ニコンFEのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「小満」ですね。
「万物が次第に成長して一定の大きさに達してくる頃」とのことです。
少し前の真夏日に近い暑さつ比べると
少し落ち着いたようですが
日差しはもう初夏の感じがしますね。
梅雨前のこの時期が一番過ごしやすい時期かもしれません。

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
1978年発売の「シンプルニコン」です。
当ブログで非常に登場回数の多いカメラですね。
ニコンのフラッグシップでも「F一桁機」の次ぐ中級機です。
信頼性・堅牢性ではさすがにF一桁機には劣りますが
それ以上に軽快で取り回しの良いカメラです。
スピーディーに撮りたいときには
絞り優先AEが非常にありがたく感じます。
毎度書きますがファインダー内の露出計は
直感的に非常にわかりやすく
F3もこの露出計にしてくれればよかったのに。。。
と思ってしまうほどです。

お預かりしているFEは
ご依頼者様のおじい様が使っていたカメラだそうです。
装着されているAi改造済みのオート35mmF2が
またカッコ良いですね!
ワンオーナー品ということもあり
非常に大切につかわれていたようで
長期間の保存による汚れ、カビ等はあるものの
ボディにアタリやキズはほとんど見当たらず
良いコンディションだと思います。
シャッターはマニュアル、オート共に作動しているのですが
残念ながら露出計が全く動きません。
電子制御シャッターは精度は出ていませんが作動しているので
根本的に電源が来ていないわけではなく
露出計本体に問題がありそうです。
ファインダーを覗くと露出計の指針(光によって動く黒い針)は
通常、電源が来ていない場合は「B」より少し下まで
下がりきっているはずなのですが
この個体では「8秒」の少し下で止まっています。
このことからも露出計本体に何か問題があるかと予想します。
もしかしたら。。。というか高い確率で
露出計は交換しないとダメかもしれません。

まだ現状チェックを終えたばかりです。
これから本格的に分解に取り掛かり
シャッターユニットの整備、露出計周りの修理を行います。

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ミノルタハイマチックFのカメラ修理

毎月19日はシュークリームの日だそうです。
なめらかなクリームに香ばしい皮。。。
いつ食べても美味しいですよねぇ。。。
。。。といいながら、最近はコンビニのシュークリームしか
食べた記憶がありません。。。
いや、コンビニのシュークリーム、今はすごく美味しいのですが。。。
シュークリームに限らず
たまにはちょっと高級なスイーツ食べたいですねぇ~

さてさて

本日は「ミノルタハイマチックF」のカメラ修理を行っています。
ハイマチックF、久しぶりですね。
レンジファインダーを搭載したカメラとしては
非常にコンパクトなカメラです。
このブログによく登場するコニカC35も非常に小さいですが
ハイマチックFも同じくらいの小ささです。
発売開始は1972年です。
その前年に登場したハイマチックEの弟分にあたります。
少々、話が逸れますが兄貴分のハイマチックEは
搭載されるセイコーESFシャッターの配線周りのトラブルが非常に多く
当店では修理不可能機種とさせていただいております。
たった1年の発売時期の差なのですが
ハイマチックFのセイコーESLシャッターはそのあたりが
随分改善されています。
電子部品のトラブルにより修理不可能な場合も
もちろんあるのですが「F」の場合は修理を受け付けています。

お預かりしているハイマチックFは
外観に汚れはそれなりにあるもののキズやアタリは少なく
コンディションとしては悪くありません。
ただし、電池室からの配線が腐食して断線状態のようで
全く電源が入りません。
ハイマチックFは電子制御シャッターなので電源が入らないと
撮影には全く使えません。

まだ現状を確認しているだけで本格的な作業はこれからです。
まずはシャッターユニットを完全に外して
シャッターユニット単体で正常に動作するかどうかから始めます。

ハイマチックF、個人的に使っていたこともあるのですが
非常に写りの良いカメラです。
プログラムEE専用機なので
露出・絞りはカメラに任せるしかありませんが
目測の苦手な私としては
この大きさでレンジファインダー搭載機というのは
やはり使いやすいですね。
シャッターフィーリングは賛否両論ありますが
シャッターが切れた後にジャキーンと戻ってくる
ハイマチックFならではのフィーリングは
個人的には悪くないと思っています。

