ミノルタXEのカメラ修理

今日は「左官の日」だそうですよ。
「し(4)っく(9)い」(漆喰)と読む語呂合わせからだそうです。
いわゆる「左官壁」ですよねぇ
生まれ育った長屋の壁はほとんどがそうだったかと…
室内は特に隅とかが傷んでぽろぽろ剥がれ落ち始めると大変なんですよねぇ
今となってはそれも懐かしいですねぇ
土壁だけじゃなくて障子とかふすまとか
模様入りの曇りガラスとか木枠の窓や引き戸とか敷居とか土間とか…
みんな子供の頃には普通に周りにありふれていたものですが
最近はとんと見なくなってしまいました…
そう考えると実家の長屋は引き払わずに
借りたままにしておけばよかったかな…
いやさすがにそれは無駄使いか…(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
1974年発売のカメラです。
ミノルタXシリーズとしては
前年に発売されたフラッグシップのX-1に続いて第二弾となる
中級機に位置づけられるカメラです。
中級機とは言えフラッグシップのX-1とは明らかに性格も異なり
非常に力の入ったモデルかと思います。
何といってもライツ、コパル、ミノルタの3社で共同開発された
「コパルライツシャッター」を搭載し
その上品なシャッター音と非常に滑らかな巻上で
抜群の使い心地を実現したカメラです。
時代的に初期の電子制御シャッター機でもあり
正直なところトラブルも多いですし
その大柄で重いボディも時代を感じますが
現在でも根強い人気のあるカメラです。
電子制御トラブルも厄介なのですが
XEで一番問題になるのは何と言っても「プリズム腐食」です。
プリズムの前面と接する部分にモルトが貼ってあり
このモルトが加水分解を起こすことにより
プリズムの塗装や蒸着を剥がしていってしまいます。
腐食が進むとファインダー視野の下半分が真っ黒で見えない状態になります。
現存しているXEの多くはプリズム腐食を抱えていると見られ
XEのプリズムは特殊な形状の為
同時期の他モデル等からの移植もできません。
当店にもプリズム腐食のないXEのプリズムの在庫はございません。

お預かりしているXEは一見、ファインダー内はキレイなのですが
よーく見るとうっすら腐食が始まっているのがわかります。
今回、整備清掃のためにプリズムは降ろさざるを得ないのですが
降ろす際に傷んだモルトと一緒に
かろうじてくっついている蒸着を剥がしてしまうことも考えられるので
これ以上、腐食を進めないためにも
慎重に作業を行う必要があります。
余談ですが腐食の確認できない個体でも
プリズムを降ろす際にごっそり剥がれる場合もあります。
見た目には腐食してなくても剥がれる寸前だった…という状態ですね。
さらに今回のXEは他にもいろいろトラブルがあり
まず電子制御シャッターでミラーアップしたままになってしまいます。
これもXEの定番トラブルですが
原因はミラー周りの接点だったりそもそも電源が上手く供給されてなかったり
あるいはハンダ劣化だったり基板内トラブルであったりと
何通りかの原因が考えられます。
ちなみにこの症状が出ているときはシャッターが動作して
ミラーアップしたままになってしまいますが
この時にシャッターは動作しても開いてはいません。
さらに今回は動作確認のために
機械制御のB・Xで動作確認をしていると3回目のシャッターで
シャッターが開いたままで固着してしまいました…(苦笑)
まだまだそれに加えて定番の露出計大アンダーも抱えており
フルコースで整備・修理を行うことになりそうです。

まだ取り掛かったばかりでとりあえず先に
プリズムを降ろしてみたのですが
画像でも少しわかりますが
腐食がやはり始まっていますね…
これ以上進まないようにできる限りの処置を行い
プリズム前面の劣化したモルトは除去し
劣化しない材質のものに変更しておきます。
ここからは各接点等を確認しながら
慎重に作業を進めて
抱えているトラブルを直すことから取り掛かっていきます。

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ペンタックスMEスーパーのカメラ修理

今日は「灌仏会」、「花祭り」
お釈迦さまの生誕を祝う日ですね!
本当は日本ではクリスマスで盛り上がるよりも
春の到来と共にこの日で盛り上がる方が
正しい姿のような気がしますが…(苦笑)
個人的には宗教に全く興味がありませんし
特に信仰しているものもございませんが
仏教の国なのにお釈迦さまの生誕日があまりにも
認知度が低いのはちょっと寂しいような気がします…
お盆やお彼岸は年中行事として根付いているのに…(苦笑)
うちのじいさんばあさんは信心深かったし
浄土真宗だったためお釈迦さまや親鸞さまの
絵本とかは幼いときに良く見せられたなぁ
幼稚園も浄土真宗西本願寺派のお寺だったし…
この時期にいろいろ教えられていると
やはり影響は受けますよねぇ…
とりあえず後で甘茶買ってこようかな…(笑

