ミノルタSR-Tスーパーのカメラ修理

今日は「ボスの日」ということみたいです。
経営者や上司と部下の関係を円滑にする日なのだそうです。
赤の他人が集まって仕事しているのだから
それでなくても難しいのに上下関係で立場が違えば
尚のこと人間関係は難しくなりますよねぇ。。。
。。。それでも大半の人は上手くやっていくのだから
本当に尊敬します。
で、どうにも上手くできない人がきっと私のように
個人事業主で細々と暮らしていくわけです(笑)
まぁ、普通に勤めず、特に一人で何かやっている人は
私も含めて変わった人ばかりですよ(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタSR-Tスーパー」のカメラ修理を行っています。
大ヒットしたSR-T101の後継機となります。
(これまで面倒だったからSRTといつも書いていたのですが
今回はちゃんと正式名称で書いています)
基本的な構造はSR-T101をベースとしていますが
レンズに刻印された絞り値がファインダー内で読めるようになりました。
そのためもあってペンタプルズム周りのデザインも
SR-T101とは異なります。
他、スクリーンもスプリット+マイクロプリズムに変更になりました。
最初にSR-T101の後継機と書きましたが
SR-T101はSR-Tスーパーの登場と同時(1973年)に
小変更を行われて継続生産されています。
その後、SR-TスーパーはSR505に
SR-T101はSR101にモデルチェンジされ
これがSRシリーズの最終モデルとなるわけです。

お預かりしているSR-Tスーパーは
随分長い間、使われずに眠っていたようで
電池室には当時の水銀電池がまだ入ったままでした。
基本的にタフなSRシリーズですので
シャッターは切れますがシャッタースピードの精度は全く出ていません。
特に1/1000、1/500の高速域は問題で
ネガフィルム使用だとしても見逃せないレベルです。
露出計はやはり全く動作せず。。。といった状況です。

少々話が逸れるのですが上の写真にも写っていますが
ファインダースクリーンボックスの前面のプリズム接触部に
緩衝材を兼ねた遮光材が貼られています。
これがいわゆるモルトではなく腐食しない素材なのですね。
(ちなみにSR-T101の初期ではコルクが使われていました)
Xシリーズの時代になってもここだけは変えずにいてくれたら
プリズム腐食で修理不能なXEが
随分救えたのになぁ。。。と思わずにいられません。。。
話を戻します(苦笑)
露出計不動の原因は電池室配線のハンダ不良、
SWの接触不良等が原因でした。
露出計は精度はともかくすぐに動くようにはなったのですが
SWをオフにしても露出計が少し振れたままで
完全にオフになりません。
この症状、SR-T系にたまに見られる症状です。
SWそばのフラッシュ端子や電源端子が絶縁体を
挟んで設置されている部分あるのですが
そこで絶縁不良を起こしてリークしてしまっているのが原因です。
その部分も含めてこれから本格的に各部点検整備一式を行っていきます。

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コニカC35FDのカメラ修理

今日は「鉄道の日」だそうですよ。
乗り物としてバイクやクルマももちろん好きですが
鉄道って他の乗り物とはまた違う魅力があるのですよねぇ。。。
例えばバイクだとバイクそのものや
運転することに魅力を感じますが
鉄道の場合は車輌そのものも魅力的ですが
線路や駅とか付随する設備全てに
興味をそそられるのですよねぇ。。。
特にちょっと田舎を走るローカル線っていうのは
その沿線も含めて全てが魅力的に映ります。
あぁ。。。どこか遠くにローカル線に乗って旅に出たいですねぇ。。。
(妄想するだけでなかなか実現しないのですが(苦笑))

さてさて

本日は「コニカC35FD」のカメラ修理を行っています。
じゃーに~コニカでお馴染みのコンパクトカメラ、C35をベースにして
38mmF1.8の大口径レンズを搭載し
C35ではプログラムオートのみだった露出を
シャッタースピード優先オートにしたカメラです。
C35ではプログラムシャッターということもあり
シャッター羽根と絞り羽根は兼用でしたが
C35FDでは絞り羽根はちゃんと分かれて存在し
シャッタースピード優先AEを上手く使えば
絞りをコントロールして撮影することもできるわけです。
とにかく簡単に撮れることを最優先した従来のC35に比べて
表現する自由度を拡げたカメラということもできると思います。
キャッチフレーズは「すご腕じゃーに~」
1973年の発売でC35シリーズでは
最後のレンジファインダー搭載機でもあります。

