カテゴリー別アーカイブ: カメラ修理

オリンパスペンEESのカメラ修理

今日は「生酒の日」だそうですよ。
日本酒メーカーの月桂冠が
本格的な「生酒」(なまざけ)を発売した
1984(昭和59)年6月25日が由来となっています。
同社の超精密ろ過技術の応用で
常温流通が可能になった生酒が発売され
これにより蔵元でしか味わえなかった
しぼりたての美味しさを全国どこでも楽しめるようになりました。
「生酒」とは「火入れ」と呼ばれる60℃ほどの加熱処理を
一度も行わずに出荷される日本酒です。
通常の日本酒は火入れを貯蔵前と容器詰めの際の二度行います。
また生貯蔵酒は、生のまま貯蔵し
容器詰めの際に一度火入れを行うのだそうです。
私はお酒の中で日本酒が一番好きなので
「生酒」も普通の日本酒もいつもおいしくいただいています。
常温保存が可能とはいえ、日本酒はデリケートなお酒なので
購入した後も冷暗所での保管が気温です。
気温の高いところや日光の当たるとこなんかに置いておくと
あっという間に味も風味も落ちてしまいます。
小さめの瓶で買ってすぐに飲み切ってしまうのが理想ですね。
暑くなってきましたし
さっぱりした味わいの白身のお刺身に
ふくよかな純米酒を冷やで飲みたくなりますねぇ
考えているだけで今夜の晩酌が楽しみになってきました(笑

さてさて

本日は「オリンパスペンEE」のカメラ修理を行っています。
ハーフカメラを代表するカメラでもある
「ペンシリーズ」ですがいくつかのシリーズに分かれます。
露出計も持たないシンプルな構造の「ペン及びペンSシリーズ」
大口径レンズに露出計装備とその名の通り
デラックスな「ペンDシリーズ」
そしてセレン光電池を利用した露出計と連動し
露出はオートでできる限り簡単に撮影することに特化した
「ペンEE及びEESシリーズ」です。
今回はその「EESシリーズ」の最初のモデルとなる
「ペンEE」です。発売は1962年です。
その1年前に発売された「ペンEE」をベースに
ピントを固定焦点ではなく3点ゾーンフォーカスとしたのが
「EES」となります。
シャッタースピードは1/30・1/250の2速切替式で
露出計に連動し明るさに応じてSS・絞りを自動設定します。
露出計が無反応になるほどの暗所で使う
フラッシュモードだとSSは1/30固定になり
絞りは任意で設定を行います。
オート露出時に光量不足だった場合(露出計指針が振れない場合)は
オリンパスお得意の「赤ベロ」がファインダー内に出現し
シャッターロックがかかります。
この機構とセレンがレンズ外周部にあるおかげで
このタイプのカメラでありがちな
「レンズキャップをしたままシャッターを切ってしまう」という
ミスを防止することに繋がっています。
サイズもハーフカメラらしく非常にコンパクトで
気軽に持ち歩けて気軽に撮影できるカメラの代表だと思います。

お預かりしている「ペンEES」は
セールスポイントである赤ベロが全く出ない状態で
どんな明るさでもとりあえずはシャッターが切れてしまいます。
絞り制御もほとんど効いていないようです。
それでも明るさに応じてSSが切り替わっていることは
確認できるのでセレンや露出計はまずは動作していると思われます。
何らかの原因で指針挟みこみ機構の動作不良かと思われます。
内部機構もシンプルで整備性も良いカメラですが
ピントが前玉回転式のゾーンフォーカスのため
レンズを外すと入念なピント再調整が必要です。
もちろん今回もピントは再設定して組み立ててあります。
赤ベロ及びオート制御不良の原因は
赤ベロ制御部・指針挟み込み機構の動作不良に加え
赤ベロアーム部がボディプレートに一部干渉してしまっていて
動けないことも原因になっていました。
動作不良の状態で動かしていて
少しずつ変形してしまったのだと思われます。
オート制御関連の駆動部をすべて動きやすくするための
整備を行った上でアーム部の修正も行い
オート・露出計の精度も調整いたしました。
修理後は問題なく露出制御できるようになっています。

加えてシャッター周りや絞り制御部にも
若干の粘りや動作不良が確認され
もちろんそれらも含めて全体的に整備を行っています。
画像は一通りの整備完了後のモノで
全体的に動きも軽く開口に動作しています。
しばらく動きがなじむまで様子見を行っていたのですが
これから最終的なテストを行って
もんだいなければ完成となります。

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ミノルチナSのカメラ修理

今日は「UFOの日、・空飛ぶ円盤記念日」だそうですよ。
1947(昭和22)年のこの日に
アメリカの実業家ケネス・アーノルドが自家用機で飛行中に
コーヒー皿のような謎の飛行物体を目撃したことに由来しています。
最初の目撃例となったこの日を
UFO研究家たちが記念日として命名したとされています。
この目撃談、私が子供の頃には有名な話でした。
いろんなUFO関連や不思議な出来事の本には
必ずこの話が載っていたような気がします。
また当時の私がこの類の本が好きで
よく学校の図書館とかでも借りてきてたのですよねぇ(笑
事態を重く見たアメリカ空軍が
これを「UFO(unidentified flying object:未確認飛行物体)」と名付け
調査に乗り出したが正体はつかめなかったそうです。
結局、1969(昭和44)年にUFOは
「車のサーチライトの誤認や目の錯覚の類」との調査報告を出しています。
この類の話のほとんどが誤認やトリックだとは思いますが
中には本当になんだかわからないものもあるような気がします。
まぁでもそれは宇宙人とか心霊とかではなくて
蟲の仕業だと思うことにしています(笑

