ヤシカエレクトロ35Gのカメラ修理

今日は「ちらし寿司の日」だそうですよ。
ヘルシーで美味しいですよねぇ
子供のころから大好物だなぁ…
「ちらし寿司」と聞いて私がイメージするのは
いわゆる「五目ちらし」ですが
でもこっち(関東)でいう
ちらし寿司っていうのは
「江戸前にぎり寿司」の具材を酢飯の上に乗せた
海鮮丼のような「江戸前ちらし」なのですねぇ
こっちに来るまで全く知りませんでした。
寿司ネタのたっぷりのった「江戸前ちらし」は
もちろんボリュームもあって美味しいのは
間違いないですが
優しい味の「五目ちらし」も文句ナシに美味しいですよねぇ
煮締めた椎茸や干瓢に茹でたニンジン、酢蓮根、筍、
甘く煮しめた油揚げ、茹でた蛸・海老、焼穴子。。。
地域によっていろんな具材が混ぜ込まれますが
それらが混然一体となった何とも言えない味わいがいいですよねぇ
これが食欲が落ち気味な夏場でも
意外と美味しくいただけるのです…
こんなこと書いていたら無性に「五目ちらし」が食べたくなってきました。
自分で作るとなかなか大変ですが
スーパーとかで出来合いのものが売っていて
これも十分美味しいのですよねぇ…後で買ってきましょう(笑

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35G」のカメラ修理を行っています。
モデル名末尾の「G」は「ゴールドメカニカ」の頭文字で
基板の電気接点にそれまでのロジウムメッキに替え
金メッキを採用し耐久性を向上させたモデルです。
その他にも巻上レバーの形状変更等も行われていますが
基本的な構造は初代エレクトロ35と変わりません。
「ろうそく1本の光でも写る」カメラを目指し、
長時間露出性能の高い電子シャッター使用の絞り優先EEを採用した
レンズ固定式レンジファインダーカメラです。
初代の登場は1966年、「G」の発売は1968年となります。
使用電池はこのカメラの為にメーカーに作らせたと言われている
高電圧を出せる「HM-4N」積層水銀電池です。
もちろん現在では入手不可能なので
電池アダプタ等を使い4LR44あるいはLR44を4個使用して
6Vで使用します。

お預かりしている「エレクトロ35G」は
電源も入り一見一通り正常に動作しているように
見えるのですが細かくみていくといくつか問題を抱えているようです。
エレクトロ35は初代や前期だけではなく
最終のGXまで全モデル、シャッターボタンを押してレリーズすると
シャッターボタンの内側にあるレリーズ軸が
押し込まれたままになってロックされます。
(外側のシャッターボタンは指を離せばバネで戻ってきます。)
そして次に巻上レバーで巻き上げた際に
「カチン」と音を立ててレリーズ軸が戻ってくる構造になっています。
レリーズ軸がロックされない…あるいは
ロックされる位置まで軸が押し込めない場合は
オート制御が(特にスロー時に)正常に動作できなくなります。
で、今回のエレクトロも軸がロックされないようで
巻上時にロック解除される音がしていません。
原因は多くの場合、レリーズ軸のゴム製のブッシュが劣化で
薄くなったり、破損したりして
レリーズのストロークが足りなくなることが原因です。
今回の場合はさらにそのレリーズストロークの調整を
過去に弄られているようでブッシュを交換しても
ロックができないような状態になっていました。

詳細はあえて触れませんが
上の画像に劣化して厚みがなくほぼなくなってしまっている
ブッシュの残骸が写っています。
残っている残骸はキレイに除去して
新たに腐食しにくい材質のブッシュと交換します。
それとは別の原因である程度の明るさがあればよいのですが
1/15以上のスローシャッターを必要とするシチュエーションになると
シャッターが開いたままになってしまう…というトラブルも
発覚していてこちらも対処していきます。
これも前期のエレクトロではよくある症状です。
他、若干のシャッター羽根の粘りや
バッテリーチェックの接触不良等もあり
これらも一通りの整備の中で対処していきます。
過去に電池室の腐食に関しては対応している形跡がみられ
配線等は交換されいるようです。
レンズも妙にキレイなので清掃済みかもしれません。
とはいえ、かなり昔の話かとは思われます。
どちらにせよ、今回の整備で問題ない状態に改善することができそうです。
この時代の電子制御カメラはなかなか難しい部分もあるのですが
今回は問題ない状態に仕上げることができそうです。