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ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は5月18日、五、十、八ということで
「ことばの日」だそうです。
言葉ってとても大事なものですけど
ついつい言い間違えちゃったり
使い方が悪くて微妙なニュアンスが伝わらなかったり
時には思ってもみない誤解を招いたり
本当に難しいですよね。
50年近く生きていて日本語しか使っていないのに
言葉の難しさを痛感する毎日です(苦笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
大ヒット作SPに開放測光機能を追加したモデルです。
マウントはM42ですが開放測光はペンタックス独自の機能のため
開放測光を行うには同時期に発売された
「SMCタクマーレンズ」を使用する必要があります。
他のM42レンズを使用の際は従来通りの
絞込み測光です。
露出計機能以外の部分は基本的にSPと同様ですが
露出計関連の電気回路部分はSPとは全く別物で
まだまだシンプルな部類ではありますが
SPに比べると随分複雑になってきています。

お預かりしているSPFは
低速シャッター時にミラーアップしたままに
なってしまうということでお預かりしています。
今回もシャッター幕(後幕)の動きが悪いためと思われます。
測定機でシャッタースピードを測ってみると
1/1000の場合で走り始めは1/800、画面中央で1/500
走り終わり近くでは1/300の露光量になっています。
後幕の動きが遅いため
シャッターが走っている間にどんどんスリットが
開いていき露光量が最初と最後で1段くらい異なる状態です。
加えて露出計は+側にほぼ振り切った状態です。
SPFの露出計はちょっと変わっていて
電源が入っていない状態で指針は真ん中にきます。
この真ん中にいる指針をCDS(受光体)からの電流と
絞り・シャッタースピード情報からの電流で引っ張り合い
指針が真ん中でバランスが取れるときが適正露出という仕組みです。
調整する上で少々、注意が必要なのは
開放測光時の調整と、絞込み測光時の調整は
それぞれ異なる可変抵抗で調整します。

まずは現状チェックを行っただけの状態です。

これから本格的に分解整備に取り掛かり
各部点検整備一式を行います。

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ニコンF2のカメラ修理

今日は「お茶漬けの日」だそうですよ。
永谷園さんが制定した記念日ですが
もちろん「お茶漬けの素」で作るお茶漬けも美味しいですが
単純にご飯にお茶を注いだだけの「お茶漬け」も
何とも言えず美味しいですよ。
昔はおかずがなくなると最後はお茶漬けでご飯をかきこむのが
毎日の夕食で当たり前だったなぁ。。。
そこに菜っ葉があればもう無敵です(笑)

さてさて

本日は「ニコンF2」のカメラ修理を行っています。
今回、お預かりしているのはアイレベルファインダー装着の個体です。
F2はフォトミック系の修理依頼が圧倒的に多く
アイレベルは久しぶりですね。

動作は一通り行えますが
巻上やシャッター幕軸、スローガバナに油切れの兆候が見られます。
外観は適度に使い込まれた感は大きなアタリもなく。。。
いやいや、写真を良く見るとわかりますが
アイレベルファインダーの後部の革が貼ってある部分に
大きなヘコミが見られます。
FやF2のアイレベルファインダーというと
正面部分や三角形の頂点の部分が凹んでいるものが
多いのですが、この部分はめずらしいですね。

どうにも気になるのでボディに本格的に取り掛かる前に
ファインダーの革を剥がしてみると。。。

ちょっと写真だとわかりにくいですが
かなり大きく凹んでいます。
これがRがついている場所や角だと取り掛かりようがないのですが
この部分であれば裏側から叩くこともできそうです。
もちろん、完全には元に戻りませんが
今よりは目立たなくすることはできそうです。
内部モルト交換やプリズム・接眼レンズ清掃のため
どちらにしてもファインダーは分解するので
その際に慎重に裏側から叩き出してみました。

元が凹んでいたということを知らなければ
気づかない程度にはなったかと思います。
革が貼られている部分なので
露出される部分よりは目立ちません。

さて、これはあくまでも前座の作業で
メインの作業は毎度のことですが
シャッター部、巻上部、等々の整備です。
アイレベルが装着されているとはいえ
F2でありがちな電池室周りのトラブルも
もちろんチェックしていきます。

