キヤノンFTbのカメラ修理

今日は「平成」改元の日ですね。
1989年(昭和64年)1月7日の昭和天皇の崩御をうけて
皇太子であった明仁(あきひと)親王(現:上皇)が新天皇に即位され
それと共に元号が「平成」と決定し、8日から平成がスタートしたわけです。
昭和が63年も続いていたので
改元なんてもちろん経験ないし、崩御による改元なので
コンビニもシャッターを閉めて休業なのか?とか
ちょっとした騒ぎになりました。
それも既に随分昔なのですねぇ。。。
このときに比べれば昨年の令和への改元は
全くスムーズに行われたと思います。
やはり生前退位のほうが現在には合っているような気がしますね。

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
同じ年に「キヤノンF-1」が誕生しており
最高級機の「F-1」に対する中級機としての位置づけになっています。
基本的な構造はF-1と同様の部分が多いのですが
前モデルのFTをFDレンズに対応させ
開放測光を可能にしたモデルです。
逆に言うとF-1はFTの考え方をベースに
さらに耐久性を上げ、細かい部分のブラッシュアップを行ったカメラとも言えますね。
スタイリングをそれまでのモデルとは一新したF-1に比べ
FTbは従来のFシリーズのデザインを引き継いでいます。
スタイリッシュなF-1も良いですが
全く奇をてらっていないFtbのスタイリングも秀逸です。
キヤノンは本当に外装デザインが上手いメーカーだと思います。
もちろんデザインだけではなく
非常に使いやすく必要十分なスペックを持ったカメラで
従来のFLレンズによる絞込み測光も可能です。
セルフタイマー周りやバッテリーチェックの方法は
キヤノンらしい独自の手法ですが慣れると非常に使いやすいものです。
FTで採用された中央部分測光はF-1同様、
もちろん引き継がれています。

お預かりしているFTbは一通り動作しているものの
やはり幕軸の油切れもあり
高速シャッターの精度が全く出ておらず
シャッター音も甲高い濁ったものになっています。
加えてファインダー内のゴミや汚れがかなり酷く
全体的にリフレッシュが必要な状況です。
露出計も少々不安定です。

外から見た感じにはわかりにくかったのですが
スクリーンとプリズムの間にある
コンデンザレンズや接眼レンズにはかなりのカビが発生しています。
FTbに限りませんがコンデンサレンズを使用している
この時代のカメラはスクリーン周りの清掃には
かなり神経を使います。
当然、スクリーンが下から抜けるわけではないので
清掃し、上カバーを閉じたあとで
どこかに紛れていたゴミがファインダー内に入っていることが発見されれば
もちろんやり直しですし、精神的にダメージも大きいです(笑)
慎重に周辺のゴミも見逃さないように清掃していきます。
FTbはプリズムが腐食していることもかなり多いのですが
今回の個体は以前に一度交換されているようで
プリズムは非常にキレイな状態です。
そうはいってもカビ等の汚れはあるのでもちろん清掃します。
話が少し逸れますが。。。
外装が非常にキレイな状態で保たれているカメラでも
意外に接眼レンズが汚れているものをたまに見かけます。
外側はもちろんですが内側だったとしても
あれだけ直接目を近づける場所なので
カビが生えているのは気持ち悪いですものね。
接眼レンズ周りは特にキレイに保ちたいものです。
接眼レンズの汚れは実際にファインダーを覗いただけでは
近すぎて意外と気づかないものです。
たまには少し離れて接眼レンズを透かしてみると
状況がよくわかると思います。

この後、シャッター周り・ミラー周りの整備を行い
シャッター速度はもちろんのこと
シャッター音やフィーリングも非常によい状態になり
気持ちよく使っていただける状態に整備できました。

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オリンパストリップ35のカメラ修理

今日から仕事始めの方も多いでしょうね。
あんなに楽しみにしていたお正月休みも
終わってみればあっけないですよねぇ。。。
今日は1月6日ということで「色の日」だそうですよ。
色って本当に気分を左右しますよねぇ
当店にご来店されたことがある方はご存知だとは
思いますがお店には私の好きなオレンジ色のものが多いです。
昨年11月にまたもや椅子が壊れてしまって
(2年に1回は背もたれ部分が必ず壊れる(汗))
鮮やかなオレンジ色の椅子になりました。かなりお気に入りです(笑)
オレンジ色は好きですがそれはここ4、5年の話で
それより以前はずっと青が好きだったのですよねぇ。。。
もちろん今でも好きですし、カープファンなので赤ももちろん好きですし
黄色もピンクやライムグリーンも良いですよねぇ。。。
鮮やかな色なら何でも好きなのかもしれません。(節操ないかも)
ちなみに写真はやはりカラーのほうが好みです。
たまにモノクロ写真にも挑戦しますが
いまひとつピンと来ないことが多いのです。。。(汗)

