ニコマートFTのカメラ修理

今日は3月4日…
今日も語呂合わせの記念日が多いですねぇ
「サッシの日」、「三線(さんしん)の日」、
「ミシンの日」、「三姉妹の日」、
「差し入れの日」、「酸蝕歯の日」…等々…
そんな中に「雑誌の日」もありますね。
クルマ・バイク雑誌、写真・カメラ雑誌、
登山・アウトドア雑誌、オーディオ・音楽雑誌…
その頃に興味があったものの雑誌を
なんだかんだで毎月大量に買っていましたが
ここ近年は全く手に取ることがなくなってしまいましたね…
単に歳とって志向が変わったのもありますが
大概の情報はネットで済んでしまう世の中になってしまいましたものね。
実際に刊行される雑誌の数も20年前あたりに比べたら
圧倒的に少なくなってきていると思います。
歴史ある雑誌の休刊・廃刊のニュースもたまに聞きますものね…
これも時代の流れなんでしょうね。
ちょっと寂しいような気もしますが
自分自身も全く雑誌を買わなくなったので致し方ないような気もします。
お店や自宅の古い資料を調べ物でひっくり返していると
昔のカメラ雑誌等が出てきて
それを読み始めると
止まらなくなってしまったりはしますが
それは懐かしさありきのものなので
また異なるものですね。

さてさて

本日は「ニコマートFT」のカメラ修理を行っています。
FT系のニコマートだと「FTn」の登場回数が
圧倒的に多いのですが
今回は最初のニコマートでもある「FT」です。
1965年発売のカメラです。
既にニコンはフラッグシップ機では「F」で大成功を収めていて
それに続く中級機をコストを抑えるために社外に
生産を託した「ニコレックスシリーズ」を展開しましたが
これが商業的には決して成功とはいえず
機能的にも信頼性的にもニコンクオリティとは言い難いレベルでした。
そのあたりを考慮して改めてスタートした中級機シリーズが
「ニコマート」ブランドなわけです。
汎用的なコパル製の金属製縦走りシャッターユニットを採用し
コストダウンをしつつも
ニコン基準の品質を維持するために開発製造はニコン社内で行われ
信頼性も格段に向上しました。
実際にニコマート特にFT系は非常に丈夫なカメラです。
この時代、コパルシャッターもいろいろなカメラで採用されていますが
どのカメラでも非常に安定した動作を見せてくれます。
製造から50年以上経過しているカメラなのに
致命的に動かない個体が非常に少ないのです。

今回のニコマートFTもまずはシャッターは動作しています。
たださすがに何十年も放置されていた個体とみられ
精度までは出ていません。
それでもとりあえず動くだけでもすごいのですが…
まずシャッター羽根の汚れ等で微妙に動きが悪いと思われ
高速シャッターの精度は全く出ていません。
単に精度が出てないだけではなく不安定なので
きちんとした露出を出そうとすると
とても使えないレベルです。
さらに低速シャッターでは
頻繁にシャッターが開いたまま固着していしまいます。
1秒、1/2秒ではほぼ100%開いたままで固着していしまいます。
シャッターユニット内組み込みのスローガバナの動作不良のようです。
加えて巻上にも油切れでスムーズさはなく
ファインダーや装着されているレンズにもカビが発生しています。
ただ電池はしっかり抜いてあったようで
電池室周りの腐食等はなく露出計も調整は必要ですが
動作している状態です。
全体的に致命的な破損等はないものの
やはり動きをよくするための清掃やメンテナンスが必要な状況です。

露出計回路もシンプルで整備性もよいカメラです。
ここから前板及びミラーボックスを分離して
シャッターユニット周りの整備から行っていきます。
FTnに比べるといわゆる「ガチャガチャ」に対応していないので
レンズ交換を頻繁に行う場合は少し手間なのと
ファインダー内にSS表示がないのが少し寂しいですが
操作的に異なるのはそのくらいで
基本的な構造は後のモデルと大きな違いはありません。
基本的には非常に丈夫なカメラなので
ここでしっかり手を入れておけば
また当分の間、快適に使っていけると思います。

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