フジカV2のカメラ修理

今日は10月7日。。。
「とう(10)なん(7)」(盗難)と読む語呂合わせから
「盗難防止の日」なのだそうです。
若い頃に車上荒らしとかあったこともありますが
本当に被害にあったときは実害そのものも痛いですが
精神的なショックも計り知れず大きいですよねぇ
最低限の戸締りとかは今や当然ですが
昨今、問題になっているネット上での情報流出による
銀行口座の被害なんかも怖いですよねぇ。。。
いったんターゲットになってしまったら
防ぎきれない部分もあるのではないかと。。。
昔はカギがかかってない家も多かったなぁ(苦笑)
友達の家に遊びに行って
声かけても誰も出ないし「あがるよ~」って中に上がっても
家に誰もいなかったなんて普通にあったし。。。
今じゃ考えられないですよね。
家にいても何が来るかわからないし
カギをかけるのは当たり前ですものねぇ。。。
いや、昔だって空き巣とか多かったとは思うのですが。。。
なんであんなに不用心だったのでしょう?今考えると不思議です。

さてさて

本日は「フジカV2」のカメラ修理を行っています。
1957年の「フジカ35M」から始まる
フジカ35シリーズの一員です。
フジカ35としては初代機の「35M」は
ピント合わせはボディ背面のギアで行い
巻上レバーは底部、巻き戻クランクはボディ側面と
その当時の標準的なデザインや機能の配置を
ことごとく打ち破ったモデルで非常に独創的なカメラでした。
今回の「V2」も巻上レバーこそ一般的な
ボディ上面に配置されたものの
背面ピント合わせや側面巻き戻しは引き継がれています。
確かにこの背面ギアでのピント合わせは
ちょっとクセになる操作性です。
親指1本で素早く合わせられるのはなかなか気持ち良いものです。
露出計はセレンではなくCdSとなり
シャッタースピード優先オートが搭載されています。
レンズは写りの評価の非常に高いフジノン4.5cmF1.8です、
このレンズを使いたいがためにこのカメラを使う方が
多いと言われるほど評判の良いレンズです。
シャッターユニットはシチズンMLTで
最高速はレンズシャッターとしては異例の1/1000です。
ファインダー内には設定したシャッタースピードが表示され
ご丁寧にスロー時には「slow」の表示が出ます。
AE時には露出計連動で絞り値も表示されます。

そんな機能満載なボディに優秀なレンズを搭載する
V2なのですが他のフジカ35シリーズのモデルと同様
今となっては非常に華奢な部分が多く
修理する立場としては困った部分の多いカメラです。
例えば今回のV2もスローガバナが全く効かないというトラブルがありましたが
このトラブルもこの時期のシチズンシャッターユニットで
よくあるトラブルで同じ系統のシャッターを搭載する
「35M」でもよくあるトラブルです。
言葉にするとわかりにくいのですがギアの軸の圧入が抜けて
ギアがフリーになってしまうことが原因で
修理するには部品取りのスローガバナが必要です。
今回はお客様がもう1台部品取り用個体を提供してくれており
その個体のスローガバナが無事だったので
何とか修理することができましたが
通常であればまず部品を確保することが大変です。
加えてファインダーユニット内の
ミラーやレンズの取り付けが比較的弱く
あちこちのミラーが外れたり緩んだりしている状況でした。
これもフジカらしいトラブルです。
こちらは調整をしながらしっかり補強しつつ取り付け直すしかありません。
自慢のファインダー内表示もなかなか厄介で
微妙な調整もできない構造なので
細心の注意を払って清掃整備を行います。

。。。ということでなかなか苦労の多かったV2ですが
非常に快調に動作するように仕上がりました。
外観はもともとキレイ目だったのですが
これもできる限り磨き上げました。
眺めているだけでもたしいほどのレベルだと思います。
噂のフジノンレンズの写りが気になりますね
是非、ご依頼者様に早く試してみていただきたいと思います。

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マミヤ35のカメラ修理

今日は「時刻表記念日」だそうです。
1894年(明治27年)のこの日に
日本初の本格的な時刻表『汽車汽船旅行案内』が出版されたそうです。
単なる時刻表というよりはその名の通り
発車時刻や運賃のほか沿線の案内や紀行文なども掲載されていたそうで
時刻表でもありその名の通り旅行案内誌のようなものだったようです。
小学生の頃は時刻表と地図帳があれば
退屈しない子供でした。
特にその頃の自分が決して起きていない深夜を走行する
ブルートレインの通過時刻や翌日に遠く離れた
南九州や東京に到着する様子を想像しているだけで
十分楽しかったものです。
あ、今でも思い出したようにグーグルアースで
いろいろ検索してはそう簡単に行けないような場所
国内だったら離島だったり
国外だとロシアの北極圏内の小さな町とかを
眺めては「すごいなぁ。。。ちょっとだけ行ってみたいなぁ」とか
一人でぶつぶつ言っているので
当時とあまり変わってないのかも。。。(笑)
でも今はグーグルアースとかストリートビューとかあるので
ちょっとだけ行った気分になれますね。
これであちこち検索し始めるともう止まりません。
あぁ、遊んでないで仕事しないと。。。(汗)

