カテゴリー別アーカイブ: カメラ修理

ペンタックスSPのカメラ修理

今日は「民法テレビスタートの日」で
加えて「テレビCMの日」なのですね。
1953(昭和28)年8月28日午前11時20分、
日本テレビ(JOAX-TV)が民間放送として
初のテレビ放送を正式に開始したのだそうです。
そして日本初のテレビCMが放送されていて
初のCMは「精工舎の時計が正午をお知らせします」という
服部時計店(現:セイコーホールディングス株式会社)の時報だったそうです。
ただこの正午の時報…
フィルムが裏返しになっており、音も不明瞭だったそうで
正午に放送された初CMはわずか3秒で中止されるというハプニングがあり
同日夜7時に第2号CMとして30秒のCMが放送されたそうです。
70年前の出来事なのですよねぇ
70年「も」前のこと…とも言えるし
意外と「たった」70年前…ともいえますねぇ
上記の午後7時のCMはyoutubeとかでも見られますが
何だか趣あってなかなかいいものですよ…

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
M42マウント機の代名詞のようなカメラですね。
1964年発売のカメラですが発売当時も
比較的お求めやすい価格と使いやすさが絶大な支持を集め
世界的に大ヒットとなったカメラです。
そのため現存台数も非常に多く
コンディションはいろいろな状態のものがあるものの
現代でも人気の高いカメラです。
シンプルなねじ込みM42マウントは
ユニバーサルマントでもあり
いろんなメーカーが様々なレンズを発売しているため
ペンタックス純正だけにとどまらず
豊富なレンズを使って楽しめるところも大きな魅力だと思います。
シンプルなねじ込みマウントでレンズ側の絞り値を
ボディ側に伝える機構がなうため
必然的にボディ内蔵の露出計は絞り込み測光となります。
開放測光に比べると多少使い勝手が悪い部分もありますが
慣れてしまえばそれほど使いにくいと思う場面は少ないかと思います。

お預かりしているSPは
おそらく長い間使われていない個体と思われ
各部の動きが悪くなっている状態です。
それに加え露出計は電池を入れても
全く動作しない状態です。
電池室自体は一見キレイなのですが
それでも過去に長らく水銀電池を入れたままで
放置されていた時期もあると思われます。
電池室裏側の端子は真っ黒に腐食していて
そこに繋がれる配線も中身まで腐食していて
電気を全く通さないような状態です。
端子はしっかり磨いて復活させ
配線はSW部まで交換が必要な状態です。
SW部にも動作不良の問題を抱えていて
通常はSWを押し上げると
絞り込みが行われ露出計がオンとなり
シャッターを切ると絞り込みも解除され
SWも自動復帰して露出計の電源も切れるわけですが
現状ではシャッターを切っても
SWは押しあがったままで電源も切れません。
SW連動部の固着が原因かと思われます。

絞り込み測光のため露出計連動部も少なく
電気関係の回路はシンプルです。
シャッターや巻上周りの構造もいい意味でシンプルで
非常に整備性も良いカメラです。
とにかく動く部分は徹底的に清掃整備を行い
本来の小さなバネ力でスムーズに動ける状態にします。
その上で微調整を行い精度的も問題ない状態にしていきます。

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フジカST701のカメラ修理

今日は「ジェラートの日」だそうですよ。
イタリアのアイスですね!
細かいことを言うと
通常のアイスクリームに比べると空気の含有量が少なく
密度が濃く滑らかな食感となります。
その一方で乳脂肪分はアイスクリームより少なく
さっぱりとした味わいです。
個人的にはフルーツ系のジェラートのイメージが強く
アイスとシャーベットの中間みたいな感じですかね…
でも実は長らくジェラートって口にした覚えがないかも…(苦笑)
一番最初に食べたときのことはよく覚えていて
当時は広島在住だたのですが(20代半ば)
仕事場の近くにあるオープンしたばかりのアルパークの東館に
ジェラート専門店ができて
そこに仕事の合間に仲間と食べに行ったときです。
あのあたりも今や様変わりしているのでしょうねぇ…
何だかそんあこと思い出してたら
ジェラート食べたくなってきました(笑
簡単に調べてみたらさすが都内は気軽にテイクアウトできる
お店も比較的近くに何か所かありますね。
お休みの日にでも行ってみます!