さてさて

本日は「オリンパストリップ35」のカメラ修理を行っています。
歴史の長い「オリンパス35シリーズ」の末裔ですが
昔の35シリーズと比べると随分軽量コンパクトとなりました。
発売は1968年で構造としては
ペンEES-2のフルサイズ判と言った感じです。
セレンを使用する2速切替のプログラム露出も
目測ピント、アルバダ式ファインダー
フィルムフォーマットに関するところ以外はほぼペンEES-2と共通です。
さすがにペンよりはほんの少し大きいですが
非常に軽量コンパクトで電池要らずのオート露出カメラで
常に持ち歩くには最適のカメラだと思います。

お預かりしているトリップはシャッターを切っても
シャッター羽根が全く動かないようです。
加えて鏡胴が妙にグラグラしています。
この時点でピンと来ましたが
どうやらシャッターユニットのネジが外れてしまっているようです。
ペンEES-2とほぼ構造が同じということは
ペンEEシリーズでよくある内部のネジが外れてしまうトラブルも
同様に起こるということですね。
カメラを少し傾けるとシャッター羽根が一部動いて
シャッターが少し開いてしまいます。
完全にシャッター羽根が駆動ピンから外れてしまっているようです。

下真ん中のシャッター制御機構部に
左側のシャッターユニットが4本のネジで留められているのですが
そのうち2本が完全に外れて中に転がっていました。
かろうじて留まっていた2本もゆるゆるで
完全に外れてしまう直前でした。
シャッターユニットの整備をした上で連結部をリンクして再取り付けします。
心配されたセレンは若干の劣化が見られますが
調整でリカバーできる程度だったので
オート露出と共にしっかり再調整します。
トリップのピントは前玉回転式なので
キチンと罫書きを入れて元通りに組むのはもちろんですが
ピントの再調整も当然行います。
露出計やオートのズレ、レンズ・ファインダーのカビ等々
小さなトラブルはあったものの、シャッターユニットの外れ以外は
致命的なトラブルもなく
今回の整備で当分、快適に使っていただけそうです。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

さて!今日から当店も通常営業です。
年末年始休みなんて「あっ」という間に終わりますね。
たいしてお正月らしいこともしていないのですが
地元に戻って友達と遊んで充実した休みだったと思います。
今年は昨年以上にがんばります!
今日、1月5日は「新年宴会の日」で
昔は祝日だったのですね。
(1874年(明治7年)から1948年(昭和23年)まで)
宮中において新年の到来を祝う宴会を行い
民間でもこれにならってこの日に新年を祝う会を行っていたのだそうです。
新年会のための祝日なんてこの時代ならではですよねぇ。。。
まぁ、私は基本「ぼっち」なので
新年会も忘年会も全く縁がないのですが。。。(笑)

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
一眼レフにおけるAE時代を開花させた記念すべきカメラです。
世界で初めてマイクロコンピュータを
搭載したカメラとしても知られています。
AE-1の「AE」はオート露出の「Automatic Exposure Contorol」の略ではなく
「Total Automatic System By Electronic SLR Camera」の意味を持ち
「1」は電子式カメラの頂点を表すのだそうです。
「Aシリーズ」の初代機でもあった「AE-1」は
キヤノンが社運を賭けて開発したカメラで
当然のごとく大ヒットとなり、その後の一眼レフ全体に大きな影響を与えたのは
間違いないと思います。
非常に使いやすくて良いカメラですが
大ヒットしたカメラで現存する台数も非常に多く
中古市場ではあまり高い評価をされることなく
酷い扱いを受けてジャンクとなっているものも多く少し悲しくなりますね。
キチンと整備を行えば現在でも非常に良いカメラです。

