キヤノンF-1のカメラ修理

今日から4月ですね!
年度最初の日でもあり
エイプリルフールでもありますが
私は残念ながらそのあたりのジョークのセンスはないので
毎年スルーさせていただいています(苦笑)
それ以外にもいろいろな記念日が制定されているのですが
「携帯ストラップの日」なんてものがありますね。
懐かしいですねぇ~
ガラケー全盛期にはどんなストラップつけるか
いろいろ悩んだものですが
ん?今やスマホになってそもそもストラップホールなんてないのでは?と思い
自分のスマホ見てみてもやはりストラップホールないのですね
でもネックストラップでスマホぶら下げている方を
たまに見かける気が…と思って調べたら
今はスマホケースと本体の間に挟み込むタイプなのですねぇ…
いずれにしても昔のようにストラップ付けることが
必須ではなくなってしまいましたものね…
そういえば初期のガラケーの頃には伸縮するアンテナも付いていて
これを「光るアンテナ」にドレスアップしたりとかもありました
いつのまにか忘れているものっていろいろありますねぇ

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
この分野のカメラで大きく後れを取っていたキヤノンが
一気にライバルであるニコンに追いつき追い越すために
満を持して発売したプロ向け最高級機です。
機能的なスペックもさることながら
このジャンルのカメラに求められることは
過酷な環境でも安定して動作する堅牢性です。
この点についてライバルであるニコンF2は
圧倒的優位を保っていますが
F-1もそれに負けじとマイナス30度から
プラス60度までの温度域に耐えうる環境性能を持ち
シャッターに関しては人力による10万回切りのテストを
行った有名な話とかも伝わっています。
さらにシステムカメラとしてもあらゆる撮影に対応するための
豊富なアクセサリー群を展開し
F-1登場とともに切り替わったFDマウントのレンズ群の
評価の高さもあり一気にこの分野でもトップクラスの
カメラとして評価されることとなりました。

高価な最高級器とはいえ当然大ヒットしたカメラなので
現存している数も多く最高級器ゆえに大事に保管されている
個体も多く全体的には程度の良いものが多い印象です。
…とはいっても…長い間仕舞い込まれていたままの個体も多く
今回、お預かりしているF-1もそんな1台です。
とりあえずは一応は動作しているのはさすがF-1といったところですが
細かく見ていくといろいろ問題を抱えています。
まずシャッターに関しては高速SSを中心に
全く精度が出ていません。
やはり先幕と後幕の幕即バランスが大きく崩れているような状況です。
F-1の場合は単なる幕軸の汚れ等による動作不良だけではないことが多く
今回もやはりそうだったのですが
そのあたりは対処方法がわかっているので
修理整備の上での調整で対処していきます。
F-1で多くみられるシャッターバウンドまでは今回はないようです。
加えて露出計やBCがかなり不安定です。
こちらはSW類を含む各接点の清掃整備で対処いたします。
もちろん露出計の調整も行い問題ない精度にまとめていきます。

画像は一通り整備が完了した状態でのものです。
今回は装着されている50mmレンズも含めて
望遠・広角の交換レンズの清掃も行っています。
当時の堅牢性はライバルと互角だったのだとは思いますが
製造されて50年以上経つ現在で比較すると
そのあたりの部品の堅牢性といった点では
ライバルに一歩譲るかもしれません。
でもFDレンズを含むシステムとしての魅力と
なんといってもスタイリッシュさでは
F-1でしか得られない魅力というものが間違いなくあると思います。
この低く構えたペンタ部のデザインといい
F-1ならではのスマートでエレガントな佇まいには
目を奪われますね。
これから最終的なテストを行って問題なければ完成となります。
おそらく数十年ぶりの稼働となると思われますが
ご依頼者様には存分に楽しんでいただきたいと思います。

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