さてさて

本日は「ミノルチナS」のカメラ修理を行っています。
数日前に弟分の「ミノルチナP」の修理も行いましたが
今度は完全マニュアル機の「S」です。
「P」よりはわずかに大きいですが
それでもこの時代の35mm判カメラとしては
非常にコンパクトなカメラです。
大口径レンズを搭載するのでレンズ部の出っ張りはそれなりに
大きいですがボディ本体の薄さは特筆ものです。
シャッターはセイコーSLVで1/500~1s・Bをカバーします。
レンズは大口径のロッコールQF40mmF1.8を搭載します。
発売開始は1964年で「S」と「P」が同時発売されています。

お預かりしている「S」は
これも少々レアなブラックモデルです。
非常に精悍でスタイリッシュなカメラです。
外観はなかなか状態が良いのですが
まずはシャッターが切れません。
正確にいうと巻き上げてレリーズすると
「カシャン」と動作音はしますが
シャッター羽根はピクリとも動きません。
その動作音もシャッタースピードをどこに設定しても
同じ音しかしないようです。
レンズシャッター機定番のシャッター羽根固着かと思われます。
心配されるのはやはりセレン光電池なのですが
今回はまずは問題なく起電できているようです。
「S」の場合はSSリング、絞りリングに電気的に連動して
指針の振りが変わり指針が真ん中に来るように
SS/絞りリングで設定するわけなのですが
このタイプの露出計はリング側でブラシで接する
摺動抵抗の劣化が大きな問題になりがちです。
今回も摺動抵抗の汚れや劣化で若干不安定な動きを見せています。
特にミノルチナSや後継のALSあたりでは
この摺動抵抗が劣化してどうにも露出計が不安定な場合も多く
その場合は修理不可能になることも多々あります。
今回はそれほど悪い状態ではないと思われますので
ブラシ部のできる限りの清掃で対処いたします。
この点に関しては露出計がリング側と電気的連動をせず
追伸式の兄弟機「P」のほうがメンテナンス的には
不安要素が少ないです。

まだ現状を確認しただけの状態で
これから本格的に分解整備に取り掛かるところです。
まずはシャッターユニット及びその周りの整備から始めて
正常に動作する状態にしていきたいと思います。

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コニカⅢのカメラ修理

今日はまたネタにできるような
記念日のない日ですね…
それなら…と過去の6月23日に起きた出来事を調べてみると
1973(昭和48)年6月23日に
「自衛隊機乗り逃げ事件」なんてことが起きていますね。
飲酒した陸上自衛官が航空機に乗って飛び去り
機と一緒に行方不明になった事件だそうです。
これまた現在ではセキュリティ的にも考えられない事件ですね…
過去に火事が起きたときに格納庫に鍵がかかっていたため
機体が焼失してしまったこともあり
緊急時に着たいがすぐ出せるように
閂のみで鍵をかけないことが通例になっていたらしく
それが完全に裏目に出た感じです。
しかしこの事件、その後、機体のひとかけらも
もちろん行栄不明の隊員も現在に至るまで何も発見されていないのです。
燃料は1300km飛べるほどは積んでいたそうで
南に向かって飛んで行ったことは目撃されているものの
低空飛行だったせいかレーダーにも捕捉されていないそうです。
おそらく洋上で墜落かと思われますが
それにしても何も出てこないのも不思議ですよね…
酔った勢いでどこかに飛んでいきたくなったのでしょうか…
程度にもよりますが酔っぱらっているときって
素面の時には考えられないような行動に出ることがありますものねぇ
私もお酒は大好きですが
いまやそこまで深酒することはないとはいえ
泥酔しないように気を付けたいと思います…
今となっては笑い話程度ですが
過去に酔って何度かやらかした黒歴史もありますので…(苦笑)

さてさて

今日は「コニカⅢ」のカメラ修理を行っています。
コニカブランドとして初の35mm判カメラである
コニカⅠ(スタンダード)、Ⅱ、Ⅲと続いてきた
レンズ固定式レンジファインダー機シリーズの一員です。
Ⅲ自体は1956年の発売ですが
Ⅲの中でもいくつか種類があって
無印のⅢ、L1、L2、ⅢA、ⅢMが存在します。
今回はシャッターにセイコーシャMXLを搭載し
露出設定がこの当時に流行っていたライトバリュー方式に
変更された「L1」です。
今となってはライトバリュー方式の露出計等でも持っていない限り
通常の露出合わせのほうが使いやすいかとは思いますが
使い方に慣れてくると一定のLVを保持したまま
SSリングのみで絞りまで連動して露出設定を変更できることも
便利に感じる場面があるかとは思います。
ただ少し慣れは必要かもしれません。
もちろん普通にSSリングを動作して
絞り設定は別で変更もできるので普通の使い方も可能です。
レンズはヘキサノン48mmF2を搭載します。
なんといってもこのⅢからセルフコッキングが搭載され
鏡胴から生えた大きなレバーをダブルストロークすることで
フィルムの巻上と同時にシャッターもチャージできるようになりました。
その後の時代では当たり前のことなのですが
Ⅱまではシャッターチャージとフィルム巻上は別動作で
多重露光防止機能はついていても
操作上のミスも起こりやすい機構でしたから
やはりセルフコッキング搭載は
一気に操作を簡単に行える大きな進化だと思います。