お預かりしているAE-1は
とりあえず動作はしているのですが
Aシリーズ定番のシャッター鳴きがたまに出るようです。
シャッター鳴きが出たときにはミラーアップしたままになることも多く
ミラーの動きが非常に悪いと思われます。
高速シャッターの精度も出ておらず
露出計・オート露出は2段以上オーバー傾向です。
全体的に整備が必要な状態で
その上で調整が必要だと思われます。

典型的な電子制御カメラですが
電子部品がダメで修理不能というパターンは少ないカメラです。
ただし、今回はそんなことはありませんが
分解品も多くフレキが切れているものもよく見かけます。
そうなっていると基本的に修理不能です。
さらに電子制御カメラとはいえ連動糸もまだ残っていて
これが切れている個体もたまにみかけます。
それもまず間違いなく分解品です。
お預かりしているAE-1は出所のはっきりしているカメラで
もちろんそんなことはなく
しっかり整備してしまえば現在でも快適に使える状態になりそうです。
おそらく随分長い間眠っていたものと思われますが
再びステキな写真をたくさん作り上げていってもらいたいものです。

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ペンタックスSLのカメラ修理

今日は「石の日」だそうですよ。
1/4ということで語呂合わせですね。
昔から日本では石を霊的なものとして崇拝することも多いですよね。
夜泣き石の伝説も各地に多いですし。。。
以前にも書きましたが人が死んだ後何かが残る
あるいは何かに変わるっていうことは全くありえないと思っていますが
目に見えない蟲はきっといるのではないかと思うので
石に宿っているのは蟲でしょうねぇ。。。(笑)
そう考えると全国各地にある神社に祭られているのも
きっと蟲なんだろうな。。。
。。。と。。。新年早々どこかに怒られそうな発言は控えましょう。。。(苦笑)
古いカメラにも何か蟲が宿っているものがあるかもしれないですねぇ。。。

さてさて

本日は「ペンタックスSL」のカメラ修理を行っています。
1968年発売のカメラです。
大ヒットしたSPから露出計を省略したモデルです。
この頃にはカメラに露出計を内蔵するのが当たり前になりつつある
時代でしたが、やはり「内蔵の露出計は信用できない」とか
「余計な故障の可能性が高くなる」等々の理由で
露出計が内蔵されていないカメラを求める層も多く
それに応える形で発売されたカメラです。
確かに数十年経過した現在では
露出計のトラブルが非常に多く、修理不能な場合もあるため
露出計のないSLは逆に魅力的な部分もありますね。
露出計以外の部分はほぼSPと同様です。

SLはそれほど頻繁に依頼のあるカメラではないのですが
今回は同じ日に全く別のご依頼者さまから
シルバー、ブラック、1台ずつ修理依頼が入ったので
一気に立て続けに整備していきます。

症状はどちらも同じような感じで
シャッター幕の走行不良です。
特に後幕の走行がスムーズではなく
キレイに後幕が走りきらないため
低速時にミラーアップしたままになってしまいます。
低速時にそんな状況であれば
高速時にシャッターが切れていても当然、精度が出ているはずもなく
1/1000だと写真両端で1.5段以上、露出の差が出てしまっています。
幕軸の清掃・注油、シャッター速度調速カムの清掃・整備
ミラー駆動部の清掃・注油を行っていきます。
ブラックのほうは定番のプリズム腐食
(プリズムにぐるっと1周貼られているモルトの加水分解が原因)が
発生しているので交換で対応します。

一通り整備を終えたSLは非常に軽快にシャッターが切れるようになりました。
シャッター音も巻上時の感触も明らかに改善しています。
何とか動いていたにしてもさすがに50年以上経過するカメラです。
駆動部分の清掃・注油は欠かせない整備です。
動きにくい関節を傷みながら無理矢理動かしていたものが
若い頃と全く同じとまではいいませんが
かなり楽に動けるようになったことと思います。
これでまた当分、ステキな写真がたくさん撮れることと思います。

