ニコマートFTNのカメラ修理

今日は「コスモスの日」だそうですよ。
3/14の「ホワイトデー」から半年となるとなるこの日に
プレゼントにコスモスを添えて交換する日だそうです。
そんな男女のイベントごとには
残念ながらもはや縁がないですが(笑
ちょうどコスモスの開花時期でもありますね!
細くてちょっと背の高い茎に
比較的大きな花を咲かせるコスモスは
ちょっとした風にもゆらゆら揺れて
なんともその華奢さが可憐ですよねぇ
花の色も多くみるピンクから白、濃い目の赤なんかもあり
写真の被写体としても非常に映える植物です。
ただあまりに茎が細く華奢なため
この季節ならではの台風でよくなぎ倒されてしまうのですよね…
その儚さも秋らしくてまた合っているのかしれません。
いずれのせよカラフルな花と秋の高い空とのコンビで
毎年この時期になると撮りたくなりますね。
時期を逃さないように今度の休みあたりに
どこかで撮ってきたいと思います。

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコマートシリーズはこの時代のニコンラインナップで
中級機にあたるカメラです。
機械制御シャッターでマニュアル露出専用機の「FTシリーズ」
電子制御シャッターで絞り優先オート露出も可能な
「ELシリーズ」の大きく二分されます。
これらが後の「FM/FEシリーズ」の前身モデルともなります。
「FTシリーズ」は最初に「ニコマートFT」と
「FT」から露出計が省略された「FS」が同時発売され
その2年後に今回の「FTN」が発売されます。
それまでは露出計連動のため
装着レンズの開放F値を手動設定しなくてはならなかったのですが
「FTN」では開放F値補正操作を採用し
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了するようになりました。
(いわゆるニコンのガチャガチャ)
加えて露出計は平均測光から中央部重点測光となり
ファインダー内に設定SSが表示されるようになりました。
基本的な機械的構造はほぼ「FT」と同一ですが
非常に使いやすく改良されたモデルと言えると思います。
ニコマートシリーズの中でもこの「FTN」が最も多く作られていて
現存する台数も非常に多いです。

お預かりしている「ニコマートFTN」は
少し少数派のブラックボディです。
かなり使い込まれているボディと見られ
適度なスレやヤレ具合が何ともいい雰囲気を出しています。
ただ、近年はずっと使われずに仕舞い込まれていたものと思われます。
踏査されるコパルシャッターは頑丈なことでも知られますが
今回の「ニコマートFTN」でも細かい精度はともかく
まずまず動作しています。
ただしファインダーや装着されていたGNオートニッコール45mmF2.8は
かなりカビが発生しています。ファインダーはそのせいで
コントラストも低く霞んだ感じになっています。
電池室からは真っ黒になったLR44が出てきました。
本来はMR9水銀電池使用ですが比較的近年(それでもおそらく20年以上前)まで
使われていたのか代用としてLR44をそのまま入れていたようです。
しかしながらLR44をそのまま入れるには電池室が大きすぎで
中で電池が遊んでしまうとショートの可能性もありますので
今後は電池アダプタ等をうまく使って装着するようにいたします。
電池が真っ黒だったので電池室や配線への影響を心配しましたが
接触不良で安定しない状況であるものの
それほど大きなダメージはないようです。
それでも電池室からの配線やハンダはもちろんやり直しです。

ここからさらにミラーボックスを外し
シャッタユニットも分離して整備を行っていくのですが
ニコマートFT系はユニットシャッターを
非常にうまく組み込んでいて整備性も良好です。
シャッターリングの連携やファインダー内SS表示にも
微調整が行える部分がちゃんと設定されていて
後に整備調整を行うことをちゃんと考慮した設計となっています。
さすがですね。
修理依頼の多いカメラでもありますので
内部構造も手に取るようにわかりますが
50年以上経過した機械なので慎重に丁寧に整備を行っていきます。

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