本日は「マミヤ35」のカメラ修理を行っています。
マミヤのレンズ固定式35mm判カメラのシリーズで
1949年の「マミヤⅠ」に始まり非常にたくさんの種類が存在します。
この時代のカメラはどのメーカーも細かいモデル名が
ボディに刻印されていないものが多く
判別に苦労するのですが
特に「マミヤ35」は資料がないと全くわかりません(苦笑)
今回お預かりしているのは調べた結果
1956年発売の「マミヤ35Ⅱ2.8」ではないかと思われます。
実は既に整備はほぼ終わっているので先に写真を出しちゃいます。

シャッターはセイコーシャMXでそれ自体は
他のカメラでもよくみる当時の最高級シャッターユニットで
めずらしくはないのですが
構造がビハインドシャッターとなっています。
(レンズの後ろにシャッター羽根が配置されている
レンズシャッター機で本来比較的多く見かけるのは
レンズ群の中にシャッターが配置される
ビトウィーンシャッターで
マミヤ35Ⅲではビトウィーン式に変更されます)
巻上はノブ式でセルフコッキングで
シャッターチャージもフィルム巻上も同時に行われます。
後の世では当たり前ですが当時としては最新機能です。
搭載されるレンズはセコール5cmF2.8です。
鏡胴がシルバー仕上げで非常に高級感のある佇まいのカメラです。
写真は整備後なので非常にキレイな状態で
動作も全てにおいてスムーズで快適に動作しているのですが
整備前はなかなか大変な状態でした。
シャッター音はするのですがシャッター羽根は全く動かない状態で
明らかに羽根粘りではなく
羽根が何かに引っかかっているような状態でした。
シャッタユニットを分解してみると
シャッター羽根が折れ曲がって何枚か破損している状況です。
何がどうなって結果的にこうなったのかわかりませんが
分解し始めで気づきましたがかなりレベルの低い酷い分解品でした。
他のカメラのセイコーシャMXからシャッター羽根は
移植して何とかシャッタ-の修理はできましたが
ヘリコイドも狂っていて無限遠が出ておらず
ファインダー&距離計はあちこちのレンズや
ガラス・ミラーが外れかけでなかなか大変な状態でした。
それでも元々はシンプルなカメラなため
今回は何とか普通に撮影するには全く問題のない
良い状態に修理することができました。
唯一、一部が破損し歪んでいるフィルター枠のみは
どうにも交換部品が入手不可能なため
できる限りの修復ということになりました。

今回のマミヤ35がどういった経緯で
ご依頼者様が入手したのかはわからないのですが
分解品で動作不良のものは本当に中で何が起きているかわかりません。
今回は事なきを得ましたが
場合によっては修理不能の場合も十分に考えられます。
ネットオークションやネットフリマでは
こういう状態のものも多くあると思われますので
ご購入の際には本当にリスクがあるとお考え下さい

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オリンパスペンFTのカメラ修理

10月4日。。。今日は記念日の多い日ですよ
「世界動物の日」、「天使の日」、「イワシの日」
「古書の日」、「徒歩の日」。。。等々
そんな中に「探し物の日」なんてものもありました、
由来はNTTの電話番号案内が
104番であることかららしいのですが
「失くした物をもう一度本気で探してみる日」
なのだそうです。おお何だか深いぞ(笑)
そりゃ50年も生きてりゃいつの間にか
なくしてしまった大事なもののひとつくらいありますよねぇ(汗)
いや、でもそれは探したからって簡単に戻ってくるものでは。。。
それよりも作業中にうっかり飛ばしてしまった
バネを真剣に探さなくては。。。(大汗)
まぁ、仕事柄うっかり落としてしまったネジとか小さな部品とかを
必死で探しているシチュエーションは多いですよねぇ
まぁ、そういうのは慎重に落ち着いて探せば大抵見つかるのですが
意外に見つからないのがちょっとした道具。。。
うっかり意外なところに置いたまま
どこにいったかわからなくなるのですよねぇ
もうあまりに見つからないから新しいの買ったけど
メインで使っていたセラミックピンセットが
3ヶ月目から行方不明。。。どこに行ったのやら。。。(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
なんだかんだ毎月コンスタントにペンFTの修理ブログを
書いているような気がします。
現在でも非常に人気の高いハーフ判一眼レフです。
ハーフ判一眼レフというジャンルそのものが
ほぼペンFシリーズの独壇場ですね。
数は少ないながら他にも同様のモデルが
全くないわけではないのですが
ハーフ判の利点でもあるボディサイズもコンパクトにできると
いう点まで考えてみると
やはりハーフ判一眼レフというジャンルは
ほぼペンFシリーズ一択ではないかなぁ。。。と思います。
おまけにぺんFシリーズはその構造も
通常の一眼レフとは全く異なり
ロータリシャッターであることに始まり
そのファインダーへの経路と構造がまた独特であり
ペンタ部の出っ張りを持たず
レンズが巻き戻し側に極端にオフセットしたデザイン等々
ペンFシリーズでしか見られない独創的な部分が非常に多いカメラです。
これが大きな魅力の一つだと思います。
私も個人的に昔使っていたことがあるのですが
今も1台は手元に置いておきたいカメラの一つです。