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キヤノンFTのカメラ修理

今年最初のブログ更新となりました!
まだお店はお休み中で通常営業は5日からですが
ぼちぼち作業は再開します。

今日は「ひとみの日」だそうですよ。
1/3で「ひと・み」語呂合わせですね。
まぁ私は目が細いのであまり瞳が存在感を発揮しないのですが。。。(汗)
瞳はともかく視力がまた落ちていることが年末に発覚しました。
10年ぶりにコンタクトを作ろうと思い
まずは眼科で現状の確認とコンタクトの処方をしてもらったのですが
今、使っているメガネで調子の良いときは
両目で2.0見えていたのに今や1.0しか見えないようです。。。
近視が進んだというよりは乱視が酷くなったようです。
近視に対応したメガネやコンタクトを付けていると
手元のごく近い部分が非常に見えづらいので
今でも作業中はメガネは外していることが多いですし
コンタクトは休みの日にしかするつもりないのですが
とりあえず作ってみました。
目が小さいから入りにくいのですよねぇ。。。(苦笑)
乱視対応のコンタクトは通常より少し大きいですし。。。
作ったけどあまりしないかもしれません(笑)

さてさて

本日は「キヤノンFT」のカメラ修理を行っています。
1966年発売の一眼レフですが
まだレンズはFLレンズで絞込み測光となっています。
絞込みレバーが露出計のon/offを兼ねています。
露出計の機能は時代なりですが
このFTから受光体をスクリーンの上にある
コンデンサレンズの背面に配置し
より正確性を高めた測光を行うようになりました。
コンデンサレンズの背面に光を誘導しなくてはならないため
コンデンサレンズを斜め45度に切断し
切断面の視野率12%の範囲にハーフミラーを貼り
受光体に光を届けます。
構造上、測光範囲は中心12%の中央部部分測光となります。
このコンデンサレンズ及び受光体の配置はFT以降引き継がれ
後に出るF-1にも採用されます。

お預かりしているFTはそのせールポイントのひとつである
露出計が電池を入れても全く動きません。
バッテリーチェックも不動です。
加えて幕の動きが非常に悪く頻繁にミラーアップしたままになってしまいます。
ミラーアップせずに何とかシャッターが切れたときも
「ギャン」と言った感じの耳障りなシャッター音がしています。
幕軸の油切れだと思われます。

シャッターの不具合はいつも行う整備でクリアできたのですが
露出計は電池室裏の部品がいたるところで錆びていて
電気を全く通さないことが原因のようです。
狭いところに結構ややこしく配線しているので
少々大変です。とはいえ単純に電気をしっかり通せばよいだけなので
手間はかかりましたが行う手順はシンプルなもので済みました。
シャッターはもちろん快調に作動するようになり
ミラーアップの原因も後幕の動作不良が最大の原因でした
シャッター音もキヤノンらしいアタックの効いた
歯切れのよい音になりました。

ミノルタオートコードのカメラ修理

今日は12月28日です。
いわゆる官公庁の「御用納め」の日ですが
今年は今日が土曜日なので
昨日で「仕事納め」となった方が多いのではないかと思います。
ニュースを見ていると早速、今朝から道路や鉄道は
帰省ラッシュが始まっているようですね。
当店も本日で年内の営業は終了です。
ここ数年は年末年始は基本的に自宅にいて
元旦は丹沢を歩いてくるのが恒例行事となっていたのですが
今年はヒサビサに明日から地元・呉に帰ってきます。
。。。とはいっても
既に実家はなくなっているので友人のところや
ビジネスホテルを利用します。
生まれ育った町でたまにはゆっくりしてこようという感じです。

今年もたくさんのお客様に修理・整備を依頼していただき
なんだかんだと無事に終えることができそうです。
本当に多くの方にお世話になりました。
ひとりっきりでやりくりしているこんな小さなお店に
全国からご依頼をいただき本当にありがたく感じています。
引き続きお役に立てそうなことがあれば
お気軽にお声掛けいただければと思います。

さてさて

本年、最後のカメラ修理は「ミノルタオートコード」です。
個人的にも非常に好きなカメラのひとつで
私もじいさまから引き継いだオートコードを使っています。
発売開始は1955年で10年以上に渡って生産されましたが
何度かのマイナーチェンジも行われており
細かい仕様の差がモデルことに存在します。
大きくは前期モデルと1962年以降の後期モデルに判別され
「Minolta AUTOCORD」 のロゴが完全に楕円に囲まれているのが前期型
「Minolta」の部分で楕円の枠が切れているのが後期型と判別できます。
(文字で書くとわかりにくいと思うのですが
実際に見ると一目瞭然です)
基本的なスペックはシリーズを通してほぼ共通です。
評価の非常に高いテッサータイプのロッコール75mmF3.5レンズを搭載し
巻上はクランク方式でもちろんセルフコッキングです。
フィルム装填はスタートマーク合わせ方式のセミオートマットです。

