キヤノネットのカメラ修理

昨日が節分ということは今日は「立春」です!
二十四節気が作られた中国内陸部では
気温が上がり始める頃ですが
海に囲まれた日本列島では
この頃が一番寒かったりするのですが
今日は朝から日差しも暖かいですね。
2月4日ということで「西の日」ともなっています。
今日、西に向かうと幸運に巡り会えるそうです。
昨年の2月4日はこれを信じて
お店を閉めた後に西に向かって
ウォーキングしてみたのですが
何も変わったことはありませんでした。。。(苦笑)

さてさて

本日は「初代キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
キヤノン初のレンズ固定式コンパクトカメラで発売は1961年。
当時はカメラはまだまだ高級品で
高値の花だった頃ですが
キヤノンの社員の方々が
「自分達でも買うことのできるカメラを。。。」ということで
当時としては非常にお求め易い18,800円で発売されました。
(。。。とはいえ現在の貨幣価値に換算すると
現在の30万円くらいの感覚だったと思われます)
比較的は安価とは言っても
45mmF1.9の大口径レンズを搭載し
セレン式の露出計及びシャッター優先AEを備え
その内部の作りにも全く安っぽさはありません。
発売当初から爆発的に売れ
キヤノンが当初、2週間分と計算していた在庫を
発売開始数時間で売り切ってしまい
業界内からは「ダンピングではないか」とも批判されることもあり
これ以降のカメラの低価格化・高機能化に
ついていけなくなったメーカーが数多く倒産・撤退するなど
これまでのカメラの歴史の中でターニングポイントになったカメラです。

お預かりしているキヤノネットは
ご依頼者様が比較的最近、入手したものとのことですが
子供の頃に家にキャノネットがあり
それは残念ながら今はないものの
そのキャノネットで写真を撮っていた思いでもあり
もう一度、使ってみようということで入手したものとのことです。
爆発的に売れたカメラでもあり
同じような思い出を持っている方は多いかもしれません。
キヤノネットで最も心配されるのは
やはりセレン光電池の劣化具合ですが
今回のキヤノネットは若干の劣化は当然見られるものの
何とか調整でカバーできる範囲と思われます。
問題はレンズに大きなバルサム切れがあることなのですが
これはご依頼者様に持ち込んでいただいた
部品取り個体から移植することで対応します。
セレンはまずまず良好なのですが
オート露出はかなりオーバー気味です。
原因は絞り羽根の粘りにより
オート露出の際にしっかり絞り込まれてないことが原因のようです。
キヤノネットはモデルに関わらず
絞り羽根粘りが原因のオート不良は多く見受けられます。

巻上レバー、巻戻しクランク等は底面にあるので
上カバー場はシャッターボタン、アクセサリーシュー
フィルムカウンターのみという
非常にシンプルで美しいスタイリングです。
筆記体のモデル名もいい味を出していますね。
内部の構造も非常によく考えられたもので
露出計からSS設定・絞り制御に至るまでのAE連動の部分は
一見の価値のあるものだと思います。
修理始めたばかりの頃に
「なるほど!!!すごいなぁ。。。」と感動したことを思い出します。
写真は一通りの整備が完了した後のものです。
非常に全体的にスムーズに動作するようになり
オート露出の精度も申し分ない状態になりました。

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