ここでも散々書いていますが「FT」は
初代モデルの「F」に露出計とセルフタイマーを追加し
巻上をダブルストロークからシングルストロークに変更したモデルです。
意外と「F」とは共用できない部品が多く
修理する立場としてはそのあたりは気を付けなくてはいけない部分です。
お預かりしている「FT」は全体的に油切れで
動きの悪い状態です。
整備前は操作感の悪さを気にしなければ
何とか一通り動作はしている状態でしたが
このまま使い続けると近いうちに定番のミラーアップや
スローガバナ固着等が出てくるだろうなぁ。。。という状態でした。
加えてこれもペンFTではお決まりですが
露出計に光を分配するためのハーフミラーは劣化が酷く
特にファインダー視野下部には腐食部分が汚れのように
はっきり見えてしまっていました。
ハーフミラー現物を取り出すまでは
交換は状況を見て。。。と考えていましたが
取り出してみてやはり再利用はよろしくない状態だったので
交換で対応いたしました。

画像は一通りの整備が完了し
新しい油脂類が馴染むまで少し様子見をしている段階です。
装着されているG.ズイコー40mmF1.4レンズは
絞り羽根に油シミが見られ
羽根の動きにも粘りが見られたことから
羽根洗浄他一通りの整備清掃を行っています。
元々外観のコンディションの良い個体だったので
非常に気持ちよく使える状態になっていると思います。
うーん、やはりこの独特のフォルムはやはりカッコ良いですね!
部品取りの残骸が何台か残っているので
これをとりあえずまとめて1台の動作品にして
自分用に1台置いておきたいですね。
。。。と妄想するばかりで
なかなか取り掛かれないのですが。。。(笑)

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キヤノンVLのカメラ修理

今日は10月3日ということで
「と(10)ざん(3)」→「登山の日」だそうです。
場所にもよりますが山の紅葉はそろそろ見頃ですねぇ
私も数年前までは結構あちこちの山に登りに行っていたのですが
最近はなかなか時間も取れず、体力も落ち(苦笑)
なかなか行かれないなぁ。。。と思っていたところへ
今年2月の延髄梗塞及びワレンベルグ症候群でとどめを刺されました(汗)
今はよほど足場のしっかりしているところじゃないと
普通に歩けないだろうし
足場の狭いとこ(まぁそれなりの山なら普通にある)だと
冗談じゃなく簡単に滑落しそうなので
本格的な登山はもう無理かもしれません
(今後の回復次第ですが。。。)
でも森林限界を超えた標高2500m超の稜線歩きは
本当に気持ち良いのです!人生観が変わります。
で、時間が許すならばなるべく山で一泊することをお勧めします。
山小屋でも良いですがテント泊がベストです。
山での夕暮れと星空と夜明けを味わうと
山歩きの楽しさが倍増します。
あぁ、私も北岳とか甲斐駒とかもう一度行きたいなぁ。。。
。。。今夜も仕事終わったらリハビリ頑張ろう(笑)

さてさて

本日は「キヤノンVL」のカメラ修理を行っています。
いわゆる「Ⅳ型」までが
バルナックライカがお手本になっているとすれば
「Ⅴ型」がやはりM3を意識して作られたカメラですよね。
「V型」は1956年発売の「VT」から始まり
その後、「VTデラックス」へ進化し、
普及機クラスの「L2」、「L1」、「L3」が追加され
V型最終機となる「VL」「VL2」が
発売されたのが1958年となります。
VL2はVLの廉価版としての位置づけになります。
VTデラックスで金メッキ処理とされていた
ファインダーのプリズム・ハーフミラーを
銀メッキ処理へと変更し、よりクリアなファインダー視野を実現しました。
巻上もVTやVTデラックスのトリガー方式ではなく
一般的なレバー巻上へと変更されました。
(そこはL型と同様になったというべきかもしれません)
全体的に非常に使いやすいモデルになったと
個人的には思います。
この頃のキヤノンレンジファインダー機も
バルナック時代に負けず劣らずいろんなモデルが存在して
同じようなモデル名も多く非常に分かりにくいです(苦笑)
VT~ⅥT(L)にかけてはモデル名を言われても
なかなかどんな仕様だったかパッとは出てきません(汗)

お預かりしているVL型は
一通り動作はしています。
致命的なトラブルを抱えているわけではございません。
しかしながら既に発売から60年を超えるカメラです。
前回の整備がいつ行われていたものかわかりませんが
(もしかしたら全く未整備かもしれません)
まずは全体的に油切れの兆候があり
シャッタースピードの精度もイマイチです。
自慢のファインダーも多少のカビや汚れがあり
距離計二重像は無限遠時にオーバーインフしてしまいます。
全体的に露フレッシュが必要な状態です。
この段階できっちり整備しておくと
後々に大きなトラブルに見舞われる可能性は
かなり低くなると思われます。

画像は整備そのものは完了し最終チェックを
残すのみの状態のものです。
全体的に動きも操作感も軽やかになり
非常に気持ちよく使える状態になりました。
装着されているレンズはキヤノン50mmF1.4で
こちらもレンズ清掃、絞り羽根清掃
ヘリコイドグリスアップ等、一通りの整備を行い
非常にクリアな状態になっております。
時代的にはそろそろ一眼レフの大きな波が
やってくる頃のカメラで
この数年後には各社レンズ交換機はレンジファインダー機から
一眼レフへ移行していく時期になっていきます。
そんな中でもキヤノンは最後まで
レンズ交換式レンジファインダー機を作り続けました。
それだけ高品質なものを作っていたので根強い人気もあったわけですね。
このVLあたりを触っているとそんなことを思わずにはいられません。