お預かりしている「C35FD」は
普通に撮影に使われていたものとのことですが
落としてしまい、レンズ鏡銅部分がグラグラで今にも外れそうになっています。
シャッターユニットから前の部分を繋ぐリングが外れてしまったようですが
さすがにこれだけのショックを受ければ
他にもいろいろと問題もありそうです。
今の状況ではシャッターユニット部分が外れかかっていることもあり
シャッターも切れない状況です。
何はともあれ一旦分解して点検整備しながら組み立てていくことにしましょう

ピント精度に影響するような大きな歪み等があると
修理不能な可能性もあると思っていましたが
肝心要な部分の歪みはないようでとりあえず一安心です。
レリーズやチャージの連動リングが外れてしまっているので
そのあたりも修正して組み込んでいきます。
もちろんせっかく分解しているので
シャッターユニットや絞りユニットの整備をしていきます。
以前に配線腐食を修理した形跡があり
配線が途中で継ぎ足しになっていたので
これも張りなおしておきます。
心配したのは露出計のメーター本体が
ショックで断線してないかと思っていたのですが
ここは大丈夫でした。
ただ、距離計はショックのせいか大幅に狂っていたので
組み立て後に調整しなおします。
やはりレンズ前枠に最も大きな力が加わったようで
SSや感度設定に連動して動く
受光体の窓大きさの調整を行うリング部分は
歪みによりほとんど動かない箇所が出てきていたので
ここは中古良品の部品と交換で対処します。

この時代のカメラは基本的に頑丈にできているものが多いですが
それでも精密機械であることに変わりなく
落下させると何らかのトラブルはあって当たり前だと思います。
不可抗力な場面も多々あるでしょうし
私も過去、何度もカメラを落として痛い目にあったことがありますが
極力落とさないように注意しましょう

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ヤシカエレクトロ35MCのカメラ修理

今日は「引越しの日」だそうですよ。
引っ越す時って言うのは大抵の場合
環境が変わって新しい生活が始まるってことだから
やっぱり楽しいですよね。
私もなんだかんだ言って一人ぐらい始めてから。。。
おお、数えてみたら11回も引越ししてる(笑)
でも、もうこの仕事している限りはもう引越しはないかな。。。
いや、まだわかんないか。。。
引越しはもういいですが
呉の実家がなくなったから呉に別荘が欲しいかも。。。
古い空き家が結構あるみたいだし。。。
なんて。。。そんな余裕はありませんが。。。(苦笑)

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35MC」のカメラ修理を行っています。
エレクトロ35シリーズにもいろいろな種類がありますが
シリーズ中、唯一の目測ピント機であり、最小のカメラが
今回のエレクトロ35MCです。
レンズのでっぱりが多少大きいですが
その大きさはハーフカメラくらいしかありません。
シリーズを通して共通の絞り優先AE機であることは同様で
レンズはヤシノンDX40mmF2.8を搭載します。

お預かりしているエレクトロ35MCは
まず電源が全く入りません。
エレクトロシリーズの一員ですから
当然シャッターは電子制御で電源が入らないと何もできません。
(シャッターは電池ナシも切れますが
何も制御されていない状態なので実質使用できません)
やはり電池が入れっぱなしの期間が長かったようで
電池室端子には緑青が付着しています。
おそらくその裏のハンダ付けや配線も腐食してしまっていると思われます。
エレクトロ35MCは電池室の腐食している個体の多いカメラですね。

他、モルトは全滅、シャッター羽根、絞り羽根には粘りがあるようです。
レンズ・ファインダーにもカビがありますので
全体的な整備を必要としている状態です。

まずは電池室を磨いてハンダや配線をやり直し
電源が入るように修理していくのですが
電源は入るようになったものの
上カバー部にあるランプが点灯しません。
このランプはレリーズボタンを半押ししたタイミングで点灯し
シャッターが動作している間、点灯したままになっているものです。
他のエレクトロシリーズではバッテリーチェックランプが
付いているのですがその代わりといったものです。
これがないと電池切れかどうかの判断もできなくなり
非常に使いにくいことになってしまします。
電球の球切れではないようなので
おそらくどこかの接点の接触不良だとは思いますが。。。。
まぁ落ち着いてひとつずつこれからチェックしていきます。