お預かりしているオートコードはいわゆる前期型で
シャッターユニットはシチズンMXVで最高速は1/400です。
おそらくこのオートコードもかなり長い間使われていなかったようで
シャッター羽根に粘りが見られ、スローガバナも固着気味です。
最大の問題はオートコードの大きな魅力である
ロッコールレンズの状態が悪いことです。
お預かり時に透かしてみた感じでは
普通にカビが生えている程度かな。。。と思っていたのですが
実際に清掃を始めてみると
後玉ユニットの最前部(絞り羽根のすぐ後ろ)のレンズ表面の
コーティングが相当曇っており
ある程度復活させるのに非常に苦労しました。
前回のオートコードのブログでも書きましたが
特に前期オートコードの後玉前部のクモリはどうにもならない場合が多いです。
今回はいろいろな手段を駆使して何とか
撮影に支障のない状態には持って行くことができました。
ちなみにコーティングにカビ跡となって曇りがある場合は
たとえ磨いても復活させることはできないと思われます。

写真は一通りの整備が完了した状態でのものです。
シャッターユニットの整備、ファインダーミラーの交換、ファインダーの清掃
巻上部の整備・注油等々、整備一式を行っています。
ピントチェックの際にいろいろ操作していて思うのですが
二眼レフのファインダーでのピント合わせは正直なところ慣れも必要です。
それでも、オートコードのファインダーはフレネルレンズも入って
二眼レフとしては明るめで、その振り子式のピントレバーの快適さもあり
非常にピント合わせの行いやすいカメラだと思います。
SSや絞り設定もピント合わせの体勢のまま
上から確認できるのも非常に快適です。
軽快に巻き上げてクランクを逆回転してセットし
スッとピントを合わせて静かにシャッターを切る。。。
そんな一連の流れが非常に楽しいカメラだと思います。

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コニカアイ3のカメラ修理

今日で仕事納めという方も多いでしょうね。
ちょうど金曜日ですし。。。
当店は明日までの営業です。
月末の金曜日ということで「プレミアムフライデー」なのですよね。
認知度は意外と高いと思うのですが
いったいどれほどの人がこれの恩恵を受けているのでしょうねぇ。。。
まぁ、私のような個人事業主にはもちろん全く関係ないのですが
なぜよりによって「月末の金曜日」にしたのでしょうね
私もサラリーマン時代がそれなりにあったので思うのですが
月末の週末なんて忙しいに決まっているのではないかと。。。
もちろん業種にもよるとは思いますが。。。
プレミアムフライデー云々はともかくとしても
たまには早く帰れる日があってもいいですよね。

さてさて

本日は「コニカアイ3」のカメラ修理を行っています。
コニカのハーフ判カメラです。
目測ゾーンフォーカスで露出はプログラムオートで撮るカメラです。
シャッターはコパル製のプログラムシャッターで
シャッター羽根は絞り機能も兼用します。
実はこのプログラムオートの考え方と機構は
後に出てくる「じゃーに~コニカ・C35」の基になるのですね。
特にコパル製のシャッターユニットとその周辺は
C35と共通の構造です。
構造が共通なだけで部品の互換性は全くありませんが。。。
初代アイはセレン光電池を使用したものでしたが
アイ2で電池を使用するCdS式となり
さらにレンズがF1.9からF1.7に変更されたものがアイ3です。
評価の高いヘキサノンレンズは32mmF1.8です。

アイ3はトラブルの起こり方もC35と似ていて
今回も露出計が全く動かないこととシャッターの粘りです。
以前、C35のブログでC35のシャッター粘りは
羽根の油や汚れが原因ではなく
羽根駆動を行う円盤部の動作不良と書いていたのですが
今回のアイ3も全く同じ症状です。
羽根が動かないほどではないですが
明らかに羽根の動きが遅くC35でも見られるように
「B」が効かなくなっています。
(「B」にしても普通に切れてしまう)
露出計不動の原因はやはり電池室裏の配線の不良です。