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ミノルタハイマチックFのカメラ修理

今日は10月2日ということで「豆腐の日」です。
そのまんま語呂合わせですね。
ちなみに毎月12日も「豆腐の日」なのだそうです。
もうそろそろ「冷ややっこ」ではなくて
「湯豆腐」の季節になってきますねぇ。。。
冷やしても温めても豆腐は美味しいです。
お酒にも合いますしねぇ。。。
私は冷ややっこでも湯豆腐でも豆腐は
「木綿」で、かけるのは「ポン酢」です。
冷ややっこは家では「絹」だったのですが
大人になってからはほぼ「木綿」しか食べなくなりました。
何となく「絹」だと物足りない気が。。。。
いや、のどごしや食感が良いのはわかるのですが。。。
かけるものも、冷ややっこだと醤油かな。。。と思った時期もあったのですが
やはりしょっぱすぎるような気がするのですよねぇ
湯豆腐は文句ナシにポン酢ですよね!
こう書いているともう今夜は「湯豆腐」の気分になってきました。
昨日も「日本酒の日」で日本酒だったのけど
今日は「湯豆腐」ということになると
やっぱり「日本酒」ですよねぇ
軽く燗しても良いですねぇ。。。。
あぁ、早く晩酌の時間にならないかな(笑)

さてさて

本日は「ミノルタハイマチックF」のカメラ修理を行っています。
1972年発売の非常にコンパクトなカメラです。
やはりライバルはこのジャンルのパイオニアでもある
「コニカC35」でしょうか。。。
写りの評価の非常に高いロッコール38mmF2.7レンズを搭載します。
レンズのスペックも構成も大きさも
プログラムシャッターでレンジファインダー搭載というところも
C35と似通った部分が多いですが
ハイマチックFはセイコーESLシャッターを電子制御で駆動します。
ここが修理を行う上ではちょいとネックで
やはり電子部品不良で修理不能な個体も存在します。
それでも「ハイマチックF」はまだ修理できる可能性が高いカメラで
「F」の前年にデビューした
大口径40mmF1.7レンズを搭載した「ハイマチックE」は
もはやデリケートすぎて分解することさえ当店では行いません。
電子部品が云々ではなくて
使ってある配線が非常に細いリッツ線で
さらにそれが束ねられているのですが
被覆が劣化しているものがほとんどで少し触るだけで簡単に短絡します。
リード線をすべて交換したことも過去にあるのですが
それだけではなく基板内のコンデンサ類もダメになっているものが多く
あまりにもトラブルが多すぎるということが理由です。
話が逸れましたがたった1年後とはいえ
弟分の「F」は電子シャッター部も含めて
「E」に比べると随分安定している個体も多く
整備性が比較的良いことも相まって
当店では今のところ修理可能なカメラという位置づけになっています。
(先述したように修理不可能な個体も多くあります)

お預かりしている「ハイマチックF」は
電池を入れるとバッテリーチェックも点灯し
シャッターも一応作動しているようです。
「プログラムオートはある程度動作してるかな。。。」と
LV15(ASA100・F16・1/125)の光源にかざして
シャッターを切ってみるとシャッター音はするものの
シャッター羽根が全く開きません
こりゃダメか。。。と思いつつLV12の少し暗い光に
かざして切ってみるとほんのわずかに開き
LV9にかざすとやっとはっきり目視できるほど開きました。
どうやら極端にアンダーになるようなオート設定になっているようです。
LV15で開かないのは論外ですが
かろうじて開くLV12やLV9にしたって4段以上の大アンダーです。
さすがにまともに写真が撮れる状態ではありません。
で、問題はなぜこうなってしまっているのか、なのですが
分解して確認してみると調整用の可変抵抗が
極端な位置に回されているようです。
過去の分解時にここで調整しようとしたのでしょうか。。。
公式なマニュアルで確認したわけではないのですが
ハイマチFの可変抵抗は明るいときと暗いときの
オート露出のバランスを調整するためのもので
ここでオートレベルそのものを調整しようとしても
うまくいかないと思います。

不具合の主な原因は何となく掴めたので
さきにシャッターユニットの接点やソレノイドの清掃等々
できる限りの整備を行います。
もちろん羽根清掃やレンズ清掃、巻上部整備も並行して行います。
その後、仮組して電気的調整を行い
先程の可変抵抗もオートのバランスを取り適正な位置に戻します。
最終的にオートレベルを感度ダイヤル側で微調整します。
それからファインダー清掃、距離計の調整を行って
完成となります。
今回も何とか無事に修理完了となりそうです。
この類のカメラはやってみないとわからない部分も
正直なところありますので神経を使います。

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オリンパス35DCのカメラ修理

今日は「中秋の名月」でもありますが
10月1日は「日本酒の日」ですよ。
美味い日本酒を入れた盃に月を映して
お月見なんてお洒落ですねぇ。。。
今夜、一人でベランダでやってみようかな(笑)
私は「塩で酒が飲める」というタイプではなく
美味いものをより美味しく食べるためのお酒であることが多く
その考え方で行くと
磨き上げて香りが芳醇でお酒単体で楽しめる大吟醸酒よりも
魚介類の味を引き上げてくれる純米酒のほうが好みです。
あまり肴の味わいを邪魔しないものがいいですねぇ
。。。とはいえ。。。
お腹が落ち着いたころにシンプルなあてで
吟醸酒ならではの香りと味を楽しむ。。というのもいいですよねぇ
まぁ、なんにしても日本酒が好きなんだな(笑)
朝は霧雨が降っていましたが
午後からは天気が回復するようです。
お月見しながら晩酌できるといいなぁ