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オリンパスペンEE-3のカメラ修理

今日は「雷記念日」だそうですよ。
930(延長8)年のこの日(旧暦)に
平安京の清涼殿に落雷があり
大納言の藤原清貫(ふじわら の きよつら)が
亡くなったことに由来しています。
公卿たちが清涼殿に集まり
雨乞いを行っていた時の出来事だったそうです。
また不思議なタイミングというかなんというか…
この落雷は政治的な策略によって
京の都から太宰府に左遷され
そこで亡くなった菅原道真(すがわら の みちざね)の
祟り(たたり)であると信じられたそうです。
祟りかどうかはともかく落雷は本当に怖いですよねぇ
現在の住居や建物、街中にいる時には
少々ゴロゴロ言ってても何とも思いませんが
山や海で雷が鳴り始めると恐怖意外の何者でもありません。
怖い思いをしたことが2度あって
一度は浜田のビーチで雷が鳴り始めたから
海から出て屋根のある所で様子を見ていたら
ほんの100mもないくらいの沖合(自分がさっきまで海に入っていたあたり)に
思い切り落雷し、空が裂けたのじゃないかというほどの
轟音と瞬間的な眩しさにゾッとしたのを鮮明に覚えています。
もう一度は八ヶ岳登山中に雷雲がやってきて
避難はしたもののそれから数十分間
何度も落雷する爆音と光におびえる羽目になり
「運が悪かったら死んでたのでは????」と
このときも心からゾッとしました…
避けようがない場合もありますが
特にだだっ広いフィールドの中では雷雲には会わないように
気をつけるべきだと思います…
いろいろ思い出したらまた怖くなってきました(汗)

さてさて

本日は「オリンパスペンEE-3」のカメラ修理を行っております。
マニュアル露出で少々通好みの「ペンS」や「ペンD」も人気ですが
やはりペンの名前をここまでメジャーに押し上げたのは
「ペンEEシリーズ」があったからだと思います。
EEシリーズは「買ったその日から
ボタンさえ押せばだれにでも写真が撮れるカメラ」というコンセプトで
開発されたカメラです。
オートハーフあたりとも共通する考え方ですね。
セレン光電池を使用した露出計と連動するオート露出を装備し
ピントも固定焦点、巻上こそオートハーフのような
自動巻上ではありませんが
その分シンプルでより小さく軽く気軽に持ち歩ける仕様となりました。
当然のごとく大ヒットを記録し
初代EEから3代目となるEE-3まで基本的な構造は変わらないまま
25年に渡って生産される超ロングセラーモデルとなりました。
「EE-3」はペンシリーズ全体の中でも一番最後まで生産されたモデルで
1986年まで生産が続けられました。
1985年にはオートフォーカス一眼レフの祖ともいえる
「α7000」がミノルタから出ていますが
そんな電子カメラ全盛の時代にまで
このセレン連動の超アナログカメラが生産されていたことが驚きですね!

お預かりしている「EE-3」は
かなり長い間仕舞い込まれていた個体のようで
外装もかなり汚れてしまっていました。
外装だけではなく動きにもいろいろ問題があり
かろうじて露出計は生きているものの
かなりオーバー気味の指示が出ているようです。
(露出計指針の振りが足らない)
加えてシャッター羽根、絞り羽根には粘りも見られます。
EE-3なのでシャッタースピードは1/40、1/200の
2速切替なのですが現状では1/200に切り替わることができず
どんな明るいところに持っていて
露出計指針がそれなりに振っていても
1/40でしかシャッターは作動しないようです。
レンズ・ファインダーにもカビや汚れがかなり見受けられます。

…とはいえ、根本的に何かが破損しているわけではなく
電気的な部分ではセレンの劣化も多少ありますが
調整で何とかなる範囲ではあり
その他の不具合は全て長い間の汚れ等による
粘りや動作不良が原因であり
レンズ・ファインダーのカビや汚れも
清掃で十分クリアになる程度でした。
しっかり清掃整備すれば問題なく使える状態になりそうです。

画像は一通りの整備が完了した時点でのものです。
お預かり時の画像がないので比べられませんが
見違えるほどキレイになったと思います。
多少の錆び跡やキズ・スレはありますが
十分「美品」といえるレベルになったと思います。
もちろん機能的にも全く問題ない状態になっており
シャッター動作。オート露出の精度も
申し分ないレベルです。
一度、これだけしっかり手を入れておけば
定期的に使っていただければ
当分の間、快適に使っていただけると思います。
カバンの中に常に忍ばせておくには
最適な大きさと軽さだと思います。
それでいてしっかり金属製で質感も高く
適度にレトロ感もあって本当に良いカメラだと思います。

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ニコンFのカメラ修理

今日は「指定自動車教習所の日」らしいですよ。
1960(昭和35)年のこの日に
指定自動車教習所制度を導入した
道路交通法改正法が施行されたそうです。
これにより公安委員会が指定した自動車教習所を卒業すると
運転免許取得時の技能試験が免除されるようになりました。
また、「む(6)じ(2)こ(5)」(無事故)と読む
語呂合わせでもあるそうです。
私ももちろん指定自動車教習所に18歳で通いました。
えっと…もう35年前になるのですが…(苦笑)
当時は「指定」でない教習所もまだそれなりにあって
試験場で技能試験受ける方も結構いたような記憶が…
指定校ではない場合は
要は「試験場で一発で通るための対策を教えてくれるところ」なんですよねぇ
だから拘束時間も少ないし圧倒的にお安いのですが
今でもあるのかな。。。
私はその後、二輪免許で何回か指定教習所に通ってますが
今や大型二輪免許でも指定教習所で簡単に取れますものねぇ
普通自動車免許持ってれば学科免除だから
試験場で一切試験を受けなくていいわけですね…
でもクルマもバイクも免許取る手順はともかく
取ってからが大変…というか本番ですよねぇ
どちらも最初に自分一人で運転したときは
すごく緊張しましたし危なっかしかった…懐かしい…(笑