さてさて

本日は「フジカST701」のカメラ修理を行っています。
1970年発売のカメラです。
「ST701」は「STシリーズ」最初のモデルでもあります。
レンズマウントはねじ込み式の「M42マウント」です。
「STシリーズ」は通常の「M42マウント」のカメラと
「M42マウント」をベースに開放測光に対応するため
位置決めのピンと絞り値伝達爪を追加した「STマウント」採用の
カメラが混在しているので少々注意が必要です。
今回の「ST701」や「ST605」は通常のM42マウント+絞り込み測光で
それ以外のSTシリーズはSTマウント対応で
STマウントレンズ使用時に開放測光が可能です。
M42マウントレンズを絞り込み測光で使用する際には
ボディ側はなんでも気にする必要もないですが
STマウントをStシリーズ以外のM42マウント機に使う際には
ピンや爪が干渉する可能性もあるので注意が必要です。
現在となってはシンプルなM42+絞り込み測光で
いろんなレンズを使ったほうが楽しめるかもしれませんね。

お預かりしている「ST701」は
ご依頼者様が昔から所有している個体だと思われますが
近年は全く使ってなかったものと思われます。
シャッターは精度には少し問題がありますが
なんとか動作しているのですが
プリズム内部には大きな腐食が見られ
ファインダー内の視野の1/3くらいを邪魔してしまっています。
スクリーンにもかなりの拭き傷のようなものが見られます。
中古部品を使ってプリズムとスクリーンは交換しないと
クリアな視界は得られない状態です。
そして内蔵露出計には電池を使用するのですが
その電池室の蓋が全く開きません。
正確に言うと蓋は回るのですが
本来固定されている電池蓋の枠と一緒に供回りしてしまい
全く蓋が緩みません。
枠はカシメなのでここも交換が必要なようです。
さらに後で電池室を強制的に開けてみると
中には真っ黒に腐食した水銀電池が入ったままになっていました。
そして電池室の端子および配線は水銀電池から出るガスの影響で
こちらも真っ黒に腐食しています。
このあたりもすべて交換が必要です。

いろいろと手がかかる状態ではありますが
致命的な破損等はないのでしっかり整備して
本来の姿に戻していきたいと思います。
「M42マウント+絞り込み測光」の一眼レフというと
ペンタックスSPが同じジャンルのカメラとなります
スペック的には同じような感じですが
ST701はまた一味違った雰囲気でこれはこれで楽しいと思います。
露出計SWを兼ねる絞り込みボタンは
「ST701」のほうが個人的には使いやすいかと感じます。
ただし内部の整備性は圧倒的にSPのほうが良好ですね(苦笑)
「ST701」は整備の際に手数のかかる部分が多いカメラです。

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ヤシカフレックスのカメラ修理

今日は「レインボーブリッジ開通記念日」だそうですよ。
1993(平成5)年のこの日に
東日本最大のつり橋「レインボーブリッジ」が開通しました。
今年で30年になるのですね!
港区芝浦地区と台場地区を結ぶ東京タワーとはまた異なる意味で
首都圏のシンボルと言える存在だと思います。
深夜0時まではライトアップもされていて
深夜の首都高11号台場線を通ると
周りの夜景も含めてなんとも美しいのですよね
わき見運転はいけませんが。。。(苦笑)
実は橋の周辺の土地が狭く両脇のアーチ部分に
ケーブルを長く引くことができず
中央部のケーブルが作るアーチに比べて
両脇のアーチ部分が短く力学的にもバランスがとても悪いのです。
このバランスの悪さを解消するために
レインボーブリッジは陸地から通常の橋よりも強い力でケーブルを牽引し
安全面での問題もクリアしているのだそうです。
限られたスペースに建造物を作るのは本当に難しいのですね…
レインボーブリッジを見るたびに
こういうこともついつい考えてしまいます。

さてさて

本日は「ヤシカフレックス」のカメラ修理を行っています。
昨日に続いて二眼レフですが
「ヤシカフレックス」も同じ「ヤシカフレックス」という名前で
様々なモデルが存在し、モデル名で判別ができないため
種類を特定しようとするとなかなかややこしいカメラです。
その点は昨日の「プリモフレックス」以上ですね。