レンズボードを外した様子もC35そっくりです。
メーターの配置や指針挟み込み機構も同じようなものです。
電池室周りの配線張替えや
シャッターユニット整備、レンズ清掃、ピント調整等々
各部点検整備一式を行っていきます。

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ニコンFのカメラ修理

クリスマスが終わると年末までは
ほんとうに「あっ」という間ですよねぇ。。。
この時期は時期的に中途半端なのか
記念日の設定も少ないのですよねぇ(苦笑)
毎月26日はいわゆる「風呂の日」なのですが
夏の時期には全く立ち寄らなかった近所の銭湯に
ここのところは数日に1回立ち寄るようになってしまいました。
やはりこの時期は大きな湯船にゆっくりと入って温まりたいですよね。
今年の営業は28日土曜日までで
翌日からは墓参りもかねて地元・呉に帰省の予定です。
(。。。といっても既に実家はないのですが)
いろいろ行きたいとこ、やらたいことはあるのですが
あっちでも「大和温泉物語」にでも行って
ゆっくり露天風呂でも楽しんできましょう

さてさて

本日は「ニコンF]のカメラ修理を行っています。
創世記の国産一眼レフを代表するカメラです。
一眼レフそのものは既に旭光学やズノーからも出ていましたが
システム化された本格的プロ向け一眼レフとしては
ニコンFが最初ではなかったかと思われます。
実際に報道写真の世界ではニコンFの登場以降
それまでに多く使われていたスピードグラフィック等のカメラに
代わってニコンFが使われるようになっていきます。
ニコンFの登場をきっかけとして
さらに市場は一眼レフへと移行していき
世界的にも国産一眼レフが世界的にシェアを拡大していくのもこの頃からです。

基本的な構造としてはそれまでのニコン最高級機であった
レンジファインダーカメラSPの部品をできるだけ流用し
SPのボディを二分割し間にミラーボックスを組み込んだ形として開発されています
ファインダー交換を可能とした上で視野率100%を実現し
ミラーアップ機構、自動絞り対応、
さらにはあらゆる撮影に対応するための
膨大なアクセサリー群とニッコールレンズと
どんなユーザーにも対応できる体制を整えています。
現在でも感心せざるを得ないのはその堅牢性で
未だにメンテンスさえしっかり行えば
当時とほぼ変わらないパフォーマンスを発揮できる個体が非常に多く存在します。
唯一の泣き所はプリズム腐食がやはり多いという部分で
これは当時の蒸着技術から考えるといたしかたない部分かと思われます。

お預かりしているニコンFはかなり使い込まれたと思われる
ブラックボディのアイレベルファインダー装着機です。
一緒にお預かりした装着レンズは
ある意味、非常にニッコールらしいカリカリで精密な描写が特徴の
Aiマイクロニッコール55mmF3.5です。
レンズはAiなので随分後になって買い足したものだと思われます。
かなり長い間、どこかに仕舞いこまれた個体と思われ
お預かり時にはその外装の汚れと
レンズ・ファインダーのカビがなかなか大変な状況でした。

外装の埃と汚れもなかなかなものですね。
でも、随分昔にメンテナンスはされているようで
心配されるプリズムにはカビはあるものの腐食はありません
シャッターは何とか切れますが
ミラーが上がったままになってしまいます。
(正確にいうと上まできっちり上がりきりません)
ミラー駆動部の固着が原因ですが
ニコンFを分解したことのある方ならご存知だと思うのですが
ニコンFのミラー駆動バネは他のカメラでは見ることができないほどの
これでもかというほどの強くて太いバネが入っています。
これほどの強いバネでも固着や粘りが発生するのですから
やはり古い油や汚れはバカにできません。。。。
もちろん幕軸や巻上にも油切れや汚れの影響が出ており
シャッタースピードは全く精度が出ておらず
Fに多いトラブルでもあるスローガバナの固着も起こっています。
レンズはカビ・汚れが酷く透かしてみると反対側が
はっきり見えないほどです。
。。。とはいえ全て古い油と汚れが原因です。
きっちり分解して隅々まで清掃して新たに注油を行えば
普通に撮影できる状態に復活できそうです。

