ネッター515のカメラ修理

5月4日、「みどりの日」ですね。
今日は他にも記念日がたくさん設定されていて
「植物園の日」、「ラムネの日」、「競艇の日」
「エメラルドの日」、「ノストラダムスの日」
「うすいえんどうの日」、「名刺の日」
「スターウォーズの日」。。。等々。。。。
うーん、とりあえずラムネ飲みたくなってきました(笑)

さてさて

本日は「ネッター515」のカメラ修理を行っています。
日本では「セミネッター」とも呼ばれていたそうです。
ツァイスイコンのカメラです。
上級機であるイコンタをシンプルにしたようなモデルですね。
ネッターにはフィルムサイズによって
色々なモデルがあるのですが
今回は645サイズで撮影するモデルです。
発売は1934年と云われています。
目測ピントでフィルム装填は赤窓式
セルフコッキングもなく二重露光防止装置もない
シンプルな構造です。
この時代だと当たり前でもあったのですが
逆に壊れるところも少なくて
構造も理解しやすく今となっては良いかもしれません。

フォールディングカメラ(スプリングカメラ)なので
畳んでしまうと非常にコンパクトです。
ポケットからこれがスッと出てきてたら
とてもオシャレな感じがしますよね。
レンズは7.5cmF4.5、シャッターはクリオで
1秒~1/175、B、Tを備えます。
お預かりしているネッターは
シャッター動作機構固着のためシャッターが
切れない状態でした。
セルフタイマーも装備されているのですが
それも固着していました。
シャッターユニット以外はシンプルな造りなので
整備はシャッターユニット部分に集中します。
レンズはやはり年相応の腐食痕等が若干残りましたが
かなりキレイに清掃できたと思います。
全ての動作部分の清掃・注油を行い、
快調に動作するようになりました。

ところで。。。フィルム装填が赤窓式なのは
前述しましたが、ここにもこの時代ならではの
工夫が見受けられます。

フォーマットは645のみのはずなのに
赤窓は二つ装備されています。
おまけに645としては赤窓の位置もおかしいですよね。
これは当時の120フィルムの裏紙には
まだ645用の番号は印刷されていなかったため
苦肉の策で6x9用の番号を使って
フィルム巻上を行うためなのです。
まずは左の窓に6x9用の「1」が出るまで巻上げ1枚目を撮影します。
次に右の窓に「1」が出るまで巻上げ2枚目を撮影します。
次は左の窓に「2」、その次は右の窓に「2」。。。。。というふうに
カウントして「8」が右の窓に来たときが
18枚目で最後のコマといった具合です。
慣れてしまえばそんなに迷わないと思います。
それよりも二重露光だったり、このコマでシャッターを
切ったかどうかの判断のほうが迷うことが多いと思います。
(これは赤窓式ならどのカメラでも迷いがちですよね)

ちなみにこれは現在の120フィルムの裏紙部分です。
(クリックすると拡大されます)
上から645判、6x6判、6x9版の数字が印刷されています。
セミネッターが発売されていた当時は
この645判の番号がなかったのですね。
中判カメラを使っている方でもオートマット(巻止め)が
あるカメラを使っているとこの番号を意識することは
なかなかないかと思います。
逆に赤窓式を使っている方は馴染みのある番号ですね。

少々慣れが必要な部分もありますが
この時代のカメラを使って写真を撮るというのは
非常に趣き深いことだと思います。
今回のネッター515のオーナー様にも
気持ちよく撮影に使っていただければと
私も楽しみにしています。

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