今回お預かりしている「ヤシカフレックス」は
レンズ間にSS・絞りのダイヤルはなく
赤文字の「Yashica」+楕円のロゴがあり
フィルター枠はBay1バヨネットであることから
C型かと思われます。
搭載シャッターユニットはコパルで
最高速は1/300
レンズはヤシコール80mmF3.5です。
フィルム装填はスタートマーク合わせのセミオートマットです。
本来は実用的で非常に使いやすい二眼レフです。

ただし整備前の今回の「C型」それなりにトラブルも抱えており
そのままではとても撮影に使える状態ではありません。
今回も何かが破損している…というような状態ではありませんが
積年の経年劣化がいろいろなトラブルを引き起こしています。
まずシャッターは羽根が粘っていてゆっくりと作動します。
もうこの時点で普通には撮影はできません。
加えてレンズ・ファインダーにはかなりのカビが見受けられ
ファインダーミラーはいつものパターンで劣化で曇っています。
やはり全体的にしっかり動ける状態に復元して
光学系に入念な清掃が必要です。

画像でも多少わかりますが
ミラーは半端なく曇っていて
いくらファインダーやビューレンズを清掃しても
ミラーがこれではファインダーはまともに見えません。
ここまで劣化していると清掃ではどうにもならないので
表面鏡は切り出して新品と交換します。
まだ本格的な整備はこれからですが
しっかり整備すれば先述したように
非常に使い勝手の良いカメラですので
存分に撮影を楽しんでいただけるようになると思います。

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プリモフレックスのカメラ修理

今日は「即席ラーメン記念日」だそうですよ。
1958(昭和33)年のこの日に
世界初の即席ラーメンである「チキンラーメン」が
日清食品株式会社より発売されたことに由来しています。
年取ってからはその濃い味付けや塩っ辛さで
少し敬遠気味になっていますが
それでも袋麺もカップ麺もそれなりに食べますねぇ(笑
いつもお世話になっています。
チキンラーメンはあまり食べることはありませんが
こちら(関東)ではなかなか手に入らない
イトメンの「チャンポンめん」が好きで
広島に帰った際に買ってきたりお取り寄せしたりして
常に少しばかり在庫しています。
比較的あっさり味で子供の頃から馴染んだ味で美味いんですよ~
ちなみに「チャンポンめん」は1963年の発売開始で
現行販売されている即席めんとしては、チキンラーメンに次いで
2番目の歴史を持つロングセラー商品なのです。
店頭では近畿・中国地方の一部でしか手に入らないのですが
私の生まれ育った地域では
昔から現在に至るまで普通に購入できる
ポピュラーな定番商品です。
一部地域以外ではなじみがないと思いますが
機会があれば是非!

さてさて

本日は「プリモフレックス」のカメラ修理を行っています。
この時代のカメラにありがちですが
同じモデル名でもたくさんの種類があって
その判別がなかなか難しいのは
この「プリモフレックス」も同様ですね。
今回のプリモフレックスは「ⅢA型」だと思われます。
搭載レンズは3枚玉のトーコー7.5cmF3.5です。
フィルム装填はスタートマーク合わせの
セミオートマットです。
フィルムカウンターも搭載され巻き止め機構も付いています。
ただしカウンターは自動復帰ではないので
装填時に操作が必要です。
ファインダースクリーンにはトーコーブライトという
独自構造のフレネルレンズが入っていて
通常の二眼レフよりファインダーが明るいということですが…
今回はそれ以前にスクリーン自体も汚れと
何といっても内部のミラーが劣化でどうにも曇っていて
現状ではとてもまともにピント合わせができる
ファインダー状況ではございません。
レンズにもかなりカビが見受けられ
巻き止め機構やカウンター復帰の動きも粘っているので
全体的に整備清掃が必要な状態です。

画像はまだテイクレンズを外しただけの状態です。
これからまずはシャッターユニットの整備から行います。
レンズはガラスそのものの劣化による曇りがあると
それは除去できないことが多いのですが
今回はレンズそのものの状態は悪くなく
カビは完全に除去できそうです。
ただし前玉表面にそれなりの拭き傷があり
実際の撮影にはほぼ影響しないとは思いますが
そこは残念ながら現状のままとなります。
ファインダーのミラーは交換で対応し
汚れやカビが目立つスクリーンもできる限り清掃をおこいます。
せっかくトーコーブライトの性能を発揮できる状態まで
クリアになると思われます。
加えて巻上周り等の動きが悪い部分の整備を行い
ピント調整等も行います。
本来の使いやすいプリモフレックスの姿を取り戻すように
丁寧に仕上げていきます。

