キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

今日は「ひまわりの日」だそうですよ。
大きなひまわりの花を見かけることが多くなる季節ですね。
でもこの記念日の「ひまわり」は
実は花のひまわりではなく
気象衛星「ひまわり」のことだそうです。
1977(昭和52)年のこの日に
日本初の静止気象衛星「ひまわり1号」が
アメリカ・フロリダ州ケープカナベラルの
ケネディ宇宙センターから打ち上げられたことに由来しています。
この打上以降、テレビの天気予報で
「気象衛星ひまわりからの画像です。」と
天気図と重ねあわされた実際の雲の画像を見ることが
当たり前になっていきましたね。
「ひまわり1号」は1989(昭和64)年6月30日に運用を終え
「ひまわり2号」以降は、鹿児島県の
種子島宇宙センターから打ち上げられています。
2023(令和5)年7月時点で、気象観測を行っている衛星は
2016(平成28)年11月2日に打ち上げられた「ひまわり9号」であり
2022年(令和4年)12月13日より運用されているそうです。
「ひまわり」ももう9号なのですね。
「ひまわり」の名前は、やはり植物の「ひまわり」から来ていて
常に太陽の方を向いている「ひまわり」のように
地球の方向を向いているという意味に由来するのだそうです。

さてさて

本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
1961年に衝撃的なデビューを飾った初代キャノネットから
11年後の1972年の発売でキヤノネットシリーズの最終機種となるカメラです。
「G-Ⅲ」の”G”はグレードアップの頭文字で
「Ⅲ」は世代として初代、ニューキヤノネット、そしてこの「G-Ⅲ」が
三世代目という意味ということですが
実質的にはニューキヤノネットのマイナーチェンジ版といってよいと思います。
構造的に異なるのはバッテリーチェック部分くらいで
他はほぼ「ニューキャノネット」と共通です。
この「G-Ⅲ」は非常にロングセラーとなったモデルでもあり
1982年夏まで10年以上発売が継続されました。
生産台数も非常に多く約120万台が作られたそうです。
ニューキャノネット以降の小型化されたキャノネットは
現在でも非常に人気の高いカメラです。
シャッタースピード優先オート搭載で
露出計はオフになるもののマニュアル露出も可能
大口径レンズ搭載、レンジファインダー装備
このあたりのスペックと機能は初代から何ら変わりない部分です。
小型化こそされましたが構造的な考え方も
初代から受け継いでブラッシュアップされてきたもので
元々の構造とコンセプトが非常に優れていて生き残ってきたものと思います。

お預かりしている「G-Ⅲ」は
おそらく長い間、仕舞い込まれていたものと思われます。
ただ水銀電池はちゃんと抜いて保管してあったものと思われ
この類のカメラにありがちな電池室の腐食等のダメージはなく
露出計も精度はともあれ動作はしています。
ただ問題なのはシャッターと絞りです。
まず巻き上げてシャッターを切ってみると
シャッタースピードの設定に関わらず
「よっこいせ」という感じでゆっくりと羽根が開き
ゆっくりと閉じていきます。
その際にシャッター羽根に油がべったり滲んでいるのがよくわかります。
絞り羽根はマニュアル設定の場合だとシャッターをチャージすると
設定した絞りに絞り羽根が動作するはずなのですが
F16に絞り込んでチャージしても羽根は全く出てこずに
絞りは解放のままです。
こちらも油滲みでピッタリ張り付いて固着しているものと思われます。
そしてレンズにはカビがかなり生えており
ファインダーも濃霧注意報が出ている日のように
曇って霞んでしまっています。
さすがにこのままではどうにも撮影に使えない状況です。
どこかが破損してるわけはないですが
とにかく通常の動きを取り戻すための整備清掃が必要な状態です。

まだ現状を確認しただけの状態です。
これから本格的に分解整備取り掛かります。
このタイプのカメラの多くはコストの関係もあり
フィルム室の遮光は構造的なものより
モルトプレーン等の遮光材に遮光を頼る傾向があります。
そのため高級一眼レフ等に比べると
フィルム室のモルトの量も多く
劣化した場合のダメージや影響も大きく出ます。
今回もモルトはもちろん全滅で要交換ですが
モルトの状態にはより気を遣う必要があるかと思います。

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