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ニコンFEのカメラ修理

今日は「旅の日」だそうですよ。
旅どころか小旅行すら
ここのところ行った覚えがないですが。。。(苦笑)
日常を離れて1ヶ月。。。
いやせめて1週間くらい旅に出る。。。してみたいですね。
鉄道で行くも良いし、バイクでもいいですよねぇ
あるいは南アルプスあたりを1週間くらいかけて
歩き続けるとかも良さそうです。。。
さぁ、空想はそのくらいにして仕事しますか。。。(笑)

さてさて

今日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
当店では修理依頼の非常に多いカメラです。
発売は1978年、キャッチフレーズは「シンプルニコン」
シャッターユニットはコパル製の金属羽根縦走りです。
適度にコンパクトで端正なスタイリング
電子制御シャッター搭載で絞り優先AEも使えます。
電子制御シャッターな故に敬遠されることもありますが
意外と電子基板関連のトラブルの多いカメラではございません。
それよりも機械的トラブルのほうが実際は多いです。
秀逸なのは直感的にわかりやすい露出計で
指針が2本あり、1本は現在のシャッタースピードを
1本は適正露出のシャッタースピードを指示しています。
個人的にはこのタイプの露出計が一番好みです。

FEで意外と多いのは巻上関連のトラブルです。

(1)チャージが滑ってしまうような感じで
チャージロックができない

(2)レリーズボタンを押したのに
巻上ロックが解除されず次の巻上ができない

(3)巻上げてチャージもできているのに
巻上軸がロックしたままでレバーも最大巻上角まで
軽く(フラフラ)で動いてしまいレリーズもできない

多いのはこの3パターンだと思います。
今回、お預かりしているFEは(3)のパターンです。
シャッター羽根を見てもチャージはきちんとされているのですが
巻上軸が最初の位置に戻ってきていない状態です。
(文章で書くとなかなか伝わりにくいとは思いますが)
FE/FM系は分割巻上げはできないので
巻上を途中でやめるとレバーは見かけ上、戻ってきますが
軸は途中で止まったままなので
巻き上げた位置までは手応えのないまま動き
そこからさらに巻き上げると軸も一緒に巻き上がります。
(3)の状態はしっかり巻き上げてチャージも完了しているのに
巻上が手応えのないまま軽く最後まで何度でも動いてしまう状態です。
巻上レバー下の巻上軸のロック機能の動作不良と思われます。

ちなみに(1)はシャッターユニット内の
チャージロック機能の動作不良
(2)は底部巻上ロック機能の動作不良が主な原因です。
(たまに例外はありますが。。。)

本格的な分解整備の前にその巻上レバー下のロック部の
状態を確認しておきます。
単純に動きが悪いだけであればいいのですが
たまに部品の変形、磨耗で交換しないと駄目な場合もあります。
巻上部の動きを一通り確認してから
シャッターユニットの分解整備に取り掛かります。
若干、羽根の動きが悪いのかシャッタースピードが
少々不安定な部分が見受けられます。
オートは少しアンダー気味なのでそちらも最終的に調整します。

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ヤシカミニスターのカメラ修理

5月14日。。。1983年のこの日に
カールルイスさんが平地の電動計時による100m走で
人類初の9秒台(9秒97)を出した日だそうです。
それまでに高地記録(標高が高くタイムが速くなる)や
手動計時による9秒台は何度かあったようなのですが
正真正銘の9秒台はこれが初めてだそうです。
次の年にはロサンゼルスオリンピックが開催され
4つの金メダルを取る大活躍でした。
ロサンゼルオリンピックは当時、中学生で
ちょうど夏休みだったこともあり毎日、1日中見ていました。
山下泰裕さんや森末慎二さん、具志堅幸司さんの金メダル、
よく覚えています。懐かしいですねぇ~

さてさて

本日は「ヤシカミニスター」のカメラ修理を行っています。
今回、お預かりしているのは1960年発売の
最初のタイプの「ミニスター」です。
当時はまだ少なかった露出計搭載の高級機です。
その露出計はセレン光電池を利用した
非連動型で露出計で示されるLV値を
シャッター・絞りを制御するLVリングを使って
露出を決定するという方法です。
露出計はセレンが劣化していると
どうにもお手上げですが今回、お預かりのミニスターは
できる限りの調整を行って全体的に+1段といった感じです。
ズレ幅がわかっていれば何とか対処できると思いますし
ネガだったらあまり気にしなくても大丈夫かと思われます。

