月別アーカイブ: 2018年5月

ネッター515のカメラ修理

5月4日、「みどりの日」ですね。
今日は他にも記念日がたくさん設定されていて
「植物園の日」、「ラムネの日」、「競艇の日」
「エメラルドの日」、「ノストラダムスの日」
「うすいえんどうの日」、「名刺の日」
「スターウォーズの日」。。。等々。。。。
うーん、とりあえずラムネ飲みたくなってきました(笑)

さてさて

本日は「ネッター515」のカメラ修理を行っています。
日本では「セミネッター」とも呼ばれていたそうです。
ツァイスイコンのカメラです。
上級機であるイコンタをシンプルにしたようなモデルですね。
ネッターにはフィルムサイズによって
色々なモデルがあるのですが
今回は645サイズで撮影するモデルです。
発売は1934年と云われています。
目測ピントでフィルム装填は赤窓式
セルフコッキングもなく二重露光防止装置もない
シンプルな構造です。
この時代だと当たり前でもあったのですが
逆に壊れるところも少なくて
構造も理解しやすく今となっては良いかもしれません。

フォールディングカメラ(スプリングカメラ)なので
畳んでしまうと非常にコンパクトです。
ポケットからこれがスッと出てきてたら
とてもオシャレな感じがしますよね。
レンズは7.5cmF4.5、シャッターはクリオで
1秒~1/175、B、Tを備えます。
お預かりしているネッターは
シャッター動作機構固着のためシャッターが
切れない状態でした。
セルフタイマーも装備されているのですが
それも固着していました。
シャッターユニット以外はシンプルな造りなので
整備はシャッターユニット部分に集中します。
レンズはやはり年相応の腐食痕等が若干残りましたが
かなりキレイに清掃できたと思います。
全ての動作部分の清掃・注油を行い、
快調に動作するようになりました。

ところで。。。フィルム装填が赤窓式なのは
前述しましたが、ここにもこの時代ならではの
工夫が見受けられます。

フォーマットは645のみのはずなのに
赤窓は二つ装備されています。
おまけに645としては赤窓の位置もおかしいですよね。
これは当時の120フィルムの裏紙には
まだ645用の番号は印刷されていなかったため
苦肉の策で6x9用の番号を使って
フィルム巻上を行うためなのです。
まずは左の窓に6x9用の「1」が出るまで巻上げ1枚目を撮影します。
次に右の窓に「1」が出るまで巻上げ2枚目を撮影します。
次は左の窓に「2」、その次は右の窓に「2」。。。。。というふうに
カウントして「8」が右の窓に来たときが
18枚目で最後のコマといった具合です。
慣れてしまえばそんなに迷わないと思います。
それよりも二重露光だったり、このコマでシャッターを
切ったかどうかの判断のほうが迷うことが多いと思います。
(これは赤窓式ならどのカメラでも迷いがちですよね)

ちなみにこれは現在の120フィルムの裏紙部分です。
(クリックすると拡大されます)
上から645判、6x6判、6x9版の数字が印刷されています。
セミネッターが発売されていた当時は
この645判の番号がなかったのですね。
中判カメラを使っている方でもオートマット(巻止め)が
あるカメラを使っているとこの番号を意識することは
なかなかないかと思います。
逆に赤窓式を使っている方は馴染みのある番号ですね。

少々慣れが必要な部分もありますが
この時代のカメラを使って写真を撮るというのは
非常に趣き深いことだと思います。
今回のネッター515のオーナー様にも
気持ちよく撮影に使っていただければと
私も楽しみにしています。

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ペンタックスMXのカメラ修理

今日は「憲法記念日」で祝日ですね。
GW真っ只中です!
GWってひと括りにしてしまうせいか
何日が何の祝日かピンと来ないような気もしますね。
みどりの日の変更とかもありましたし。。。
今日は5・3ということで「ゴミの日」でもあるそうです。
今や分別するのは当たり前の時代ですし
ちょっとしたものでも「粗大ゴミ」扱いで
なかなか普通には持って行ってもらえないものが多くなりました。
まぁ、これも時代の流れで仕方がないのですが。。。
昔は「ガレキの日」なんてものがあって
今、考えると「いや、それは粗大ゴミでしょ?」と言うものも
普通にゴミに出してたなぁ。。。(汗)

さてさて

本日は「ペンタックスMX」のカメラ修理です。
毎月、1度は必ずここに登場するカメラですね。
1976年発売開始のモデルです。
いわゆる「ペンタックスMシリーズ」の最初のモデルですが
「Mシリーズ中唯一の機械制御シャッター機」です。
純粋な機械制御シャッターという意味では
ペンタックスではこれが最後のモデルとなります。
(LXはハイブリッドシャッター)
「Mシリーズ」はシリーズ全体として小型化が推し進められ
このMXもかなり小さくできています。

お預かりしている「MX」は
たまにミラーアップしたまま固着してしまうとのことで
当店に持ち込まれました。
「ME系」のミラーボックス内での部品固着とは違い
「MX」のミラーアップの原因は
かなり高い確率でシャッター幕走行不良が原因です。
比較的ミラーアップの起こりにくい
高速シャッターで測定してみると
やはり後幕のスピードがかなり遅いようです。
後幕がキレイに走りきらないため
ミラーダウンレバーを蹴ることができないのが原因です。

写真は一通り整備が完了した状態です。
どのカメラでも縦走りでも横走りでもレンズシャッターでも
シャッター周りの清掃・注油を行った場合は
数日時間をおいてから最終調整をしないと
シャッタースピードが安定しないものです。
それにしてもこのMXは油断ならないカメラで
安定するまで他のカメラより時間がかかるような気がします。
OM-1にしてもこのMXにしても
やはり横走りシャッターのコンパクトな一眼レフは
なかなかデリケートな部分も持ち合わせていると思います。

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