ミノルタXDのカメラ修理

今日は「天使の囁き記念日」だそうですよ。
ここでいう「てんしのささやき」とは
マイナス10℃以下になると空気中の水蒸気が凍ってできる
氷の結晶「ダイヤモンドダスト」のことだそうです。
1978(昭和53)年のこの日に
北海道幌加内町母子里(ほろかないちょうもしり)で
気象庁の公式記録の対象から外れていたため
非公式だそうですが国内最低気温のマイナス41.2℃を記録したそうです。
これにちなみ、同町の「天使の囁き実行委員会」が
1994(平成6)年に制定した記念日です。
ダイヤモンドダスト(細氷)は気温もさることながら
いろいろな条件が揃わないと出現しないのですよねぇ
でも人工的に作りだすこともできるそうです。
一度は実際にダイヤモンドダストの舞うところを
体験してみたい気もしますが…
いや…もう常識外に寒いところや暑いところはイヤだな…
間違いなく身体にダメージありそうですもの…(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタXD」のカメラ修理を行っています。
1977年発売の世界初の両優先オート(絞り優先・SS優先)搭載カメラです。
もちろんマニュアル露出も可能です。
いわゆるマルチモード機の先駆者となったカメラです。
翌年にはさらにプログラムオートも搭載された
最大のライバルであるキヤノンA-1が発売され
本格的なマルチモード機の時代に移り変わっていきます。
発売当時は機能的な面が非常にクローズアップされていましたが
現在ではその端正で飽きの来ない優れたデザインと
ミノルタらしい何とも気持ちよい使い心地で
注目されるカメラとなっています。
凝縮感のあるコンパクトなボディが誰が見ても
好印象なイメージだと思います。
この時代のミノルタらしく使い心地の良い基本設計のカメラに
当時の最先端の最先端の電子技術を組み合わせ
高機能てんこ盛りにしたカメラなのですが
現行機種だった当時から
電気系のトラブルが多いカメラであったのは有名です。
現在それなりに動作している個体は当時に
正しい対策が施されたものも多く
それほど困った状態のものを見ることは少ないような気もしますが
当時から長らく眠っている個体は安心できないものが多いです。
当然ながら電子部品の交換等は不可能な部分が多いので
場合によっては修理不可能になることも多いカメラです。

お預かりしている「XD」は人気のブラック塗装モデルです。
随分長い間使われずに仕舞い込まれていた個体だと思われます。
その際に電池が入れっぱなしになっていたものとみられ
電池室にはかなり激しい腐食が発生しています。
電池室から見える部分もそうですが
裏側の端子やハンダ、周辺の配線等にも腐食が広がっていると思われます。
当然ながら電源は全く入らない状態です。
電源が入るようになっても電子部品の問題でまともに動かない可能性も
それなりにあるので修理する立場としては
なかなかハイリスクな状態と言えると思います。
もちろん何とかする方向でできる限りの整備を行っていきます。
電源が入らないのでシャッターは「B」と「O」でしか切れません
そこでも他の問題が確認されています。
XDでたまにある症状なのですが
ボディ側のレンズ絞込レバーの動きが悪く
レンズを全く絞り込めない状態になっているようです。
ここは単なる機械的な動作不良なので何とか改善できるかと思われます。
加えて巻上部にはかなり粘りがあり
XEほどではないにしろ魅力の一つである
「巻上の滑らかさ」も大きく損なわれた状態です。
こちらも最終的には改善してきたいと思います。

まだ上カバーを外しただけの状態ですが
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
これだけのフレキを抱えた電子制御満載のカメラなので
当然ながら分解整備の難易度は高いカメラです。
細心の注意を払いながら作業を行っていきます。

…このあと…まずは電源の復旧を行い
まずは電気でシャッターの切れる状態にするのですが
なかなか動きが不安定でやはり各接点や摺動抵抗の
接触不良があちこちにあるようです。
ただ致命的に制御不能な症状はなさそうで基板内漏電も行っておらず
何とか修理可能な状態であることが判明して少し安心しました。
これからさらに整備調整を行い普通に使える状態にしていきます。

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