レンズは4.5cmF1.9かF2.8が搭載されますが
今回の個体はF2.8搭載モデルです。
シャッターはコパルSVLを搭載し最高速は1/500です。
今回のミニスターはセレン式の露出計はともかく
まずはファインダーの二重像が全く見えません。
ピント合わせのできない状態です。
明るい光源に向けてファインダー内をよくよく見ると
かろうじてブライトフレームの一部がうっすら見えます。
ファインダー内のハーフミラーの劣化のため
二重像が写らない状態ですね。
ファインダーを降ろしてハーフミラーを取り出してみると
端っこのほうにわずかに蒸着が残っている程度で
ほぼ、ただの素通しガラス。。。といった状態でした。
部品取用のAF一眼のミラー(ハーフミラー)から
大きさを合わせて移植することで対処します。

他、シャッターに若干の粘り、レンズにカビが見受けられます。
いつもどおり全体の各部点検整備一式を行いますが
一通り終わったところで、感光済みのフィルムを使って
フィルムローディングから36枚、シャッターを切り
何かおかしいところがないかチェックするのですが。。。
フィルムが終わって巻き戻そうと底面のARダイヤルを
Rにしようとすると。。。どうにもこうにもダイヤルが
Rの少し手前で止まってしまい、スプロケットがフリーになりません。
底部スプロケットギアが固着してしまっているようです。
そうだった。。。ミニスターはたまにこういう症状あるのだった(汗)

スプロケットの問題も解決し、まずは一通り完了したところです。
各部、非常にスムーズに動作するようになりました。

少々、余談ですが。。。
冒頭でも書きましたが、このカメラは最初にLVリングで
露出を決定し、その後で絞り・SSの組み合わせを
絞り・SSリングで変更する作りになっています。
今回のミニスターは大丈夫でしたが
使い方がよくわからずにこのリングを無理に回し
リング留めのネジが折れてしまっている個体をよく見かけます。
古いカメラに限らず、機械は全てそうだと思うのですが
回らないものを無理して回すと大抵の場合、壊れます。
動かないものは何か理由があるということですから
無理に操作することなく、まずは相談していただければと思います。

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ペンタックスSPのカメラ修理

今日は「カクテルの日」だそうですよ。
若い頃はアルコール度数強めの
ショートカクテルにはまったことはありましたが
最近は飲むことなくなりましたねぇ。。。
30代後半あたりからは
食事を美味しく食べるためのお酒。。。というスタンスなので
どうしても日本酒、ワイン、焼酎になってしまいます。
でもたまにはカクテルをオシャレなバーで
ゆっくりと味わうのもいいですね。
機会があればそういう時間も過ごしたいものです。

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
SPも当ブログ登場回数の多いカメラですね。
丈夫で使いやすく、大ヒットしたカメラです。
当時の写真雑誌のコンテストとかでは
使用カメラがSPとされている写真で
誌面が埋め尽くされていたと聞いた事もあります。
M42マウントを採用しているということで
海外製の変わったレンズも使えるカメラ。。。という
スタンスでも人気のあるカメラですね。

SP。。。というか古いカメラでは定番ですが
今回、お預かりした個体もシャッター幕の動きが悪いようで
低速シャッター時にミラーアップ(したまま固着)が頻繁に起こります。
プリズムはSP定番の視野真ん中ら辺に
横方向の黒い線が入るという感じの腐食が発生しています。
さらに露出計は不動。。。といった感じで
SPでありがちなトラブルが一通り出ている感じです。
その中で、露出計不動は電池室からの電源が
CDSまで繋がらず途中で断線状態になっていたことが原因ですが
動くようになったと思ったら
今度はCDS(受光素子)の劣化でどうにもこうにも精度が出ない状況でした。
多少の劣化はどのCDSでもあると思いますが
たまにこういう調整ではどうにもならないほど劣化しているものもありますね。
今回は中古良品のCDSと交換で対処しています。

一通り作業の終わった状態です。
しかしながらシャッターが安定するまで少し時間がかかりそうなので
現在は様子見といったところです。
落ち着いた頃に最終チェック+微調整を行って完成となります。

