月別アーカイブ: 2023年10月

キヤノンⅡS改のカメラ修理

今日は「望遠鏡の日」だそうですよ。
1608年のこの日に
オランダの眼鏡技師ハンス・リッペルハイが
凹レンズと凸レンズを組み合わせると
遠くの物が近くに見えるという望遠鏡を発明し
特許を申請するためにオランダの国会に
書類を提示したことが由来となっています。
しかし、原理があまりにも単純で
誰にでも作れそうだという理由で
特許は受理されなかったそうで
その代わりにオランダの政府から
報酬を得ることができたのだそうです。
カメラの望遠レンズも原理としては同じですね。
望遠鏡といえば私がまだ幼稚園児だったころに
ある日、突然なにを思いついたのか
じいさんがビクセンの6cm天体望遠鏡を買ってきて
家の窓から灰ヶ峰の頂上とかを見せてくれました。
展望台に上っている人の姿まで見えて感動したのをよく覚えています。
夜になると月とかを見せてくれたなぁ…
ばあさんは「なんでこんな小さい子に望遠鏡なんよ!高いのに!」って
随分ご機嫌斜めでしたが…(笑
その天体望遠鏡のおかげで小学生高学年の頃には
星空を見上げてはいろいろな天体や惑星を追っかけてました。
ただ当時の赤道儀は全くもって使いこなせませんでしたねぇ(笑
まず極軸合わせすらできなかったし…

さてさて

本日は「キヤノンⅡS改」のカメラ修理を行っています。
いわゆる「バルナックコピー」と言われるカメラですね。
キヤノンの始まりも1930年代にこのタイプのカメラからです。
1950年代にかけてキヤノンの独自性も盛り込みながら
いろいろなモデルが発売されています。
ただこれがモデル刻印等も本体にはなく
非常に判別が面倒なカメラです。
修理する立場で言えば構造的にはどのモデルもそれほど
大きくは変わらないのでモデル名はなんでもいいのですが…

今回お預かりしているのはおそらく1955年発売の
「ⅡS改」だと思われます。
このタイプのキヤノン機で最高峰とされる
「ⅣSb改」の普及モデルという位置づけのカメラです。
基本的な構造・仕様は「ⅣSb改」と同様で
SS最高速が1/1000から1/500へと変更され差別化されています。
かなり高価だった「ⅣSb改」に比べ1割程度お安い設定だったそうです。
仕様が「ⅣSb改」と同様ということで
SS最高速こそ1/500ですがスロー側は1秒まで搭載し
いわゆる倍数系列となっています。
もちろん「B」「T」も装備します。
ファインダーは一眼式でキヤノンお得意の
可変倍率ファインダーを搭載しています。

お預かりしている「ⅡS改」は
まずもってシャッターが全く切れません。
この時代のフォーカルプレーン機は大抵の場合がそうですが
やはりシャッター幕が激しく劣化+硬化しており
シャッターは全く動けない状態のようです。
何はともあれシャッター幕を交換しないとどうにもならない状況です。
もちろん幕軸を始め各部の動きも悪いですが
巻上軸にも問題があり
巻上が空回りしてしまっている問題もあるようです。

画像は一通りの修理整備が完了した後のモノです。
巻上からレリーズに至るまで非常にスムーズに
動作するようになりました。
低速から高速までシャッターの精度も全く問題ございません。
ファインダーも非常にクリアで
距離計の精度も問題ない状態です。
このタイプのカメラはフィルム装填等に面倒な部分もございますが
そういう部分も含めて使っていて非常に楽しいカメラだと思います。
キチンと整備されてスムーズに動作する機体だと
尚のこと撮影を楽しめると思います。
今回のご依頼者様にも存分にお楽しみいただければと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

オリンパスペンD3のカメラ修理

今日から10月ということで
10/1にはたくさんの記念日が制定されています。
衣替えの日、日本茶の日、メガネの日
東京都民の日、土地の日、ネクタイの日、
香水の日、醤油の日…等々まだまだたくさん…
そんな中に「日本酒の日」もありますねぇ
お酒は全般的に好きですが
やはりその中でも日本酒が好きですねぇ
一概には言えない部分もありますが
日本酒そのものの香りや味をじっくり味わうのなら
磨き上げた大吟醸、和食を引き立てるのであれば
純米酒がいいですねぇ…
私の場合、日本酒好きになってから
それまで苦手だった食べ物で
美味しく食べられるようになったものも多いのですよね
佃煮系とか煮魚とか酢の物とか…
少しは大人に成長したのか…(笑
季節的にはサンマの塩焼きとかがいいですね
純米酒に合わせると最高の組み合わせです。
お互いの味を引き立てあって至高の味わいになりますよねぇ
今夜あたりちょっと良い日本酒と美味しいサンマで
じっくり楽しみたいですねぇ…

さてさて

本日は「オリンパスペンD3」のカメラ修理を行っています。
ハーフカメラの代名詞ともいえる「オリンパスペン」ですが
いくつかのシリーズに大きく分けることができます。
最初に出てきたベーシックな「ペン」そして
それの高級版と言える「ペンS」
セレン露出計と連動し露出をオートとし
撮影操作をとにかく簡単にできるようにした
「ペンEE及びEESシリーズ」
そして最上級モデルとして登場した今回の「D3」を含む
「ペンDシリーズ」です。
「ペンDシリーズ」は基本はペンSと同じくマニュアルカメラですが
大口径レンズと露出計を内装しています。
露出計は内臓はされるものの直接連動する部分はなく
露出はあくまでもマニュアル操作です。
最初の「ペンD」はセレン光電池使用の露出計が搭載され
「D2」でCdS使用の露出計に変更されています。
そして「D3」では搭載レンズがそれまでのFズイコー32mmF1.9から
32mmF1.7へとグレードアップされています。
大口径レンズを搭載するため他のペンシリーズと比べると
少しだけ大きくずっしりとしていますが
その分、高級感に溢れたカメラです。

お預かりしている「D3」は一通り動作してはいるのですが
シャッターを始め各部に若干の動きの粘りがあり
レンズ・ファインダーには結構なカビが発生しています。
モルトはやはり全滅です。
露出計もそれなりに動いてはいますが
やはり配線や接点の問題で少々不安定で精度的にも調整が必要です。
致命的なトラブルこそないものの
快適に使うにはやはり全体的な整備が必要な状態です。

画像は一通りの整備を行った後の状態です。
シャッター羽根、絞り羽根の清掃及びシャッターユニットの整備
レンズ清掃、ピント調整、巻上機構部の整備
露出計及び電池室周りの清掃整備、ファインダー清掃
そしてモルト交換等々、全体の整備を行っています。
お預かり時よりも明らかにスムーズに動作するようになっています。
精度的にも全く問題ない状態になりました。
動きが少し馴染むまで様子見した上で
最終テストを行い問題なければ完成となります。
これでご依頼者様にも気持ちよく使っていただけると思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。