。。。というわけで一通りの整備が完了した状態の写真です。
外装も見違えるほどキレイになりました。
適度に使い込まれた塗装ハゲはそのままですが
これは逆にカッコ良いですよね。
動きも当然バッチリでシャッタースピードも全く問題ない精度が出ています。
マイクロニッコールレンズも致命的なコーティング傷み等はなく
非常にクリアな状態になりました。
やはり元々の造りの良いカメラはメンテさえ行えば
全く問題ない状態になりますね。
いろいろ汚れてはいましたが
致命的なショック品とかではなかったのが幸いで
機械的な状態としてはそれほど問題はない個体でした。
随分長い間、眠っていたのだと思われますが
再びこれからの時代をたくさん切り取っていただければと思います。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

昨日のブログでも書きましたが
今日の日没まではクリスマスですよ
メリークリスマス!
ところで12月25日は「昭和」改元の日なのですね。
1926年(大正15・昭和元年)のこの日に
大正天皇が崩御され
当時の皇太子であった裕仁(ひろひと)親王が新天皇に即位されました。
それに伴って元号も「大正」から「昭和」に改元されました。
戦前の旧祝祭日では大祭日の一つ「大正天皇際」(12月25日)といって
大正天皇崩御を祀る日とされていたのだそうです。
昭和生まれの私としてはちょっと気にかかる日です。
それにしても改めて考えても昭和は長かったのですね。
昭和元年と昭和64年は1ヶ月もなかったのですが
それでも60年以上続いて、その中でも激動の時代でしたものね。
さて今年から始まった「令和」はいったいどんな時代になるのでしょう
次の改元まではおそらく生きられないだろうなぁ(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
今月もやはりOM-1の修理はコンスタントにありますね。
M-1を含めると今月のブログに3回目の登場です。
今月はOM-1だけでなくオリンパスのカメラが非常に多いですね。
オリンパスのカメラといえば
やはり軽量コンパクトなものが非常に多いという印象です。
OM-1も当時の一眼レフとしては
その大きさと静かさではライバルはいないと言って良いと思います。
軽量コンパクトなのはもちろんですが
個人的には非常に上品なシャッター音と
上質な巻上フィーリングが最大の魅力かな、と思います。
オリンパスのカメラは他メーカーのライバルに比べると
どのクラスのカメラでも一回り小さいものが多いのですが
その大きさを実現するために独自性の高い造りをしているのも特徴です。
OM-1も例外ではなく
同じ時代の他の一眼レフと比べると独自の工夫が随所に見かけられます。
そのため当時としては全く問題なかったとは思いますが
50年以上経過した現在となっては多少華奢な部分があるのも事実です。
そこは弱点かもしれませんが
やはりそれをカバーしてあまりある魅力のあるカメラだとは思います。

お預かりしているOM-1はかなり初期のモデルです。
フィルム室にはスタッドが4本あり
それに伴ってフィルム圧版も短めです。
外装こそOM-1ですが中身としてはM-1と同一という時期のものです。
ご依頼者さまのお話によると
写真の一部が黒くなってしまうということで
確認してみると1/1000ではシャッターほぼ開いておらず
1/500も半分も開いていない状態です。
1/250は何とか開ききりますがやはり写真両端でかなりの露出差が出てしまいます。
シャッター先幕の動きが遅く
走行中に後幕に追いつかれてしまうような状況です。
加えて露出計が妙に不安定で指針がフラフラしています。
露出計が指示する値もかなりオーバー目ですが
これは電池の消耗が進んでいることが理由のようです。
少し話がそれますが使用する電池について少しだけ。。。
この時代のカメラだと当時の水銀電池は手に入らないので
LR44等で代用されている方も多いと思うのですが
OM-1だけでなくこの時代の指針式露出計は
電圧調整回路も何もなくダイレクトに
CdSや露出計に電圧がかかっているものがほとんどです。
そのため電圧が低下するともろに影響が出ます。
OM-1の場合だと0.2V電圧が低下すると約1.5段~2段オーバー目になります。
LR44に代表されるアルカリ電池は使用しているうちに
少しずつ電圧が下がってきます。
それに応じて露出計の値も狂っていくので注意が必要です。
ネガであればあまり気にならないかとは思いますが
ポジだとかなり致命的な露出ミスを起こしかねません。
電圧が最後まで安定する酸化銀電池(SR44)を使用したほうが
安心度は高いと思います。
もちろん1.5Vの電圧そのままで使う場合は
それに合わせて露出計が調整されていることが大前提です。
(1.3V仕様のまま1.5Vで使うと今度は大幅にアンダーです)