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オリンパスOM10のカメラ修理

今日は「ザリガニ」の日だそうですよ。
ここでいう「ザリガニ」とは「アメリカザリガニ」のこと
1927年のこの日に鎌倉の食用蛙養殖場に
餌として20匹ほどが持ち込まれたそうです。
ここから逃げ出した個体が爆発的に増え
1960年代には九州でも生息が確認されるほどになったそうです。
私も子供の頃、煮干を糸でしばって
山沿いの沼でよくザリガニ釣りしてました。
小学生の子供でもいくらでも釣れるのですよねぇ。。。懐かしい(笑)

さてさて

本日は「オリンパスOM10」のカメラ修理を行っています。
昨日ご紹介のニコンEM同様に
絞り優先AE専用機です。
オリンパスらしく軽量コンパクトなモデルですが
基本的な構造はOM-2をベースとし
部品点数を半分程度まで減少させ
製造ラインもOM-2の設備を流用することで
低価格を実現したカメラです。
当時の各社、絞り優先AE専用機は
押し並べて価格4万円弱なのですが
これは当時の物品税(定価に含まれる、現在の消費税に近い性質)の
非課税上限値が4万円だったことも大きく関係しているようです。
発売開始は1979年です。
このOM10、ベースがOM-2ということもあって
ダイレクト測光がセールスポイントなのですが
(フラッシュ使用時のTTL制御は不可)
今となってはダイレクト測光関係が故障すると残念ながら修理不能です。
(同様の理由でOM-2は基本的に修理を当店では修理を行っていません)

今回、お預かりしているOM10は
一通り動作はしている状態なのですが
モルトや露出計の精度等々に少々問題もあり
各部点検整備一式でお預かりさせていただきました。

まずは一通りの精度をチェックしようと
計測器を使いいろいろとテストを行います。
OM10は電源オフにしておいてもある程度の明るさであれば
シャッターを押せばきちんとオートが効いて
写真が撮れるようになっています。
さらに電源オンにしておいても
ある程度の時間、操作をしないで放置していると
タイマーで自然と電源がオフになります。
この場合、シャッターボタンの台座(シャッターボタンではない)を
軽く押す(触れる)と電源が復帰するのですが
今回の個体はこれが全く復帰できないということが判明しました。
SW部の接触不良かと思われるのですが
OM10の場合、接点を掃除できるような構造ではないのです。。。
ご丁寧に小さなフレキで配線もされています。
うーん、どうしたものか。。。
いろいろ悩んだあげく、結局SW部の交換で対処いたしました。

露出計、オート調整、シャッタースピード調整、
各部清掃、モルト交換等々
全体をリフレッシュして組上げて完成です。
今回はボディ本体のみの整備ですが
精悍なブラックボディにワインダー、
マニュアルアダプター(これをつけるとマニュアルでSSが設定できる)
28mmレンズ。。。カッコ良い組み合わせですね!
シャッターチャンスを逃さない仕様ですね。

ちなみに各メーカーの絞り優先AE専用機は
当時、テレビコマーシャルも競って放送していて
OM10は当時コメットさんでブレイク中の大場久美子さん、
ミノルタX-7はあの強烈なCMでお馴染みの宮崎美子さん、
ペンタックスMGは早見優さん。。。だったかな。。。
当時のことも一緒に調べてみるとまた違った楽しみがあって
おもしろいかと思います。

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ニコンEMのカメラ修理

今日、5月11日は1970年に
植村直己さんと松浦輝男さんが日本人で初めて
エベレストに登頂した日ですね。
標高8000m超の世界はいろいろ本とかで
読むことはあっても想像を超える世界なんでしょうねぇ。。。
一度、8000m峰に登るとボクシングで殴られ続けて
ノックアウトされるくらい脳にダメージがあると話も
聞いたことがあります。
今は700万円程出せばツアーで登ることもできるみたいです。
。。。。無理だな。。。。(笑)

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
1980年に発売されたニコンとしてはめずらしく
軽量コンパクトな上にスタイリッシュな
絞り優先AE専用機です。
ミノルタX-7やオリンパスOM10、ペンタックスMV1等々
ライバルの非常に多いクラスですが
現在でも人気の高いカメラですね。
EM用に「シリーズE」と呼ばれる
ニッコールより少しお求め易いレンズ群も発売されました。