このエレクトロ35MC、その小ささと
ヤシカらしいギンギラなシルバーを気に入って
一時期、私も使っていたカメラです。
目測式のピントは慣れが必要ですが
なかなか良い写りをしていたことをよく覚えています。
いろいろあって手放してしまいましたが
整備しているとまた欲しくなってきました。。。(笑)

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コニカオートS2のカメラ修理

今日は「世界渡り鳥デー」なのだそうです。
地図も何もなしに自分の翼だけで
非常に遠いところに移動する渡り鳥ってすごいですよねぇ。。。
これからの季節の日本だと
北からやってくるカモやハクチョウ、ツルあたりが有名ですよね。
渡り鳥の中でもキョクアジサシ(北極圏と南極圏を白夜を求めて渡る)
ハシボソミズナギドリ(オートラリアから北太平洋を1周して戻ってくる)
とかになると1年の総移動距離が3万キロを超えるそうです。
すごいですよねぇ。。。
でも日本語の例えだと渡り鳥って「根無し草」と一緒で
あまり良い意味で使われないことも多いのが
ちょっと残念です(笑)

さてさて

本日は「コニカオートS2」のカメラ修理を行っています。
ベースとなった「コニカSシリーズ」にシャッタースピード優先AEを
搭載したカメラです。
最初に登場したのが「オートS」でその翌年(1964年)に
登場したのが今回の「オートS2」です。
レンズはヘキサノン45mmF1.8が装着され
受光体(CdS)はレンズの上に移動されました。
これによりフィルターを使った場合とかにも
露出倍数を気にしなくてよくなったわけですね。

お預かりしている「オートS2」は
巻上レバーはロックしたままの状態で
レリーズボタンを押してもうんともすんともいいません。
おそらくガッチリとシャッター羽根が
固着しているのではないかと予想します。
絞り羽根も同様で最小絞りのまま
絞りリングを動かしても全く羽根は動きません。
以前に何度も書きましたが
こういうときは絞りリングをこれ以上動かすのは危険です。
リングは最小絞りに合わせておいて作業に取り掛かりましょう
露出計も電池を入れても全く動きません。
バッテリーチェックも同様です。
露出計に関してはこういう場合は
電池室周りの腐食とか断線が最も多い原因ですが。。。。

まずは露出計不動の原因を探っておきます。
電池室は電池も抜いて保存してあったようで
キレイな状態です。
電池室周りのハンダ付けやSW類にも問題は見当たりません。
CdSも細かい精度はともかく抵抗値にさしたる問題は見当たりません。。。
。。。ということは。。。テスターを使って
露出計本体に直接電圧をかけてみますが
全く反応がありません。。。
うーん、メーター本体内部の断線のようです。
このタイプのカメラで露出計不動の原因の8割以上は
電池室からの電源が本体に供給されないことが原因なのですが。。。
最近、露出計本体のトラブルが妙に多いですねぇ。。。
今回は部品取用の個体からメーター本体を移植して対応します。
シャッター、絞りの不動は予想通り羽根固着のようです。
これからレンズボードを外して羽根清掃を行っていきます。

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ニコンFのカメラ修理

今日は「ウィンクの日」だそうです。
「はーとおんうぇ~ぶ♪はーとおんうぇ~い~ぶ♪
あ~なたはこ~な~い~♪」ではなくて
片目をつむるウィンクのことですね。
あ、ちなみに私はWinkよりもBabeが好きだったので。。。
話を戻します(笑)
私、目が小さいのでウィンクあまり上手くないのですよねぇ。。。
片目だけつむっているつもりでも
「両方閉じてるよね?」なんて言われる始末です(笑)
おまけにきき目が左なのに左目をつむるウィンクしかできません。。。
まぁ、いいおっさんがウィンクできなくても全く問題ないのですが
カメラのファインダー覗くときには
片目つむりますものね。。。
左目しかつむれないので必然的に右目で見るクセがついています。
きき目も右目の人が多いので
カメラも右目で覗くほうが便利なように作られているものが多いようです。
(でも私は本当はきき目は左なのですが。。。(汗)
まぁ、きき目が左だから左で覗くと右はつむらなくても
ファインダーはよく見えます。。。あ、こっちのほうがいいのかな。。。(苦笑))

