ニコンFのカメラ修理

今日は「時刻表記念日」だそうですよ。
日本初の本格的な時刻表が
1894(明治27)年のこの日に出版されたそうです。
今や冊子の時刻表を見ることもすっかりなくなりましたねぇ。。。
路線検索で一発で乗り換えもわかってしまうし。。。
でも比較的最近(数年前)に
何度か「青春18きっぷ」を使って
東京から呉まで帰ったのですが(所要時間約17時間)
時刻表でちゃんと自分で調べると
路線検索より早く目的地に着く乗換えが実際にはあったり
乗り換えの路線や時間を調整して
途中の駅で食事時間を確保したりとか
臨機応変に自分の都合の良い乗換えができたりするのですね。
またそうやって自分で乗換えを考えるのが楽しかったりもしますが。。。
。。。ただ、普通に新幹線で行くのなら
ネットで路線検索したほうが間違いはないですね(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
1959年に発売されたニコン初の一眼レフカメラです。
現在まで続くニコンFマウントはこのカメラから始まりました。
過酷な環境での使用に耐えるように
非常に堅牢な造りをしているカメラです。
ファインダー視野率約100%、交換式ファインダー
ミラーアップ機構、他にも豊富なアクセサリーや
交換レンズ群が用意され
当時、考えられる様々なシチュエーションでの撮影に
対応できるように構築されたシステムカメラです。
豊富なレンズやアクセサリー群の中には
とても高価でそうそう手の出ないものも多いですが
カタログを見ているだけでも夢が広がります。
さすがに「F」の全盛期には私はまだ生まれていませんが
その後のF一桁機のアクセサリーカタログ等を
物心ついた頃に眺めていていろいろ考えていたことを思い出します。
Fが出る以前はニコンもライカに対抗して
レンジファインダー機を主に作っていて
その究極とされるのがニコンSPというカメラですが
ニコンFはSPをベースに作られています。
ちょっと乱暴に言えば
SPのボディを左右に分割し間にミラーボックスを追加した。。。という感じです。
レリーズボタンやシャッタスピードダイヤル周りを見ていると
SPの名残が色濃く残っているような気がします。

前置きが長くなりました。。。
お預かりしているニコンFはおそらくかなり長い間使われずに
眠っていたものではないかと思われます。
全体的に非常に動きが重く
特に巻き上げは巻き上げきったときの感触が
妙に「グニャ」とした感じでちょっとよろしくおありません。
高速シャッターの精度も出ておらず
低速シャッターはスローガバナとの連動部が粘っているせいで
1/30以下のシャッターは全て1/30で切れてしまう状況です。
それでも何とか動作してるのはさすがだと思いますが
動きの悪い関節をがんばって健気に動かしているようで
動作を見ているとちょっと切なくなってきます(苦笑)
アイレベルファインダーは残念ながらプリズム腐食が発生しており
これに関しては交換プリズムが入手不可なので
清掃は行いますが基本的には現状のままです。
付属している50mmと135mmのレンズも
修復不可能なコーティングの劣化もございますが
できる限りの清掃を行います。

まだ分解途中ですが
シャッター幕軸、SS調速カム、ミラー駆動部、巻上部
動作する部分は徹底的に清掃し注油を行います。
Fは基本的に非常に頑丈なカメラなので
動きの悪いところを整備してやれば
大抵の場合は復活します。
(無理な分解品や水没品、ショック品を除く)
整備完了してご依頼者様の元に戻れば
数十年ぶりにフィルムを感光させることになると思います。
少し間が空いてしまいましたが
再び時代を切り取る重要な任務を遂行していただきたいと思います。

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