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
1971(昭和46)年に発売されたレンズ固定型のレンジファインダー機です。
搭載されるレンズは40mmF1.7の大口径レンズです。
今では明るいレンズ(大口径レンズ)というと
開放時のボケ味が話題になることが多いですが
この時代、特にレンズ固定式のコンパクトカメラに搭載される
大口径レンズの役目は「朝夕や室内等の光量の少ない場面で
手振れを起こしにくいシャッタスピードを確保する」ということです。
実際問題、この時代のフィルムはASA100(ISO100)が主流ですから
少し暗めの降りだしそうな曇天(例えばLV10)でも
ASA100・1/125・F2.8とかになってしまうわけですから
室内撮影等になってくると
F2クラスの大口径レンズが必要となってくるわけですね。
そもそも「35DC」の場合はプログラムシャッターなので
意図して絞りをコントロールできるカメラではないので
大口径レンズの役目はやはり「速いSSの確保」なのです。
もちろんフラッシュを使えば真っ暗だったとしても撮影できますし
「35DC」はフラッシュマチック機能も付いているのですが
まだこの時代はフラッシュは外付けですし
「気軽に撮れるコンパクト」の立ち位置的にも
なるべくカメラ単体で対応できるほうが望ましいですものね
絞りコントロール云々はともかく
この「35DC」に搭載されるF.ズイコー40mmF1.7の写りは
非常に評価が高く、独特のシャッター音のセイコーESLシャッターや
気持ちよい巻上等の操作感も併せて
なかなか使っていて気持ちの良いカメラです。
F2.8クラスのレンズを搭載する同時期のコンパクトカメラに比べると
どうしてもレンズの出っ張りは大きいですが
それでも非常にコンパクトな
オリンパスらしいカメラであることは間違いありません。
現在でも非常に人気の高いこともうなづけます。

お預かりしている「35DC」は
距離計の二重像が大きくずれています。
製造されてから50年近く経つとはいえ
こんなに自然にズレるわけないでしょう?というほどです。
多少のことなら微調整で済ませられますが
おそらくこの35DCは分解歴もありそうなので
ファインダーブロックを降ろした際に
大きくズレたのではないかな。。。と推測されます。
落下とか衝撃でファインダーブロックの立て付けがズレたり
ファインダー内のミラーやレンズが取れたりズレたりということもあり
それだと修理も大変なこともあるのですが
今回はそこまでの重症度ではないようです。
他、ファインダーの汚れや多少の露出計のズレ
オート露出時の制御のズレ等も散見されますので
全体的な分解整備を行います。
その際にどちらにしてもファインダーブロックは取り外すので
立て付けや距離計の設定も最初からやり直します。

写真は一通り整備が終わった状態でのものです。
あとは最終チェックを残すのみの状態です。
貼り革がお洒落ですね。
これは当店で張り替えたものではなくて
もともと受付時からこの貼り革だったものです。
分解整備時には裏蓋はともかく
前板の貼り革はまず間違いなく剥がします。
で、貼り革が交換されているものだと
剥がす際に少々神経を使います。
通常、カメラの貼り革に多く使われている材質のものだと
接着や両面テープを剥がす際に
エタノール等を使っても全く問題ないのですが
交換されているものだとそういうアルコールや溶剤等に
耐性のあまりないものの場合もあるのですね。
なのでこういう交換されている貼り革の場合には
アルコールや溶剤が使えないことも多く
剥がすのに少々苦労します。
今回はそんなことはなかったのですが
明らかに弱そうな材質のものが貼ってあるときに限って
強烈な接着剤で貼ってあることがたまにあるのです(汗)
ちなみにたまにジャンク品で見かけますが
貼り革を瞬間接着剤で貼っているようなものはアウトです。
もうその貼り革は再利用できません。
下手をするとボディ側にもダメージが残ります。
貼り革交換はカメラのイメージも変わって個性も出せて
ドレスアップとしても非常に楽しいものですけどね。
今回の35DCの貼り革は材質も良く個人的にも好みです。

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ミノルタX-7のカメラ修理

今日は「くるみの日」だそうですよ。
「く(9)るみ(3)はまるい(0)」(くるみは丸い)と読む
語呂合わせからだそうです。なかなか苦しいものが。。(笑
くるみが血管の老化防止(血管のしなやかさを保つ)に
効くと何かのテレビで見て
一時期、毎日食べていたなぁ。。。
半年ほどしか続きませんでしたが。。。(汗)
何年も続けないと効果が出ないというものだったと思うのですが
なかなか難しいですよねぇ。。。
あ!もし続けていたら2月の脳幹梗塞は
起きなかった可能性があったのか???
ま、今更、「たられば」の話をしたって
治るわけではないのでやめましょう(笑
くるみに限らずナッツ類はどれも美味しいですよねぇ
ビールのおつまみにも最適だからついつい買っちゃうのですが
カロリー高いのですよねぇ。。。
調子に乗ってたくさん食べているとまたこれが良くないのです。
何事も適度にバランスよく。。。ですね!