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
1959年に発売されたニコン初の一眼レフカメラであり
フラッグシップ機の象徴でもある
「F一桁機」の初代モデルでもあります。
日本製一眼レフの優秀さを世界的に広めたという意味でも
まさに伝説のカメラかと思います。
素晴らしい部分を今更ここで書き始めるとキリがないのですが
シンプルに言うと
造りの精度の高さと各部の強靭な堅牢性が抜群である…という感じかと
個人的には思います。
登場から60年以上経った現在でも
普通に使われていて定期的にメンテされている個体であれば
何の問題もなく動作するものが当たり前なことからも
その素性の良さが伺えると思います。

お預かりしている「F」は
アイレベルファインダーの装着された個体で
上カバー部に富士山マークが刻印された
いわゆる前期モデルです。
アイレベルファインダーも接眼窓の四角い前期モデルです。
ファインダープリズムにはさすがに若干の腐食がありますが
それほど目立つほどではございません。
腐食が酷かったとしてもさすがに「F」のプリズムは
アイレベルだろうがフォトミックだろうが
当店では入手不可能です。
巻上や高速シャッターは若干の油切れの兆候が見られるものの
大きな問題はありません。
「Fアイレベル」で何か起きるとしたら
スローガバナー関連であることが大半なのですが
今回もスローシャッターがおかしなことになっています。
スローガバナーがシャッタースピード制御に関与するのは
「F」の場合、1/30~1sなのですが
1/30、1/15、1/8までは問題ないのですが
1/4、1/2、1sが全て1/15程度で切れてしまいます。
1/15で切れるということはスローガバナが固着しているとか
まったくガバナが聞いていないという状態ではありません。
とはいえガバナが本来の動きをしていないのは
間違いのないところです。

分解時の画像を撮ることを失念してしまい
画像は一通りの整備が完了した現在の状態です。
装着されているレンズは当店のテスト用レンズです。
問題のスローガバナは完全に固着していたわけはなく
スローガバナ内の一部が固着して動かない状態で
その部分が関与する1s~1/4の場合に限り
不具合が出ていたような状態です。
スローガバナ全体を洗浄の上、整備を行い
現在様子見の段階ですが
問題なく動作するようになっております。
もちろんその際にシャッター幕軸、ミラー駆動部、
巻上機構部等々、動作部は入念い清掃整備を行います。
やはり古く変質した油や汚れがこびりついているような
箇所も多くお預かり時より格段にスムーズに動作するようになっています。
しかしながらそれでもある程度、問題なく動作しているのですから
やはり各部がきっちり造られているんだと
今回も再確認できました。

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キヤノンFXのカメラ修理

今日は「UFOの日・空飛ぶ円盤の日」だそうですよ。
1947(昭和22)年のこの日に
アメリカの実業家ケネス・アーノルドが自家用機で飛行中に
コーヒー皿のような謎の飛行物体を目撃したそうです。
これが「UFO」の最初の目撃例と言われていて
記念日の由来となっています。
正直なところ見間違いや勘違いが大半だとは思いますが
全てが全て科学で説明できるモノばかりでもないかもしれませんね…
まぁ「宇宙人が乗っている」ということはないとは思いますが…(笑
私も忘れもしない小学校3年生の頃の
銭湯の帰り道の歩道橋の上で、大きな葉巻型の緑色に光る物体を見て
怖くて歩道橋を駆け下りて家に帰ったことがあったのですよねぇ
あれは一体なんだかったのか…
今ならもっと入念に観察するのにな…
ちなみにこの記念日に関連して
今日は「UFOキャッチャーの日」でもあるそうです(笑

さてさて

本日は「キヤノンFX」のカメラ修理を行っています。
1964年に登場した「キヤノンFシリーズ」の第一号機でもあり
同時に「キヤノンFLマウント」の初代機でもあります。
独創的な絞り連動を持った意欲作だった
前作の「R(フレックス)シリーズ+Rマウント」が
商業的には決して成功とは言えなかったことを踏まえて
一新して生まれた新しいシリーズの初号機となります。
FXもかなりヒットしたカメラですが
後のFTやFTb、そして名機F-1も含めて
キヤノンはこのFシリーズでようやく一眼レフの分野で
ニコンと並び業界トップに躍り出たと言えると思います。
そして歴代Fシリーズ(EXも含むEFは除く)の
シャッターやミラー・巻上機構等の
基本的な部分の構造は全てこのFXがベースとなっています。

