キヤノネットのカメラ修理

今日は「春一番名附けの日」だそうですよ。
諸説あるらしいのですが
壱岐郷ノ浦の漁師の間で春の始めの
強風を「春一」と呼んでいたのが語源らしいです。
今から150年以上も前から使われていた言葉なのですね。
1950年代あたりから全国的に使われる言葉になったようです。

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
キヤノネットというとG-Ⅲやニューキヤノネットが
修理に入ることが多いのですが
今回はちょっと久しぶりの初代キヤノネットです。
電池も必要なくシャッター優先AEで撮影できる非常に優れたカメラです。
このキヤノネットがキヤノン初の
レンズ固定型コンパクトカメラと言っていいと思うのですが
そのデビューは当時、相当インパクトがあったようです。
キヤノンの社員達が「自分達でも買うことのできるカメラを!」という
目標を掲げ開発したキヤノネットは
当時の最高レベルの性能を持ちながら非常に安価に発売されました。
発売直後、2週間分の在庫が数時間で売り切れてしまった等々
数々の伝説を持ち社会現象となったカメラでもあるのです。

前置きが少々長くなりました。。。
今回、お預かりのキヤノネットはまずシャッターが全く切れません。
おそらくシャッター羽根の固着だと思われます。
やはり心配なのはセレン光電池ですが
ファインダー内表示が全く動かなかったため
セレンはもうダメかな。。。と思っていたのですが
上カバーを外して直接露出計を見てみると
針はそこそこ振れています。
ファインダー内表示が固着しているようです。

巻上レバーも巻き戻しクランクもボディ底面にあるので
上カバー部は非常にスッキリしてシンプルです。
当時としてはダンピングを疑われるほど、安価で発売されたキヤノネットですが
外観、中身ともに安っぽさが全くありません。
整備していると工作精度の高さを感じる部分をあちこちで
見ることができます。
改めてキヤノンって本当にすごい会社だな。。。と感じます。

これから本格的に各部点検整備一式を行います。

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