今回、お預かりしているEMは
EMにしてはめずらしくプリズム腐食が発生しています。
さらにカウンターが「1」になっても露出計がオンにならず
いつになっても一定のシャッタースピードでしか切れません。
カウンターが「1」になるまでは機械式の1/90で切れ
「1」になるとオートが働くのが正常で
そのためのSWの不良かと思われましたが
分解してみるとどうもそうではないようです。
バッテリーチェックは作動するので電池室近辺の問題でもなさそうです。

写真ではわかりにくいですが
プリズム縦方向に腐食が発生しているのが写っています。
プリズムは腐食のない中古品と交換して対応します。
露出計不動の件はSW周りを中心に清掃を行い
ハンダ付けのやり直しを行います。
比較的、最近まで動作していて分解品でもないようなので
おそらくこれで何とかなるのではないかと思われます。
確率は低いですが基板そのものがNGという可能性もありますが
その場合は基板を丸ごと載せかえることで対応します。

EMに限らずこのクラスのカメラはプラスチック部品が
非常に多く使われています。
それが経年劣化で脆くなっている場合も多いので注意が必要です。
EMの分解でかなり神経を使うのが
トップカバーを外す際に取り外す巻き戻しクランクで
普通にフィルム室側フォークを固定してクランクを逆回しに
力任せに回すと結構な高い確率でクランク根元部分の
円盤が破損します。今回も結構固着していて
強い力で回さなければ外れないのですが
下手をするとプラスチック部品を破損するということで
慎重に時間をかけて外しました。
カメラの分解の主な作業は「回す」(ネジやリング等々)ことだと思うのですが
これが年月の経ったものだと一筋縄ではいかないことが多いですね。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は5月10日、「コットンの日」だそうですよ。
綿(木綿)のことですね。
衣類の素材としても定番ですが
女性の方はメイクのときに使うコットンのほうが
馴染み深いかもしれませんね。
私の場合は作業でたまに使う脱脂綿が
一番、身近な「コットン」かなぁ。。。(笑)
。。。そんなことを考えていたら
杏里さんの「コットン気分」の
脳内リフレインが止まらなくなってきました。。。

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
当ブログでも定期的に登場する
キヤノン初のプロ向け最高級一眼レフです。
フラッグシップ機にふさわしい高級感と堅牢性に加え
キヤノンらしいスタイリッシュさも併せ持つカメラです。
発売は1971年で、前期モデル、後期モデルにわけられますが
10年に渡って生産・販売が続けられたモデルです。
流通している台数は相当数あると思われますが
状態も千差万別で、これから購入される際には
コンディションには気をつけたいカメラです。

お預かりしているF-1はいわゆる後期モデルです。
ご依頼者様が随分昔から使われているカメラとのことです。
まずファインダーを覗くと一面にプリズム腐食が見受けられ
さすがにこの状態ではピント合わせも非常にしづらいと思います。
F-1はプリズム腐食の比較的少ないカメラで
腐食があっても端に少しとか、点腐食とかが多いのですが
今回は少しめずらしいですね。
余談ですがF-1はプリズム腐食よりも
露出計を映し出すために接着されている小さなプリズムに
欠けや割れが多いような気がします。

少々わかりにくいですが
プリズムの視野はこのような状態です。

プリズムの上に大きな座布団モルトが貼られているのは
いつものことなのですが、通常はプリズムの上に
プラスチックのカバーがかけられていて
その上にモルトが貼ってあるのが正常です。
今回の個体は随分昔に一度分解されている形跡があるのですが
その際にプラスチックカバーを付けすに
直接プリズムにモルトを貼ってしまったようです。
そのためモルトの加水分解が直接影響し
プリズムの塗装・蒸着を剥離してしまったようです。

プリズムは中古のキレイなものと交換で対処します。
他にも問題がいろいろあり
まずシャッタースピードは1/2000、1/1000は
全く開かず1/500、1/250もかなりムラのある状態です。
元々、幕軸の動きが悪かったのだと思われますが
とりあえずシャッターを開くようにしようと
テンションを上げ無理矢理開かせていたらしい形跡もありました。
今回はもちろん幕軸の清掃・注油を行い
幕速もかなり下げて通常の状態に戻した上で
微調整を行いました。

露出計も大幅なズレと接触不良のため不安定な動きをしています。
こちらも接点の磨き+清掃で対応しています。

いろいろ問題はございましたが
まずは一通りの整備を行い組み上げたところです。
後は様子見の上で最終チェック+微調整を行って完了です。

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