さてさて

本日は「ペンタックスMEスーパー」のカメラ修理を行っています。
ペンタックスMシリーズの基本形である
エントリー機「ME」にマニュアル露出モードと
1/2000シャッター、
そして非常に明るいクリアブライトマットスクリーンを
装備しファインダーの見えやすさやピントのキレを向上させ
中級機に仕立て上げられたカメラです。
元々ベースとなるMEは巻上の感触の良さや上品なシャッター音等
使い心地に優れたカメラだったので
MEスーパーにブラッシュアップされたことで
さらに素性の良さが際立つような気がします。
1979年発売のカメラです。

お預かりしているMEスーパーはファインダー内露出計の値が
とにかく安定しません。
正しい値を示したかと思えば4段くらいアンダーに指示することもあります。
オート制御も連動して不安定なので
オートで撮影すると極端に暗い写真が混じってしまうような状態です。
さらに使っていると何かのタイミングで
LED表示が上に行ったり下に行ったり
はたまたいろんなところが点灯したりと
しっちゃかめっちゃかになることもあります。
電池室周りで接触不良が起きているのかと思ったのですが
腐食痕もなく分解しても電池室裏のハンダや配線には問題ありません。
これまでおそらく開けられたことがなく
内部モルトの劣化等はありますが基板や接点も一見非常にキレイです。
…となると基板内不良の可能性も出てくるのですが
まずは各接点やハンダ等のチェックと怪しそうなところは
重点的に清掃し、ハンダはやり直していきます。

基板の差し込み部とかも入念に清掃していきます。
で、ME系定番トラブルの原因となる
ミラー駆動部やエアダンパー等の整備も行っていきます。
今回はミラーアップやチャージ不良の症状は出ていないのですが
ミラー駆動部やエアダンパーのゴムブッシュはやはり
劣化してボロボロでした。このまま放置していると
そのうちトラブルの原因になってしまうと思われます。
で、一通りできることは全てやって
仮組して動きを確認したところ
見違えるように露出計やファインダー表示のLEDは安定しました。
さらにシャッタスピードの制御もマニュアル時も含めて
上手くいってなかったのですが(たまにスローでも最速で切れる)
その症状も出なくなりました。
ピンポイントで「ここが悪い!」というのは発見できませんでしたが
やはりどこかで接触不良が起きていたと思われます。
基板内不良でなくて安心しました。
何とか修理の目処が立ったので
これから細かい調節を行いながら仕上げていきます。
快適安心で使える1台になりそうです。

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キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

少し前からHPトップでお知らせしていますが
明日4月7日(木)は所用の為
臨時休業といたします。
ご迷惑をおかけいたしますが
ご容赦くださいませ。

今日は4月6日…語呂合わせでいろんな記念日が
制定されています。
「白の日」、「城の日」、「シールの日」
「新聞をヨム日」、「事務の日」…等々
そんな中に「春巻きの日」なんてのがありますねぇ
「春巻き」の春で4月、巻きをロール(6日)と読ませる語呂合わせで
新年度を迎えるこの季節に春巻きを食べて
幸せを巻きとってほしいという思いが込められているのだそうです。
春巻き美味しいですよねぇ
英語圏でも、直訳した「スプリングロール(spring roll)」の名で
流通しているのだそうです。
ちなみにベトナム料理の生春巻きは
「スプリングロールより後に伝わった」との理由で
「サマーロール(summer roll)」の名で呼ばれているのださおうです。
あぁ、生春巻きも惜しいですよねぇ
お腹すいてきました…お昼ご飯の前に
このブログをまずは書き上げなくては…

さてさて

本日は「キヤノンAE-1プログラム」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
一昨日のブログにも登場した「AE-1」の後継機ですが
単純にプログラムオートが追加されただけではなく
細部に渡って大幅にマイナーチェンジが行われています。
露出計はLED式となりファインダー表示も大幅に進化しました。
スクリーンも大幅に明るくピントの山のわかりやすいものに変更され
非常に快適なピント合わせが行えるようになっています。
全体的にかなり使い勝手が良くなった印象です。
ただ基本的なスペックはAE-1と変わりはなく
最高速1/1000の横走り布幕シャッター機です。
機械的な基本構造はAE-1とほぼ共通です。

