今日は「プライヤの日」なのだそうですよ。
「プ(2)ライ(1)ヤ(8)」と読む語呂合わせからだそうです。
プライヤ…要はモノを挟む・掴むための工具ですね。
いわゆる「ペンチ」もプライヤの一種です。
(余談ですが日本では逆に「プライヤ」が
ペンチの一種を指すことも多いようです)
ペンチにしてもプライヤにしても身近な工具ですよね。
私の仕事の場合は相手にする部品が小さいので
一般的なプライヤの出番は少なく
部品を掴んだりするのはピンセットが主役となります。
ただ、プライヤの一種でもあるラジオペンチは
先端加工してカニ目を回す際に多用しますし
これもプライヤの一種でもある「ニッパー」も多用します。
あまり出番が多いのは良くないですが
「ネジザウルス」もプライヤの一種ですね。
この手の工具は毎日手にしますし
工具屋さんやホームセンターに行くと
何か役に立てそうな工具はないかプライヤ関連は
かなり頻繁にチェックします。
手先の器用さというか技術だとかいう前に
使いやすい工具を正しく使うのも非常に大事です。
「弘法筆を選ばず」なんてことも言いますが
道具次第で作業効率は全く変わりますよ。
まぁこれもこだわり過ぎも禁物で
無駄に高価な工具を使うのもどうかとは思いますが…
工具は何にしても基本的には消耗品ですし…
(長く使えるものももちろんありますが…)
今日もいろいろな工具を手にしながらカメラを整備していきます!
さてさて
本日は「ニコマートEL」のカメラ修理を行っています。
1972年発売の電子制御シャッター機です。
ニコマートシリーズは機械制御シャッター機の「FT系」が
60年代から先行発売されており
EL系は随分遅れての追加となった形です。
ニコン初の絞り優先オート搭載機であり
「非Aiレンズ」でオート撮影ができるのは
この「EL」とワインダー対応の「ELW」のみとなっています。
電子制御シャッター機なので電池がなければシャッター制御はできませんが
電池がない場合は1/90のみ使用可能の状態になります。
オート時には1/1000~4秒のSSを無段階で設定する仕組みになっています。
特徴的…というか独特なのは電池室の場所で
なんとミラーボックス内底部に電池室が配置されています。
ミラーアップまたは指でミラーを上げておいて
電池室の蓋を開くような手順となり
またこの電池室、電池(4SR(LR)44)が取り出しにくいのです…
設計時に相当場所に困ったのでしょうね…(苦笑)
決してコンパクトなボディではないので
何とかならならなかったのか…という気もしますが…
今でもよく覚えていますが
初めて「EL」を手にした時に説明書も何も手元になく
「あれ???電池ってどこからいれるの????」と
電池室を探しまくったあげく
自力では見つけられなかった…ということもありました(笑
電池室云々の話はともかく
基本的には非常に使いやすい露出計ファインダー表示を持つカメラで
オート時だけではなくマニュアル時にも使いやすいカメラです。
シャッターは既に実績充分のコパルスクエアです。
機械的安定度は抜群のユニットなので電子制御さえ安定してれば
非常に信頼性の高いシャッターです。
お預かりしている「ニコマートEL」は非常にキレイな外観の個体です。
動作も一通りは行えているのですが
細かくチェックしていくといくつか問題を抱えています。
まず高速シャッターに問題があり
1/1000設定だとシャッターは全く開きません。
1/500設定だと開くのですがこのときも1/1500くらいの露光量しかありません
非常にスリットが狭い状態ということです。
こういう場合に多いのが先幕の動きが汚れ等で遅く
後なくに追いつかれてしまっているパターンですが…
今回の場合は少し状況が異なるようです。
1/500や1/250で計測してみると先幕の動き自体は悪くなく
後幕よりも少しばかり幕速は速いほどなのです
…となるとマグネットの吸着解除の
タイミングがよくないということだと思われます。
単純にマグネット吸着部の汚れ等が原因であればまだ良いのですが
制御部の問題だとちょっと大変かもしれません。
そのシャッタースピードの問題を抜きにしても
オート制御はかなりアンダー気味でSSの精度は充分出ている
1/125や1/60を使うような設定でもオートは2段近くアンダーになってしまいます。
露出計の指示する値自体は問題ないようです。
それからこれは原因は単純ですが
フィルム室の蓋(ボディ裏蓋)が非常に開きにくくなっています。
巻き戻しクランクを引き上げた時点でロックは外れているのですが
そこから指で強引に開かないと裏蓋が開きません。
確かにモルトは劣化していて多少粘着質ですが
通常はそのくらいではこんなに開きにくくありません。
で、開けた状態でよく見てみると…
モルトを随分前に一度替えているのだと思いますが
その際にボディ側の溝部分は中途半端なモルト除去にとどまっていて
新しいモルトを本来モルトの貼られていない
裏蓋側にそれも厚めに貼ってあります
そして今度はその貼ったモルトが劣化してしまっています。
で、裏蓋の空きにくい原因はこの裏蓋側に貼ったモルトです。
試しにざっくりモルトを除去してみると
見違えるように普通に開くようになりました。
もちろん後で正しい位置に適正な厚さのモルトを貼り直します。
まだ現状をチェックしただけの状態です。
これから本格的に分解整備取り掛かります。
整備性はそれほど悪くないカメラですが
上カバーを開ける際に予備知識がないと
わかりにくいところが一ヶ所あり
そこがまた場合によっては
回りにくくてなかなか開かないのですよねぇ…(苦笑)
まぁ、何にせよ。何とかがんばります!