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キヤノンPのカメラ修理

今日は「愛酒の日」だそうですよ。
酒をこよなく愛した歌人・若山牧水の誕生日に由来しているそうです。
牧水さんがどれほどお酒好きかというと
一日一升程度の酒を呑んでいたといわれていて
死の大きな要因となったのは肝硬変であったそうです。
1日1升?1.8Lですよ。
日本酒1升瓶を毎日ってことですよね?それはすごい…
そして夏の暑い盛りに死亡したのにもかかわらず
死後しばらく経っても死体から腐臭がしなかったため
「生きたままアルコール漬けになったのでは」と、
医師を驚嘆させた、との逸話があるそうです。
私もそれなりにお酒は好きですが
さすがにそんなには飲めません。
若い頃には結構無茶な飲み方をして
急アルで運ばれたりとか急性胃潰瘍になったりとかしましたが
もう近年は少し多めに飲むと飲んでる間はまだいいのですが
翌日に確実に超不快な二日酔いになるので
ちょっと良い酒を美味いあてで少しだけいただく…なんて感じです。
お酒がそれなりに飲めると
食べるものの楽しみ方も変わるので
いい趣味だとは思いますが
飲み過ぎにはくれぐれもご注意を…

さてさて

本日は「キヤノンP」のカメラ修理を行っています。
1959年発売のレンズ交換式レンジファインダー機です。
それまでのトップモデルだった「Ⅵ型」から
思い切って機能を減らし部品点数も減らすことで
低価格で販売されたカメラです。
モデル名の「P」はフランス語の「Populaire」からとったもので
「人気のある」という意味だそうです。
価格と機能のバランスが素晴らしく
大ヒットしたカメラで10万台作られたと言われています。
確かにファインダー周りはシンプルで
パララックスの自動補正はなくフレーム切り替えもありません。
ファインダーには常に35/50/100mmのふれーむが表示される
アルバダ式のファインダーです。
しかしながら巻上機構やシャッター周りは効率化も含めて
一新されており、分解してみるとわかりますが
「Ⅵ型」までのかつてのバルナックコピーの面影は全くなくなり
明らかに現代的な造りとなっています。
最終シリーズとなる次期7シリーズも
この「P」の構造がベースとなっています。

お預かりしている「P」は全体的に明らかに油切れで
巻上のフィーリングも本来の姿ではありません。
加えて高速シャッターは幕軸の油切れにより
先幕・後幕のバランスがかなり崩れていて精度も出ていません。
どこかが破損している…というわけではありませんが
このあままこの状態で使っていると
さらに新たなトラブルを呼び込みそうな気もしますし
いかんせん使っていても気持ちよくないと思います。
シャッター音も油切れのため濁ったような金属音が混じっています。

とにもかくにも動く部分は全て洗浄清掃し
古い油脂類を取り除いたうえで最小限の注油を行っていきます。
精度的な問題もこれだけでもかなり改善されると思われますが
最終的には微調整を行ってさらに追い込んでいきます。
モナカ構造であることもそうですが非常に整備性も良いカメラです。
ファインダー周りも切替等がないためシンプルな造りです。
必要最小限のバネ力でスムーズに各部が動作できるように
隅々まで丁寧に整備を行っていきます。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「処暑」ですね。
「処」という漢字は音読みで「しょ」
訓読みで「ところ」などの読み方があり
「その場にとどまる」や「一つの場所に落ち着く」などの意味があります。
転じて「暑さが止む」という意味から「処暑」とされています。
厳しい暑さが峠を越して、落ち着く頃である。
昼間はまだ残暑が厳しい地方もあるが
朝夕には涼しい風が吹き始める…と言いますが
まだまだ暑いですねぇ…
私、ほぼ毎日リハビリのために夜中にウオーキングしていますが
ほんのわずかに風に涼しさが出てきたような気もしますが
まだまだ夜中でも暑いです…
それから先日、4日間ほど広島・呉に帰省してきたのですが
同じような35℃前後の猛暑日でも
向こうは都内のようなまつわりつくような空気自体の熱さは
あまり感じないのですよね。多少の風と湿度、
そして海が近いからかと思われます。
都内中心部のむわっとした暑さは本当に体にこたえます…
早く朝晩ひんやりとした秋になってほしいものです。