お預かりしている「Ⅲ」はいくつか問題を抱えた状態です。
まず巻上ができてレリーズは押せるものの
シャッター羽根は全く動きません。
レリーズすればまた次の巻上も可能ではありますが
これでは全く撮影できません。
レンズシャッターでは定番のシャッター羽根の固着だと思われます。
加えて巻き戻しクランクの手持ちクランク部分が欠落していて
さらに絞り設定レバーも基部から先が欠落していて操作できません。
欠落部品は部品取り個体から移植するしかないですね
ファインダー・レンズにもかなりカビが生えていて
全体的に曇ってしまっています。
多少のカビ跡は残りそうなレベルですが
できる限りの清掃で対処していきます。

がそうはまだ取り掛かり始めの段階ですが
レンズ・ファインダーに関しては全く問題ないほどに
クリアに清掃することができました。
これであれば実際の撮影にも問題なく
快適に使っていただけるレベルです。
シャッター羽根の固着は羽根洗浄で
こちらも快調に動作するようになりました。
シャッター羽根がこれだけ固着しているほどなので
当然、絞り羽根にも油滲みがあり
若干の粘りが出ている状態だったのですが
Ⅲの場合はこの絞り羽根の粘りがかなり要注意です。
他のカメラで搭載されているセイコーシャMX系では
それほど意識することはないのですが
このコニカⅢの場合は比較的軽微な粘りで
絞り羽根が外れてしまう場合が多いのです。
場合によっては絞り羽根を止めているピンが破損するので
取り扱いには細心の注意が必要です。
今回も入念に清掃を行った上で
絞りの動きを何度も確認し
スムーズに動作する状態に整備しています。
あとは細かな調整を行いつつ再組立てして
最終的に完成に仕上げていきます。

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ニコンFEのカメラ修理

今日は「ボウリングの日」だそうですよ。
1861(文久元)年のこの日付の英字新聞
「ザ・ナガサキ・ショッピングリスト・アンド・アドバタイザー」に
長崎出島の外国人居留地に日本初のボウリング場が
開設されたと掲載されたことにちなんだものだそうです。
じいさんがボウリング好きで、そのうえめっちゃ上手くって
私が幼い頃にマイシューズ、マイボールでアマチュアのボウリングの大会に出ては
いろんな景品を取って帰ってました。
家にボウリングの玉たなぜかピンまであって
2歳の頃には球を転がして遊んでいる写真が残っています。
で、5歳の頃にはボウリング場に連れていかれました。
もちろん普通に投げることなんてできず
両手で転がすだけなのですが…(笑
小学校高学年~中学生くらいまではじいさんと普通に
ボウリングに良く行ってました。
当時は消しゴム付きの鉛筆で自分でスコアつけるんですよ~
高校生のときにも学校さぼって友達とよく行きましたねぇ
大人になってからももうあまり身体がうまく動かせなくなった
じいさんを連れて行って1ゲームだけ一緒にやったりしてました…
もう晩年でしたね…
というわけでボウリングは結構思い出の中に頻繁に登場します
もう十数年行っていませんが…昔はそこそこ上手かったです!
そういえば中学生くらいの頃にボウリングシャツも流行っていました。
当時流行ってたのはフルオープンで背中の両サイドに
アクションブリーツが入ったタイプ…懐かしいですねぇ

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
FEもコンスタントに修理依頼のあるカメラです。
前身のニコマートELの時代だと
まだまだ初期の電子制御で不安定な要素も多かったですが
FEになると動作的にも非常に安定していて
信頼性も格段にアップしています。
加えて適度にコンパクトな外観となり
視認性の非常に良いファインダー表示と合わせて
とても万能的に使いやすいカメラに仕上がっています。
兄弟機で機械制御シャッターを搭載する
FMがその信頼性から昔から非常に人気が高く
それに比べるとFEは少し地味な印象ですが
FMのLED露出計こそ修理不能なる可能性は高いですし
電子制御にまつわるトラブルはFEにおいては
非常に少ないと思います。
(分解品や水没品・ショック品は例外)

今回お預かりしている「FE」も電気的には問題はなく
機械的な問題を抱えています。
ミラーチャージロック周りの動きが古い油脂や汚れで
動きが悪いらしく
チャージロックがうまくいかずに
巻き上げた瞬間にシャッターが
そのまま切れてしまうという症状が頻繁に出ます。
この状態で実際にフィルムをセットすると
おそらく半分もまともに撮れないまま
フィルムが終わってしまうのではないかと思われます。
このフィルムの高いご時世にこれはいただけません。
加えてシャッター羽根の動きも少し悪いようで
高速シャッターの精度不良が出ています。
1/1000はなんと1/4000近くまで出ていて
(要はスリットが閉じる目前)
そのうち全く開かなくなる状態に陥りそうです。