今回お預かりしている「FX」は
まずシャッターを巻き上げてもレリーズが
何か引っかかっているような感じで
なかなかシャッターを切ることができません。
やっとシャッターが切れたと思ったら
今度はかなり高い確率でミラーアップしたままになってしまいます。
シャッタースピードの精度も全く出ていません。
外光式の露出計は何とか動作はしていますが
かなり不安定です。
巻上やシャッターも含めて動作が悪く粘っていることが
根本的な原因かと思われます。
やはり一通りの整備が必要な状態です。

画像にも写っていますがプリズム抑えと
プリズム本体の間にはコルクが挟まれており
ここにモルトを挟むFTやFTbのように
モルト由来のプリズム腐食は起こりませんが
さすがに蒸着そのものの劣化でプリズム腐食が
多少見受けられます。
それほど深刻なものではないため
プリズムは現状のままといたします。
少々余談ですがFX,FP,FTのプリズムは共通ですが
もはやどれも腐食のないものを探すことは非常に困難です。
露出計は外光式でミノルタSR-7とかと同様に
SSダイヤルに連動して絞り指示盤が動き
指定された絞りを手動で合わせる方式です。
今回は大丈夫なのですが
この指示盤を引っ張っている銅の帯と指示盤の端が
経年劣化で非常に切れやすいので作業の際には
細心の注意が必要です。
通常にダイヤル側から操作しているだけでは
なかなか切れることはないと思われますが
作業中に引っ掛けたりとか
上カバー装着の際に撮り回しを誤って
斜めに力が加わると簡単に切れてしまいます。
修行中の頃に何度か痛い目にあいました(苦笑)

これから本格的に分解整備に取り掛かります。
本来の動きになればキヤノンらしい
アタックの効いた歯切れの良いシャッター音を聴かせてくれると思います。
しっかり入念に作業を行っていきます。

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キヤノンFTbのカメラ修理

今日はこれといった記念日がありませんねぇ…
で、過去の6月23日に起こった出来事を調べていると…
「自衛隊機乗り逃げ事件」なんてことが
1973年6月23日に起こっていますねぇ
陸上自衛隊北宇都宮駐屯地で飲酒した陸上自衛官が
富士LM-1連絡機に乗って飛び去り
そのまま行方不明になってしまったそうです。
これまた現在では考えられないような事件ですね。
相当の低速飛行だったらしくレーダーでは捕捉されず
南方に向かって離陸したのが目撃されただけだそうです。
無線での呼びかけににも応答せずそのまま行方不明に。。。
小型のプロペラ機ですが
搭載された燃料は5時間20分相当(航続距離約1,300km)あったらしく
その後1ヶ月の捜索でも見つけることができなかったそうです。
1300kmって東京ー九州を超えるくらいありますから
燃料が尽きて太平洋にでも堕ちたら
さすがに見つけられないですよねぇ…
どこにいったかわからないわけですし…
事件を起こした3曹は、
同年8月1日付けで行方不明のまま懲戒免職となり
関係者7人も
航空機の管理責任を問われる形で処分されているのだそうです。
何を思ってどこへ飛び立ったのか…もはやわからないですよね…

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年に登場した中級機で
同年に登場した旗艦機「F-1」の技術をフィードバックした
中級機としても評価の高いカメラです。
ベースとなったモデルは前モデルの「FT」で
「FT」ではキヤノンFLマウントレンズを使用し
「絞込測光」だったものが「F-1」登場と同じくして
登場した開放測光対応の「FDマウントレンズ」に対応し
「FTb」では開放測光となりました。
この「FTb」や「F-1」、つまりは「FDレンズ登場以降」が
Fシリーズとしては「後期」と呼ばれることが多いようです。
機械的な構造は「F-1」も前期Fシリーズをベースとして
プロ機に要求される堅牢性や部品の耐久性、
システム性をアップしたモデルともいえるので
ほぼ同時に開発された「FTb」も基本的には
「Fシリーズ前期」の設計がベースとなっています。
デザイン的には新しいスタイリッシュさを追い求めた
「F-1」とは異なり、前モデル「FT」を引き継いだものとなっています。
開放測光以外の部分をFTと比較すると
ホットシューが追加され露出計のon/off及びBC切替は
巻戻しクランク基部にSWが設置されています。
セルフタイマーレバーにはミラーアップ機構も追加され
ここの操作方法は「F-1」と同様になっています。
で、FTと同じくこの時代のキヤノン機お得意の
QL(クイックローディング)機構が搭載されています。
熟成され信頼性の高い機械制御シャッターと合わせ
非常に使いやすい魅力的なマニュアル機と言えると思います。

お預かりしている「FTb」は
まず電池室に少々腐食跡がみられ
電気的に接触不良が起きているようです。
それでも露出計は何とか動作しているのですが
動きが少々おかしなことになっていて
うんともすんとも言わないかと思えば
突然指針が跳ね上がる…といった感じの動きをします。
バッテリーチェックは全く反応がありません。
シャッター、巻上には油切れの兆候が見られ
少々異音がすることと
高速シャッターの精度はイマイチで且つ不安定です。
やはり全体的に整備が必要な状態かと思われます。


