ヤシカエレクトロ35のカメラ修理

今日は「ことばの日」だそうですよ。
「こ(5)と(10)ば(8)」と読む語呂合わせからで
言葉について考え、言葉を正しく使えるように心がける日だそうです。
当然ながら言葉を使って人とコミュニケーションを取るのが普通ですが
言葉使いって本当に難しいですねぇ…痛感することが良くあります(苦笑)
言い方ひとつで与える印象がガラリと変わってしまい
意図しない方向へ話が進んでしまうこともあるので本当に大変です。
それでもまだ対面で話している分には
意図しない伝わり方をしてしまった場合にも
それに気づくのがまだ早いような気がしますが
メールや文章ではまたそれに気づきにくいのが怖いですね…
いずれにしても発しようと思った言葉はあまり勢いで
そのまま発するのではなく一度咀嚼して
落ち着いて発言しようとは思います。
もちろん気の向くまま思いのまま発する言葉も
ストレートで良い場合もあるとは思います。
ケースバイケースですが「言葉」というより
意思を伝えるって何年生きていても難しいですね(苦笑)

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35」のカメラ修理を行っています。
またまた「エレクトロ35」です(笑)続きますね…
ただし今日のエレクトロはコンパクトな「MC」とかではなく
ちょっと大柄でレトロなデザインの「初代エレクトロ35」です。
1966年発売のカメラです。
「ろうそく1本の明かりでも写る」カメラを目指して作られたカメラです。
そのため安定した低速及び長時間シャッターを得られる
電子制御シャッターを搭載し
少しでも早いシャッタスピードを確保するための大口径レンズを備えています。
シャッターユニットはほぼ専用設計ともいえる「コパルエレク」を搭載し
レンズは45mmF1.7ヤシノンDXレンズを搭載します。
露出制御は絞り優先オートで制御します。
昨日・一昨日の「MC」のブログでも書きましたが
エレクトロ35シリーズは
この「大口径レンズ」+「電子制御シャッター」+「絞り優先オート」
そして「レンジファインダー」という点は最終モデルまで共通項となっています。
「MC」のみが小型化を優先してこの中から「大口径レンズ」と
「レンジファインダー搭載」という特徴が外されています。
内部機構もモデルチェンジごとにブラッシュアップされ
特に電子回路は年々進化しますが基本的構造やアプローチは
この初代の考え方が最終モデルまで引き継がれています。
そういったところも見てもこの初代エレクトロが
優れた設計だったことが垣間見えるような気がします。

お預かりしている「エレクトロ35」は初期のモデルで
ファインダー内の警告灯がエレクトロ35の特徴ともいえる
矢印マークではなく黄色・赤色の丸い警告灯です。
ASA感度も500までの設定しかありません。
初期モデルは最近さすがにあまり見なくなったような気がします。
ご依頼者様のお宅で新品時から使われていた
個体だと思われますがここ数十年は使われることなく
しまい込まれていたものと思われます。
残念ながら電池を入れても電源は入らず
オートやSSの制御は全くできません。
やはり配線やハンダの劣化のため接触不良な状態かと思われます。
エレクトロ35といえば巻上レバーで巻き上げたときに
「カタン」とレリーズ軸が戻ってくる作動音がするのが
シリーズ共通の特徴ですがこのエレクトロはその差動員もしない状態です。
レリーズ軸を抑え込む部分のゴムブッシュが劣化で
溶解してしまっていると思われます。
シリーズ中期以降のモデルはこの部分に劣化しにくい素材を使っているので
ここのトラブルは少ないのですがシリーズ前期の
初代と同様の躯体を持つモデルはここに注意が必要です。
これが腐食して軸の抑えが効かなくなると
オート制御が一部不能となってしまいます。
加えてシャッター羽根に少々油滲みも見られ
羽根の動きが粘ってしまっているようです。
レンズ・ファインダーに当然ながらカビも発生しています。

電子回路自体は非常にしっかりできていて
意外と電子制御関連のトラブルは少ないカメラです。
しかしながらこの配線の多さはこの時代の電子制御機らしく
非常にややこしい上にトラブルも元にもなりますね。
電子制御機は接点と導通、そしてマグネットの吸着が肝なので
そのあたりを中心に一通りの整備を行っていきます。
電池室からの配線交換と端子の清掃等で
とりあえず電源は入るようになりました。
ボディサイズに少し余裕があるので意外と整備性は悪くありません。
この時代ならではの配線の多さとそれを繋ぐハンダも
エレクトロは非常にしっかりしています。
メーカーや機種によっては経年劣化もあり
どこもかしこもハンダ不良なカメラもあるので
そこは非常に安心できます。
そして何といってもシリーズ初期モデルの
このギンギラギンなシルバーは
他のカメラとは一線を画していていいですね!

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