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
ニコン初の一眼レフ機であり
世界初のプロ用(特に報道写真において)一眼レフと言って良いと思います。
日本初の一眼レフは1952年に旭光学工業から出た
アサヒフレックスⅠ型が最初ですがまだペンタプリズムも持たず
クイックリターンミラーもありませんでした。
ニコンFの発売は1959年ですがこの頃から
35mm判カメラの主役はレンジファインダー機から
一眼レフへと移っていくわけですね。

お預かりしている「ニコンF」は製造番号から判断すると
1963年に製造されたものと思われます。
ご依頼者様が最近入手されたものとのことで
巻上レバーは指当てのある「ニューF」タイプのものに交換されています。
こちらのほうが指が痛くならなくて良いかもしれません。
一応、一通りは動作しているのですが
高速シャッターの精度は全く出ておらず
1/1000設定時に1/500も出ていません。
加えて先幕と後幕の幕速バランスが崩れていて
高速シャッターだと写真両端で露光量の差が気になるところです。
おそらくほとんどメンテナンスが行われていない個体だと思われますが
それでもそれなりに動いてしまうのは
さすが「ニコンF」と言ったところだと思います。
しかしながら重い関節をギシギシ言わせながら
無理矢理動かしいるような状況なので
整備することによって小さな力でもスムーズに楽チンに
動いてくれるように整備していきます。

写真は一通り整備が完了した状態で
装着しているのは当店のテストレンズです。
高速シャッターの精度も含め非常にズムーズに動作するようになりました。
ニコンFはプリズムの腐食しているものが多く
今でもたまに問い合わせをいただくことも多いのですが
残念ながら当店にも交換用のプリズムはございません。
今回の「F」もプリズムの腐食が目立つ状態だったのですが
ご依頼者様から腐食のほとんどないプリズムの
アイレベルファインダーをご用意いただいたので
今回はプリズムの載せ換えも行っています。
これで気持ちよく撮影に使える1台に仕上がったと思います。

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コニカC35のカメラ修理

今日は「お好み焼きの日」だそうですよ。
制定したのは「お好みソース」で広島県民には
とっても身近な存在のオタフクソースさんですね。
そういえばお好み焼きもまたしばらく食べてないなぁ。。。
何かの拍子でこうしてお好み焼きの味を思い出すと
やたらと無性に食べたくなってしまいます。
まぁ。こっち(東京)でも食べられるのですが
次回、広島に帰ったときには呉の細うどんや
呉冷麺とともにお好み焼きもたくさん食べるぞ!
お好み焼き屋さんなんて
どこにいたって数人しか入れないような小さい店が
そこらかしこにあってどこでも持ち帰りができるのが
当たり前だと子供の頃は思ってました。。。
持ち帰りは二つに折って緑色の紙に包まれて
さらにビニール袋に入れてくれるのです。。。
(これがとっさにイメージできるのは
同世代の広島県民だけじゃないかと。。。(笑))

さてさて

本日は「コニカC35フラッシュマチック」のカメラ修理を行っています。
言わずと知れた「じゃーに~コニカ」ですね。
「C35フラッシュマチック」は1971年の発売開始ですが
フラッシュマチック機構が追加された以外は
1968年に発売された初代C35とほぼ同じ内容です。
ヘキサノン38mmF2.8を搭載し
露出はプログラムオートでカメラ任せです。
絞り羽根はシャッター羽根で兼用されており
絞りをコントロールすることはできませんが
非常にコンパクトでどこにでも持って歩ける気軽さが身上です。
C35が大ヒットしたことにより
各社対抗して同じようにコンパクトなオート露出のカメラが
次々と発売されることになります。
コンパクトなカメラですが距離計はしっかり装備され
ピント合わせがしっかりできることも大きな魅力です。

お預かりしているC35フラッシュマチックは
電池を入れても露出計が全く動きません。
露出過多や露出不足に対する警告やシャッターロック機構を持たないため
露出計が動かなくてもシャッターは切れますが
常に開放・1/30で撮れてしまう為
シチュエーションにもよりますが
ほぼ真っ白な写真になってしまうと思われます。
シャッターそのものは動作していますが
やはり羽根の粘りは若干あるようです。
いつも書きますがC35の羽根粘りは羽根の油シミや汚れ付着であることは少なく
羽根を駆動する円盤部の動作不良が原因のことがほとんどです。