お預かりしているAE-1プログラムは
キヤノンAシリーズ共通の定番トラブルでもある
「シャッター鳴き」が出ています。
シャッターを切ったときに「ギャイン」といった感じの
異音が出る症状です。
シャッター鳴きとはいいますが
原因はシャッター部ではなくミラー駆動部です。
ミラーアップする際に駆動部のギアから
異音が起きるわけで原因は単純に油切れです。
ただ、異音がするだけならまだ良いのですが
これが出始めると確実にミラー駆動に影響があり
ミラー動作がゆっくりとしか動かなくなってきます。
酷いものになるとミラーが上がらなくなり
シャッターが切れなくなってしまいます。
ここの構造はAシリーズ前モデルでほぼ共通であり
どの機種でも同様のトラブルが起こります。
対策としては定期的に清掃・注油を行うほかありません。
今回はそれに加えてオート時に絞りを制御する
絞込レバーの動きも悪くオート時の絞り制御が不安定で
安定したオート露出を行うことができません。
これも実はAシリーズ定番のトラブルで
今度はシャッター鳴きの原因のギアとは
ミラーを挟んで反対側の絞込レバー駆動ギアの油切れが原因です。
かなり繊細なメカ駆動部を持つAシリーズならではのトラブルと言えますね

また分解時に写真を撮るのを忘れてしまいました。
画像は整備が終わって上カバーを閉める段階で
「いけん!写真撮っちょらんけぇ!!!」と気づいて
とりあえず撮ったものです(汗)
先程、基本的な機械構造はAE-1と共通と書きましたが
電子制御部分は全くの別モノで
5年の間に電子部品技術が進歩したのがよくわかります。
AE-1の上カバー部とは見た目から全く異なります。
糸連動はもちろんなくなり接点で制御するようになります。
リード線の数も随分減っています。
ということでフレキはより外しにくくなるわけですね…
整備性としては難易度がかなり上がりました。
この辺りのカメラが当店で分解整備できる
最も新しい部類のカメラかと思われます。
これ以上、電子制御が進んで液晶とかも含まれてくると
メーカーからアッセンブリで部品が出なければもう手が出せません。

これから最終チェックを行い問題なければ完成となります。
シャッター鳴きはもちろん各部の動きも非常にスムーズになっています。

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キヤノンAE-1のカメラ修理

今日は「趣味の日」だそうですよ。
「し(4)ゅみ(3)」(趣味)と読む語呂合わせからだそうです。
私が仕事として扱っているカメラもそうですし
それを使って撮る写真もそうですし
他にもクルマ・バイク、模型、旅行、料理、グルメ
スポーツ、音楽、楽器…趣味なんて
数えきれないジャンルの中からよりどりみどりですし
お金のかかるもの、手間のかかるもの、いろいろありますが
誰にでも何かしら合うものがあると思います。
どんな趣味にしても趣味を楽しめる環境が持てるってことは
それだけ人生に少しでも余裕がある…ということだとも
思えるので趣味の持てる毎日には感謝ですね!

さてさて

本日は「キヤノンAE-1」のカメラ修理を行っています。
「キヤノンAシリーズ」の最初の1台であり
全てのAシリーズの基本形になるカメラです。
「AE」というといわゆる自動露出の
”Automatic Exposure Control”の略を連想してしまいますが
「AE-1」の「AE」は
”Total Automatic System by Electronic SLR Camera”の意味を持ち
「1」は 電子式カメラの頂点を表すものだそうです。
キヤノンAシリーズ開発は
電子、精密機械、光学、コンピュータの技術を統合した
100名ほどの大きなプロジェクトとしてスタートしたそうです。
社内では「新機種X開発計画」と呼ばれていたそうです。
そうしてプロジェクトスタートから2年3ヶ月後の
1976年に「AE-1」がデビューしました。
世界初のマイクロコンピュータ搭載カメラとしても話題となり
その高性能と低コストを両立させた優れた性能で
当然のごとく大ヒット商品となりました。
そのため現存する個体数は当然多く
電子制御機ということで
メンテナンス的に敬遠されることも多いと思われますが
電子回路は意外と丈夫で電池による腐食や
妙な分解品、水没品・ショック品でない限り
致命的なトラブルを抱えているものは少ないと思われます。
それよりも機械的トラブルである
Aシリーズ定番の「シャッター鳴き」や
機械的動作不良が原因のオート不良やSS不良のほうが
トラブルとして圧倒的に多いと思われます。
ただし、抵抗等の劣化が原因かと思われる
露出計やオートの精度不良を抱えている個体は多く
調整で何とかなる範囲のものが多いですが
あまり酷いものだと調整不可能なものもたまに確認できます。

