キヤノネットのカメラ修理

今日は「おだしの日」だそうですよ。
だしは和食の基本です。
これがまた西日本と東日本で
考え方も素材も味も大きく異なって全く違うのですよねぇ
どっちも美味しいのですが
このあたりは好みや育った環境にも左右されるかと思います。
これだけ流通が発達した現在では
どこに住んでいてもどちらの味も好みで選べることが嬉しいですね
個人的には西日本育ちの私は
やはりあっさりめの昆布だしが好みです。
使う醤油も薄口醤油がいいですね。
実は最初にこっち(関東)に来た時のインパクトが強くて
いまだにこっちでうどんやおでんを食べるのを
避けてしまいがちなのです…
その反動でたまに帰省すると
うどんばかり食べてしまいがちです(笑
まぁこの歳になって「懐かしい味」を
やたらと追いがちなせいもあるのですが…
そろそろお鍋やおでんの美味しい季節です。
お休みの日とかに自分で出汁にこだわって
作ってみるのも楽しいですね。

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
キャノネットシリーズとしてもいろんな種類があり
最終モデルのG-Ⅲあたりが現在でも人気ですが
今回は記念すべき初代キヤノネットです。
キヤノン最初のコンパクトカメラとも言えますが
時代的に現在で考える「コンパクト」ではなく
少々大柄なカメラです。
45mmF1.9の大口径レンズを搭載し
セレン光電池使用の露出計を備え
シャッタースピード優先オートで撮影することができます。
露出計はオフになるもののマニュアル露出でも撮影可能です。
当然ながら距離計連動カメラです。
シャッターユニットはコパル製でB・1s~1/500をカバーします。
当時の一般向けカメラとしては最高峰ともいえる
性能を持ちながら当時の価格で18,800円という
価格破壊的な定価で発売され伝説的な大ヒットとなりました。
発売直後は2週間分と見積もっていた在庫が
数時間で売り切れ社会現象にまでなったそうです。
あらゆる意味でブレイクスルーなカメラであり
1950年代に雨後のタケノコのようにたくさんできたカメラメーカーが
カメラの低額化・高機能化に付いていけなくなり
多くのメーカーが倒産・撤退するきっかけとなったと言われています。
業界の一部からはダンピングだと指摘されるほど
驚きの価格設定だったわけですが
決して安っぽいカメラではありません。
それまでの手工業的生産からライン製造を効率化し
部品点数もできるだけ少なく仕上げて作られたカメラです。
当時の素材が限られているせいもありますが
構成する部品そのものは非常にしっかりと精度高く作られています。
当時のキヤノンの技術力の高さが垣間見えるカメラだと思います。

お預かりしている「キヤノネット」は
かなり長い間使われずにしまいこんであったものと思われます。
保管状況は決して悪くはなかったとは思われ
シャッターは若干粘りがあるものの
一通りは動作しています。
ただしケースに入れて保管していたせいか
湿気をため込んでしまったものを思われ
レンズ・ファインダーにはかなりのカビが発生しいて
とてもとても普通に写るとは思えない状態です。
露出計も動作しているもののファインダー表示は
正しい値の+3段あたりを指しており
セレンの劣化がかなり心配されましたが
実際に測定機でオートの精度を確認してみると
意外に絞り制御の数値は悪くないようです。
あとで分解してわかりましたが
ファインダー内指針の動きがかなり粘っていて
正しい値をさせなくなってしまっていたようです。
セレンの劣化だと対応しきれない可能性もあったので
少々安心いたしました。

画像は本格的に分解に取り掛かる前のモノで
上カバーを外しただけの状態です。
上カバー上にはレリーズボタンとフィルムカウンターしかありません。
巻上レバーも巻き戻クランクも全て底部に配置されます。
このすっきりした上カバーに筆記体でかかれた
「Canonet」の文字が何ともオシャレでいいと思います。
上カバーをあけるとゆらゆらと動く露出計本体の指針や
レリーズに連動する指針挟み込み機能、それに連動する
ファインダー表示、さらに光量不足時・光量過多時の
シャッターロック機構等が確認できます。
いつも思いますが非常によく考えられた構造になっています。
少し大きめのボディのため整備性も良好で
そのあたりも非常に優れたカメラだと思います。
この後で前板分離からシャッターユニット整備へと
本格的に分解整備取り掛かるのですが
シャッタユニットからボディ側への
SS伝達機構部等はかなり繊細な造りになっているので
注意が必要です。
これまで何度も分解整備を行ってきたカメラでもあるので
そのあたりはもちろん把握できていますが
油断せず細心の注意を払って整備を行っていきます。

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