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
キヤノンの誇るプロ向けフラッグシップ機であり
一眼レフの分野でもキヤノンを
トップメーカーに押し上げたカメラでもあります。
1971年発売開始のカメラです。
このF-1が登場するまではキヤノンの一眼レフには
いわゆる「プロ向けの最高級器」といったモデルがなく
その分野ではニコンF・F2の独壇場となっていました。
キヤノンはレンズ交換式レンジファインダー機の分野でも
国内トップシェアを誇るメーカーでもあり
そちらにも開発力を割かねばならず
一眼レフの分野では少し開発に立ち遅れた部分もありました。
それまでの遅れを一気に挽回し
この分野で先行するニコンに追いつき追い越すために
開発されたともいえるのがこのF-1です。
キヤノンの狙い通りこの分野のカメラとしては大ヒットになり
このカメラの登場から長らく続くニコン・キヤノン2大メーカーの
熾烈なシェア争いが何十年も続くことになるわけです。

お預かりしている「F-1」はご依頼者様が
かなり長い間使われている個体かと思われます。
全体的に大きな問題はないのですが
さすがに長い間未整備ということもあって
動きの悪いところがいくつか見られ
高速シャッター等の精度も少しズレてしまっているようです。
今後も長く使っていただくためにも
リフレッシュを必要としている時期かと思われます。
高速シャッターの問題は測定器できちんと測定してみないと
なかなかわかりにくい部分ですが
明らかに先幕・後幕のバランスが取れていない状態です。
加えてファインダー内露出計指針の先の〇い指針は
レンズの絞りに連動して動くのですが
この〇指針の動きが非常に悪く
頻繁に上に張り付いたまま
降りてこないような状況になってしまいます。
この〇指針のトラブルはF-1に割とよく見られる症状で
小さなバネ力で押しもどすのですが
積年の汚れ等で粘ってしまうことが多々あります。
ミラーボックスを外した際に徹底的に清掃して
スムーズに動作するようにしていきます。

画像はボディ側の整備が一通り終わって
ファインダー側の整備に取り掛かる際のモノです。
干渉防止用の座布団モルトが見えますが
これも完全に劣化していてボロボロです。
このまま放置しておくと確実に大きなプリズム腐食の
原因となってしまいます。
もちろん交換で対処いたします。

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コニカⅢAのカメラ修理

今日は「噴水の日」らしいですよ。
1877(明治10)年のこの日に
東京・上野公園で第1回内国勧業博覧会が開催され
会場中央の人工池に日本初の西洋式の噴水が
作られたことが由来となっています。
この季節に涼しげな噴水はピッタリですね!
公園とかにある噴水池では
水遊びができるようなところも多く
子供の頃に呉市内の中央公園の噴水池で
バシャバシャ遊んでいたことを記憶のかなたに
うっすらと思い出せます(笑
話がそれますがその呉市中央公園は現在リニューアル中で
シンボル的存在だった噴水がなくなってしまうのだそうです。
いろいろ考えた末の結論でしょうが
やはり少し寂しいですね。
昨年の時点でなくなることがもうわかっていたので
最後に写真を撮ってきました。
もう水は出ていませんでしたが…
日常の風景も時代が進むとどんどん変化していきます
当たり前のなんでもない日常風景でも
とりあえず写真に残しておくことは
大事かもしれないな…と思うことが最近多いです。
まぁそれだけ歳をとってきたということですよねぇ(苦笑)