C35の露出計不動の原因は電池室の腐食や
電池室からの配線の腐食がほとんどで
酷い場合にはCDSの根元まで腐食していることもあるのですが
今回は配線に若干の腐食があったものの
電流が流れないほどではなく
「あれ?」と思い調べてみると今回はメーター本体内部の断線でした。
こうなるとメーターは交換が無難ですね。
今回は中古良品のメーターと交換で対応します。

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キャノネットQL17のカメラ修理

今日は「トラックの日」だそうですよ。
子供の頃に「トラック野郎」が流行っていて
私もトラックのプラモデルや
トレーラー(正確にはセミトレーラー)のラジコンとか持っていました。
湾岸エリアとかに行くとでっかいトレーラーやコンテナを
たくさん見ることができますが今見ても迫力あって楽しくなりますね。
今度、カメラ持って撮りに行ってこようかな。。。
トレーラーを運転している人に
昔、ちょっとだけお話を聞いたことがあるのですが
とにかくどこを走るにしたって神経を使って大変だ。。。と
おっしゃっていました。それは確かにそうですよねぇ。。。

さてさて

本日は「キヤノネットQL17」のカメラ修理を行っています。
1965年発売のカメラです。
後のニューキャノネット系やG-Ⅲに比べると大きく
初代キャノネットと同じくらいの大きさのカメラです。
初代キヤノネットはセレン光電池を使った露出計で
巻上も巻戻しも底部に配置されていましたが
この世代になると巻上や巻戻しは一般的な上カバー部に配置され
露出計もCdSを使ったものに進化しています。
キヤノンお得意のクイックローディングが採用され
フィルム装填は非常に楽チンです。
レンズは45mmF1.7の大口径で
シャッターユニットはコパルSVで最高速は1/500です。
少し大柄なボディのおかげで内部構造には余裕があり
整備性も非常に良いカメラです。

お預かりしているキャノネットは
まず電池室端子裏及び配線が腐食してして露出計が全く動きません。
加えて巻戻しフォークの片側が折れてしまっています。
上カバーや底カバーにネジのない部分も見られ
もしかしたら分解しようとしてフォーク部分を折ってしまったのかな。。と想像します。
他、距離計二重像ズレやレンズにカビも見られ
全体的に整備の必要な状況です。

まずは電池室の修復と配線を交換します。
写真真ん中に転がっているのが電池室です。
ハンダ付けは断線まではしていなかったのですが
電池室側端子とハンダまでの間が
腐食により全く導通しておらず露出計不動の最大の原因はここのようです。
初代キャノネットもそうですが
ボディダイキャスト側とレンズボードの間に配線はなく
(接点で電気的に繋がる構造)
非常に整備製の良いカメラです。
初代キャノネットではシャッタスピードの伝達機構が
なかなか個性的な作りでしたが
このタイプのキヤノネットになるとそのあたりも一般的なものになっています。
ちなみに使用電池はこの時代でも比較的めずらしいMR50です。
電池室の修理が一段落したところで
シャッターユニットの整備やレンズ清掃を行い
さらにファインダー清掃。距離計・露出計の調整等を行っていきます。

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オリンパスペンEES-2のカメラ修理

今日は「盗難防止の日」なのだそうです。
空き巣に入られたことはさすがにありませんが
車上荒らしにはやられたことがありますねぇ。。。昔の話ですが。。。
昔のクルマはロックしていても比較的簡単に
開けることもできましたしねぇ。。。
(何度もキーを閉じ込めて自分でも開けたことがある(汗))
今も昔もこういう被害はあるとは思いますが
やはり今のほうが何があるかわからないという点では怖いですね
昔だったら家にいるときはもちろん
ちょっとその辺までおつかい。。。ってときにも
家に鍵をせずに出かけることも多かったような気がしますが
今は家にいても鍵はかけておかないと不安ですものね
まぁ自宅には取られるようなものはありませんが。。。(笑)
盗難だけではなくていろいろと用心が必要な
世の中になってきてしまったのはちょっと悲しいですね。。。

