池で
劣化して起電しなくなっているものはもうどうしようもございません
ただし、ペンDは露出計は完全に独立機構で
本体側とは全く連動・連携がないので
露出計が死んでいてもカメラの本体側の機能には影響しません。
これがオート連動だったりすると撮影にも影響が出てしまいますが
ペンDはマニュアル露出のカメラで
その上、露出計指針にSS・絞りの連動さえないので
影響は最小限で済まされます。
せっかくあるものが役に立たないのは少し悲しいですが…

ただ、今回お預かりしているペンDは
セレンも一応生きていて
お預かり時にはかなりオーバー目で
その値を信用して使うのはちょっとマズい状況でしたが
整備後はネガであれば全く問題ないレベルに調整できています。
それよりもお預かり時に大きな問題があり
シャッター羽根が明らかに外れかかっていて
シャッターも半開きのままで固まってしまっている状態でした。
このままでは全く撮影に使用できる状態ではありません。
分解してからわかりましたが
シャッター羽根は単に外れかかっているだけではなく
羽根自体がもはや折れ曲がっている状態でしたので
破損している羽根は部品取りの中古良品と交換しました。
おそらく油シミ等で固着しかかっているところへ
何度も動作を繰り返したているうちに
どこかで折れて変形破損してしまったのだと思われます。
レンズシャッター機は特にですが
フォーカルプレーン機でもレンズ側の絞り羽根で
同様のトラブルの可能性も結構あるので
油シミが見えるもの、動きが重いもの、粘りがあるものは
むやみに動かさず早めに修理を行うことをお勧めします。

一通り整備・修理が完了し
少し時間をおいて最終チェックに入る状態です。
なかなか個性的な外装です。
上カバーのブラックはリペイントだと思われます。
張り革も変えられていますが
今回はさして問題なかったのですが
こういう張り替えられた貼り革の中には
材質に問題のあるものも結構あって
両面テープで軽く貼られているだけで
簡単に張り直しができるものはまだ良いのですが
溶剤に弱い材質のものも結構多く
それが接着剤でしっかり貼られていると
溶剤が使えない上に下手に剥がすこともできないなんてものも
結構これまでに出会ったことがあります。
革張替えの際にはしっかりした材質のものを
正しい接着方法で貼りましょう。

シャッター以外にも巻上機構や絞り機構等々
あちこちに動きの悪い部分もありましたが
全体的にしっかり整備を行い
快調に動作するようになりました。

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