さてさて

本日はまたまた宮崎美子さんのCMで一世を風靡した
「ミノルタX-7」のカメラ修理です。
最近、X-7の修理多いですよねぇ。。。
大ヒットしたカメラですし現存台数は非常に多く
その上、トラブルを抱えている個体の割合も多いほうだと思います。
何といってもプリズム腐食ふぁ圧倒的に多いかと。。。
原因はプリズム前面の枠に当たる部分に貼られた
モルトプレーンです。
同じミノルタのXEも同様の原因で非常にプリズム腐食の多いカメラです。
で、1980年登場の電子制御機なので
プリズムはしっかりフレキで覆われていて
交換もなかなか大変なのです。
特にX-7はフレキが底部から
プリズム部分まで繋がっているのでこれがまた厄介です。

お預かりしているX-7はプリズム腐食もそうですが
巻き戻しクランク部の電源SWがグラグラに外れています。
これではまともに電源が入らず
果たして正常に動く個体なのかどうかの確認もできません。
これもX-7でよくあるトラブルで
SWの円盤を留めているネジ部がプラスチックで
劣化で簡単にねじ切れてしまうようになるのですね。
もともと剛性が足りているとはいえず
ネジ部を締めるときに力を入れすぎると
簡単にねじ切れてしまいます。
この辺りは4万円の絞り優先AE専用エントリー機ということで
コストの関係なのでしょうねぇ。。。
中級機だったら間違いなく金属製のネジ部にしたのだと思いますが。。。

上がねじ切れてしまった部品で
締めるネジ(シルバーの円盤)にねじ切れたプラ部品が
付いたままになってしまっています。
下は正常な状態の部品で
黒い樹脂ネジの部分の長さが異なるのがわかるかと思います。
余談ですが黒い樹脂部品に刺さっているのは
巻き戻し側のフォークです。
下から引っ張れば簡単に外れますが
外れるとクリックを出しているバネが紛失しやすくなるので要注意です。

まずは電源swを仮にでも入る状態にしないと
とりあえず普通に動く状態かどうかも確かめられません。
ネジ部を交換する前に無理矢理押さえつけて
動作確認したところ精度はともかくも
まずは普通に動いてオートも効いているようです。

先日も書いた気がしますが
XG系のユニット構造のカメラです。
ミラーボックスを外すとシャッターユニットも一緒に外れます。
ボディ側フレームに残るのは巻上機構のみです。
これはこの時期のミノルタ機独特の構造ですね。
生産効率は良いのでしょうが
分解整備の難易度はかなり高いほうだと思います。
これから機械部分の一通りの整備を行い
電気的な調整も行っていきます。

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ミノルタXDのカメラ修理

今日は「パソコン記念日」だそうです。
1979年(昭和54年)のこの日、
日本電気(NEC)がパーソナルコンピュータ
PC-8001(PC-8000シリーズ)を発売したことに由来しています。
懐かしいですねぇ。。。最初のパソコンブームは
やはりPC8001からでしたよねぇ。。。
私も高校生になったタイミングでじいさんにお願いして
PC8001mkⅡSR 買ってもらったなぁ。。。
じいさん的にはそれで何か勉強にでも
役立ててくれればと思ったのでしょうが
当時、それなりに高価だったPC8001
ほぼゲーム機としてしか使っていませんでした(汗)
本当にごめんなさい!
それならまだ安いゲーム主体のMSX機でよかったのではないかと。。。
最初はいろいろヤル気になって一生懸命BASIC覚えて
書いたコードを動かしたりしたのですけどねぇ。。。
ちなみに記憶媒体は懐かしの5インチフロッピーでした
メモリは64「KB」+グラフィック用48KB
ハードディスクはまだ搭載されていません(汗)
今のパソコンに比べたらもはや全くの別物ですね
今年2月にお店のパソコンを買い替えましたが
そのためにいろいろ調べていてここ十年くらいの間に
知らないことがすごく増えていることに驚愕しました。。。
(SSDって何?M.2接続って何??みたいな(笑い))
こうしてじじいはいろんな最新なものに
ついていけなくなるのだろうなぁ。。。(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタXD」のカメラ修理を行っております。
世界初の両優先AE搭載カメラです。
それまでは絞り優先オート、シャッタースピード優先オートを
それぞれ搭載したカメラがあって
「いったいどっちがいいのか?」なんて議論もあったわけですが
このXDの登場で「どっちでも使いたいほうでどーぞ」と
なったわけですね。
同じ時代にクルマ業界であった
「ターボがいいのか?ツインカムがいいのか?」と同じようなものですね。
1977年の登場です。77年登場のカメラは個性的なものが多いですねぇ
私は77年といえば「カルメン’77」が一番に思い浮かびますが(笑)
翌年の’78年には「両優先+プログラムAE」を搭載した
キヤノンA-1も登場します。
カメラの電子化がまた一気に進んだ時代でもありますね。
余談ですがXDでSS優先AEの場合、
設定したSSで適正露出が得られない場合は
自動的にSSを変更して適正露出を得る
「サイバーネーションシステム」が搭載されているので
実質プログラムAE的な使い方もできたのです。

