アイレス35-ⅢLのカメラ修理

今日は「都バス開業の日」だそうですよ。
1924(大正13)年のこの日に東京市営の
乗り合いバスが営業を開始したことを記念した日だそうです。
前年の1923(大正12)年に関東大震災が発生しており
東京市電は壊滅的な打撃を受け
復旧に相当時間がかかることを見越して
市電の代替輸送機関として乗り合いバスが開業したのだそうです。
普段は都内にいると電車・地下鉄の利用頻度のほうが高く
あまりバスに乗ることはないのですが
私の生まれそだった街は田舎なので
市内を移動するときはバスがメインでした。
電車もよいですがバスも捨て難い魅力がありますよねぇ
特に田舎をゆっくり走るバスは何とも風情があると思います。
もう一度、懐かしのボンネットバスに乗りたいと思って
生まれ故郷のボンネットバスの
期間限定運行がまたないかなぁ。。。と思って
定期的に調べています。
GWくらいに運行してくれないかな。。。

さてさて

本日はアイレス35-ⅢLのカメラ修理を行っています。
1957年発売のカメラです。
1950年代は二眼レフブームもありましたが
レンズ固定型の35mmカメラもたくさん製造され
メーカーも今とは比べ物ににならないほどたくさんありました。
アイレス写真機製作所の前身は東京都港区にあったヤルー光学で
新宿区に場所を移しアイレス写真機製作所として再出発し
アイレスフレックスという二眼レフを最初に発売しました。
その後、主軸を35mm判、レンジファインダー機に移し
アイレス35シリーズとして数々のモデルを生産していました。
残念ながら1960年に倒産してしまいましたが
アイレスフレックスやアイレス35シリーズは
現在でも根強いファンがいて人気もあるカメラです。

アイレス35ーⅢはセルフコッキングになり
フィルムカウンターも自動復元式になり。。と
現代的に使いやすくなったモデルで
ⅢLはレンズがコーラル45mmF1.9となり
ライトバリュー式のセイコーシャMXLシャッターを搭載したモデルです。
この時代は単体露出計との組み合わせも考慮して
ライトバリュー値を基本とするシャッター設定のカメラが
比較的、多いのですが
ⅢLはひとつのリングでライトバリュー設定を行うため
通常のマニュアル露出の感覚でSSや絞りを設定しようとすると
少し慣れが必要かと思います。
しかしながら同じライトバリュー値で
SS・絞りの組み合わせを変えるのは
リングひとつで非常に素早く設定できます。
一長一短ありますが慣れが必要なのは確かかと思います。

お預かりしているⅢLは
まずシャッターが油シミで粘ってしまっています。
同様に絞り羽根も粘っているのですが
その状態で無理に動かしてしまったのか
絞り羽根が一部外れてしまっています。
このブログでも何度も書いていますが
絞り羽根の動きが悪いときや絞りリングが妙に重い時に
無理に動作させるのは厳禁です。
今回は羽根が外れてしまっているだけでまだ良かったのですが
羽根を留めるピンや羽根自体が破損してしまうこともあり
最悪の場合は修理不能になることもあります。
ファインダー内もかなり汚れ曇りがあり
距離計二重像はほぼ見えない状態です。
全体的に整備が必要な状態です。

写真は一通り整備が完了した後のものです。
現在、少し様子見をしている状況ですが
シャッターも軽快に動作するようになり
絞り動作も全く問題のない状態になっています。
ファインダー・レンズに関しても若干のカビ跡は残りましたが
かなりクリアな状態になり
二重像もはっきり見え、ピント合わせも快適です。
外装もできる限り清掃を行ったところ
非常にキレイな1台になりました。
これであれば気持ちよく撮影に使っていただけると思います。
1950年代の国産レンズシャッター機は
個性豊かで質感も高く
非常に魅力的なカメラが多いと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。