お預かりしているAE-1も定番の「シャッター鳴き」はないのですが
やはり機械的動作不良が原因のSS不良やオート不良を抱えており
加えて先述した電子部品劣化が原因かと思われる
露出計の精度不良も見られます。
ただ今回は調整で十分対応できる範囲に留まっています。

当時の最新技術を結集したカメラということもあり
上カバーを外すとプリズムはフレキで覆われ
数多くの接点や電子部品が配置されています。
それでもまだシャッタスピードダイヤルからの連動は
糸連動だったりとアナログ的部分も意外と残っています。
ファインダー清掃するだけでもフレキをある程度外す必要があり
手軽に分解できるカメラではありませんが
ある程度フレキを外してしまえば
ミラーボックスの分離等は比較的簡単にでき
やはり整備性もよく考えられていると思います。
ただしIC等が搭載されているカメラなので
静電気は大敵です。
場合によっては1発で何もかも修復不能になってしまいます。
やはり分解整備にはかなり気を遣うカメラです。
これから集中して本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

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キヤノン7のカメラ修理

今日は4月1日!新年度のスタートですね!
…とはいっても…もはやいい歳で
さらに個人事業主の私にとっては
あまり特別な日でも何でもなく(苦笑)
単に月初か~今月もがんばるか―!くらいだったりします…
記念日はさすがにたくさん制定されていますね。
見ていると何だか…お酒に関するものが多い気が…
「サントリー赤玉の日」、「黒ラベルの日」
「居酒屋で乾杯の日」、「ジャパニーズウイスキーの日」…
そんな中に…「携帯ストラップの日」なんてのが…
ガラケー全盛のころは携帯にストラップはセットでしたよねぇ(笑
これももはや懐かしいですねぇ
意味もなくでっかい尻尾のストラップ付けてたこともあったなぁ
(かなり若い頃の話です…)
ストラップに加えてアンテナの先にもいろいろ付けてた気が…
いつのまにかアンテナ自体がなくなりましたものねぇ…
ケータイ使うときには
まずさっとアンテナ出して…という動作自体が
もはや懐かしい…(笑

さてさて

本日は「キヤノン7」のカメラ修理を行っています。
レンズ交換式のレンジファインダー機の分野で
その地位を確立してたキヤノンの集大成ともいえるモデルです。
この「7」とマイナーチェンジ版の「7S」で
キヤノンもこのジャンルからは手を引くこととなります。
「7」は1961年、「7S」は1965年の発売ですが
世の中は既に一眼レフへの移行が進んでいて
「7S」の出た1965年にはいわゆる高級レンジファインダー機を
手がけていたのはキヤノンのみとなっていました。
しかしながら「7」は発売時に
まだまだこの分野のレンジファインダー機には
根強い人気があり国産メーカーとしては第一人者のキヤノンとしては
かなり力の入ったカメラです。
レンズ交換の制約が少ない一眼レフに対抗して
35/50/85+100/135mmのパララックス補正機能付き
等倍採光ブライトフレームを搭載し
セレン光電池を使用する露出計も装備しています。
キヤノンらしい使用感の良さは健在です。
このモデルからモデル名もローマ数字ではなく
アラビア数字になりました。
非常に良くできた完成度の高いカメラであることに
間違いはありませんが
このあたりに注力しなくてはならなかったため
キヤノンは一眼レフへの移行へはかなり出遅れることとなります。

お預かりしている「7」はかなり長い間
使われずに仕舞い込まれていたものと思われます。
心配されるセレンは何とか生きていて
それなりの値を示すことができそうです。
しかしながらファインダーはかなり曇っていて
各部の動きも悪い状態です。
シャッターは高速1/1000は全く開かず
1/500は何とか開きますが精度的にはかなり問題のある状態です。
巻上も油切れで感触が悪く
スローガバナも粘っています。
フィルム感度設定も固着していて設定ができません。
やはり全体的に整備が必要な状態です。


