オリンパスペンEEDのカメラ修理

今日は「LPレコードの日」だそうですよ。
もはやCDでさえ過去のものになりつつある時代ですが
私が高校生くらいまではまだまだレコード全盛期だったので
自宅には当時集めた(最近買ったものもありますが)
懐かしのレコードがたくさんあります。
LPレコード(直径30cm Long Playの略)は「アルバム」で
片面25分弱の収録時間ですね。(毎分約33回転)
そか…もうA面だとかB面だとかも通じない時代ですよねぇ
で、このLPレコードを録音するために
ほぼ同じ収録時間の片面23分の46分カセットテープなんてものもありました
うちにあるものはほとんどがLPレコードで
いわゆるシングルレコード(直径17cmのドーナツ盤)は少ないです。
ドーナツ盤の規格はEPレコード(Extended Play 毎分45回転)と呼ばれるものです。
(その中でも大きな穴の開いているものがドーナツ盤と呼ばれる)
Long PlayやExtend Playという元になるShort Play(SP盤 30cm毎分78回転)も
存在していたのですが1963年には生産が終了していて
現在ではなかなか見ることはないかと思います。
さらに12インチシングル(30cm 45回転)なんてものもあり
なかなかレコードの種類も馴染みがないとわかりにくいかもしれません
いまだにうちのレコードは現役で
しょっぼい安物のプレーヤーでこれまた安物のアンプを経由して
ほんの少しだけ良いスピーカーでたまに聴いています。
レコード針を落とすまでの一連の儀式とか(笑)
レコードクリーナーの独特の匂いが何ともたまらないのですよねぇ
音質だって悪くはありません。
レコードが今でも細々ではありますが生き残っているのだから
私の仕事も何とか生き残っていけるのかな…(苦笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンEED」のカメラ修理を行っています。
昨日のデミのブログでも触れましたが
やはりハーフカメラと言えば「オリンパスペン」が
一番メジャーな存在ですね。
ただし今回の「EED」はそんなペンの中でも
少々異端児的な存在です。
立ち位置としてはそのネーミングから
ペンEEのデラックス版といったところでしょうか
あるいはペンDの「EE版」といってもいいかもしれません
でも一連のペンDシリーズともペンEEシリーズとも
外観的には全く異なる佇まいで
「EED」は「EED」といった少々孤高の存在のような気がします。
他のペンシリーズのどれにも似ていない
直線的に真四角なデザインのボディで
ペンシリーズの中では比較的大柄です。
35mm判の小さいカメラ(例えばエレクトロ35MCとか)より
少し大きいような気もします。
露出は基本的にオートで撮影します
(フラッシュ使用時のためのSS固定絞りマニュアルのモードはあり)
セレン光電池を使用するペンEE系とはs異なり
電池+CdSで露出計を駆動します。
電池がないとオートではシャッターロックがかかり
シャッターを切ることはできません。
シャッターはプログラムシャッターで
シャッター羽根と絞り羽根は兼用です。
ちょっと資料がなく詳細不明ですが
同じオリンパスの35DCと同じ系列のシャッターかと思われます。
低速時に「シャコーン」と独特の動作音がするのも同様です。
レンズは32mmF1.7の大口径レンズです。さすが「D」ですね
でもペンD3の32mmF1.7とはまた異なるレンズなのだそうです。

お預かりしている「EED」は
まず露出計に電源が入らず全く動きません。
ということでオート時には常に赤ベロが出てしまい
全くシャッターが切れません。
加えてファインダー、レンズに大量のカビが発生しています。
オート精度がどうなのかは
まずは露出計が動く状態にしないとチェックすらできない状態です。
かなり長い間、眠っていたと思われる個体で
もちろんモルトも全滅です。
外装もかなりくたびれた感じです。
全体的に整備・修理・清掃を行い
リフレッシュさせてやる必要がある状態です。

写真は整備が一通り完成した状態です。
外装もピカピカになりました。
露出計が不動だったのは露出計からの配線が
電池からでるガス等によって腐食してしまい
全く電気を通さないことになってることが原因でした。
もちろん配線は交換し電池室裏の緑青等も
できる限り取り除き問題なく通電できるように修理しています。
加えてシャッタユニットの整備を行い
その上でオートの精度調整を行い
問題なく写真が撮れる状態になっています。
問題だったのはそれよりのレンズの状態で
かなりカビがレンズのコーティングに侵食しており
清掃等ではどうにもならない状態でした。
今回は部品取り個体から状態の良いレンズを移植した上で
調整することで対処しています。
ファインダーは問題ないレベルにキレイになり
見え心地は全く問題ないかと思います。
思っていたより苦労する箇所が多かったのですが
何とかご依頼者様に自信もってお渡しできる状態になりました。
これから良い季節なので
是非撮影をお楽しみいただければと思います。

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