さすがに「この時代に」これだけ電子化されてくると
正直言ってトラブルは多いです。
特にXDは現行モデルだった頃でも
「電気関係のトラブルが多い」と言われていたモデルです。
ただし、現在生き残っている個体は
当時何らかの対策が行われているものも多いのではないかと思います。
安定して動いているものはそうそう壊れないと思います。
この頃の電子制御満載のカメラで怖いトラブルが「漏電」です。
新品の電池を入れても数時間で空っぽになります。
電子基板内で漏電してるものが多く
症状が出ているものはかなり高い確率で修理不能です。
で、今回のXDの一番のトラブルがこの「漏電」なのです。
ご依頼者様曰く「新しい電池を入れても3~4日で動かなくなる」とのことです。
お受けするときも「修理不能の可能性も高いと思います」と
最初にお断りしておきました。
ただ、よくあるパターンの漏電は本当に数時間で
あっという間に電池の電圧が下がっていったり
極端に片減り(2個の電池のうち1個だけが消耗する)するものが多いのですが
このXDの場合は新品の電池を入れて半日くらい放置していても
ほんの少し電圧が下がるだけなのです。
(でも何も動作させていないのに下がるのはやはりおかしい)
とはいえ基板内漏電であるともうどうしようもできません。
それ以外の可能性で以外にあるのが
リード線の腐食や断線による短絡です。
ダメもとで電池室からの配線を中心に
怪しげな配線はないかチェックしていきます。
そうしてみると電池室裏端子のはんだ付けと
そこからの配線にちょっと怪しげな部分を見つけました。
(写真を撮るのを見事に忘れました(苦笑))
ハンダ付けはもちろんやり直し
配線も交換して他の部分でもちょっと気になる配線があったので
そこを交換します。当然せっかく分解しているのですから
通常の整備も一通り行います。

で、一通りの調整も行い新品の電池を入れて
3日経過した状態なのですが。。。
漏電は収まったようです。
でも今回は運が良かっただけだと思います。
ミノルタXシリーズやキヤノンAシリーズの漏電の多くは基盤内漏電が多く
当店では修理不可能な場合が圧倒的に多いのです。
でも今回は結果オーライですが何とか修理できたようです。
もう少し様子を見て最終チェックを行って完成となります。

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ニコンFEのカメラ修理

毎月27日は「仏壇の日」なのだそうです。
ばあさんが亡くなったときに
借家だった実家は引き払うことになったので
仏壇はその時に処分してしまったのですね。
晩年、仏壇に向かって毎日朝晩2回
お経を唱えていたじいさんはきっと怒ってただろうなぁ(汗)
私がまだ幼い頃に「お手伝い一覧表」というのがあって
居間の掃除10円とか、おつかい20円とか
それぞれお小遣いがもらえる決まりになっていたのです。
その中に「お経30円」っていうのがあって
じいさんと並んで正座してよくお経を読みました
40分くらいかかるのですよね。。。
意味も分からず読んでいたので
今や全く覚えてはいませんが。。。(苦笑)
でも子供心に仏壇はいつもキレイで金ピカで
おはっつぁん(ほとけさまに供えるご飯)を入れたり
ろうそくを立てたりするいろいろな仏具も
何だかすごくキレイで子供心に仏壇周りは
何だかおごそかな雰囲気だったのはよく覚えています。
今、考えたら家賃もたいしたことない金額だったのに
実家はそのまま借りておけばよかったかなぁ。。。と
少し後悔してしまいますねぇ。。。(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
つい先日もFEの修理のブログを書いたような気もしますが
本来、修理・整備依頼の非常に多いカメラです。
現在も何十台か修理待ちを抱えてしまっている状態ですが
その中にもFEはあと4、5台はあったような気がします。
電子制御シャッター機ということで電子基板内のトラブルが
心配されるカメラではありますが経験上
あまり電子基板内のトラブルで修理不能ということの少ないカメラです。
もちろんたまにはそういう個体もありますが
ほとんどが機械的なトラブルで修理可能なもののことが多いです。
ただ、今回はちょっとよくわからないのです。
ご依頼者様は何度も当店を利用してくれている方で
カメラにも使い方にも詳しい方なのですが
「たまにミラーアップになり
M90にするとシャッターが切れてミラーダウンする」というものです。
通常、ほかのカメラだと
ミラーアップしたままになるというトラブルは
ミラー駆動部やシャッターの動作不良が原因だったりすることが多いのですが
FEの場合でミラーアップしたままになるというのは
電池が入っていない時と同じ動きで
ミラーアップだけしてシャッターは動作しないという状態です。
他のカメラだとミラアップしてシャッターも動作して
最後のミラーダウンが行われないというパターンがほとんどなのですが
そこもFEの場合は違います。
で、ご依頼者様もわかっていて電池切れを疑ったのですが
バッテリーチェックランプは点灯するし
電池を変えても同じ症状が起こるのだそうです。
それも毎回ではなく、「たまに」です。
それでも症状が再現できればその時の
電源・電圧状態がどんな様子なのかによって対処のしようがあるのですが
当店に来てからこのFE、全く症状が出ないのです。
何日かに分けて100回以上シャッターを切りましたが
全く症状が出ないのです。これはまいりますねぇ。。。

いくつか予想される原因というのは実はあって
電池室周り電源回路の点検と一部配線交換
SW周りの接点磨き等々を行った上で
考えられる原因部分の対処を行います。
それとはまったく別の話で
オート露出が1.5段以上アンダーだったり
シャッタースピードの精度が出ていない部分があったりしたので
通常の整備調整も一通り行っています。
で、再度組み立てて通常より念入りなテストと
様子見を行っている段階です。
ミラーアップの症状は相変わらず一度も出ません。
今回の対処で症状がもし再発するとなると
基板内電圧不良の可能性しか考えられないような気がします。
そうなると修理不能ですが現段階ではまだ何とも言えません。
おそらく大丈夫な気はするのですが
こういうところも電子制御機の難しいところですかね。。。