画像は取り掛かり始めのモノですが
これから分解整備を進めて一通りの整備を行っていきます。
電子制御機は数多くある接点やマグネットの吸着部の清掃整備が
必須なのでそのあたりも入念に行っていきます。
羽根清掃でSSの問題も改善するとは思いますが
最終的に電気的な微調整で精度を確保していきます。
その際にもちろん露出計やオート制御の調整も行っていきます。
電子制御器とはいえまだ液晶搭載とかはなく
機械的な連動も適度に残っているカメラです。
整備性もニコンらしく非常によく考えられていて良好です。
個人的にも好きなカメラの一つです。

ミノルチナPのカメラ修理

今日は「夏至」なのですが
それだと普通なのでちょっと置いておいて
今日は「スナックの日」なのだそうですよ。
ここでいう「スナック」は
地方にありがちなおもろいママさんがやっている
こじんまりした飲み屋のことではなく
「スナック菓子」のことですね。
なぜ今日がスナック菓子の日なのかというと
「夏至」のお祝いに「歯固め」と称して
正月の餅を固くして食べる習慣があったことに由来するのだそうです。
いや…スナック菓子でそんなに固いものは
少ないような気もしますが…(苦笑)
サクサクと歯切れの良いものが多いですよねぇ
ポテトや豆類やトウモロコシなどを
油で揚げたものが多いのですが
炭水化物+油分なのでこれまた太るし血糖値も上がるので
私にとっては大敵です。
でもこれがまた美味しいのですよ。ビールに合いますし…
「乾きもの」や「おかき」と称して
それこそ飲み屋のスナックのつまみにも定番です。
夜中の帰り道にコンビニやスーパーによると
ついついビールやレモンサワーと一緒に
スナックに手が伸びるので本当に気を付けなくては…(笑
そういえばスナック菓子からは少し外れるのですが
「柿の種チョコ」がたまに無性に食べたくなるのですよねぇ
それもなぜか夜中に…
これこそカロリー+糖質のかたまりでかなりヤバいのですが
好きなんだからしょうがないです
まぁ少量をたまにならいいとは思いますが…(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルチナP」のカメラ修理を行っています。
1964年発売のコンパクトカメラです。
この時代のミノルタのレンズ固定式カメラというと
主力は1961年から発売開始された「ハイマチックシリーズ」で
1964年というと「ハイマチック7」が販売されて好調だった時期です。
60年代のハイマチックと言えば「コンパクト」とは
少し言い難い大柄なモデルで大口径レンズ搭載のカメラです。
でも当時としてはカメラは
「少し大柄でずっしり重量感のあるほうが高級感がある」という時代で
逆に同じような機能でコンパクトさを売りにした
「ミノルチナ」シリ―ズは販売的にはかなり苦戦していました。
ミノルチナはいわゆるマニュアルで大口径レンズの「S」と
手動プログラムシャッターの今回の「P」の2本立てですが
どちらも現在でも通じるデザインの良さとコンパクトさが
セールスポイントのカメラです。
現在の価値観だとミノルチナは
結構な人気モデルになったと思うのですが…
今回の「ミノルチナP」は先程も少し触れましたが
プログラムシャッターを搭載したカメラです。
絞りとシャッタースピードの組み合わせは
カメラ側にお任せでセレン光電池使用の露出計指針に
シャッター設定指針を合わせることによって
露出を決定しシャッターを切る仕組みです。
プログラムシャッターなので絞りとシャッタスピードの組み合わせは
任意には選べませんがシャッター設定リングを回すと
連動してリング上に「LV値」が表示されるので
露出計の値に関わらず手動で露出をコントロールすることは可能です。
レンズはロッコール38mmF2.8で
ピントは目測式です。
レンズも小さくレンジファインダも備えないので
非常にコンパクトにできたカメラです。

お預かりしている「P」は
シャッターは動作しているものの
絞り羽根がF8あたりで固まってしまっていて
設定リングをどこに設定しても全く動きません。
プログラムシャッターだと
シャッター羽根と絞り羽根が兼用されている場合も多いのですが
「ミノルチナP」に搭載されるシチズンPシャッターは
絞り羽根は独立して存在します。
そのためSS1/30固定の「フラッシュモード」だと
独立して任意の絞り値に設定することも可能なのですが
その場合でも絞り羽根は全く動かない状態です。

まずはその絞り羽根の状態を確認するため分解を進めていきます。
画像は取り掛かり始めの段階のものですが
かなり強烈に絞り羽根は張り付いて固着している状態です。
絞り羽根がこれだけ固着しているので
やはりシャッター羽根側にも粘りが少しあるようです。
いずれにしてもシャッターユニットの一通りの整備が必要です。
加えて部品の経年劣化もあり
シャッターチャージが上手く完了せず
巻き上げた瞬間にシャッターが切れてしまう現象が
ある一定の条件下で頻繁に起こることが発覚しました。
これも一通りの整備の中でチャージレバーの調整で対処していきます。

「ミノルチナP」自体がそれほど現存数の多いカメラではないのですが
これはその中でも数の少ないブラックボディです。
「ミノルチナP」というとシルバーのイメージなので
ブラックはなかなか新鮮ですね。