整備性は非常に良いカメラです。
ただ知識がないと上カバーを開ける際にちょっと苦労するかもしれません。
露出計が加わったこともあり上カバー内側部は
かなりぎっしりと詰め込まれている印象です。
横走りシャッター部はバルナックコピー時代から
煮詰められてきた部分なので非常に完成度の高い造りになっています。
しかしながら…眠っていた年数が長いこともありますが
各部のカビと錆、そして固着がなかなか酷い状態です。
ひとつひとつ動きを確認しながら
慎重に整備を進めていきます。

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ニューキヤノネットQL17のカメラ修理

今日は特にこれといった記念日がないですねぇ…
昨日は定休日だったので用事を済ませるついでに
中野通りや中板橋・石神井川のソメイヨシノを
見てきたのですがもうすっかり満開でした!
昨年に比べると少し遅れましたが
咲き始めるとあっという間に満開になり
そしてあっという間に散ってしまうのですよねぇ
この儚さも日本人がソメイヨシノに抱く
特別な思いの一因のような気もします。
昨日は雨こそ降らなかったものの
1日中薄暗いどんよりした曇天だったのが残念でしたが
それでも春らしさを楽しめました。
今日はまだ明るい曇りで時折陽射しも差すようなので
さくらを楽しむにはよさそうですね
明日の夕方から明後日にかけては雨模様の予報なので
散ってしまわなければ良いのですが…
もう花見でどんちゃん騒ぎをしたいとは思いませんし
あまり人出の多いところにも行きたくはありませんが
静かにゆっくりと眺めて楽しみたいですねぇ

さてさて

本日は「ニューキヤノネットQL17」のカメラ修理を行っています。
従来のキヤノネットQL17の機能をそのままに
大幅にサイズをコンパクトにしたモデルです。
1969年に発売されたカメラです。
私と同い年ですねぇ(笑
F1.7の大口径レンズを搭載してこのコンパクトさは
相当がんばっていると思います。
ライバルはC35FDとなるのでしょうね
しかしながらニューキヤノネットは従来のキヤノネットと同じく
露出計こそオフになりますが
マニュアル露出も自由に使えるのですよね。
何でもこなせるといった意味ではリードしていますね!
普通に撮るときはSS優先オートで撮り
ちょっとオートでは難しい露出の場面や
あえて表現のために露出をコントロールしたいときには
マニュアルで撮る…なんてスタイルでいけるのは嬉しいですね

お預かりしているニューキヤノネットは
定番のシャッター羽根の粘りに加え
毎度これも書きますが小さなバネの力で制御する
絞り羽根の動きも粘っています。
さらにスローガバナにも粘りがあり動きが不安定です。
露出計は何とか動作していますが
電池室端子には緑青が見られるので
電池室裏の状況はかなり悪いと推測されます。
配線の交換等は必要になってくるかとと思われます。
そしてこちらもニューキヤノネットや同系のG-Ⅲでは
定番ですがレンズ前玉のコーティング劣化が見られます。
こればかりは清掃しても除去はできないので
コーティング劣化以外の部分をできる限り清掃していきます。
強い逆光だとやはりフレアは出やすくなるかと思われます。

機械的な部分は動作不良が多く見られるので
キチンと整備して良好な動きを取り戻し
レンズやファインダーは出きる限りの清掃を行い
露出計周りは接触不良や配線・ハンダ不良を
修理していきます。
きちんと整備を行なったニューキャネットは
現在でも非常に使い勝手の良い1台になると思います。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「三ツ矢サイダーの日」だそうですよ。
日付は「み(3)つ(2)や(8)」(三ツ矢)と読む語呂合わせからです。
子供の頃から慣れ親しんでいる炭酸飲料ですねぇ
いまだにちゃんと売られていることも嬉しいですねぇ
子供の頃、じいさんのビール1ケースと一緒に
三ツ矢サイダーの小瓶も1ケース毎月酒屋さんに届けてもらって
それを軽く洗って冷蔵庫に入れるのが楽しかったなぁ(笑
この頃の無色透明炭酸入り清涼飲料類といえば
三ツ矢サイダーとキリンレモンとスプライトですが
姿かたちは変われどもいまだに全部生き残っていますねぇ
個人的にはどれもあの頃の小瓶が
親しみがあって懐かしいのですが…
その中でも三ツ矢サイダーは今でも暑い時期になると
たまに一気飲みしたくなって500mlの缶を買ったりしますが
これが一気に飲めるのですよねぇ~喉痛くなりますが…
でも血糖値が爆上がりするので要注意です(苦笑)
だんだん話が逸れていきますが
小学生の頃に…
ニンジン、キャベツ、トマトを混ぜてできるジュースはなーんだ?って
なぞなぞがあって
答えは「三ツ矢サイダー!(三つ野菜だー)」なんてのがあったな…(笑