さてさて

本日は「コニカⅢA」のカメラ修理を行っています。
セルフコッキングを装備し
鏡胴脇から生える独特の巻上レバーを
ダブルストロークで巻き上げる「Ⅲ」をベースに
「生きているファインダー」と当時言われていた
パララックス/画角自動修正機能付等倍ファインダーを装備したカメラです。
いつも思うのですが「生きている…」はちょっと大げさかと…(苦笑)
距離計連動機構からさらにリンクしてブライトフレーム枠を
動かすことによって自動修正を実現しています。
それも大きな機能ですがそれよりも精度の高い
等倍ファインダーが搭載されたことが一番の特徴かと思います。
通常のⅢではハーフミラーを使う部分に
ごっそりと豪華にプリズムが鎮座しています。
これによって非常にクリアで見えの良いファインダー像となっています。
等倍なので右目でファインダーを覗きながら
左目で視野外も同時に見ることができます。
両目で見ていると通常の目視の視野に
ブライトフレームが浮き上がってみるような感覚です。
特に動くものを追う際には視野外まで広く同時に確認できるのは
非常にありがたい機能です。
両目で見るには少しばかり慣れも必要ですが
慣れてくると非常に便利なことがよくわかります。
等倍ファインダーの最大の魅力です。

お預かりしている「ⅢA」は定番トラブルともいえる
シャッター羽根の粘りを抱えた状態です。
レリーズするとゆっくりと羽根が開いていくような状態です。
何度か繰り返し作動させると
見た感じでは普通に動き始めるのですが
しばらくたってからまた動かしてみると
またゆっくりと開閉してしまいます。
さすがにこのままでは全く撮影に使えません。
絞り羽根にも油滲みがみられるので
こちらもかなり心配です。
いつもかきますが粘った状態で絞り羽根を動かしていると
かなりの高い確率で絞り羽根の破損に繋がります。
特にコニカⅢ系ではよくあるトラブルです。

過去に分解歴のある個体で
調速カムの抑え部分とかが一部破損した箇所も発見されました。
実は整備前にSSリングの動きが
ちょっとおかしいな…と思っていたのですが
このあたりが原因だったようです。
今回は何とか修復できましたが
最近市場に出回っている個体は
思いもかけない人為的トラブルを
抱えている個体が多く常に注意が必要です。
特にフリマサイト、オークションサイトで入手した個体は
その確率が高いと思われます。
今回はそれほど重篤なトラブルではなかったので
問題はないですが入念に隅々までチェックして
問題のない状態に仕上げていきます。

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コニカオートS1.6のカメラ修理

今日は「蚊の日・モスキートデー」だそうですよ
ちょっとイヤな記念日ですねぇ(苦笑)
1897(明治30)年のこの日に
イギリスの細菌学者ロナルド・ロスが
羽斑蚊(ハマダラカ)類の蚊の胃の中から
マラリアの原虫を発見したことに由来するそうです。
今となっては数は少ないとは思いますが
蚊に刺されることで様々な感染症にかかる場合があります。
そうでなくても蚊に刺された後はかゆくって
下手に搔きむしると痕になってやっかいなことになりますものねぇ
蚊が媒介するといえば個人的には
「日本脳炎」のイメージが強いのですが
予防接種の普及もあってかなり激減したようです。
それでも国内で年間10人くらいは発症するのだそうです。
手っ取り早く蚊を撃退…となるとやっぱり「蚊取り線香」ですよねぇ
個人的なやはり「金鳥」かな…
いまだに夏なると毎年お世話になっています。
蚊取り線香の香りを感じながらビールを飲んでいると
「あー夏だなーーーー」と思いますよね(笑

さてさて

本日は「コニカオートS1.6」のカメラ修理を行っています。
コニカのレンズ固定式のレンジファインダー機は
コニカブランドとしては最初のカメラとなる
コニカ・スタンダード(コニカⅠ)に始まり
最初のⅠ・Ⅱ・Ⅲまでのシリーズから
デザインを角型にガラッと変更した「コニカSシリーズ」が登場し
さらにその「Sシリーズ」から派生して
「オートSシリーズ」が誕生します。
シリーズ名通り「シャッタースピード優先オート」を搭載し
「S」ではセレンが主だった受光体も
「オートS」では登場時からCdSを搭載します。
最初のSではCdSは上カバー部肩の前面に配置されていましたが
2代目となる「オートS2」ではレンズ上に移設され
フィルター使用時も含めより正確な速攻が可能となりました。
今回の「オートS1.6」は「S2」のレンズ(ヘキサノン45mmF1.8)を
ヘキサノン45mmF1.6に変更したモデルです。
それ以外の部分は基本的に「S2」と共通です。