さてさて

本日は「オリンパスペンEES-2」のカメラ修理を行っています。
「ペンEES」シリーズは「ペンEE」では固定焦点だったフォーカスを
ゾーンフォーカスにして目測とはいえちゃんと調整でできるようにしたものです。
十分な光量があって絞り込むような場面では
固定焦点でも全く問題はないですが
やはりできるだけシャープに撮りたいという場合には
フォーカス調整はできたほうが無難ですね。
初代EESはペンEEがベースとなっていましたが
同様にEES-2はペンEE-2がベースになっています
裏蓋は取り外し式から蝶番式になり
ホットシューが追加されました。
フィルムカウンターも自動復元式となり
フィルム感度もASA400まで対応になりました。
EESに比べるとかなり実用的に進化したモデルといえると思います。
基本的な構造はEEやEESと同じく2速切替のシャッターで
絞り羽根は独立して存在します。
セレン光電池で駆動する露出計の指針を挟み込んで
絞り・SSを決定する仕組みになっています。

お預かりしているEES-2はまず絞り羽根が固着しているようで
F8付近の大きさで固まったまま全く動きません。
露出計も動作していないようで
明るさが変わってもシャッタースピードも切り替わらないようです。
。。。となると心配されるのはセレン不良ですが。。。
まずは分解して確認してみることにします。

心配されたセレン光電池はきちんと起電しているようです。
ちょっと安心しました。
絞り羽根は予想通りガッチリと固着していて全く動きません。
露出計そのものは動作しようとしているのですが
指針が挟み込みの上部に引っかかっていて
ある程度振った位置から動けなくなっているのが
露出計不動の原因でした。
何度も挟み込まれているうちに
少し針が変形し挟み込み部に接触したままになってしまったようです。
ペンEE系に限らず、指針挟みこみ式のEE機だと
たまに見かける症状です。
さらにオリンパスEE機ではお馴染みの赤ベロも動作不良を起こしていました。
各動作部の清掃、調整で全ての問題がクリアできそうです。

セレン光電池が劣化しているともはや交換しかございませんが
基本的にはシンプルで修理の行いやすいカメラです。
一旦、整備してしまえばある程度使い続けている限り
トラブルの再発も起こりにくいカメラです。
ご依頼者差はお若い方でフィルムカメラ初心者だとお見受けしますが
このカメラでステキな写真をたくさん撮っていただければと思います。

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オリンパス35DCのカメラ修理

今日は「石油の日」だそうですよ。
10/6をを「1=イ、0=オ、6=ル」と見立てて
並べ替えるとオイル(石油)となることが由来となっています。
うーん、なかなか強引な。。。(笑)
電気自動車の普及等もありますが
まだまだ私達の生活に欠かせないエネルギー源ですね。
ガソリンや軽油・灯油はもちろん
天然ガス、アスファルト等も精製されます。
私が毎日カメラ修理で使っている
クリーナーやベンジン、油、グリスなんかも石油からできていますね。
身の回りをみても石油からできているものは他にもたくさんあります。
話が少しそれますが。。。
クルマやバイクがみんな電気になったら
かなり寂しいものがありそうです。
趣味性の高いものだけでもちゃんと内燃機関が残ればいいですねぇ。。。
まぁ、私が生きている間は大丈夫だとは思いますが。。。(笑)

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
1948年から続く「オリンパス35シリーズ」の一員で
1971年の発売です。
1960年代後半から1970年代にかけての時期に
オリンパスは35シリーズで色々なカメラを出していて
35SP、35EC、35RC、35DC、35ED。。。
似通ったネーミングでちょっと困ってしまいますね(笑)
35DCは写りの評価の高いF.zuiko40mmF1.7の大口径レンズを搭載し
プログラムシャッターでオート露出で撮るカメラです。
大口径レンズを搭載している割にはコンパクトに作られていて
さすがは小さなカメラを得意とするオリンパスといったところです。
シャッターユニットはセイコー製で機械制御なのですが
露出計の針がある程度振れていないと
シャッターロックがかかるので
電池を入れないとシャッターは動作できません。