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キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「元号の日」だそうですよ。
645年(大化元年)のこの日に
蘇我氏を倒した中大兄皇子(後の天智天皇)が
日本初の元号「大化(たいか)」を制定したことが由来となっています。
現在の元号は「令和」ですが
これまでに248の元号が定められているのだそうです。
個人的な感覚ですが私が幼い頃は和暦(当時は昭和)のほうが
ピンときたものですが
今はもはや西暦のほうがわかりやすいですね。
平成の頃からまず西暦が頭に浮かんで和暦に変換する感じでしたが
令和になってさらにわかりにくくなってしまいました。
まぁこれは私が単に歳食って鈍くなったからでしょうね(苦笑)
私が過ごした期間としては「平成」が30年間で最も長く
昭和は20年弱なのですが
多感な時期を過ごした「昭和」のイメージが
より濃く残っているような気がします。
社会人になった次の年に「平成」になったのですよねぇ
もう「昭和」も二つ前の元号…ということは
私が幼い頃だと「昭和」の二つ前は「明治」…
そうイメージするとそりゃとんでもなく昭和って昔ですね!
なんだか実感できました…(笑
私の幼い頃に「明治生まれ」の方って曾祖父ですもの
(まだ令和は5年なので直接比べられないですが)
次の元号を見ることはまずないですから
令和をいつまで見ていられるのでしょうかねぇ…

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
最近、「F-1」の修理依頼多いですね。
「F-1」の登場は1971年、昭和46年ですね。
この「F-1」の登場によってキヤノンは一眼レフの分野でも
トップメーカーに躍り出て
ライバルであるニコンとのその後の熾烈な「2強時代」を
フィルムカメラ終焉の時代まで続けていくことになります。
「F-1」の直接のライバルは「ニコンF2」ですが
本質的な部分は「過酷な状況でも撮影を遂行できること」を
両者とも目指していて加えて
「どんな撮影にもフレキシブルに対応できる
交換レンズを含むシステム性」という部分でも共通しているのに
デザインを含むキャラクター性では
こんなに正反対なのがまたなんとも楽しいですし興味深いですね。
どちらも基本的構造はしっかりできているカメラで
堅牢性を売りにしているだけあって
ひとつひとつの部品のクオリティや精度も非常に高いです。
ただ、さすがに登場から50年経過する機械ですので
そのままでは各部の動きの悪いところや
経年劣化でそのままでは使えない部分もあり
一通りのメンテナンスはいずれの個体でも必要だと思います。

お預かりている「F-1」いわゆる前期モデルです。
露出計も含め一応、一通りは動作できてはいるのですが
やはり動きの悪い部分や電気的な接触不良も起きています。
このあたりは長い年月を経過しているので当然ではあります。
まずはスローガバナが完全に固着しています。
そのため1/15~1秒のスローシャッター時には
シャッターが開いたままで固まってしまいます。
SS設定を1/30以下に設定すると見た目には通常に動作します。
スローガバナは簡単に言うとゼンマイ仕掛けなので
どのカメラでも比較的固着の起こりやすい箇所です。
スローがこんな状態ということは
当然ながら幕軸の動きもあまりよろしくはなく
高速シャッターも一見問題なさそうですが
測定器で計測してみるとかなり先幕後幕のバランスが崩れています。
もう少しで1/2000、1/10000だと
スリットが完全に閉じてしまいそうな状態です。
巻上周りやミラー駆動部も含め機械的駆動部は
本来のスムーズな動きができるように整備が必要です。
露出計も動作してはいますが精度は出ておらず
加えて挙動も不安定です。SW周りで接触不良もあるようです。

F-1でもプリズム腐食は比較的多くみられます。
今回は視野のほんの端っこにわずかにみられますが
大きな腐食はないようです。
まずはボディ側から整備を行いますが
あとでファインダー側も分解し
おそらくはそのまま放置されてると思われる
プリズム上に鎮座する大きな座布団モルトを撤去しないと
そこから腐食が始まってしまいます。
まだ取りかかかったばかりですが
まずはボディ側の分解整備を進めて
シャッター、巻上、ミラー駆動部、露出計周りの
整備を行っていきます。

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リコーFF-1のカメラ修理

今日は「おにぎりの日」なのだそうですよ。
1987(昭和62)年11月に当時の鹿西町内の
杉谷チャノバタケ遺跡の竪穴式住居跡から
日本最古の「おにぎりの化石」が発見されています。
「鹿西」の「ろく(6)」と、毎月18日の「米食の日」から
この日を「おにぎりの日」と制定したのだそうです。
発見された「おにぎりの化石」は
弥生時代中期のものと推測されています。
2000年前あたりということでしょうか。。。
そんな昔から米食があっておにぎりがあったのですねぇ
自分でおにぎりを握ることは最近は少ないですが
(登山に頻繁に行っていた頃はよく作って持っていきました)
たまに炊き立て熱々の具も何もない「塩むすび」を
食べたくなるのですよねぇ
熱々すぎて握るのも結構大変ですが美味いのですよ
子供の頃はばあさんまだ羽釜でご飯炊いていたのですが
この炊き立てのお米で握ってくれる「塩むすび」が
とにかく無性に美味しかった記憶が残っていて
その記憶を追っているのかもしれません。
記憶の味はもはや美化されている部分もあるでしょうから
私が自分で少々工夫してもあの味には届かないとは思いますが…
でも炊き立てご飯の「塩むすび」が美味いのは間違いないです。
ひさびさに明日の朝飯で握ってみようかな…