お預かりしている「オートS1.6」は
まずはシャッターが切れません。
巻上げてレリーズしても何も起こりません。
シャッターも動かず作動音もなしです。
シャッター羽根が完全に固着しているものと思われます。
後でわかったのですがシャッター羽根の固着に加えて
無理に固着したセルフタイマーを動かした形跡があって
セルフのレバーが変形していて
それがさらにシャッターを切れないような位置で
変形のため止まってしまっている…というのも
シャッター不動の原因の一つになっていました。
これが意外と気が付かなくて少々時間がかかりました。
さらにオートS系ではお馴染みですが
底部電池室脇のSW部(BCと露出計切替)に
接触不良があり露出計の動作が非常に不安定です。

接点の清掃修理を行い
周辺の配線交換も行うと
それまで不安定だった露出計は安定し
感度も鈍かったのですが元気よく針が振れるようになりました…
…いや…今度は振れ過ぎですね…(苦笑)
BC時にはまぁ予想通りの動きなのですが
露出計時にレンズキャップをしてCdSをふさいでも
元気よく指針が振れてしまいます。
CdSの抵抗値がスカスカになっていて
光量に関わらず抵抗値が低くなってしまっているようです。
中古良品のCdSと交換を行い
やっと調整で何とかなるレベルに動きが落ち着きました。
他、シャッターユニット・巻上機構整備
レンズ、ファインダー清掃、距離計調整等を行って仕上げていきます。
気持ちよく使えるカメラに今回も仕上がりそうです。

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キヤノンA-1のカメラ修理

今日は語呂合わせで「バイクの日」だったり
「俳句の日」だったりするようですが
個人的には何といっても「世界写真の日」なのです。
写真を撮るという行為もここ数十年で
本当に様変わりしてしまいました。
私が幼少期で当店でよく扱っているカメラが
新品で売られている時代は
写真を普通に撮ることだけでも
それなりのスキルを求められましたが
今や記録としての画像を撮るだけであれば
スマホでボタン一つでオッケーです。
それどころか映像といった分野で考えれば
主力はもはや静止画ではなく動画かとも思います。
動画からの静止画切り出しでも十分だとも思えます。
「素早く記録する」ということでは
本当にここ10年くらいで一気に進歩しましたね。
個人的にはスピーディーさも華やかな画像加工にも
あまり興味はないので
やはり普通にフィルム写真をゆっくり撮って楽しむのが
性に合っているような気がします。
まぁそのあたりは趣味の世界なので人それぞれですね。

さてさて

本日は「キヤノンA-1」のカメラ修理を行っています。
当店で扱うカメラとしてはかなり新しいほうです。
もう少し後の時代になると
扱えるものはほぼなくなってしまう時代です。
発売は1978年でAE-1をベースにさらに高級化+マルチモード化されたカメラです。
前年の1977年に世界初の両優先オート(SS優先、絞り優先)を搭載する
ミノルタXDが発売されていますが
それに対するキヤノンの回答が「A-1」だともいえると思います。
両優先+プログラムオートを搭載し
フラッシュオート・絞込み実絞りオートを備えた
5モードAEがセールスポイントです。
シャッターも全速電子制御シャッターで
電池がないとシャッターを切ることができません。
加えて電池消費もなかなか激しかったことから
「電池が切れたらただの箱」として敬遠する保守層も存在しました。
でもそれほどあらゆるカメラファンの注目を集めるカメラだったわけです。
スペックも当時の最新鋭で価格も高めでしたが
かなりヒットしたカメラです。
当時、私は小学校高学年でしたが
「A-1、かっちょええええええ」とカタログ眺めていました(笑

お預かりしている「A-1」は一通りの動作はしますが
まずはAシリーズ定番のシャッター鳴きです。
いつも書きますが「シャッター鳴き」とはいいますが
原因はミラー駆動部のギア油切れが原因です。
悪化すると異音だけではなく明らかにミラーの動きが悪くなり
最悪な場合はみらーが動かなくなります。
ミラーが動かないと当然シャッターも切れなくなります。
加えてお預かり時には普通に電源も入っていたのですが
整備前に改めて現状を確認すると
電源がやけに不安定で一切電源が入らなくなり
全く動かなくなってしまう状態にもなりました。
どうやら電源SW部に被膜ができて接触不良になっているようです。

