ミノルタハイマチックFのカメラ修理

今日は「アルバムの日」だそうですよ。
「フエルアルバム」でお馴染みの
(お馴染みなのは私らの世代だけかも(苦笑))
ナカバヤシ株式会社が制定しています。
一年最後の月の12月は
その年の思い出をアルバムにまとめる月。
そして「いつか時間が出来たら」
「いつか子どもが大きくなったら」
「いつか、いつか…」と後回しにされることなく
アルバムづくりをしてもらいたいとの願いを込めて、
その5日(いつか)を記念日としたものだそうです。
写真撮りっぱなしで整理が後回しになりがちですものねぇ(苦笑)
紙のアルバムはもはや時代遅れかもしれませんが
やはりあれば嬉しいものですよ
私も実家を引き払った際に幼少期のアルバムを
引き取ってきましたが
まぁ、自分の幼い姿はともかくとして
一緒に移っている友人や家族、そしてその時代の服装や背景
いろんなものが目に留まって本当に眺めるのが止まらなくなります
電子データでPC内に整理しておくのが効率は良いですが
それを見つければ誰でも手に取って気軽に眺めることのできる
紙のアルバムもやはり貴重だと思います。
こういう文化はなくなってほしくないですよねぇ

さてさて

本日は「ミノルタハイマチックF」の
カメラ修理を行っています
ハイマチックシリーズはミノルタを代表する
レンズ一体型コンパクトカメラのシリーズですが
1960年代初頭に登場した記念すべき初代ハイマチックから
2代目にして大きくリニューアルしたハイマチック7
「7」をベースとした「9」や「11」あたりまでは
コンパクトカメラとは言えないほどの大柄なボディに
大口径レンズ+レンジファインダーを搭載したモデルでした
それが1971年の「ハイマチックE」で大口径レンズはそのままに
ボディ側が小型化され
さらにその弟分ともいえる小柄なF2.8レンズを搭載した
「ハイマチックF」が1972年に登場します。
個人的にはこのサイズになってやっと自然に
「コンパクトカメラ」といえるような気がします。
この「ハイマチックF」も先行し大ヒットを続けていた
「コニカC35」の対抗機種です。
C35が機械式シャッター+指針挟み込みプログラムシャッターで
とにかくシンプルな構造であることに対して
「ハイマチックF」はセイコーESL電子制御シャッターによる
プログラムAEを搭載します。
光量の不足するスローシャッターを必要とする場面では
C35に対してかなり大きなアドバンテージがありますが
そもそも三脚を必要とする場面でこの類のカメラが
どれほど使われるか?という疑問もあるところです。
逆に手振れ写真を量産してしまいそうな気もするので
低光量時には周囲が必要です。
当時は非常に正確な露出を得られる電子制御シャッターの
優位性はかなり高かったと思われます。
今となってはなかなかメンテナンスが難しい部分もありますが…

お預かりしている「ハイマチックF」は
電池室の腐食もなく保存状態も良く
全体的に非常に切れな個体です。
ただし、電池を入れてシャッター切っても
明るさに関係なくシャッターが全く開きません。
不安定ながらバッテリーチェックは動作していて
シャッター動作音の様子から判断する分には
オート制御回路も動作しようとしている風にはあるのですが
肝心のシャッターが全く動かない状況です。
セイコーESLシャッターはその構造上
レンズシャッターではありがちな羽根の油付着による
粘りや固着は起こりにくいと思われます。
固着・不動の原因は大元のシャッター羽根駆動部の不具合か
マグネット関連の不具合かと思われます。

電子制御シャッターなので
制御部の電子部品の不具合があると
修理不可能な場合ももちろん多いのですが
今回は何とかなりそうな気配です。
同じセイコーシャッターでも「ハイマチF」の
ESLシャッターは比較的何とかある場合も多いのですが
「ESFシャッター」を搭載するカメラは
もうどうにも整備できない場合が多いです。
分解することすらリスクが高すぎて無理な場合がほとんどです。
そのため当店でも「F」は修理をお受けできる場合が多いですが
「ハイマチE」の修理は既に全くお受けできない状況です。

話が逸れてしまいました。
これから本格的にシャッター駆動部のチェックを行いながら
不具合修理と各部整備に取り掛かっていきます。

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