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キヤノンデミのカメラ修理

今日は「くつろぎの日」なのだそうですよ。
「く(9)つ(2)ろ(6)ぎ」という語呂合わせだそうです。
制定したのは「コメダ珈琲店」で有名な株式会社コメダです。
なるほど雑誌でもめくりながら
くつろいでコーヒーでも飲みましょうってことですね。
忙しく感じるときほど、いったん落ち着くためにも
短い時間でもいいのでくつろぐのは大事かもしれませんね。
タバコ吸っていた頃はそれがわかりやすく一服だったのでしょうねぇ
それはそれでそれを言い訳に
やたらと一服ばかりになってしまっていましたが。。。(笑)
今は吸わないのでタバコで一服はないですが
作業が煮詰まってちょっとイライラしてくるようなときは
積極的に休憩を取るようにはしています。
でもまとまった時間でくつろぐことは少ないかな。。。
何だか毎日バタバタしているような気もしますし。。。
あ、晩酌の時間はくつろいでいますねぇ
普段の定休日は週に一度しかないせいもありますが
雑用やプライベートでやりたいことも溜まっていて
逆に時間が足りなくて忙しいことのほうが多いですねぇ
でも先日のお盆休みとか年末年始とかは
できるだけ余裕もってゆっくりするようにしています。
やはりたまには大きくくつろがないとダメですね
もう少し寒くなったら2、3日温泉とかで
ゆっくりくつろぎたいですねぇ。。。

さてさて

本日は「キヤノンデミ」のカメラ修理を行っています。
「デミ」は英語・フランス語で「半分」という意味で
その名の通り「キヤノンデミ」はハーフ判カメラです。
シリーズ化されておりいろいろな種類のデミが存在するのですが
今回は一番最初に発売された無印の「デミ」です。
1963年に発売されたモデルです。
ハーフ判カメラは既に「オリンパスペンシリーズ」が先行していて
キヤノンは後発になるのですが
その分、ペンとは全く異なる趣のカメラになっています。
個人的に一番デミの魅力だと思っているのは
ちゃんとした巻上レバーが装備されていることで
多くのハーフ判カメラに採用されてているダイヤル巻き上げに比べると
楽な上に気持ち良いです。
さらにデミの巻上はハーフ判に限らず他のカメラと比べても
非常に質感の高い巻上で妙に気持ち良いのです。
フィルム1本で72回巻き上げることもあるわけですから
巻上が気持ち良いのは本当にクセになります。
ピントは他のハーフカメラの多くと同じく
目測式ですがファインダーは高価なプリズムをぜいたくに使ったもので
本来の見え方は非常にクリアです。
ただ残念なのは接眼レンズの劣化で曇っているものが多く
これは清掃でも解消されないのです。
そのファインダーの対物レンズは撮影レンズの真上に配置され
正確なフレーミングを手助けしてくれます。
このあたりのこだわりも初代デミならではの部分だと思います。
シャッターはいわゆるプログラムシャッターで
絞りとシャッターの組み合わせは決まってしまって
変更ができませんが露出計の指針に合わせて設定するタイプなので
露出のコントロールはある程度できる構造です。
その露出計はセレン光電池で駆動するタイプです。

お預かりしているデミは
おそらくかなり長い間、仕舞い込まれたままになっていたようです。
このタイプのカメラは
裏蓋の遮光をかなりモルトに頼った構造になっているものが多く
デミも大量のモルトが使われているのですが
相当ボロボロになっていたとみられ
ご依頼者様のほうで取り除かれたそうです。
デミの場合、大量にモルトが使われているせいもあって
劣化したまま放置するとフィルム室内の塗装まで剥がれてしまいます。
問題はそんなものどころではなく
シャッターは巻き上げてレリーズしても全く動かず固着してしまっています。
さらに露出計はLV15の光源の前に持って行っても
全くピクリとも動きません。
まぁ、ひととおり全機能を見直していかないと駄目な状態ですね。

作業自体は既に完了していて少し様子見の段階です。
全機能、問題なく動作する状態になりました。
露出計不動はセレン光電池の劣化が原因で
どうにも全く起電しない状態でした。
今回は中古良品のセレンを移植して対応しています。
露出計の調整も行って精度も問題ないレベルになりました。
シャッター、絞りに関しては羽根清掃はもちろん
一通りの整備を行い全く問題なく動作するようになりました。
ファインダーは今回、お約束の改善不能な接眼レンズのクモリが
非常に少なくデミ本来のクリアなファインダーを
存分に楽しめる状態です。
巻上ももちろん整備を行いデミらしい気持ちのよい巻上です。
全体的に非常に良い状態に仕上がっていると思います。
ご依頼者様にもぜひこの気持ちよい操作感を
味わっていただきたいと思います。

ところで、今回のデミは初期型でボディが真鍮製です。
最近あまりみなくなったような気がします。
途中からアルミ製になり少し軽いのと
ボディ色がほんの少し黄色っぽくなりました。
いいですね。真鍮製の初期型デミ、私も個人的に欲しくなってきました(笑)

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