画像はまだ上カバーを外しただけの状態ですが
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
露出計やBCの不具合は
電池室の接触不良やSW部の接触不良も影響ありましたが
最大の原因は指針がファインダー枠に
一部引っかかってしまうことのようです。
だから突然、跳ね上がったりしていたのですね…
意外とこれ、なかなか原因がわからず
「なんでこんなわけわからない
動きなんだろう???」と少し悩みました(苦笑)
シャッター周りや巻上周りと併せてしっかり整備を行っていきます。

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ニコマートFTNのカメラ修理

今日は「ボウリングの日」だそうですよ
1861(文久元)年のこの日付の英字新聞
「ザ・ナガサキ・ショッピングリスト・アンド・アドバタイザー」に
長崎出島の外国人居留地に日本初のボウリング場が開設されたと
掲載されたことにちなんだものだそうです。
私が生まれたばかりの頃に(昭和40年代)
いわゆる「ボウリングブーム」があって
私が幼いころにはまだボウリング場が街のあちこちにありました。
私が生まれ育ったのは広島県の呉市ですが
今の寂れようからは想像もできませんが
私が覚えているだけで
市内に7か所もボウリング場がありました。
私が小学校卒業するころには大半が潰れてしまい
今現在では2ヶ所のみになってしまっています。
じいさんがめちゃくちゃ上手くって
セミプロの大会とかに出てよく商品持って帰ってたなぁ…
だから私も小さいころからじいさんに
よくボウリング場に連れて行ってもらいました。
5歳の頃には両手で投げさせてもらってたなぁ…
もちろんガーターばかりですが…(笑
その頃はスコアも鉛筆で手書きです!
ちゃんとスコアを書く机もレーンごとに設置されていました
まぁ古き良き時代ですねぇ…

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
1960年代~70年代にかけて
ニコンの中級機クラスを担ったブランドが「ニコマート」です。
フラッグシップとして「F」や「F2」の時代ですね。
「ニコマート」には機械制御シャッターでマニュアル露出機の
FT系と電子制御シャッターで絞り優先オートも可能な
EL系に大きく分かれます。
これが後の「FM・FE」になるわけですね。
機械制御系のFTは最初に出た「FT」
露出計を省略した「FS」と続き
1967年に今回、取り上げている「FTN」が発売となります。
「FT」をベースに測光方式が中央部重点測光となり
開放F値補正操作を取り入れ、絞り環を往復させるだけで
開放F値の設定が完了するようになりました。
この時代のニコン機でお馴染みの「ガチャガチャ」ですね。
搭載されるコパルスクエアSシャッターも
巻上やミラー駆動部も正に当時のニコン品質で
非常に丈夫に造られています。
ちょっと作動音が騒々しいともいえますが
その堅牢性の高さは非常に評価の高いものです。

そんな丈夫さがウリのニコマートFTnですが
さすがに登場から50年以上経過するカメラです。
今回、お預かりの個体もいろいろとトラブルを抱えてしまっています。
まず裏蓋のロック部カバーのネジが緩んでしまっていて
それによって生じたロック部の隙間から
押さえのバネが欠落してしまい
裏蓋ロックがかからない状態になってしまっています。
要は裏蓋が閉められない状態です。
加えて露出計は不動、高速域シャッターの精度は出ておらず
さらにダイヤル部のSS設定と
ファインダー内表示のSSが1段分ズレてしまっている状態です。
装着されているニッコールオートS 50mmF1.4も
かなりカビやクモリがあり撮影に影響のある状態です。

いろいろ動きの悪い部分や接触不良等もあるので
一通りの分解整備を行いつつ、問題のある個所の修理も行います。
この時代のニコン機はいろいろな部分の調整が
比較的簡単にできるように非常に考えられて造られており
先述したSS表示のズレ等もギアをひとつ台ごと抜くことで
調整が可能です。
しかしながらボディ(シャッターユニット本体)側と
SSダイヤル・ファインダー表示がズレることは
前板を抜くとあり得るのですが
SSダイヤルとファインダー表示がずれることはそうそうありません…
分解品とも思えないし何故だろう???と思って確認すると
ふぁいんだーSS表示用の連動糸が一部プーリーから外れて
おかしなところに引っかかっていました。
これは使用しているうちに何かの拍子に外れたのでしょうね…
しかしながらちょっと厄介なところに挟まってしまっており
修復に少々苦労しました。無理をして連動糸を切ってしまうと
非常に面倒なことになるのでかなり慎重に糸を救出しました。
他部分に関しては一通りの整備で問題なく改善できそうです。
かなり使いにくい状態で一度は使ってみられたのだとは思いますが
これからは快適に気持ちよく使っていただけると思います。
存分に撮影を楽しんでいただければと思います。