さてさて

今日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
やはりOM-1の修理依頼は多いですね。
壊れやすいからとかそういうネガな理由ではなくて
それだけ使っている方が多く人気も高いことの証拠ですね。
先日も書きましたが
機械制御シャッターで軽量コンパクトで使用感がよく
メンテナンス性も良好…となると
正直なところOM-1くらいしか選択肢はないですものね。
確かにこれだけ小さく造るために独特な構造や
工夫が凝らしてあるために
登場から50年経過すると経年劣化もあり
さすがに華奢な部分も少々目立ちますが
それでもしっかり整備すれば問題なく使えるものが多いと思われます。

お預かりしているOM-1は製造番号や外装から判断して
最初期のものかと思われます。
M-1からOM-1に改名したばかりの頃のもので
中身はまんまM-1と同一かと思われます。
フィルム室には4本スタッド、圧板もそれに合わせて短いもの
接眼レンズ面は深さの浅いタイプです。
上カバーを開けてみてもいくつかの特徴があって
プリズム留めは4本バネ、巻上レバーも初期モデルのみの形状です。
露出計回路も若干異なります。
機能的には中期と全く変わりはしないのですが…
ただこの初期モデルは分解整備時には注意が必要で
当時の材質と経年劣化の問題かと思われますが
プリズムや露出計用基板、メーター、接眼部の樹脂製ベースが
ボロボロに脆くなっていてネジを緩めるだけでも
グズっと崩れてしまうことがあるのです。
軽量コンパクトに造るためにここがは樹脂製なのでしょうが
さすがにこの頃の樹脂は50年経つとかなり脆いです。
崩れてしまうと基本的に修復不可なので
細心の注意を払って取り扱っていきます。

抱えているトラブルは定番のプリズム腐食に
高速シャッターの精度不良、露出計の不良です。
上の画像でも少し見えていますが
グズグズになったモルトがプリズムを侵食しています。
露出計のトラブルは今回は電池室絡みではなく
基板上のハンダ付けの劣化で動きが非常に不安定になっていたようです。

これから各部の整備と合わせて
慎重に修理・整備を行っていきます。

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コニカC35のカメラ修理

今日は「さくらの日」だそうですよ。
日付は「3×9(さくら)=27」の語呂合わせと
七十二候の一つ「桜始開」(さくらはじめてひらく)が
重なる時期であることからだそうです。
都内でもあちこちでソメイヨシノが咲き始めていて
一昨日の夜、見た感じでは
中野通りも中板橋・石神井川も
6~7分咲きといった様子でした。
今日あたりで一気に各地で満開となりそうですね!
しかしながら、ソメイヨシノって
4月の初めに満開になるイメージだったのですが
ここのところ3月中でほぼ満開になりますね。
今年なんて昨年より開花は遅いのに…
そっか…私が生まれ育った広島よりも
都内の方が開花が早いのか…それも不思議ですね…
温暖化の影響もあるのかもしれませんね。
これも時代に流れと言えるのでしょうか…
何にしてもソメイヨシノは日本人にとって
ちょっと特別な花ですよね!お花見行きたいなぁ…(笑

さてさて

今日は「コニカC35」のカメラ修理を行っています。
「じゃーに~コニカ」の愛称がつけられ大ヒットしたカメラです。
それまでのコニカEEマチックの機能を
ハーフサイズカメラ並みのボディにまとめ上げた画期的モデルです。
このC35の登場と大ヒットにより
各社のレンズ固定型カメラのを小型化が一気に進み
対抗馬…というかC35フォロワーともいえるカメラが
次々と誕生しました。
F2.8クラスのレンズにオート露出、
ボディサイズはハーフカメラ並みといったカメラですね。
C35はそれでもしっかり距離計連動なのも立派ですね。
露出制御はしわゆる露出計指針挟み込み式です。
シャッターユニットがシャッター羽根と絞り羽根を共用する
プログラムシャッターなので必然的にプログラムオートとなります。
露出の過不足によるシャッターロックの類は一切なく
露出過多でもF14・1/650で切れますし
逆に真っ暗闇でも…いや電池が入ってなくて露出計が動いていなくても
1/30・F2.8で切れます。
ある程度、露出の知識がある方ならこれを逆手にとって
条件の悪いところでも強引にシャッターを切って
とりあえずは写す…という使い方もできますが
反対に露出計が振り切っていたり
電池がなくても切れてしまうので
知識のない方だと失敗写真を量産してしまう可能性もあります。
このあたりはシャッターを切る前にしっかりファインダー内で
値を確認するクセが付いていないと思わぬ失敗をしてしまうかもしれません。
個人的には余計なシャッターロックはないほうが好みですが…

