リコー35デラックスのカメラ修理

今日は「望遠鏡の日」だそうですよ。
1608年のこの日に
オランダの眼鏡技師ハンス・リッペルハイが
凹レンズと凸レンズを組み合わせると
遠くの物が近くに見えるという望遠鏡を発明し
特許を申請するためにオランダの国会に
書類を提示したことに由来しているそうです。
しかしながら、原理があまりにも単純で
誰にでも作れそうだという理由で
特許は受理されなかったそうです。
その代わりにオランダの政府から報酬を得ることができたそうです。
確かに原理自体は簡単ですが
何にしても最初にそれに気づいた方は偉いですよねぇ
カメラの望遠レンズも基本的にはこの構造ですね。
そのままでは収差が発生したりするために
カメラのレンズ場合は単純な造りではありませんが…
小学校に入るか入らないかの頃に
ある日、突然、じいさんが6.5cmのヴィクセン製の
天体望遠鏡を買ってきてとりあえずは
家の窓から灰ヶ峰の頂上を見せてくれたことを今でも鮮明に覚えています。
肉眼では頂上の展望台がそこに存在することしか確認できませんが
望遠鏡で見ると展望台にいる人の姿まで見えるのです。
5歳か6歳かの私には強烈な感動でした。
しかし…じいさんよ…あとから考えたら
小学校入学直前の子供に赤道儀の天体望遠鏡は使いこなせんよ(笑
実際にその望遠鏡が本領を発揮したのは
私が小学校高学年になる頃でした。
でもものすごく役に立ったし楽しめました!

さてさて

本日は「リコー35デラックス」のカメラ修理を行っています。
1956年発売のレンジファインダー搭載のレンズシャッター機です。
リコー35シリーズにもたくさんのカメラが存在します。
その中でも「35デラックス」は独特のデザインということもあり
印象が非常に残るカメラです。
当店にもたまにですが修理依頼が入るカメラです。
何といっても上カバー上面の筆記体で書かれた
「Ricoh “35” De Luxe」の文字が何とも上品でオシャレです。
上カバー上には巻き戻しクランク、フィルムカウンター
レリーズボタンが配置され、巻上レバーは底部に配置されています。
フィルム室蓋は底部左右のノブをOpenポジションにすることで
取り外しができます。
巻き戻しボタンは上カバー背面部にスライド式のものが配置されます。
多少、慣れが必要な配置ですが特に難しいモノではありません。
セルフコッキングも搭載されて普通に巻き上げれば
シャッターチャージもされます。
フィルムカウンターも自動復帰です。
発売年を考慮するとかなりの最先端なカメラだと思います。
搭載されるシャッターはセイコーシャMXLです。
例によって最高速1/500は別バネなので
1/500使用の際は先にSSを1/500に設定してからチャージを行います。
レンズは非常に評価の高いリケノン4.5cmF2が搭載されます。
この時代では珍しくレリーズレバーやチャージレバーも
しっかりカバーされていて鏡胴もすっきりしたデザインです。
全体的にも非常に質感の高さを感じさせます。

お預かりしている「35デラックス」は
シャッターが完全に固着して全く動きません。
羽根に油が回って羽根同士がくっついてしまっているものと思われます。
開けてみれば一目瞭然なのですがかなり大量の油脂が回っていて
羽根1枚1枚をしっかり洗浄した上で
羽根の駆動部から羽根が触れる部分全てを
かなり入念に脱脂する必要がありました。
とはいってもレンズシャッター機ではいつも行う作業ではありますが…
他は距離計がかなりズレていたり
レンズやファインダーにそれなりにカビや汚れがあったりと
一通りの整備清掃が必要な状況でした。

修理中の画像を残すのを忘れました…
一通り整備が完了して少し様子見をしている状態でのモノです。
シャッターは非常に軽快に動作するようになりました。
他各部の動きも快調です。
安心してお使いいただける状態だと思います。
これから最終テストを行って問題なければ完成となります。

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