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ペンタックスKXのカメラ修理

今日は20日でキリの良い日付ですが
これといったネタになりそうな記念日がないのですよねぇ
で、過去の6月20日の出来事を調べてみると…
1960年6月20日に日本初のロングサイズたばこ
「ハイライト」が発売になってますねぇ
かなり懐かしい銘柄ですが現在でも現行銘柄なのですね!
自分がタバコを止めてからもう随分経ってしまったので
今の銘柄は全然わからないことに加え
特に国産銘柄はいろいろと変わってしまったのだと思っていたので
今でもハイライトが存在することにちょっと驚きです。
私がタバコ吸い始めた頃のイメージは…
「おじさんの吸うたばこ」っていう感じだったかな…(笑
でも私も一時期吸ってた時期あったな…
比較的重い部類のタバコなのですが
登場した当時は紙タバコは両切りのフィルターなしのものが
普通だったのでタール17mg(昔は19mgだった)のハイライトでも
軽い部類だったようです…
ちなみに登場時の価格はひと箱70円!!!
私のイメージでは170円とかその後値上げして200円で
セブンスターやマイセンより少し安いイメージでしたが
それが今や520円!!!!いやはや高くなりましたね…
今でももし喫煙し続けていたら真っ青の値段ですねぇ…
でもこういう昔ながらの銘柄は何だかノスタルジーも感じて
ちょっといいですねぇ…
いや…もう吸うことはないと思いますが…

さてさて

本日は「ペンタックスKX」のカメラ修理を行っています。
Kマウント化された最初のシリーズ「Kシリーズ」の
中核を担うモデルです。
M42マウントの名機「SP」をベースとして発展させたモデルで
布幕横走りの機械制御シャッター機です。
基本的な部分はSPから受け継ぐものの
露出計の受光体はSPDになり
露出計のファインダー内情報は2針式となり露出計の指す
適正SSと現在のSSが一目で把握できます。
それに加え絞り値の直読窓も追加されているので
マニュアル露出の際にファインダーから目を離さずに露出設定ができます。
シャッターに関してはSP系で熟成を重ねてきている
横走りシャッターなので信頼性も高く
フルマニュアル機としてかなり使いやすい優れたカメラです。

お預かりしている「KX」は
まずミラーの動作がえらく緩慢になっていて
シャッターを切っても1/3ほどゆっくり上がったと思うと
そこで止まってしまいます。
レンズを外している状態でそこから指で少し押してやると
何とかミラーアップしてシャッターが切れる…といった感じです。
さすがにこれでは撮影できるような状態ではありません。
さらにシャッター自体にも動きが粘りがあり
高速シャッターの精度は全く出ていません。
各部の動きが古い汚れや古い油で
いろいろ粘ってしまっているような状態です。
さらに電池室はかなり腐食しており
もちろん露出計は不動です。
端子は磨いて何とか導通できるようにして
配線は交換する必要がありそうです。

まずは現状を把握して修理箇所と手順を確認して
これから本格的に分解整備に取り掛かります。
上カバーを外して思い出しましたが
そうそう、KXといえば上カバー裏に巨大なモルトが貼ってあります。
もちろん経年劣化でボロボロです。
プリズム上に配置されている基盤が上カバーに触れないように
貼られているモルトですが
今回は大丈夫でしたが劣化が進むと基板側に腐食を起こし
露出計基板がダメになる場合もあるので要注意箇所です。
もちろんモルトは交換を行います。
KXも登場してから50年近く経つカメラです。
未整備であればあちこちに経年劣化や動きの悪い部分が出てきて
当然かと思います。
しかしながら今回各部整備を行うことで
まだまだ当分元気に使っていただけると思います。

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オリンパスペンFのカメラ修理

今日は「元号の日」だそうですよ。
645年(大化元年)のこの日に
蘇我氏を倒した中大兄皇子(後の天智天皇)が
日本初の元号「大化(たいか)」を制定したことが由来となっています。
以来、現在の「令和(れいわ)」まで
248の元号が定められているのだそうです。
元号は中国を中心にアジア東部における紀年法の一つですが
現在は日本のみで制定・使用されています。
「明治」より前、すなわち「慶応」以前は
天皇の交代時以外にも随意に改元されていました。
吉事の際の「祥瑞改元」、
大規模な自然災害や戦乱などが発生した時の
「災異改元」などがあるそうです。
改元は一年の途中でも行われ
一年未満で改元された元号もあるのだそうです。
そんなに頻繁に改元されたらややこしくてたまりませんね…(苦笑)
システム的に厄介なのも重々わかるので
基本的には西暦表記でいいのではないかと思います…
私は昭和44年生まれで世代的には「昭和」なのだと思いますが
(多感な10代を「昭和」で過ごしてますし…)
冷静に考えてみれば平成を過ごした期間の方が
もう長くなっていたのですよねぇ…
現在は令和…令和で過ごした期間が
平成以上に長くなる…はないかな…(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンF」のカメラ修理を行っています。
ペンF系も修理以来の多いカメラです。
ハーフ判の一眼レフといった時点で
もはや孤高の存在ですが
毎度書きますがペンFは単に35mm判一眼レフを
ハーフ判に置き換えたカメラではなく
ハーフ判であることを最大限に生かすために
独自の特殊な構造を多く採用しています。
心臓部となるロ―タリーシャッターもそうですし
そのシャッタスピードを制御するガバナの構造も独特です。
さらに横方向に駆動するミラーシステムや
ボディ巻上側に第二反射面となるプリズムを置き
さらに接眼部に第四反射面となる小プリズムを配置する
ファインダー光路も他に例をみないものです。
その構造のため外観デザインもペンタ部の出っ張りのない
一眼レフとしては特異なデザインとなっています。
もうこの独自構造の多さだけでも非常に魅力的なカメラです。