35DCには前期型と後期型があり
今回、お預かりしているのは接眼レンズ横に
バッテリーチェックランプのある後期型です。
「全く動かない」ということでお預かりしましたが
おっしゃられるとおり電池を入れても
バッテリーチェックも点灯せず露出計も動かないため
シャッターが全く切れない状態です。
電池室を開けると腐食した当時の水銀電池がゴロンと出てきました。
電池室の蓋も緑青だらけです。
緑青は落とせますが錆びてメッキの落ちた部分に関しては
残念ながら元には戻りません。
導通はしっかりでているようなのでできる限りの清掃でこのまま使います。
問題はマイナス側端子で電池室からの見た目はキレイなのですが
おそらく裏側で腐食断線しているものと思われます。

分解途中の写真で、ちょっとわかりにくいのですが
電池室裏にもびっしり緑青が付いているのが写っています。
もちろんリード線も腐食してしまっているので交換です。
これからシャッターユニット整備等々と合わせて修理・整備していきます。

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ニコンFのカメラ修理

今日は「時刻表記念日」だそうですよ。
日本初の本格的な時刻表が
1894(明治27)年のこの日に出版されたそうです。
今や冊子の時刻表を見ることもすっかりなくなりましたねぇ。。。
路線検索で一発で乗り換えもわかってしまうし。。。
でも比較的最近(数年前)に
何度か「青春18きっぷ」を使って
東京から呉まで帰ったのですが(所要時間約17時間)
時刻表でちゃんと自分で調べると
路線検索より早く目的地に着く乗換えが実際にはあったり
乗り換えの路線や時間を調整して
途中の駅で食事時間を確保したりとか
臨機応変に自分の都合の良い乗換えができたりするのですね。
またそうやって自分で乗換えを考えるのが楽しかったりもしますが。。。
。。。ただ、普通に新幹線で行くのなら
ネットで路線検索したほうが間違いはないですね(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
1959年に発売されたニコン初の一眼レフカメラです。
現在まで続くニコンFマウントはこのカメラから始まりました。
過酷な環境での使用に耐えるように
非常に堅牢な造りをしているカメラです。
ファインダー視野率約100%、交換式ファインダー
ミラーアップ機構、他にも豊富なアクセサリーや
交換レンズ群が用意され
当時、考えられる様々なシチュエーションでの撮影に
対応できるように構築されたシステムカメラです。
豊富なレンズやアクセサリー群の中には
とても高価でそうそう手の出ないものも多いですが
カタログを見ているだけでも夢が広がります。
さすがに「F」の全盛期には私はまだ生まれていませんが
その後のF一桁機のアクセサリーカタログ等を
物心ついた頃に眺めていていろいろ考えていたことを思い出します。
Fが出る以前はニコンもライカに対抗して
レンジファインダー機を主に作っていて
その究極とされるのがニコンSPというカメラですが
ニコンFはSPをベースに作られています。
ちょっと乱暴に言えば
SPのボディを左右に分割し間にミラーボックスを追加した。。。という感じです。
レリーズボタンやシャッタスピードダイヤル周りを見ていると
SPの名残が色濃く残っているような気がします。

前置きが長くなりました。。。
お預かりしているニコンFはおそらくかなり長い間使われずに
眠っていたものではないかと思われます。
全体的に非常に動きが重く
特に巻き上げは巻き上げきったときの感触が
妙に「グニャ」とした感じでちょっとよろしくおありません。
高速シャッターの精度も出ておらず
低速シャッターはスローガバナとの連動部が粘っているせいで
1/30以下のシャッターは全て1/30で切れてしまう状況です。
それでも何とか動作してるのはさすがだと思いますが
動きの悪い関節をがんばって健気に動かしているようで
動作を見ているとちょっと切なくなってきます(苦笑)
アイレベルファインダーは残念ながらプリズム腐食が発生しており
これに関しては交換プリズムが入手不可なので
清掃は行いますが基本的には現状のままです。
付属している50mmと135mmのレンズも
修復不可能なコーティングの劣化もございますが
できる限りの清掃を行います。

まだ分解途中ですが
シャッター幕軸、SS調速カム、ミラー駆動部、巻上部
動作する部分は徹底的に清掃し注油を行います。
Fは基本的に非常に頑丈なカメラなので
動きの悪いところを整備してやれば
大抵の場合は復活します。
(無理な分解品や水没品、ショック品を除く)
整備完了してご依頼者様の元に戻れば
数十年ぶりにフィルムを感光させることになると思います。
少し間が空いてしまいましたが
再び時代を切り取る重要な任務を遂行していただきたいと思います。

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