お預かりしているC35は一通り動作はしているようです。
ご依頼者様曰く
「露出計が妙にオーバー気味でいつも感度補正して撮っている」のだそうです。
測定器でよく使うであろうLV15やLV12の定常光をあててみると
確かに露出計指針は+1.5~+2段といった様子です。
そのままシャッターを切ってみると
やはり実際にフィルムに当たる露出量も+1.5~+2段です。
現在のネガであれば写るには写りますが
さすがに少々ハイキ―な仕上がりになるかもしれません。
今どきっぽいといえばそうでもあるのですが…(苦笑)
まぁ、そういうのは狙って補正して行うもので
デフォルト値はやはり正しくないといろいろなシチュエーションで困りますね。
シャッター羽根の動きが若干不安定な部分もあるので
合わせて一通りの整備調整を行います。

このC35以前のコニカレンズシャッター機同様に
整備性は非常に良いカメラです。
小さくまとめてあるのですが
どこにも無理な造りがないのはさすがという感じです。
ただ定番のシャッター羽根駆動部を筆頭に
動きの悪くなりやすいポイントがいくつかあるので
そのあたりを重点的に整備を行っていいます。
もちろんレンズやファインダーもできる限りの清掃を行います。

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ニコンEMのカメラ修理

今日は「電気記念日」だそうですよ。
この記念日、前置きを書くと
長い上にややこしいので割愛しますが
要は1878年のこの日に「日本で初めて電灯が灯された日」と
いうことになっています。
グローブ電池50個を用いて
講堂の天井に設置されたこれまた50個のアーク灯を点灯したそうです。
(白熱電球がエジソンによって実用的に改良されたのはこの翌年です)
点灯の瞬間には目もくらむような青白い光がほとばしり
講堂をくまなく照らし出し
その場にいた来賓たちは
「不夜城に遊ぶ思い」と驚嘆の声を上げたといわれています。
現代こそ当たり前のようにいたるところで
昼間であろうが灯りがともります。
こうしてこのブログを書いている当店の天井にも
煌々と明かりが灯っていますし
作業机にもLEDスタンドが手元を明るく照らしています。
数日前に電力逼迫の心配がされましたが
電気って今の私たちの生活に欠かせない要素で
もっと電気が当たり前に供給されることに
感謝しなければいけませんね
とはいえ…電気代が上がるものも困るのですが…(苦笑)
電気だけではなくいろいろなインフラの整備に支えられて
今日もこうして普通に生活ができることに感謝です。
あ、昨日から当店の前で水道工事が始まっていて
道路は車両通行止めですが(歩行者は通行可)
当店は通常営業しています。

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
1980年発売のニコン初のエントリークラスのカメラです。
そのコンパクトさと小粋なデザインに加え
絞り優先オート専用のシンプルな使い勝手の良さで
現在でも非常に人気のあるカメラです。
しかしながら前回のEMのブログでも書きましたが
発売当時にはそれまでの「高級機」主体のニコンのイメージにそぐわず
国内市場では販売的にかなり苦戦したそうです。
それに反して先行発売された海外では
かなり好評で好調なセールスを記録したのだそうです。
日本国内でEM人気に火が付いたのは
皮肉なことに生産が終了した後の話になってしまいました…
…とはいえ販売ボリュームのあるエントリー機なので
現存している台数はそれなりに豊富です。

お預かりしている「EM]は
写真の一部に黒い影が出てしまうということです。
整備に取り掛かる前に測定器で現状をチェックしたところ
どうやら高速シャッター時に
シャッターが開き切らないことがあるようです。
電子制御シャッター機ですが
今回はシャッター制御の問題ではなくて
シャッター羽根の動きが悪く
うまく高速で作動できないようです。
メカニカル制御のM90で測定しても
シャッターは開くものの妙に先幕・後幕の
バランスが崩れてしまっています。
シャッター羽根基部に汚れやモルト屑が
入り込んでしまっていることが原因かと思われます。