腐食の心配されるプリズムは今回は問題ありません。
過去に修理歴があり対策がなされているようです。
プリズム留めが4本のスプリングなのは
M-1/最初期OM-1の特徴ですね。
シャッターの不調は幕軸及び底部三連ギアの動作不良
露出計が不安定な原因はSWのようです。
これから分解を進めて現在抱えているトラブルの修理を含めた
各部点検整備一式を行っていきます。
M-1/最初期OM-1はプリズムや露出計本体
露出計基板・SW等を載せている樹脂製の台座が
非常に脆くなっていることが多いので
慎重に作業を行っていきます。

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ペンタックスMEのカメラ修理

メリークリスマス!
クリスマス・イヴですねぇ。。。
世の中はイヴで盛り上がっていますが
年末年始にお休みをいただくこともあって
私は年末の追い込みでこんな時間にブログを書いています(笑)
明日起きたら枕元にプレゼントあればいいのになぁ。。。
昨年も書きましたがクリスマス・イヴは直訳すると
「クリスマスの夜」という意味になります。
キリスト教会暦では日没が一日の始まりで
クリスマスは24日の日没から25日の日没までとなるので
その間の夜である24日の夜のことを「クリスマス・イヴ」と呼びます。
だからクリスマスイヴはクリスマスで
明日の夜はもうクリスマスではないのですねぇ

さてさて

そんなイヴの夜は「ペンタックスME」のカメラ修理を行っています。
「ペンタックスMシリーズ」を代表するカメラですね。
Mシリーズといえば「MX」も人気がありますが
「MX」はどちらかといえば「Mシリーズ」の中では
他のモデルと共通点の少ない基本設計から異なるカメラです。
「ME」はセイコー製縦走り金属羽根シャッターを
電気的にコントロールする電子シャッター機です。
絞り優先AE専用機となりますが
非常に軽量コンパクトで使いやすいカメラです。
もちろん新品時にはかなりのヒット作となり
現存する個体数も非常に多いカメラです。
ただし、ME系といえばミラーアップしたまま固着という個体が非常に多く
そのためジャンク扱いになっているものも多いと思います。
ペンタックス布幕横走り機もミラーアップトラブルが多いですが
(アサヒペンタックス系全般、SP系、MX等)
それはシャッター幕の走行不良が原因のことがほとんどで
ME系の場合はミラー駆動部に使われているゴムブッシュが
劣化で粘着質となりミラーが駆動できなくなることが原因です。
同じ原因でミラーチャージロックができず
いくら巻上してもチャージができない、何度でも巻上げができてしまう等の
トラブルを起こす場合もあります。

お預かりしているMEはそのミラー駆動周りにはトラブルはないようです。
「いったんきちんと」チャージができればスムースにシャッターは動作します。
「いったんきちんと」とわざわざ書いたのは
巻上に難がありたまに巻上途中で何かに引っかかった感じで
巻上げができなくなるのです。
それでもいろいろガシャガシャやっているうちにスルっと巻上できたり
最初から普通に巻上ができることもあります。
ただ、巻上レバーを格納している状態から
引き出すと通常ならクリック感があって
巻上が実際に開始する直前に止まるのですが
その遊びの部分に全くクリック感がなく
巻上レバーを格納していてもプラプラと固定されない状態です。
これもME系でよくあるトラブルなのですが
巻上レバークリックは板バネで作られているのですが
その板バネが折れてしまっているものと思われます。
さらにその折れた板バネが巻上軸のどこかにひっかかって
巻上トラブルを起こしているのではと予想されます。

この後、巻上軸も外してチェックしてみたところ
板バネの折れた先端が出てきました。。。
もちろん板バネは交換し
ミラー駆動部の整備やいたるところにある内部モルトの交換も行います。
プリズムはSP系と同様に左右のイモネジで止められているのですが
そのイモネジも片方、なくなってしまっています。
内部に残っているとこれもトラブルの原因になるので
隅々まで分解して探したのですがこちらは発見できませんでした。
小さなネジだからどこか隙間から外へ出て行ったのかもしれません。
シャッターユニットの整備・ファインダー清掃も行い
仮組みをしてオートや露出計の調整を行えば完成です。

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