さてさて

本日は「リコーFF-1」のカメラ修理を行っています。
「FF-1」ひさしぶりですね。数年ぶりのご依頼ではないかと思われます。
1978年発売のコンパクトカメラです。
できるだけ持ち運ぼにもコンパクトなサイズにするために
鏡胴を折り畳み式にしたカメラです。
シャッターは電子制御のプログラムシャッター
当然、露出制御もプログラムオートです。
フラッシュ使用時にのみ絞り設定ができるようになっています
(その場合、SSは1/30固定)
ファインダーはアルバダ式でピント合わせは目測です。
ピントリングには3m設定の位置に◎マークとクリックがあります。
その位置にしておけば日中晴天時ならばほぼパンフォーカスで
撮影できるということですね。
気軽に持ち歩けて簡単に素早く撮影できることに特化したカメラです。
搭載レンズはリケノン35mmF2.8です。

このカメラは電池が入っていないと
シャッターを切ってもシャッター作動音はするものの
シャッターが実際は開かないというカメラなのですが
今回、お預かりしている個体は
電池を入れて電源も入っている(LED動作ランプも点灯する)のに
実際にシャッターを切るとシャッターが開かないトラブルを抱えています。
FF-1に多いトラブルとして同じような症状で
シャッターユニットリンク部の固着というパターンがよくあるのですが
その場合はシャッター制御に関係なく
同じような動作音がします。
しかいながら今回は受光部にあたる明るさに応じて
シャッターを制御しようとしてシャッターの作動音も変化しています。
それでいてシャッター羽根は実際には開かない…といった状態です。
…となると単純に羽根固着なのか…もう開けてみないとわかりませんね。

まずはシャッター羽根回りの様子が
ある程度確認できるところまで
分解してみて動作を確認しています。
羽根固着ではなさそうです。
マグネット自体は動作しているようなので
羽根駆動部に何かしらの問題を抱えているようです。
整備性は正直いって良くはないカメラなので
これはなかなか苦労するかもしれません。
焦らずに集中してできるところから
原因をさらに探っていきます。

ところで今回の「FF-1」はシルバーなのですが
これは結構めずらしいですね。
シルバーが存在することは知っていましたが
実物は初めて手にしました。
発売している当時はブラックとシルバーが
普通にラインナップされていたらしいのですが
シルバーは残念ながら当時人気がなく
生産数も非常に少ないらしいのです。
今となっては逆にレアアイテムなのだと思います。
貼り革の模様もブラックとは異なります。
なかなかこれはこれでいいですね。

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プリモフレックスのカメラ修理

今日は「和菓子の日」だそうですよ。
いいですよねぇ…和菓子…
甘いものは全て好きですが
餡子が特に好きなので
和菓子には大好物が多いです。
気軽にスーパーやコンビニで買える
大福やどら焼きで充分です。
甘い餡子入りの和菓子に濃い目のお茶か
コーヒーでとても幸せな気分になれますね(笑
餡子入りの和菓子と言えば
私の地元の名物に「いが餅」と呼ばれるものがあって
秋祭りの日には出来たて熱々のものが
地元であればあちこちで手に入るのですが
これが美味いのですよ…
見た目にも上面に色とりどりのもち米が付けられていて
見た目にも楽しいのです。
もう何十年と口にした覚えがありません…
時間が少したって冷めても美味しいのですが
どうせならできたて熱々のいが餅が食べたいですねぇ
祭りの日当日だけいが餅のためだけに
呉に帰省しようかな…とここ数年毎年考えるのですが…
今年こそ実行してみようかな…
こんなこと書いてたらいが餅のことで
頭がいっぱいになってきました(苦笑)
いずれにしても秋口なってから考えましょう…

さてさて

本日は「プリモフレックス」のカメラ修理を行っています。
東京光学から発売された二眼レフですね。
「プリモフレックス」にもいろいろなタイプがあるのですが
どれも今でも人気の高い二眼レフです。
プリモフレックスに限らずこの時代のカメラは
シリーズ名しか刻印されておらず
どのタイプか判別するのがなかなか難しいのですが
断言できるほどの資料も自信もないのですが
おそらく今回の「プリモフレックス」は「ⅢA」かと思われます。
最大の特徴はフィルム装填がスタートマーク合わせ式の
セミオートマットとなっている点で
それに加えてレンズフィルター枠がバヨネットではなく
独立したセルフタイマーレバーもありませんので
「ⅢA」かと思われます。
シャッターユニットはレクタスでさ1/500~1秒・Bまでカバーします。
レンズはトーコー7.5cmF3.5です。
ファインダースクリーンにはこの時期の「プリモフレックス」の
特徴でもある「トーコーブライト」と名付けられた
明るいフレネルレンズが組み合わされています。
シャッターチャージはシャッターユニットのレバーで行い
レリーズは独立したレリーズボタンで行います。
さすがにセルフコッキングは装備されませんが
この時代の二眼レフとしてはかなり高機能で
非常に使いやすいカメラです。

