日別アーカイブ: 2025年8月23日

ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は「油の日」だそうですよ。
「食用」と考えるか「機械油」として考えるかで
随分イメージが異なりますねぇ…(笑
機械油は私の毎日の作業のかなでも避けて通れない要素ですね。
機械的駆動部の多くはやはり油がないと
スムーズに動きませんし、私のところにくるカメラの多くは
油切れによる動作不良がトラブルの大半だったりします。
しかし「過ぎたるは猶及ばざるが如し」というように
注油のし過ぎは大問題に発展します。
同じ駆動部でもシャッター羽根等はほんおわずかな油脂類が
付着するだけで簡単に動作不良になってしまいます。
絞り羽根に油滲み…なんていうのもよくあるトラブルですが
古いレンズシャッター機でこれが発生している状態で
動作させると最悪な場合は絞り羽根が破損します。
「的確な箇所に最低限の注油」がこれが必須です。
で、食用の「油」にはもうめっきり弱くなりました(笑
先日の休みに友人と焼き肉に行ったのですが
それなりに量は食べますが結局最後まで「カルビ」を頼むことは
ありませんでした…もうバラ肉の油は重すぎて無理です…
メインで口にするのは「ロース」や「ヒレ」ばかりですが
あの肉肉しい食感と旨味がたまりません。ビールにも最高に合います。
でもそれらがひと段落すると「ホルモン」食べたくなってしまうのです。
カルビどころじゃなく油の塊なんですが
これえは美味しく食べられるのです。不思議ですねぇ…
さすがにさほど量は必要ありませんが…
こんなこと書いていたらまた焼き肉行きたくなってきました。
焼肉屋さんで食べる焼肉ってやっぱり美味しいですよねぇ…

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
大ヒットした「SP」をSMCタクマーレンズとの組み合わせで
開放測光を可能にしたカメラです。
絞り情報伝達が全くないM42マウントレンズに
独自の定点ピンや絞り情報伝達用の爪を追加し
ボディ側にもそれに連動することによって解放時でも
レンズ側の絞りがどこに設定されているか判別する機能が追加になり
それを電気抵抗落として露出計と連動させます。
「SPF」ではそれに対応することと同時に
露出計の回路や考え方もガラッと変わっています。
多くの他の露出計が電気信号がこないときには
指針が下端や上端に引っ込んでしまいますが
SPFの露出計指針は電流がない場合も指針は中央です。
それを絞り・SSの露出計設定側からくる電流と
CDSが光を受けて変換されてくる電流で両端からそれぞれ引っ張り合います。
そして中央でバランスが取れているときが適正露出となる仕組みです。
なので露出計回路にトラブルを抱えている場合は
光に関係なくどちらかに振り切ったままになる…
なんていうトラブルもたまにあります。
電流がきてないときも適正露出も指針が真ん中ってon/offが
わかりにくいですよね…だから物理的on/offスイッチのない
フォトスイッチ採用になったのではないかと勝手に思っています。

お預かりしてる「SPF」は今回も長く使われていない個体かと思われます。
電池室には当時に水銀電池が入ったままで
やはり新しい電池を知れても露出計は反応ありません。
電池室はキレイなので配線等の腐食が原因かと思われます。
後でわかりましたが露出計本体や回路には問題はないようです。
加えて今度は機械的駆動の問題で低速シャッター時にかなりの高確率で
ミラーアップしたままとなってしまいます。
高速シャッターで正常に動作している様子を見ていると
原因はミラー駆動ではなくシャッター後幕の動作不良で
走行完了後にミラーダウンレバーが
うまく蹴られないことが原因かと思われます。
そんな状態なので当然ながら高速シャッタでの精度は出ていません。
比較的ありがちなパターンです。
どこかが破損している…というわけではなく
積年の汚れや経年劣化が動作不良の原因となっています。

少しややこしい構造の露出計回路を採用したこともあって
シンプルなSPに比べると露出計回路は
結構大掛かりなものになっています。
機械的な駆動部や構造やSPとほぼ変わりません。
ただこの露出計回路が少々邪魔な場面も多く
少しばかり整備性は悪くなっています。
でも開放測光対応のためにはマウント周りに
回路や機構が追加されるのはしかたがないですね。
預かった時にはプリズムはキレイかな…と思っていたのですが
取り出してみると遮光材は案の定ボロボロで
よく見ると腐食も蒸着面に多少出てきてしまっています。
いったん気づいてしまうと視野中央周辺なので
かなり気になるのですよね…
プリズムはキレイなものと交換で対処していきます。

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