エントリー機とは言え80年代の電子制御機です。
ニコン機なのでそれなりに整備性に配慮されてはいますが
分解整備の難易度は比較的高いほうです。
これも毎度言いますが作業中の静電気には
細心の注意が必要です。
一つ間違えれば電子回路が全てパーとなってしまいます。
画像は上カバーを外しただけの状態ですが
まずはシャッターユニットの整備ができるところまで
分解を進めていきます。
カメラ本体はもちろんですが
装着されていたAiニッコール50mmF1.4sも絞り羽根に油滲みがあり
絞り羽根の動作に粘りがありますので
ボディ側整備後にそちらの清掃整備も行います。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「ホスピタリティ・デー」だそうですよ。
ホスピタリティ…もてなしとか思いやりですね
「もてなし」の方から言うと
サラリーマン時代に営業職だったので
ホスピタリティって言葉自体はイヤと言うほど
聞かされましたねぇ(苦笑)
売りたい側のエゴが強すぎる
うわべばかりのホスピタリティが多かったですが…
「思いやり」の方は
人間という動物が「ひと」であるために不可欠な要素ですよね
ただこれも自分自身にある程度は余裕がないと
なかなか自然には出てきにくくなってしまうのですよね
だからまずは精神的にも経済的にも
自分自身に余裕が出るように日々を過ごさなくては…
えっと…というわけで
まずは目の前にある仕事を一生懸命やるかな!(笑

さてさて

今日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
最近はSP系の依頼が多くなってきましたが
それでもやはりコンスタントに
整備依頼の多いのはOM-1です。
軽量コンパクトな機械制御シャッター機と言うポジションでは
まさに王座に君臨して続けているカメラでもありますね。
70年代半ば以降、一眼レフにも電子化の波が押し寄せて
機械制御シャッター機はその数を極端に減らしていき
ライバルも少なくなってしまいました。
もう少し付け加えるならば
露出計も何かトラブルと修理の難しいLED式ではなく
昔ながらの指針式という部分も考えると
これほどシンプルで小さい一眼レフは他にはありません。
それでも正直なところ
新品部品の手に入らない現在では
修理不可能になる場合もあるのですが
比較的、何かあっても何とかなる可能性の高いカメラであることは
間違いないかと思います。

お預かりしているOM-1は中期のMD対応モデルです。
現存するOM-1で最も数の多いものだと思います。
しかしながら今回の個体も
これまで整備らしい整備はされたことがないと見られます。
まずは定番のプリズム腐食です。
上カバーを開けてみると
加水分解でベタベタになったモルトがプリズムに
べったり付着しています。
こうなるとプリズム内部まで間違いなく剥離してしまいます。
これはもうプリズム交換で対応するしかありません。
そしてこれまた定番の露出計トラブルです。
それも原因はこの生産時期のOM-1に非常に多い
電池室マイナス側端子留めの樹脂ネジ破損です。
OM-1の電池室マイナス側端子は絶縁の為、
金属ネジに絶縁ワッシャが使われているパターンと
ネジ自体が樹脂製の場合があるのですが
樹脂製ネジの場合はまず間違いなく経年劣化で折れてしまいます。
そしてこの樹脂ネジのサイズが少々特殊なサイズで
金属ネジ+樹脂ワッシャで代用ができません。
同じサイズの樹脂ネジを新たに切り出して
交換するのが無難な方法かと思います。
樹脂製なので加工はダイスさえあれば簡単です。
ただし今回の露出計不動の原因は樹脂ネジ破損のみならず
過去に水銀電池を長期に入れたままの時期があったらしく
端子自体は比較的キレイなのですが
配線が完全に腐食してしまっていて
遠く離れたボディ上部SW端子にまで腐食が広がっています。
これでは樹脂ネジを立てただけでは露出計は復活しません。
緑青の発生したハンダは磨いてハンダ付けをやり直し
配線は丸ごと交換を行います。

こうして内部の構造を見ると小さく造るために
あらゆる部分に工夫が見られる事が良くわかります。
通常の一般的な横走りシャッター機とは
いろいろと異なる部分も多いです。
それが故に多少、堅牢性が犠牲になっている部分もありますが
それはある程度、仕方がないことでしょうね
それでも普通に現行モデルの頃には
全く問題ないレベルでしかなく
あくまで50年近く経過した場合で見ると…という前提ですし…

それで樹脂部の非常に脆い最初期の場合は
いろいろ厄介な点も多いですが
中期以降のOM-1は致命的な破損がない限り
しっかり整備すれば
実用にはまだまだ全く問題ありません。
今回も非常に快適に使える状態に仕上がりそうです。

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