画像は一通りの整備が終わって
様子見をしている状態でのものです。
シャッター鳴きの原因となるギアにはミラーボックスを外して
清掃注油を行っています。周りに接点も多いので
過剰な注油は厳禁です。
各部電気接点、ソレノイドの吸着部は入念に清掃を行い
シャッターも精度を含め安定して動作するようになりました。
オート・露出計の精度も調整を行い問題ございません。

画像のレンズは当店のテストレンズですが
A-1にはやはりNewFDレンズが似合いますね。
全体的に黒い塊感が増して何とも言えずカッコいいです。

フジカST801のカメラ修理

今日は「アルプスの少女ハイジの日(ハイジの日)」だそうですよ。
「ハ(8)イ(1)ジ(2)」と読む語呂合わせからですね。
結構世代ドンピシャで子供の頃、夢中で観てました。
日本でのテレビアニメの放映は
1974(昭和49)年の1月6日~12月29日に放送されています。全52話。
私が5歳になる年ですねぇ…
じいさんばあさんもこれは一緒になって観てました。
さすがに細かいストーリーはもはやうろ覚えですが…
配信とかでオリジナル版観られるのですよね。
子供の頃に見たアニメとかで観たいもの結構あるのだけど
配信サービス加入してみようかな…
でも意外と腰据えて見るような時間ないのですよねぇ(苦笑)
そういえばハイジに出てくるチーズとか白パンとかが
めちゃくちゃ美味しそうに見えて
とにかく食べてみたかったのを強烈に覚えています。
実際、当時はチーズってあまり好きではなかったのですが…(笑
もちろん今では大好きですよ。
こうして考えているといろいろ関連してズルズルと
関係ない当時のいろんなことまで思い出します。
たまにはこうして記憶の引き出しを開けてやることは大切ですね。

さてさて

本日は「フジカST801」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
フジカSTシリーズは最初の「ST701」は
通常のM42ねじ込みマウントだったのですが
シリーズ2機種目となるこの「ST801」で
開放測光を実現するため
レンズ側に位置決め用のピンと絞り伝達用の爪を追加し
ボディ側に位置決め用ピン受け部と
絞り値伝達用リングを搭載した
「フジカSTマウント」へと変更されます。
ただしベースがM42マウントであることに変わりはないので
絞り込み測光でもよければ
従来のM42マウントレンズも装着可能です。
ただしレンズ側は位置決め用のピンや絞りの爪が
ボディ干渉する恐れもあるので
STマウントのレンズを通常のM42マウントボディに使うのは
避けておいたほうが無難かと思われます。

お預かりしている「ST801」は巻上に問題を抱えていて
頻繁にコマかぶりを起こします。
巻上時の動作をよくよく確認してみると
巻上時にスプロケットが少し逆転して戻ってしまうようです。
巻上機構部を分解して確認してみたところ
スプロケット上の歯車にかかる逆回転防止用の爪が
摩耗のためうまくかからず逆回転を起こしてしまうようです。
フジカSTシリーズの巻上は比較的トラブルの多い部分で
元々の歯車の嚙み合わせが妙に浅く
経年の摩耗で滑りやすいのですね。
元々の価格がお求めやすいのでコストの関係上
仕方がない部分も多いのですが
比較的華奢な部分の多いカメラです。
布幕横走で1/2000を実現し、当時としてはまだめずらしい
LED式の露出計を装備し
機能的にはかなり優れたスペックを持つカメラなのですが…
もちろん現行モデルだった頃は
そんな問題はあまりなかったでしょうし
もしあっても新品部品交換で対応できたので
非常にコストパフォーマンスに優れたカメラだったと思います。
さすがに登場から50年以上経過すると
いろいろな問題を抱えてしまう個体が多いかと思います。

結局、滑っていた逆転防止用の爪を再加工して
問題なく動作する状態にして再取付及び調整を行い
巻上は全く問題なくしっかり動作できるようになりました。
シャッターも高速シャッターでの精度不良や
動きの悪い分は当然のごとくありましたが
こちらも整備調整を行い申し分ない精度を確保しています。
露出計も開放測光・絞り込み測光、それぞれ問題ございません。
実際に操作してみると非常に軽快で
小気味よい動きとシャッター音を聞かせてくれる状態になりました。
ご依頼者様はST801をかなり気に入って使っていた方なので
本来の小気味よい使い心地になったこのST801で
存分に楽しんでいただければと思います。

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