お預かりしている「プリモフレックス」は
おそらくかなり長い間使われずに
しまいこまれていたものかと思われます。
それでも保管状況はそれほど悪かったようではなく
外観や付属のケースも非常にキレイな状態です。
たださすがに何十年もの経年劣化は逃れられるものではなく
レンズ・ファインダーにはかなりのカビや汚れが付着しています。
ファインダーミラーも劣化でかなり曇っています。
これではさすがのトーコーブライトでも
ファインダーの見えは非常に悪く
とてもピント合わせのできる状況ではありません。
当然テイクレンズにもかなりのカビが発生しているので
写りにも悪影響があると思われます。
シャッターは何とか動作しているのですが
やはり粘りが見られます。
現状を確認するために整備前に何度かシャッターを切ったのですが
その間にシャッターが全く開かない状況になってしまいました。
単なる羽根固着ではなく駆動部にも動作不良があるようです。

いずれにしても全体的に整備が必要です。
画像は整備に取り掛かる前の
現状確認だけを行った時点でのものですが
こう見ても外観は既になかなか良い状態なのがわかります。
あとは本来の軽快な動きを取り戻せるように
各部の清掃整備を入念に行えば
快適に使っていただける状態になると思います。
このプリモフレックスはご依頼者様のご自宅で
使われずに眠っていたものだということで
ご依頼者様もこのカメラは使ったことがないそうです。
1950年代のカメラでの写真撮影を
存分に楽しんでいただけるように
しっかり整備して仕上げていきたいと思います。

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オリンパストリップ35のカメラ修理

今日は「生姜の日」だそうですよ。
生姜湯とか身体に良さそうですし
温まりますよねぇ
たまに冬場に無性に飲みたくなります。
これからの季節も生姜の出番は多いですよね
冷ややっことか素麺とかで…
練り生姜でお手軽に済ませてはしまいますが
冷ややっこには生姜とネギとポン酢ですよねぇ
どれが欠けても食べる気がなくなるほどです。
ご飯のおかずとしても合いますし
晩酌のお供としてもいいですし
…よく考えたら私、割と1年中結構なペースで
お豆腐(木綿)食べてますね。
夏は冷ややっこ、冬は湯豆腐で…
そしてこれまた結構なペースでポン酢も消費しています。
生姜は冷ややっこのときだけですが…
お豆腐のあのほのかな甘みが好きなんですよねぇ~
あ、でも生姜と言えば
やはり豆腐より魚料理の付け合わせですよね…
カツオやアジのたたき、しめサバ、お寿司のガリ…
そういえば長らく寿司なんて外で食べてないなぁ
(たまにスーパーのパックで買うくらい)
そんな高級なヤツでなくていいから
たまには寿司食べに行きたいですねぇ…

さてさて

本日は「オリンパストリップ35」のカメラ修理を行っています。
小旅行に気軽に持って行けるカメラという由来で
「トリップ」の名がつけられています。
その名の通りコンパクトで気軽に使えるコンパクトカメラです。
構造的にはハーフ判のペンEES-2をそのまま
35mm判にしたような造りになっています。
ピント設定は目測3点ゾーンフォーカスとし
露出はセレン光電池使用の露出計と連動した
プログラムオートです。
露出計の指針は見えない部分にありますが
指針を挟み込みことによって
2速のシャッタスピードと絞りを決定します。
開けてみるとよくわかるのですが
典型的な指針挟みこみ制御が非常にわかりやすく配置されていて
効率よく制御されているのがよくわかります。
セレン光電池使用なので電池も不要です。
露出計が動作しないような光不足の場合には
ペンEEシリーズでもおなじみの
赤ベロがファインダー内に出てきてシャッターレリーズもロックされます。
この機構とレンズを囲むように配置されたセレンのおかげで
うっかりレンズキャップを付けたまま構えてしまっても
そのままシャッターを切ってしまうことはありません。
逆にフィルム装填時の空写し等で
キャップを閉めたままシャッターを切りたい場合には
露出制御をフラッシュモードにすればシャッタを強制的に切れます。
少し話がそれますがフラッシュモードの話が出たので
少し補足しておくとトリップ35のフラッシュモードは
あくまでも露出計が動作しないような暗い中で
フラッシュを使うためのモードです。
明るいところで1/30固定マニュアル的には使えません。
詳細を書くと長くなるので割愛しますが
明るいところで露出計が動作していると
そちらの制御が優先となってしまい
フラッシュモードで絞りを設定していても
その絞りまで絞れない場合もありますので注意が必要です。
トリップは基本的に明るいところでは
オートで気軽に撮るカメラということですね。

構造もシンプルなカメラなので
セレンの劣化を除けば致命的なトラブルは少ないカメラともいえますが
絞りやシャッターの固着や粘りはやはり多いといえます。
ただ今回お預かりしているトリップは
若干の羽根粘りはありますが
それよりもスプールが巻き上げても全く回らなくて
フィルム巻上ができない状態になっています。
フィルム巻上は多くのカメラで
主にスプロケットの歯で行われて
スプロケット歯の大きな力でで巻き上げたフィルムを
比較的小さな力で回るスプールが巻き込んでいくという形になるのですが
スプールが全く回らないとさすがに巻上は空回りしていしまいます。
今回も案の定、ほぼすべてのコマがかぶってしまって
当店に修理に持ち込まれたという状況です。