ただし他メーカーのやらないことをやっているということは
構造的に多少難しい部分も多く
機械的にまだ新しい分にはよかったのですが
登場から60年近く経過する現在となっては
各部の劣化等もあって
多少はトラブルの多いカメラと言えるかもしれません。
…いや…この時代のカメラなら
いずれにしても大差ないかな…トラブルはあって当然かな…

お預かりしているペンFは
シャッターが開いたままの状態で固着しています。
当然シャッター走行が完了していないので
ミラーアップもしたままです。
ミラーアップのみの状態であれば
かなり多く見かけるトラブルで
ミラー駆動部のトラブルである可能性が高いですが
今回はシャッターが途中で止まってしまっている…ということなので
シャッター駆動部のトラブルの可能性が高そうです。

各部のネジの取り付け方や革の張り方からして
分解品なのは明らかでしたが
シャッター駆動部のギアの軸が折れてしまっていました。
それに加えSS制御ガバナーのアームも折れており
(ここはちょくちょく折れた個体を見かけます。)
軸の入れ替えやアーム部の交換等で対応できないこともないのですが
ちょっと信頼のおけない状態だったため
今回はシャッターユニットごと中古良品と交換することで対処します。
他、定番のミラー駆動部の動作不良とかもありましたので
一通りの整備を入念に行い
各部おかしな弄られ方をしているところは他にないことも
念入りに確認していきます。

そうして何とか組み上げたのが上の画像です。
下に転がっているのがもともとのシャッターユニットです。
かなりの重整備だったので少々様子見の時間もかけましたが
現在のところ全く問題なくスムーズに動作しており
各部の精度も問題ございません。
これで当分の間、安心してお使いいただけると思います。
巻上フィーリングもダブルストロークのペンFらしい
非常に軽快で気持ちの良い巻上になりました。
これから最終的なテストを行い
問題なければ完成となります。

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ミノルタX-700のカメラ修理

今日は「おむすびの日」だそうですよ。
この「おむすびの日」や1月の「おにぎりの日」が来ると
炊き立て熱々のご飯で握ったおむすびが食べたいなぁ…と思うのですが
ここのところめっきり家でご飯を炊かなくなっているので
なかなか機会がないのですよねぇ…
もうお米もしばらく買ってないなぁ…
いやお米大好きなのですが糖質制限の関係もあって
あまり食べられないのですよねぇ
ちょっとしか食べられないなら
自分で炊かなくてもいいか…となってしまいます。
だから最近、おむすびはコンビニやスーパーのものしか
食べていないかも…(苦笑)
いけん、たまには熱々炊き立てのお米食べなくては!!!(笑
そういえばコンビニおむすびといえば
最近はセブンの「焼きサバおむすび」がお気に入りです。
これは冷えてても美味しいのですよ~
ほんの少しお高めですが…
余談ですが「むすび」といえば「サラヤ」ですよねぇ
これがわかる人は私と近い世代で
中国地方にいらっしゃった方だと思われます。。。(笑

さてさて

本日は「ミノルタX-700」のカメラ修理を行っています。
ミノルタの隠れた超ロングセラーモデルです。
1981年に全くの新設計で登場し
その後すぐにNewX-700にマイナーチェンジされ
X3桁シリーズの最上位モデルとして
AFのαシリーズ登場後も生産は続けられ
18年間生産され続けました。
80年代の電子制御機なので外装はプラスチックですし
最高級機といった立ち位置でもないので
質感はそれなりですが
ミノルタらしい使い心地の良いカメラで
特にお得意のアキュートマットスクリーンで
非常に明るくキレの良いファインダーが魅力なカメラです。
やはりマニュアルフォーカス機は
見やすいファインダーが生命線ですよねぇ
X-700は個人的にもよく使うカメラですが
ピント合わせがスッと決まりますものね!

