キヤノンデミEE17のカメラ修理

今日は「登山の日」だそうですよ。
日付は日本山岳会が1905(明治38)年10月に発足したことと
「と(10)ざん(3)」(登山)と読む語呂合わせからだそうです。
標高や地域によりますが
山歩きをするには絶好の季節になってきましたね。
ただ、特に標高の高い山はそうですが
下界とは全く気温が異なるので注意が必要ですね。
それでも少し冷たい風を稜線で感じるのは最高でしょう。
私は少し前に歩きが少しばかり不自由になってからは
足場の悪いところはほぼ間違いなく転ぶので
もう山歩きは無理ですが機会があれば
見晴らしの良い登山口まででもいいから行ってみたいですねぇ
やはりこの季節の山の空気は最高です。

さてさて

本日は「キヤノンデミEE17」のカメラ修理を行っています。
デミはキヤノンハーフカメラのシリーズです。
基本となる「キヤノンデミ」は非常に小型軽量で
手動プログラムシャッターのシンプルなカメラですが
「EE17」はそのデラックス版といえます。
露出制御はシャッタースピード優先オートが装備されています。
露出計もCDS使用のものに変更され
レンズも30mmF1.7の大口径レンズです。
さすがに通常のデミに比べると少しばかり大きくなりましたが
それでもハーフカメラなので非常にコンパクトです。
発売は1966年です。
その前年にラピッドフィルム用の「デミラピッド」という
カメラが発売されているのですが
「EE17」はこの「デミラピッド」の35mmフィルム版です。
内部構造もデミラピッドをほぼそのまま継承しています。

お預かりしている「デミEE17」は
シャッター切れず巻き上げできずという状態です。
他のカメラならシャッター羽根粘りがまず原因と思うのですが
「デミEE17」の巻上ロックは巻上レバーからリンクする
シャッターチャージ機構に原因がある場合が多いです。
チャージレバーへと動きを伝達するリンケージが緩んでいたり
変形していたりすることで
正常にシャッターチャージができなくなるパターンが多いです。
ただ今回はその部分が見えるところまで分解しても
リンケージ自体には大きな問題はなさそうです。
ただシャッターチャージ機構は非常に動きが渋く
やはりこれに関連する部分が主原因なのは間違いないようです。
その後、シャッターユニットを分離するわけですが
ここで原因がはっきりしました。
シャッターユニットから出て言えるチャージレバーが
大きく変形してねじれています。
そのために正常に動くことができずに
チャージすることができない状況でした。
動きが悪いところへ無理に巻き上げようとした末路かと思われます。


画像は分解取り掛かり始めのモノです。
チャージレバーの変形は慎重に元の状態に戻して対処します。
折れてしまうようなほどの変形でなかったのが
不幸中の幸いです。
それとは別の問題でシャッター羽根はべっとりと油でくっついていて
チャージできたとしてもシャッターは切れない状態でした。
これはシャッターユニット分解の上での羽根洗浄で対処します。
問題の良く起こる露出計周りは調整は必要なものの
大きなトラブルはなさそうです。
各部の状態を確認しながら修理と並行して
通常の整備も行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。