オリンパスペンEESのカメラ修理

今日は12月8日「御事納め」ですねぇ
毎年、このブログで「御事納め」のことを書くと
「あぁ、今年もラストスパートだ」という気がします
この「おことおさめ」って言葉の響きが
何とも心地よいのですよねぇ
何だか1年が静かに終わろうとしている感じがして…(笑)
この日は農作業など一年の作業が終わる日であり
農事が終わることを祝って行った行事のことも意味するのだそうです。
で、この日には、里芋・こんにゃく・にんじん・小豆を入れた
「御事汁」を食べる風習があったそうです。
江戸時代や関東の一部では、
12月8日を正月の儀式を始める「御事始め」とし
2月8日を正月の儀式を終える「御事納め」としていたのだそうです。
「御事汁」も何だか優しそうな味がしそうで美味しそうですよねぇ
これから来年2月初めの御事始めまでが
やたらと店内が底冷えして
作業中に寒く感じる季節でもあるのですよねぇ
今日も冷たい雨が降っていてなかなかの寒さですが
毎年のことなので底冷え対策は完璧で
(やたらと厚着している…静電気に注意!!!)
今のところぬくぬくと仕事できています(笑
ただ、電子制御カメラを触るときは静電気は天敵なので
細心の注意を払います。

さてさて

本日は「オリンパスペンEES」のカメラ修理を行ってます。
「買ったその日から、
ボタンさえ押せばだれにでも写真が撮れるカメラ」というコンセプトで
造られた「ペンEE」の派生モデルで
「ペンEE」では固定焦点だったピントを
ゾーンフォーカスにしたモデルです。
初期の「ペンEE」はシャッタスピードも1/60固定でしたが
発売翌年から1/30、1/250の2速切替となり
「ペンEE」発売の翌年1962年発売の「EES」は
当初から1/30、1/250の2速切替となっています
SS切替や絞り制御は露出計指針挟み込み式でオート制御します。
露出計の指針自体はファインダにもどこにも表示はありませんが
中ではセレン光電池で起電されて
通常の指針式の露出計が動作しています。
オリンパスお得意の赤ベロも露出計に連動して動作しています。
裏蓋は取り外し式です。底部のモルトは遮光にかなり重要な部分で
キチンと新しいモルトが貼ってあっても
厚みの薄いものでは確実に光漏れを起こします。
劣化していると論外です。
フィルムカウンターは手動で最初に枚数セットを行い
そこからカウントダウンしていく方式です。
ASA感度は200までの設定です。

お預かりしている「EES」は
まずシャッターが2/3くらい開いたところで固まっています。
巻上も何もできません。
単なる羽根固着なら巻上は動きそうなものですが…
羽根が開いているのを過去に何とかしようとしたのか
羽根にもキズがついていしまっています。
羽根のキズはそれほど問題はなさそうですが
固着の仕方がちょっと普通ではないような気がします。
露出計がどうなのかオート制御がどうなのかのも
この状態では全く判断ができないので
まずはある程度分解して原因を探っていきます。

何となく予感はしていたのですが
シャッター速度切替部から駆動部へリンクしている部分に
外れたネジが挟まっていました。
ペンEE系は外れたネジが内部で悪さをしていることが多いカメラです
なんでこんなにあちこちのネジが緩むのでしょうねぇ
よく外れるのはシャッタ羽根を挟み込んでいる
ユニットのネジですが今回挟み込んでいたのは
金色の真鍮ネジでそれではありません
どこかのネジが外れているはずなので
どこのものかをゆっくり探してみます。
心配されたセレン&露出計は精度はともかく動作はしています。
セレンの起電もある程度しっかりしているようなので
調整でなんとかなるそうです。
しかし絞り制御は随分粘っていてまともに動作していません。
ここもペンEE系で問題の多い部分ですね。
ネジの件をよく調べてから各部の整備調整に取り掛かりたいと思います。

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