お預かりしているシャッターが切れないということで
お預かりしました。
電池を入れつろ電源は入るのですが
巻上レバーがスカスカでレバーは動いても
巻上はできずシャターも切れずといった感じです。
言葉で書くと非常にわかりにくいのですが
巻上軸が巻き上がった状態で引っかかって戻ってこない感じです。
だから見かけ上、レバーは戻ってきていても
軸が戻っていないからスカスカで
巻上が完了していないからシャッターも切れないわけですね。
70年代後半から80年代のカメラに
縦走り横走り関係なくたまに見かけるトラブルです。
巻上機構部の汚れや油切れが原因かと思われます。

巻上部の応急処置をとりあえず行って
まずは各部の動きをチェックしていきます。
シャッタスピード、オート制御ともに妙に不安定で
マグネットや電気接点の清掃を行って
調整してきたいと思います。
もちろん巻上周りは入念に清掃を行い最小限の注油を行います。
80年代のカメラなので見ての通り
フレキで完全に覆われていて
上カバーを外しただけではプリズムも全く見えません。
何を行うにしろこのフレキを避けるところから
始めなければならずなかなか大変なカメラです。
この時代のカメラはどれもそうですし
機種によっては当店では全く手の出せないものもございます。
いつも書きますがこの類のカメラの整備に
静電気は大敵です。
この季節だとそれほど帯電することもなくなるとは思いますが
帯電した手で回路に直接触ろうものなら
その瞬間にとりあえずの付かない事態になる可能性が高いです。
しっかりアースを取ってから作業を行います。

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オリンパスペンEE-2のカメラ修理

今日は「おまわりさんの日」だそうですよ。
1874(明治7)年6月17日に巡査制度が始まり
「警察官」という職業が誕生したことが由来となっています。
よくよく考えてみると
「おまわりさん」って呼び名も何だか面白いですよねぇ
巡査さんで巡回するから「お巡りさん」なのは
確かにわかるのですが…
都内はまだまだあちこちに交番がある印象ですが
全国的には交番や駐在所は減少傾向にあるのだそうです。
確かにうちの実家あった近所にも昔は交番があったのだけど
いつのまにかなくなってしまいました。
人員の問題等もあるのだそうですが
やっぱり近所に交番があったほうが安心感は高いですよね…
24時間交代勤務でいろいろな住民がいますし
いろいろなトラブルも起こるでしょうし
本当に大変なお仕事だと思います…

さてさて

本日は「オリンパスペンEE-2」のカメラ修理を行っています。
やはりハーフカメラと言えば一番い思い浮かぶのは
「ペン」だと思います。
「ペンシリーズ」は初代からいろんなタイプのものが
発売されていますが
やはりこれほど「ペン」の名が親しまれることになったのは
「ペンEEシリーズ」の功績が大きいと思います。
初代ペンやペンSとは異なり
「買ったその日から
ボタンさえ押せばだれにでも写真が撮れるカメラ」というコンセプトで
開発されたのが「ペンEEシリーズ」です。
セレン光電池を使用した露出計を搭載し
その露出計と連動し自動露出を行い
ピントは固定焦点でピント合わせ不要です。
巻上こそ手動ですがコンセプト通り
簡単に気軽に撮れるカメラの代表格となりました。
セレンの受光部カバーを、レンズ周囲にドーナツ状に配した
独特の外観も理にかなっていますし
非常にインパクトがありますね。

「EE-2」はその名の通り2代目の「ペンEE」です。
ホットシューが追加され
フィルムカウンターもは自動復元となりました。
裏ぶたはそれまでの取り外し式ではなく
より実用的な蝶番式になりました
シャッタスピードは当初は「EE」の後期と同じく
1/30、1/250秒の2速切替でしたが
途中で1/40および1/200秒に変更となっています。
初代に比べると随分実用的により使いやすく
進化していると思います。

お預かりしている「EE-2」は
どうやら露出計が全く動作していないと思われ
明るいところに向けても
常に赤ベロ(光量不足警告)がファインダーに出て
シャッターロックがかかってしまいます。
セレン光電池が劣化で起電せずダメなのか
露出計本体が壊れているのだと思われますが
ペンEE系の場合は
とにかく内部のネジが緩みやすく
外れたネジが露出計内部に入り込んで
露出計不動となっている…なんてパターンもありますから
まずは分解してみないと判別できません…
ちなみに上カバーは本来ネジ3本で留まっているのですが
今回はそのうち2本が欠落しており
最後の1本だけで留まっていた状態でした。
これも緩んで取れてしまったのかもしれません。

今回は内部にはネジ外れはなく
露出計不動の原因は露出計本体内の断線が原因でした。
露出計本体を中古良品に交換することで対応します。
セレン光電池はかなり元気いっぱいに
起電しておりそこは不幸中の幸いでした。
シャッターそのものの動作は快調だったのですが
露出計連動で低速・高速、2速切替制御の部分が
動作不良で常に高速側で切れてしまうという症状も
分解時に発覚しました。
露出計連動部等も含めて各部の動きを良くする整備を行っていきます。
小さなボディに非常に効率よく
各機構が収まっているカメラで整備性も良いカメラです。
指針挟み込み式の自動露出の構造が
非常にわかりやすく理解できるカメラだとも思います。
しっかり整備してどこにでも連れていける
相棒としてご依頼者様にも存分にお使いいただければと思います。

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