まずは巻上周りがどんな状況か確認するために
レンズユニットおよびシャッターユニットを
ごっそり外します。ファインダーや露出計も一緒に外れます。
この画像の後でカウンター部を外すのですが
そうするとスプール上部がすべて見える状態になります。
予想はしていたのですが
スプール連動の歯車が大きく3つに割れてしまっている状態でした。
ここのギアはプラスチックなので
もともと劣化して少し脆くなっているところへ
何かの要因で大きな力が加わったのかと思われます。
スプール軸ごと中古良品と交換することで対応します。
巻上の修理整備がある程度終わったら
続いて少し粘りの見られるシャッターや絞りの整備を行い
レンズ・ファインダーの清掃を行い
露出計オートの調整を行っていきます。

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ミノルタSR-Tスーパーのカメラ修理

今日はなかなかピンとくる記念日のない日です。
で、外はまさに梅雨真っ盛りで
今日もしとしとと梅雨らしい前が降っています。
ゲリラ豪雨みたいな土砂降りは本当に困るのですが
しとしとと降る雨は室内から見ている分には
嫌いではありません。なんだか静かで良いですね。
ちょっと蒸し暑いのが嫌ではありますが…
ところで「梅雨」と呼ぶ由来って何だろう?と思って
少し調べたのですが
これも諸説入り乱れていてはっきりしないのですが
梅の実が熟す5〜6月頃に降る雨であることから
「梅」と「雨」で「梅雨(ばいう)」と呼ばれるように
なったと言われることが多いです。
これは私も聞いたことがありますね。
一方でこの季節に気温が上がり雨が降って湿度が高くなることから
カビが生えやすい時期のため「黴(かび)」と「雨」で
「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、カビと聞くと聞こえが悪いので
同じ読みの「梅」を使い「梅雨」と読むようになったという説もあるそうです。
でもこれは両方とも「ばいう」の起源ですね
「つゆ」はというと
雨が多く降り、枝先や葉っぱについた「露(つゆ)」から
由来している説や
カビが生えやすい時期のため
梅の実が腐ってしまうことから「潰(つい)ゆ」といわれていましたが
呼び名が徐々に変化し「つゆ」と呼ばれるようになったともいわれています
ではなぜ「梅雨」=「つゆ」になったのかはよくわかっていないようです。
梅雨(ばいう)前線と言ったり「梅雨(つゆ)」と読んだり
日本語はややこしいですよね…

さてさて

本日は「ミノルタSR-Tスーパー」のカメラ修理を行っています。
大ヒット&ロングセラーとなった「SR-T101」の後継機…とも言えますが
SR-Tスーパーが出てからもSR-T101は併売され続けているので
ヴァージョンアップモデルといったポジションかと思います。
1973年発売のカメラです。
シャッター、ミラー駆動部、巻上周りといった機械的基本部分は
ほぼSR-T101と同じです。露出計回路や構造も同様です。
使い勝手の部分でいくつかの変更点があり
設定レンズ絞りがファインダー内で確認できるようになりました。
いわゆる直読式でレンズの刻印をそのままファインダー内に映し出します。
それに伴ってペンタ部のデザインも変更になっています。
そしてスクリーンがスプリット/マイクロプリズム式に変更になっています。
加えてアクセサリーシューが接点付きのホットシューになりました。
変更点はそのくらいだと思います。
これでSR-T101と二本立てのラインナップになり
後にさらにマイナーチェンジされ、それぞれ「SR505」「SR101」になるわけです。
SR-Tスーパー&SR-T101になってからも発売は
輸出も含めて好調だったようで今でも現存個体数は多いと思われます。
やはり基本がしっかりできているカメラはロングセラーになりますね。

お預かりしているSR-Tスーパーは人気のブラック塗装で
なかなか外観もキレイな個体です。
露出計も含めて一通りは動作してはいるのですが
細かくチェックしていくとそれなりに問題を抱えています。
まずご依頼者様からもご指摘いただいていますが
低速シャッター時にほぼ間違いなくミラーアップしたままに
なってしまいます。
次に巻き上げればとりあえずはミラーも降りてくるという
SR-T系ではよくあるパターンのトラブルです。
ミラー駆動部の動作不良ではなく
シャッター後幕の動作不良が原因で
最後まできちんと走りきらないから
後幕走行完了時にリンクするミラーダウンレバーを
うまく蹴れないことが原因です。
後幕の走行不良があるということは
見た目にはわからなくても当然ながら
高速シャッターにも影響が出ていて
シャッター走り始めの露光量と
走り終わりの露光量にかなり差が出てしまっています。
測定器で測ってみると
最も差が出る1/1000時には写真両端で1.5段ほどの差が出ます。
空とか白っぽい壁が背景だとはっきり影響が出ると思われます。
露出計も動いてはいますが精度は全く出ていません。
おそらくハンダ不良等の影響があるもののと思われます。
やはり全体的に整備が必要な状態です。
製造から50年経っているのでさすがにこれはしかたがないですね。

基本的構造がしっかりしているカメラで
部品も丈夫なカメラなので
一通り手を入れればまだまだ調子よく使えるカメラでもあります。
連動糸が多いので分解には少々気を使いますが
整備性も悪くはありません。
ただこのカメラも内部モルトがファインダー周りの多いカメラです。
分解時にはこのあたりの処置は必須です。
ただプリズム周りにはないのはいいですね。
モルトを原因とするプリズム腐食はないカメラです。
まだ取り掛かったばかりですが
これから入念に各部の整備を行っていきます。

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